こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
今、妊婦さんの間で大きなニュースが話題になっています。
**「東京都で無痛分娩の費用助成がスタート」**したことをご存知でしょうか?
出産費用が高額になりがちな首都圏において、これは非常に嬉しいニュースです。「これで費用の心配なく、無痛分娩を選べる!」と喜ばれている方も多いと思います。
しかし、医師として少しだけ立ち止まってお伝えしたいことがあります。
「お得だから」「痛くないから」という理由だけで安易に選ぶのは、リスクが伴います。
今回は、助成金という「お金」の話だけでなく、あなたと赤ちゃんの命を守るための「医学的な視点」から、無痛分娩のリアルと病院選びの決定版をお届けします。
現在、日本の無痛分娩普及率は約16%。アメリカやフランスなどが20〜30%以上であるのに比べると、まだまだ低いのが現状です。
なぜ日本では広まらなかったのでしょうか?理由は大きく2つあります。
今回の助成金は、この「1. 経済的な壁」を取り払う大きな一歩です。だからこそ、これからは**「医学的なメリット・デメリット」**をしっかり理解して選ぶ時代になります。
「楽をするため」と思われがちですが、医学的に見ると、無痛分娩には母子の健康を守る合理的な理由があります。
痛みを和らげることで、分娩の途中での体力消耗を防ぎます。赤ちゃんを押し出す「いきむ力」を残せるため、特に初産の方や体力が心配な方には大きな助けになります。産後の回復もスムーズになる傾向があります。
陣痛の痛みやパニックは血圧を急激に上昇させます。これは、妊娠高血圧症候群の方や、高齢出産の方にとっては脳出血などのリスクにつながりかねません。痛みをコントロールすることは、母体の血管を守ることにもつながるのです。
痛みが強いと母体が緊張し、血管が収縮して血流が悪くなりがちです。麻酔でリラックスすることで子宮への血流が安定し、赤ちゃんに十分な酸素を届けやすくなるメリットがあります。
一方で、リスクゼロの医療はありません。以下の点は必ず理解しておきましょう。
「麻酔薬が赤ちゃんに影響して、将来の発達に関わるのでは?」と心配される声があります。
確かに、使用される麻酔薬(オピオイド系など)が新生児から検出された報告はあります。しかし、大規模な追跡調査において、将来の薬物依存や発達障害のリスクを高めるという確定的な証拠は見つかっていません。
過度に恐れる必要はありませんが、「リスクはゼロではない」という前提で、万が一の時にすぐ対応できる体制がある病院を選ぶことが重要です。
助成金が出るからといって、どの病院でも良いわけではありません。
安全な無痛分娩のために、以下の3点を必ず確認してください。
ここが最も重要です。「麻酔科医が日中しかいない」「産科医が兼任している」というケースもありますが、お産はいつ急変するか分かりません。トラブルが起きた際、即座に対応できる専門医が24時間いるかを確認しましょう。
無痛分娩は技術です。実施件数が多い病院ほど、医師や助産師が様々なケースに慣れており、手技の精度やトラブル対応能力が高いと言えます。
あなたの体質や持病をしっかり評価し、メリットだけでなくデメリットも含めて納得いくまで説明してくれる医師を選びましょう。
今回のポイントです。
無痛分娩は、日本の産科医療においてもっと普及すべき素晴らしい選択肢の一つです。
「なんとなく」ではなく、正しいデータと信頼できる医療体制のもとで、あなたにとって最高の出産方法を選んでくださいね。
Copyright (c) NIPT Hiro Clinic All Rights Reserved.