おかひろし先生が「自分の妻が妊娠したら」絶対に受ける3つの検査【YouTube解説】

こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。

NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなく「データ」を元に分かりやすくお届けするコラムへようこそ。

YouTubeチャンネルの登録者数が6,000人を超え、多くの妊婦さんやご家族からご質問をいただくようになりました。

その中でも、特に多く、そして鋭い質問があります。

「先生ご自身だったら、どの検査を選びますか?」

普段は医師として中立的な立場から解説していますが、今回は一人の親として、そして一人の夫として、この問いに真剣に向き合いたいと思います。

私が実際に18年前に経験したこと、そしてもし今、医学が進歩した2024年に妻が妊娠したとしたら、迷わず選ぶ「3つの検査」について。

専門家としての知識と、親としての本音を交えてお話しします。


1. 18年前の葛藤。「確率」に翻弄された日々

まず、私の実体験からお話ししましょう。

妻が妊娠したのは今から18年前。私が36歳、妻が34歳のときでした。

当時、出生前診断の選択肢は今と比べて非常に限られていました。NIPTのような高精度な検査はまだ一般的ではなく、私たちが受けたのは**「クアトロ検査(母体血清マーカー検査)」コンバインド検査」**のみでした。

確率という名の霧

これらの検査は、確定診断ではありません。

お母さんの血液中の成分(AFP、hCG、uE3、インヒビンAなど)や、超音波で測る赤ちゃんの首のむくみ(NT)を組み合わせて、「染色体異常の確率」を弾き出すものです。

結果は**「1/1000」や「1/200」**といった確率で返ってきます。

医師である私でさえ、この数字には心を揺さぶられました。

「1/1000なら安心か? いや、1000人に1人は当たるということだ」

「この検査は体調や週数で数値がブレることがある。本当に信じていいのか?」

検査を受けたのに、霧が晴れるどころか、より深い霧の中に迷い込んだような感覚。

「大丈夫だと思いたいけれど、確証がない」

出産までの数ヶ月間、心のどこかに常に不安の種を抱えたまま過ごしたことを、今でも鮮明に覚えています。

当時の医療技術の限界と、親としての無力感を痛感した経験でした。


2. もし「今」なら迷わず選ぶ、最強の組み合わせ

あれから18年。出生前診断の技術は飛躍的に進化しました。

もし今、タイムマシンに乗って妻の妊娠当時に戻れるとしたら。あるいは、現在の医療環境で妻が妊娠したとしたら。

私は迷うことなく、以下の3つの検査をすべて組み合わせます。

  1. NIPT(新型出生前診断
  2. キャリアスクリーニング検査
  3. 胎児ドック(精密超音波検査)

なぜなら、これらはそれぞれ「見ているもの」が全く異なり、3つを合わせることで初めて、赤ちゃんの健康状態を立体的かつ網羅的に把握できるからです。

一つずつ、その理由を解説します。

① NIPT(新型出生前診断):染色体の「数」と「構造」を見る

まずベースとなるのがNIPTです。

お母さんの腕から採血するだけで、血液中に漏れ出した赤ちゃんのDNA断片を分析できる画期的な検査です。

【選ぶ理由】

  • 圧倒的な精度
    かつてのクアトロ検査とは比較になりません。ダウン症(21トリソミー)に関する感度は99.9%以上とされ、「陰性」と出た場合の安心感は桁違いです。
  • 検査範囲の広がり
    一般的には13・18・21番染色体のトリソミー(数が1本多い状態)を調べますが、最新のNIPTではさらに細かい異常も分かります。
    • 微小欠失症候群:染色体の一部がごくわずかに欠けている状態。
    • 単一遺伝子疾患:軟骨無形成症、クルーゾン症候群、ヌーナン症候群など、これまで「生まれてくるまで分からなかった」病気のリスクも、妊娠10週頃から判定可能です。

侵襲(リスク)がなく、早期にこれだけの情報が得られるNIPTは、現代の出生前診断において外せない選択肢です。

② キャリアスクリーニング検査:両親の「隠れたリスク」を見る

2つ目は、赤ちゃんではなく「両親(私たち夫婦)」を調べる検査です。

【選ぶ理由】

実は、私たちは誰でも平均して数個〜十数個の「遺伝子変異(エラー)」を持って生きています。片方の遺伝子だけのエラーなら発症しないため(保因者)、自分たちは健康そのものです。

