はじめに
顔や体にできた「ほくろ」は、多くの人が一度は気にしたことがある皮膚の変化です。中には「美容的に気になる」「メイクで隠せない位置にある」「大きくなってきた気がする」といった理由で、除去を検討する方も少なくありません。
本記事では、美容外科におけるほくろ除去の方法やそれぞれの特徴、そして気になる「ほくろ除去 費用」の相場について、最新の医療情報と研究を基に専門的に解説します。
ほくろとは?医学的な基礎知識
ほくろは、医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」と呼ばれ、皮膚の中に存在するメラニン色素を産生する「母斑細胞」の集まりです。良性の皮膚腫瘍であることがほとんどですが、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が必要なケースもあります。
美容外科では基本的に良性と診断されたほくろが治療対象になりますが、判断に迷う場合はまず皮膚科専門医による診断が推奨されます。
美容外科で行われるほくろ除去の主な方法
美容外科では、ほくろの大きさ・深さ・位置によって複数の治療法が選択されます。以下に代表的な除去方法を紹介します。
1. レーザー治療(炭酸ガスレーザー)
概要
炭酸ガス(CO₂)レーザーを使用し、皮膚の浅層から中層にあるほくろを焼き取る方法です。傷跡が目立ちにくく、ダウンタイムも短いのが特徴です。
費用相場
1mmあたり5,000円〜10,000円程度(再発リスクがある場合、再治療費が発生することも)
向いているケース
・小さく浅いほくろ
・目立たない部位
・傷跡を残したくない人
2. 電気メス(電気焼灼法)
概要
電気メスを用いて、ほくろを焼き切る方法です。比較的安価で済むことが多いですが、レーザーよりもダウンタイムが長く、瘢痕化のリスクもあります。
費用相場
1個あたり3,000円〜8,000円前後
3. 切除縫合法(外科的切除)
概要
メスを使用してほくろを根元から取り除き、縫合する方法です。深いほくろや再発しやすいタイプに有効です。病理検査を同時に行うことも可能で、安全性が高いとされています。
費用相場
1個あたり10,000円〜30,000円程度(大きさにより変動)
向いているケース
・5mm以上の大きなほくろ
・再発を防ぎたい場合
・悪性の可能性があるケース
ほくろ除去の保険適用について
美容目的の場合は「自由診療」となり、全額自己負担です。ただし、悪性黒色腫の疑いがあるなど、医療上の必要性が認められる場合には、健康保険が適用されることがあります。その場合の自己負担額はおおよそ3,000〜5,000円前後(3割負担)です。
ダウンタイムと術後ケアのポイント
ほくろ除去後は、赤み・かさぶた・一時的な凹みなどが生じることがあります。施術方法によって異なりますが、以下のような共通点があります:
- 紫外線対策が重要(色素沈着予防)
- 創部を清潔に保つ
- テープ保護が必要な場合もある(2〜3週間)
また、術後の炎症性色素沈着は、数カ月で自然に薄れるケースが多いですが、必要に応じて美白剤や外用薬が処方されます。
リスクと副作用について
どの治療にも一定のリスクは存在します。以下は一般的に報告されている副作用です:
- 再発(特にレーザー除去)
- 炎症性色素沈着
- 凹凸や瘢痕
- 感染(稀)
信頼できる美容外科・皮膚科でのカウンセリングを受けることが、安全性を高める重要なポイントです。
実際の費用事例と料金体系の注意点
ケーススタディ1:20代女性(頬のほくろ2mm)
施術法:レーザー除去
費用:8,800円(診察料・処置料込)
ケーススタディ2:30代男性(肩のほくろ6mm)
施術法:切除縫合法+病理検査
費用:29,000円(手術・薬代・病理検査料含む)
注意点
・「初診料」「再診料」などが別途加算される場合あり
・施術保証(再発時の再施術無料など)の有無を事前確認すべき
美容外科選びのポイント
- 日本皮膚科学会認定医在籍かどうか
- 過去の症例実績が豊富
- カウンセリングが丁寧でリスク説明が明確
- 料金体系が明朗であること
特に美容目的であっても、安全性・医療的観点を重視した施設選びが大切です。
年齢・性別別に見るほくろ除去の傾向とニーズ
ほくろ除去は、年代や性別によってその動機や目的が異なります。以下にそれぞれの傾向を解説します。
20代女性の場合
・就職活動や恋愛など、第一印象を意識する場面が多く、美容目的で除去を希望
・小さなほくろを複数箇所まとめて除去したいというケースが多い
30〜40代男性の場合
・「目立つ場所にあり、写真映りが気になる」などの理由
・加齢とともにほくろが大きくなった・盛り上がってきたため医療的な心配も加わる
高齢者の場合(50代以上)
・「最近急に大きくなった」「色が濃くなった」などの皮膚がん懸念により、皮膚科紹介を経て除去
・この場合は病理検査が必須になるケースも多く、費用も保険適用の可能性がある
美容目的のほくろ除去におけるカウンセリングの重要性
施術前のカウンセリングは、美容医療において最も重要なプロセスのひとつです。
カウンセリングで確認すべきポイント
- 除去方法の選択理由とリスクの説明
- 予想されるダウンタイム期間と術後経過
- 傷跡の残り方や色素沈着の可能性
- アフターケアの具体的な内容
- 再発時の対応(無料保証の有無)
この段階で納得できないことがある場合は、複数のクリニックでセカンドオピニオンを受けるのも有効です。

よくある質問(FAQ)
