ビタミンE欠乏症に伴う運動失調症

ビタミンE欠乏症に伴う運動失調症ビタミンE欠乏症に伴う運動失調症

概要

食事によるビタミンE欠乏症は発展途上国でよくみられます。先進国の成人ではまれであり、通常は脂肪の吸収不良によるものです。主な症状は、溶血性貧血および神経脱落症状です。診断は血漿総脂質に対する血漿α-トコフェロールの比率の測定に基づき、比率が低ければビタミンE欠乏症が示唆されます。治療はビタミンEの経口投与から成り、神経脱落症状があるか、または欠乏症が吸収不良によるものであれば、高用量を投与します。

原因

不十分なビタミンEの摂取、脂肪の吸収不良を伴わないまれな遺伝性のビタミンE欠乏症が肝臓代謝の障害の結果起こります。

TTPA遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

ビタミンE欠乏症の主な症状は、軽度の溶血性貧血および非特異的な神経脱落症状です。無βリポタンパク質血症では、生後20年以内に進行性の神経障害や網膜症を来します。ビタミンE欠乏症は、早産児における 未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症とも呼ばれます)、ならびに新生児における脳室内および上衣下の出血の一部の一因となることがあります。罹患した早産児には筋力低下がみられます。小児では、慢性胆汁うっ滞性の肝胆道疾患または嚢胞性線維症により、深部腱反射の消失、体幹および四肢の運動失調、振動覚および位置覚の低下、眼筋麻痺、筋力低下、眼瞼下垂、ならびに構音障害を伴う脊髄小脳失調症などの神経脱落症状が生じます。成人では脂肪組織に大量のビタミンEが貯蔵されているため、吸収不良の成人ではビタミンE欠乏症により脊髄小脳失調症が起こることは非常にまれです。

診断

不十分な摂取歴や素因となる状況がなければ、ビタミンE欠乏症になる可能性は低いです。診断の確定には通常ビタミンE濃度の測定が必要です。過酸化物に反応する赤血球溶血の測定により、診断が示唆される可能性がありますが、非特異的です。ビタミンE欠乏症により赤血球の安定性が損なわれるにつれ、溶血が亢進します。

治療

高用量のビタミンE(血漿中のビタミンE濃度を正常範囲にする)の経口補充を, 無症候性の人(例:発端者のの弟妹)に開始し, AVEDの発現を予防する生涯標的療法を行います。
症状のある人が病気の初期にビタミンEを補充することで, 運動失調と知能悪化がある程度回復する可能性があります。

【参考文献】

難病情報センター – ビタミンE欠乏症に伴う運動失調症