しかし、夫婦がたまたま「同じ場所のエラー」を持っていた場合、赤ちゃんにその病気が遺伝する確率が25%(4分の1)発生します。

  • 脊髄性筋萎縮症(SMA)
  • 先天性表皮水疱症
  • 嚢胞性線維症

これらは重篤な疾患ですが、両親に自覚症状がないため、通常は赤ちゃんが生まれて発症するまで気づきません。

キャリアスクリーニング検査を受けておけば、「自分たちが保因者かどうか」を事前に知ることができます。もしリスクが高いと分かれば、羊水検査で確定診断を行ったり、生まれてすぐに治療を開始できる病院を選んだりする準備ができます。

「寝耳に水」の事態を避けるための、非常に合理的な検査です。

③ 胎児ドック:赤ちゃんの「形」を見る

3つ目は、専門医による精密超音波検査です。

【選ぶ理由】

NIPTやキャリアスクリーニングは「遺伝子(設計図)」を調べる検査です。しかし、遺伝子が正常でも、体が作られる過程でエラーが起きることはあります。

  • 心臓の部屋の形がおかしい(先天性心疾患)
  • 手足の指の数や形
  • 口唇口蓋裂
  • 脳や内臓の位置

こうした**「形態(形)の異常」**は、遺伝子検査では分かりません。超音波で直接見るしかないのです。

胎児ドックでは、通常の妊婦健診よりも高性能なエコーを使い、時間をかけて全身をくまなくチェックします。

心臓病などは、生まれてすぐの手術が必要になることもあります。事前に分かっていれば、小児心臓外科のある病院で分娩予約を取るなど、赤ちゃんの命を救うための具体的なアクションが起こせます。


3. 「検査」はゴールではなく、準備のためのスタートライン

「そんなにたくさん検査を受けて、もし悪い結果が出たらどうするの?」

そう思われるかもしれません。

しかし、私がこれらを選ぶ理由は、単に「安心したいから」だけではありません。真の目的は、**「準備をするため」**です。

知ることは、守ること

18年前の私は、確率に怯えながら、ただ祈ることしかできませんでした。

しかし今は違います。

  • もしNIPTで陽性なら、確定診断を受け、疾患についての正しい知識を学ぶ時間が持てます。
  • もし心疾患が見つかれば、最高の手術チームがいる病院を探せます。
  • もし遺伝性疾患のリスクがあれば、生後すぐに投薬できる遺伝子治療薬の準備ができるかもしれません。

「知らないまま産む」ことのリスクと、「知って備えて産む」ことのメリット。

医師として多くのご家族を見てきた経験からも、後者のメリットは計り知れません。

情報は、赤ちゃんを守るための最強の武器になります。


本日のまとめ

今日は、普段の解説とは少し趣向を変えて、私個人の経験と選択についてお話ししました。

最後に、今回のポイントを整理します。

  1. 過去の教訓
    確率だけの検査(クアトロ検査など)では、本当の意味での安心や対策には繋がりにくいという実体験がありました。
  2. 今選ぶべき「3本の矢」
    私が今、妻の妊娠を迎えるなら、以下の3つを組み合わせます。
    • NIPT:染色体や遺伝子のリスクを網羅的にチェック。
    • キャリアスクリーニング:両親由来の隠れた遺伝リスクをチェック。
    • 胎児ドック:体の構造や形態の異常を視覚的にチェック。
  3. 役割の違いを理解する
    これらは重複するものではなく、互いに補完し合う関係です。3つ合わせることで、赤ちゃんの状態を立体的かつ詳細に知ることができます。

もちろん、全ての検査を受けることが正解というわけではありません。費用や価値観に合わせて、ご夫婦で納得いく選択をすることが何より大切です。

ただ、「専門家ならどうするか」という一つの視点として、私の本音が皆さんの参考になれば嬉しいです。

ヒロクリニックでは、NIPTはもちろん、これら全ての検査やカウンセリングに対応しています。

「自分たちにはどの検査が必要?」と迷われたら、ぜひ一度ご相談ください。

未来のあなたと赤ちゃんが笑顔で会えるよう、全力でサポートします。