【婦人科医】
まず、NIPTについてあらためてお聞きします。
NIPTはどのような検査でしょうか。
【NIPT専門医】
NIPTは、「Non-Invasive Prenatal Testing」の略で、母体の血液から胎児の染色体に異常があるかどうかを調べる検査です。
母体に針を刺して羊水や絨毛を採取する従来の検査とは異なり、血液検査だけでリスクを推定できることが特徴です。
【婦人科医】
採血のみで分かる手軽さから、近年注目されています。
ただ新型とついていますが、どうして今これほど話題になっているのでしょうか。
【NIPT専門医】
従来の出生前診断では、流産リスクなどが懸念されてきましたが、NIPTは非侵襲的、つまり母体や胎児への負担がきわめて少ない検査です。
また、精度も高く、21トリソミー(ダウン症候群)をはじめとする染色体異常のリスク評価に活用されています。
【婦人科医】
患者さんの中には、安全なのに正確とのイメージを持つ方も増えてきています。
ただ、一方で本当に必要な検査なのかといった迷いも根強く残っているのも事実です。
◆NIPTは受けなければいけない検査ではない
【婦人科医】
NIPTは必ず受けるものではない、との説明がよくされますが、どのような意味でしょうか。
【NIPT専門医】
NIPTは全妊婦さんに義務として推奨されている検査ではありません。
家族構成や妊婦さんの価値観、過去の妊娠歴、年齢など、さまざまな要素から自分に必要かどうかを考えて選択するのが大切です。
【婦人科医】
医療現場でも、誰でも受けられるものと印象が強いですが、受けるかどうか迷われる方が多いと感じます。
【NIPT専門医】
受けた方が良いと、絶対受けるべきは全く違います。
例えば、35歳以上の高齢出産とされる方、以前に染色体異常の妊娠経験がある方、ご家族に遺伝性疾患がある方などはNIPTを選択するケースが多くあります。
しかし、すべての人が必ず受けるものではありません。
【婦人科医】
NIPTを受けなかったから悪い親なのか、と悩む方もいますが、そのようなことは絶対にありません。
受ける・受けないは、あくまで本人とご家族の価値観やライフプランに応じて考えることが大切です。
◆NIPTで分かること・分からないこと
【婦人科医】
NIPTは分かることと、分からないことがあるとよく聞きます。
どういうことなのでしょうか。
【NIPT専門医】
NIPTで分かる主な項目は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーなどの特定の染色体異常です。
一方で、すべての遺伝性疾患や先天的な異常が網羅されているわけではありません。
【婦人科医】
NIPTを受けて異常がなければ、絶対に健康な子が生まれるとの誤解も多いのが現状です。
【NIPT専門医】
その通りです。NIPTは、いくつかの特定の異常に絞ったリスク評価検査です。
他の遺伝子異常や、臓器・形態の異常、発達障害などは検出できません。
また、まれに偽陽性や偽陰性といった判定が出ることもあるため、結果の受け止め方も慎重に考える必要があります。
【婦人科医】
そのため、100%の診断ではないことを現場でも必ずお伝えしています。
◆NIPTは診断ではなくスクリーニング
【婦人科医】
NIPTは診断ではなくスクリーニング検査だと聞きますが、その違いを教えていただけますか。
【NIPT専門医】
スクリーニングは、ふるい分けの意味です。
NIPTでリスクが高いと出た場合、その結果をもとに確定診断が必要です。
確定診断は羊水検査や絨毛検査など、より詳しい検査を行う必要があります。
【婦人科医】
患者さんから結果が陽性だったら絶対異常があるのか、との質問も多いですが、実際はどうでしょうか。
【NIPT専門医】
NIPTで陽性が出ても、すべての症例で胎児に異常があるとは限りません。
陽性=確定ではないため、冷静に次のステップを考えることが大切です。
【婦人科医】
NIPT=診断と捉えられがちですが、次の検査への入り口と考える方が分かりやすいかもしれません。
