妊娠中の体重管理と栄養摂取の秘訣!低出生体重児リスクを減らす食事法【YouTube動画解説】

1. 妊娠中の体重、増やしても大丈夫?

【質問者】
妊娠中は太らないようにと聞きますが、妊婦さんはなるべく太らない方がいいんですか?

【先生】グラフあり↓
実は、日本では痩せ型の妊婦さんがとても多いんです。
日経新聞の調査によると、20代女性の約4人に1人、30代女性の7人に1人が「BMI18.5以下の痩せ型」にあたり、その割合は年々増加していると報告されています。グラフをご覧ください。2000年以降からBMIが低い方が増えていっています。

また、体重が十分に増えないと様々なリスクがあります。

・低出生体重児として生まれやすい
赤ちゃんが低出生体重児(2500g未満)として生まれる可能性が高くなります

・糖尿病・高血圧・心疾患のリスクがある
将来的に赤ちゃんが糖尿病・高血圧・心疾患のリスクを抱えやすくなります

・妊婦さんも貧血・切迫早産・母乳不足になりやすい
赤ちゃん以外も妊婦さん自身も、貧血・切迫早産・母乳不足といった問題が起きやすいです。

実際に日本では、10人に1人が低出生体重児で生まれており、その割合はなんと日本がまだ貧しかった昭和26年よりも3割高いんです。

◆ 昔と今の考え方の違い

【質問】
時代によって考え方は違いますか?


【先生】
昔は「太りすぎると難産になる」「妊娠高血圧症候群になりやすい」として、体重増加を厳しく制限する指導が主流でした。

でも今は考え方が変わってきています。

・赤ちゃんの成長には適度な体重増加が必要
赤ちゃんの健やかな成長には お母さんの体重が“適度に増える”ことが必要不可欠です。
妊娠中に体重がほとんど増えない、あるいは不足する場合、赤ちゃんが十分に育たず表を見てわかるように2500g未満の低出生体重児として生まれるリスクが年々高まっています。

・「増えてはいけない」ではなく、「適切に増やすことが大切」
かつて日本では妊婦さんの体重増加を厳しく制限してきました。ですが、研究が進んだ今では “増えすぎは良くないけれど、適度に増えることが母子の健康に必要” という認識に変わっています。

実際、日本産科婦人科学会のガイドラインでも、妊娠前の体格ごとに推奨される体重増加の目安が明示されています。
詳しくまとめました。

痩せ(BMI <18.5)12〜15kg
普通(BMI 18.5〜25未満)10〜13kg
肥満(BMI 25以上)5〜7kg程度

個人差がありますが、「増えないように抑える」のではなく、母子ともに健康を守るために増やすことが大切なんですね。

【質問者】
痩せてるとむしろリスクなんですか?昔の“太らない方がいい”って考えとは逆なんですね!

【先生】
その通りです。妊娠中は赤ちゃんを育てるための特別な時期ですから、体重増加=悪いことではなく、赤ちゃんへの投資なんですよ。

2.赤ちゃんの“未来の病気”を防ぐ食事とは?

【質問者】
妊娠中の栄養状態が、赤ちゃんの将来の健康を左右するんですか?

【先生】表あり↓
はい、その通りなんです。妊娠中に極端な栄養不足や偏りがあると、胎児の体の“設計図”に影響することが長期研究でわかってきています。これを「胎児期プログラミング」とも呼びます。つまり、お腹の中でどんな栄養環境にあったかによって、赤ちゃんが大人になってからの糖尿病・高血圧・肥満・心疾患などのリスクが変わってくるんですね。

特に、妊娠中に不足しやすいビタミン・ミネラル・鉄分は、赤ちゃんの免疫力や脳・内臓の発育に直接影響します。

それぞれの栄養の説明をします。

栄養素影響引用元
葉酸(Folic acid)妊娠中の葉酸不足は、神経管閉鎖障害のリスクを高めます。The Lancet (2015)
ビタミンD妊娠中のビタミンD不足は、後の生活習慣病リスクを増加させる効果があります。American Journal of Clinical Nutrition (2019)
鉄分(Iron)妊娠中の鉄分不足は、赤ちゃんの発育に悪影響を与える可能性があります。The American Journal of Obstetrics and Gynecology (2016)

【質問者】
様々な栄養が必要ですね。今の食事が、赤ちゃんの“未来の健康”までつながってるって考えると、責任重大ですね

【先生】
そうなんです。逆に言えば、妊娠中の栄養管理は、赤ちゃんへの最高のプレゼントでもあるんですよ。

3. 食べ過ぎもNG?体重増加の目安とは

【質問者】
でも、食べなきゃいけないからって、毎日スイーツや高カロリーな食事はNGですか?

