こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなく「データ」を元に分かりやすくお届けするコラムへようこそ。
妊娠が分かり、喜びと共に湧いてくる様々な不安。
その中で、「NIPT(新型出生前診断)」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、費用を調べてみて、こう思ったことはありませんか?
「私はまだ20代だし、高齢出産じゃないから関係ないかな」
「確率はすごく低いのに、何十万円も払うのはもったいない気がする」
その感覚は、生活を守る上でとても正常で、堅実なものです。
確かに統計データを見れば、お母さんが若いほどダウン症候群のお子さんが生まれる確率は低くなります。もしNIPTが「ダウン症だけを見つけるための検査」だとしたら、若いあなたにとっての費用対効果は低いと言わざるを得ません。
しかし、ここには多くの妊婦さんが知らない、そして一般的な産婦人科医があまり語りたがらない**「不都合な真実」**が隠されています。
もし、「年齢に全く関係なく、誰にでも平等に起こる重篤な障害」があるとしたら?
そして、そのリスクが意外と無視できない確率だとしたら、あなたの考えはどう変わるでしょうか?
今回は、6万件以上の検査実績を持つ当院だからこそお伝えできるデータをもとに、「若い人にとってのNIPTの本当の価値」について、感情論抜きで解説していきます。
まず、皆さんが「若いから大丈夫」と考える根拠について見ていきましょう。
これは医学的にも概ね正しい事実です。
一般的にNIPTで調べる「21トリソミー(ダウン症候群)」の発生率は、お母さんの年齢と明確な相関関係があります。
【母体年齢とダウン症候群の発生頻度】
(Snijders, R. J., et al. 1999)
| 母体年齢 | 発生頻度 | 確率(%) |
| 20歳 | 1,667人に1人 | 0.06% |
| 25歳 | 1,250人に1人 | 0.08% |
| 30歳 | 952人に1人 | 0.11% |
| 35歳 | 378人に1人 | 0.26% |
| 40歳 | 106人に1人 | 0.94% |
35歳を超えると確率は急激に上がり、40歳では約100人に1人となります。これは卵子の老化に伴い、染色体がうまく分かれない「分離エラー」が起きやすくなるという生物学的な事実によるものです。
一方、20代を見てみましょう。
25歳での確率は約0.08%(1,250人に1人)。
この数字だけを見れば、「1,000回くじを引いて1回当たるかどうか」というレベルです。「滅多に起こらないことにお金をかけるのはコスパが悪い」と感じるのは当然です。
もしあなたが「ダウン症かどうかだけ」を心配しているのであれば、NIPTを受ける優先順位は低いかもしれません。
しかし、染色体の異常はダウン症だけではありません。
ここからが、今日の本題です。
染色体の異常には、大きく分けて2種類が存在します。
若い妊婦さんが知っておくべきは、この2つ目の**「年齢に関係ない異常」**です。
受精卵が細胞分裂をする際、染色体のごく一部がちぎれて無くなってしまう**「微小欠失(びしょうけっしつ)」**という現象があります。
これは、卵子の老化とは関係なく起こる、いわば「交通事故」のようなものです。
お母さんがどれだけ若くて健康でも、葉酸を飲んで気をつけていても、防ぐことはできません。
この微小欠失は、一つひとつの疾患としては数千人に1人程度ですが、染色体の様々な場所で起こりうるため、全ての微小欠失リスクを足し合わせると、約300人に1人という頻度になります。
【主な微小欠失症候群の例】
これらは、重篤な心臓の病気や知的障害を伴うことが多いのが特徴です。
そして重要なのは、このリスクは**「20歳でも40歳でも変わらない」**ということです。
高齢出産の方の場合、ダウン症のリスクが圧倒的に高いため、微小欠失のリスクは相対的に目立ちません。
しかし、若い方の場合はどうでしょうか。
ダウン症のリスク(1/1250)よりも、微小欠失全体のリスク(1/300)の方が高くなる逆転現象が起こり得ます。
つまり、若い妊婦さんにとってのNIPTの本当の価値は、「ダウン症チェック」ではなく、この**「全年齢共通の事故(微小欠失など)」を見つけること**にあると言えます。
ところが、一般的な認可施設のNIPT(基本検査)では、13番、18番、21番の3つの染色体しか調べません。これでは、若い人にこそ起こりうる微小欠失は見逃されてしまいます。