Q. 一度除去したほくろは再発することがありますか?
はい。特にレーザーや電気メスで除去した場合、根が深いと再発の可能性があります。切除縫合法が再発率が低いとされています。
Q. 麻酔は必要ですか?
ほとんどの施術で局所麻酔を使用します。麻酔注射による痛みがある程度ありますが、施術自体は痛みを感じません。
Q. ダウンタイム中のメイクは可能ですか?
基本的に、患部への直接のメイクは控えるべきですが、テープで保護した上からであれば可能な場合もあります。術後の指示を必ず守ってください。
Q. 日焼けはどのくらい避ける必要がありますか?
術後3〜6カ月間は紫外線による色素沈着のリスクが高いため、日焼け止めの使用が推奨されます。
海外との比較_日本のほくろ除去費用と制度
海外の例:アメリカ合衆国
アメリカでは、1個あたり$150〜$500(約20,000〜70,000円)が相場であり、日本よりも高額になる傾向があります。また、保険適用の条件も日本より厳しく、美容目的の除去は全額自己負担が一般的です。
日本の利点
- 比較的安価で施術を受けられる
- 美容外科と皮膚科の選択肢が豊富
- 医療機関の衛生・技術レベルが高い
このように、日本の美容医療は費用対効果の面で国際的にも評価されています。
施術を受ける前にチェックしておきたいリスト
施術を受ける前に、以下の項目をチェックしておくと安心です。
医師の資格(形成外科専門医・皮膚科専門医など)
カウンセリング内容の丁寧さ
料金体系の明確性(初診料・再診料・薬代含むか)
除去法の説明とリスク提示が十分か
術後のサポート(再発保証、ケア用品の提供など)
美容外科ではなく皮膚科での除去をすすめられるケース
以下のような場合、美容外科よりも皮膚科(保険診療中心の医療機関)での対応が適しています
- 急速に大きくなった、または出血しているほくろ
- かゆみ・痛みを伴う場合
- 過去に皮膚がんの既往がある
上記は悪性の可能性があるため、病理検査を前提とした対応が求められます。
美と安心の両立を目指して
ほくろ除去は、美容だけでなく医療的判断が関わるデリケートな処置です。安易に「安いから」「早く取れるから」といった理由だけで施術を選ばず、自身の皮膚の状態、目的、希望に沿った最適な選択をしましょう。
安全性・納得感・美しさ -これらを満たす美容医療の実現には、適切な情報収集と信頼できる医師との対話が何よりも重要です。
自分に合った方法を見極めて、納得のいく治療を
「ほくろ除去」は単なる美容施術ではなく、医学的知見や技術の裏付けが求められる医療行為です。除去方法や費用の違い、術後ケア、リスクなどを正しく理解した上で、信頼できる医療機関を選ぶことが後悔しない第一歩です。
参考文献・エビデンス
- 日本皮膚科学会ガイドライン「母斑および良性皮膚腫瘍の診療ガイドライン」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/nevus_guideline.pdf - 日本美容皮膚科学会「レーザー治療の実際」
https://www.jds.or.jp/modules/education/index.php?content_id=45 - 英国NHS “Mole removal”
https://www.nhs.uk/conditions/moles/
JA
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