◆現場でよくあるリアルな質問・不安
【婦人科医】
実際に健診現場で患者さんからよく聞かれる質問や、不安に感じていることをいくつかご紹介します。
【NIPT専門医】
NIPTを受けることで赤ちゃんに悪い影響が出ないかと、心配される方が多くいます。
NIPTは母体からの採血のみで行われるため、流産リスクや母体への負担はほとんどありません。
【婦人科医】
検査を受けるタイミングについて、悩まれる方も多くいます。
NIPTは妊娠10週以降で受けられる場合が多いですが、施設ごとに基準が異なることもあるのです。
【NIPT専門医】
さらに、費用についての不安もよく聞きます。
施設や検査項目によって異なりますが、相場としては10万円から20万円程度です。
保険が使えない点も事前にお伝えしています。
【婦人科医】
家族とどう相談すれば良いか、結果が出た後どう受け止めれば良いか、との心の準備についても、患者さんは強く不安を感じています。
【NIPT専門医】
結果が心配で、検査自体をためらっているとの声も多いのが現実です。
こうした気持ちに寄り添い、無理に受けるものではないと丁寧に説明しています。
◆陽性だった場合の対応とサポート体制
【婦人科医】
NIPTで陽性が出た場合、どのような対応やサポート体制があるのでしょうか。
【NIPT専門医】
まず陽性=確定ではありません。
希望すれば、確定診断(羊水検査など)を追加で行い、正確な診断につなげていきます。
結果によっては、遺伝カウンセリングなど専門家によるサポートを受けることができます。
【婦人科医】
家族のサポートや医療者の関わりも大事です。
精神的なケアも含め、どのような体制になっているのでしょうか。
【NIPT専門医】
専門カウンセラーによる心のケアや、必要に応じて小児科医・福祉士など多職種が連携し、妊婦さんやご家族の不安を和らげる支援を行います。
どのような選択をしても、本人とご家族の意志を尊重するのを最優先としています。
【婦人科医】
結果をどう受け止めるかは、非常にデリケートな問題です。
ご家族が納得できるまで話し合い、必要な支援を受けながら、安心して進められることが重要です。
◆誤解や不安を防ぐために〜医師として伝えたいこと〜
【婦人科医】
NIPTをめぐる誤解や、患者さんが感じる不安について、医師として伝えておきたいことはありますか。
【NIPT専門医】
NIPTの結果が、異常なしであれば絶対に健康な赤ちゃんが生まれる、と考えるのは誤解です。
検査がカバーする範囲は限られています。
また、結果に一喜一憂するのではなく、冷静に専門家と話し合うことが大切です。
【婦人科医】
検査結果が全てではなく、家族がどう受け止め、どう向き合うかもとても大切です。
【NIPT専門医】
自分だけが不安を感じていると思い込まず、分からないことは遠慮なく相談してください。
不安を抱えたまま過ごすより、納得できる選択をするための材料を集めてください。
【婦人科医】
医師やスタッフは、妊婦さんとご家族の気持ちに寄り添うことを何より大切にしています。
◆NIPTの今後と医療者としての願い
【婦人科医】
NIPTは今後どう変わっていくと考えていますか。
【NIPT専門医】
検査技術は日々進化しており、今後はより多くの情報がより安全に得られる時代がやってきます。
とはいえ、検査の目的を見失わず、一人ひとりの家族にとって最良の選択を支える仕組みが求められています。
【婦人科医】
医療の進歩とともに、命に向き合う姿勢も進化していくべきです。
【NIPT専門医】
選択肢が増えることは良い面もありますが、迷いや不安も増える可能性があります。
だからこそ医療者として、常に中立で、安心して相談できる環境を整えることが、私たちの大切な役割です。
【婦人科医】
今後も、妊婦さんやご家族の安心を第一に考え、専門的な立場から寄り添い続けたいと思います。
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