【先生】
その通りです。妊娠中は赤ちゃんの分も必要だからといって、“2人分食べる”必要はありません。実際には、妊娠初期〜後期で必要なエネルギー量はおにぎり1個〜おにぎり2個分くらいのプラス150〜450kcal程度なんです。

つまり、「2人分」ではなく「少し多めに」が正解です。

日本産科婦人科学会のガイドラインでは、健康な妊婦さんの場合、妊娠前から出産までに10〜13kg前後の体重増加が目安とされています。ただし体型によって目標は変わります。

妊婦の体重増加量推奨量(kg)
健康な妊婦11〜16kg
妊娠前BMIが低い妊婦12〜18kg

でも、食べすぎてしまうと、やはりリスクが増えます。

妊娠糖尿病
これは妊娠中に初めて糖尿病と診断される状態を指します。妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響で、インスリンが効きにくくなり血糖値が上がりやすくなるんです。

妊娠高血圧症候群
妊娠20週以降に血圧が収縮期140以上/拡張期90以上の高血圧や蛋白尿が出てくる病気です。以前は“妊娠中毒症”とも呼ばれていました。

・赤ちゃんが大きくなりすぎる(巨大児)
平均的な出生体重は3200g~3300g程度ですが、妊娠中の胎児の成長を過度に促進し、出生体重4000g以上の巨大児のリスクを高める可能性があります。

・帝王切開の確率が上がる
妊娠糖尿病や巨大児、妊娠高血圧症候群などのリスクが重なると、お母さんや赤ちゃんの安全のために帝王切開で出産するケースが増えます。

こうした合併症につながる可能性があるんです。

【質問者】
でも体重って1kgくらいすぐ増えたり減ったりしますよね…。つい気になっちゃいます。

【先生】
そこはあまり神経質にならなくて大丈夫です。1kg単位の増減は水分や食事の内容で変わるので自然なこと。大切なのは、長いスパンで見て、グラフが“右肩上がりに緩やかに伸びているかどうか”なんです。

具体的には…

・甘いものは「毎日ご褒美」ではなく「週に数回」くらいに

・ご飯・パン・麺などの主食は適量を3食バランスよく

・野菜・タンパク質(肉魚豆腐卵)をしっかりとる

・間食するならナッツ・果物・ヨーグルトなど栄養のあるものを

【質問者】
なるほど、“太らないように”じゃなくて、“適切に増やす”が大事なんですね!

【先生】
そうです。体重管理は「赤ちゃんが育つためのサイン」でもあります。過不足なくバランスよく増やしていくことが、母体と赤ちゃん、両方にとって一番大切なんですよ。

4.こんな時は医師に相談を

【質問者】
「体重がなかなか増えない、または急に増えすぎてしまった場合、どうすればいいですか?」

【先生】
とても大切なポイントですね。妊娠中の体重変化には、赤ちゃんやお母さんの健康状態が反映されていることがあります。

まず、“体重がなかなか増えない”場合についてお話ししますね。

・栄養不足
妊娠中の栄養不足は、母体と胎児の両方に様々な影響を及ぼす可能性があります。

・つわりが強い
水分や食事がうまく取れずに脱水や低栄養になってしまうことがあります。そうなると、ふらつきや頭痛などの症状が出るだけでなく、赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなってしまうんです。

・胎児発育不全(IUGR)
これは赤ちゃんが子宮の中で小さめに育ってしまう状態で、出産後の発育や健康にも影響が及ぶことがあります。

一方で、“急に体重が増えすぎる”場合。こちらはまた違ったリスクがあります。

妊娠高血圧症候群のサイン
むくみや血圧上昇、尿にたんぱくが出るなどの症状が見られることがあり、重症化すると母体にも赤ちゃんにも危険が及びます。

妊娠糖尿病
体重が急激に増えていると、実は血糖値が高くなっている可能性があるんです。妊娠糖尿病は放置すると赤ちゃんが大きくなりすぎたり、出産のときにリスクが増えたりすることがあります。

・水分の異常貯留
これは腎臓や心臓の働きと関係していることもあるので、自己判断は危険です。


自己判断で「まあ大丈夫だろう」と放置するのは危険です。1週間で2kg以上増えたときや、逆に予定通りに体重が増えないときは、必ず主治医に相談してください。

検診では、体重だけでなく血圧・尿検査・赤ちゃんの発育も一緒にチェックできますので、「ちょっと気になる」くらいでも遠慮なく聞いて大丈夫です。

【質問者】
なるほど…自分で判断するんじゃなくて、“小さな変化も相談”が安心なんですね

【先生】
そうです。妊娠中は一人で抱え込まずに、医師や助産師に何でも相談することが一番大切。体重の変化は、母と子への大事なサインだと思ってください。