若い方が検査を受けるなら、微小欠失までカバーできる検査(全染色体検査など)を選ぶことにこそ、大きな意味があるのです。
もう一つ、年齢に関係なくリスクを高める要因があります。
それが**「ロバートソン転座」**です。
これは突発的な事故ではなく、ご両親からの「遺伝」に関わるものです。
具体的には、ご両親のどちらかの染色体が、生まれつき「2本くっついて1本になっている」状態を指します。遺伝子の量自体は変わらないため、ご本人はいたって健康で、普通の生活を送っています。
しかし、いざ赤ちゃんを作ろうとして精子や卵子ができる時、このくっついた染色体が悪さをします。染色体の数の計算が合わなくなり、受精卵に過剰な染色体が渡ってしまうのです。
もし21番染色体が関わる転座を持っている場合、最大で10人に1人という非常に高い確率でダウン症のお子さんが生まれる可能性があります。
怖いのは、ご本人が健康なため、流産を繰り返したり、NIPTを受けて陽性が出たりするまで**「自分たちがその体質を持っていること」に全く気づかない**点です。
つまり、20代の健康なご夫婦であっても、知らず知らずのうちにハイリスクな状況にあるケースが隠れているのです。
「100人に1人程度の確率で、誰にでも起こる遺伝子レベルの事故」
これを高いと見るか、低いと見るかは人それぞれです。
しかし、もしお腹の赤ちゃんに重篤な心臓疾患を伴う微小欠失があった場合、事前に知っているかどうかで、その後の運命は大きく変わります。
もし事前に分かっていれば、NICU(新生児集中治療室)が完備され、すぐに小児心臓手術ができる大学病院などで出産する準備ができます。
何も知らずに個人クリニックで出産し、緊急搬送されて対応が遅れる……という最悪の事態を回避できるのです。
NIPTは「命の選別」という側面ばかりが強調されがちですが、本来は**「赤ちゃんの特性を事前に知り、最適な環境で迎えるための前向きな準備」**なのです。
また、非常に重篤な疾患が見つかった場合、ご両親には「高度な医療処置(延命治療)を行わない」と決める権利もあります。
無理な手術や延命はせず、家族で穏やかに抱っこして過ごす時間を優先する。そんな「看取りの選択(Comfort Care)」もまた、お子さんへの一つの愛の形です。
しかし、この決断を、出産直後の混乱した緊急事態の中で下すのはあまりに酷です。
生まれる前に状況を知り、夫婦で十分に話し合い、心の準備をしておくこと。
「どう生きるか、どう迎えるか」を親として主体的に決めるために、検査という手段があるのです。
今日は、若い妊婦さんにとってのNIPTの価値についてお話ししました。
最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
1. ダウン症だけがリスクではない
若い人のダウン症確率は低いですが、年齢に関係なく起こる「微小欠失」などの染色体異常リスク(約1/300〜)は、誰にでも平等に存在します。
2. 認可検査では見逃される
一般的な基本検査(3つのトリソミー)だけでは、若い人に多い微小欠失リスクはカバーできません。検査範囲を正しく選ぶことが重要です。
3. 「隠れハイリスク」の可能性
ご両親の転座など、自覚症状のない遺伝的リスクが潜んでいる可能性はゼロではありません。
4. 知ることは愛
検査は「怖い結果を聞くため」のものではなく、「赤ちゃんに最適な環境(病院選びや心の準備)を用意するため」のものです。
「若いから大丈夫だと思っていた」
もしもの時に、そんな後悔をしてほしくありません。
確率はあくまで統計上の数字です。「1,000人に1人」と言われても、あなたのお腹の赤ちゃんにとっては「異常があるか、ないか」の0か100かの事実しかありません。
もちろん、「あえて知らないまま産む」という選択も、立派な親の決断であり、尊重されるべき権利です。
ただ、もし検査を受けるかどうか迷っているなら、「お金がもったいないから」という理由だけで切り捨てず、「万が一のリスクに備える保険」として、パートナーと一度じっくり話し合ってみてください。
私たちは、6万件以上の検査実績をもとに、年齢に関わらず全ての妊婦さんに正確な情報と選択肢を提供しています。
あなたの納得のいく選択を、全力でサポートします。
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