葉酸でダウン症予防?
質問者:
まずはサプリメントについて。SNSで“葉酸が大事!”って見て、急いでサプリを調べ始めました。でも、どれがいいのか分からなくて…中には“葉酸が足りないとダウン症になる”って書いてあるのもあって、不安になっちゃいました。
先生:
SNSでは様々な情報が飛び交っているので誤った情報もあります。まず葉酸を摂っても、ダウン症を防ぐことはできません。 ダウン症、つまり21トリソミーは卵子や精子の分裂のときに起こる“染色体の分離エラー”が原因で、葉酸とは関係がないんです。
質問者:
じゃあ、葉酸は全然意味がないってことなんですか?
先生:
いいえ、そうではありません。だからといって“葉酸は意味がない”わけではありません。むしろとても重要で、妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸を摂ると、神経管閉鎖障害という赤ちゃんの脳や脊髄の先天異常のリスクを減らせることが世界中の研究で証明されているんです。
葉酸はDNA合成と細胞分裂に必須の栄養素。
質問者:
神経管閉鎖障害って、具体的にはどんな病気なんですか?
先生:
経管閉鎖障害というのは赤ちゃんの“脳”と“脊髄”のもとになる「神経管」がうまく閉じないために生じる先天性異常の総称です。この障害は妊娠がわかってからでは遅いことも多く、日本での発生率は出生1万人当たり6人程度で推移しており、年間にするとおよそ500人ほどになります。
だから“妊活中から葉酸を”とよく言われるのはそのためなんです。理想は妊娠の1ヶ月以上前から摂り始めること。妊娠がわかってから急いで摂るよりも、事前に準備しておく方が安心です。
質問者:
なるほど…。ダウン症と葉酸はあまり関係なくても葉酸は取った方がいいのですね。
でも毎日食事だけでちゃんと摂れるのかなって不安になります。
先生:
葉酸は野菜や果物に多いんですが、熱に弱く壊れやすいです。なので、食事だけで必要量を摂るのは難しいんです。そのため、サプリで補うのが現実的なんです。
質問者:
サプリならどれを選んでも同じですか?種類とかあるんでしょうか?
先生:
この表を見るとわかるように、同じ葉酸でも“型”によって吸収率が全然違うんです。食事に含まれるポリグルタミン酸型は熱や調理で壊れやすく吸収率が50%と不足しがちです。一方、サプリに使われるモノグルタミン酸型は安定していて吸収率も85%と高いので、妊娠期にはこちらを選ぶのが安心なんです。
厚生労働省もモノグルタミン酸型を推奨しています。
| 種類 | 吸収率 | 特徴 | 推奨度 |
| モノグルタミン酸型 | 約85% | 合成型で吸収効率が高く安定して摂れる | ◎(推奨) |
| ポリグルタミン酸型 | 約50%以下 | 食品に多いが調理で壊れやすい | △(不足しやすい) |
質問者:
どのくらいの量を摂ればいいんですか?毎日飲んだほうがいいんでしょうか?
先生:
時期ごとの必要量も決まっています。
こちらの表を見ていただくと、妊活期から妊娠初期までは400µgの摂取を推奨されています。これは赤ちゃんの神経管が作られる大事な時期だからです。中期以降は通常の食生活で十分カバーできるんですが、初期だけは意識して摂取が必要。つまり“妊娠がわかる前から準備する”のがベストなんです。
| 時期 | 推奨量(食事+サプリ合計) | 摂取のポイント |
| 妊娠を希望する女性 | 400µg/日 | 妊活中から摂取開始 |
| 妊娠初期(〜12週) | 400µg/日 | サプリでの補助が推奨 |
| 妊娠中期〜後期 | 食事から240µg/日 | 通常の食生活でカバー可能 |
| 授乳期 | 340µg/日 | 赤ちゃんへの栄養供給に必要 |
2. 生活習慣の見直し
質問者:
次は、普段の生活習慣について聞きたいです。
アルコールやタバコは妊娠したらやめた方がいいってよく聞きますけど、カフェインに関しては“絶対ダメ”って言う人もいれば、“ちょっとなら大丈夫”って言う人もいて…。正直、どれが本当なのか迷ってます。
先生:
これは妊婦さんから本当によく相談されるテーマです。
まず、アルコールとタバコについては明確に“控えるべき”とされています。アルコールは“胎児性アルコール症候群”という発育障害のリスクがあり、タバコは低出生体重や早産、さらには胎盤の異常につながることがあります。つまり、“少しなら大丈夫”ではなく“ゼロが理想”なんです。
質問者:
なるほど…。アルコールもタバコも“ゼロが安心”ってことですね。
では、カフェインはどうなんですか?「絶対ダメ」じゃないんですか?
先生:
カフェインは、“絶対禁止”ではありません。
世界保健機関のWHO、全米産婦人科学会などがそれぞれ目安量を出しています。たとえばWHOは1日300mgまで、全米産婦人科学会は“1日200mgまで”としています。これはだいたいコーヒー1〜2杯、緑茶や紅茶で3〜4杯くらいに相当します。つまり“適量ならOK”なんです。
質問者:
200mgとか300mgって、具体的にはどのくらいなんですか?
先生:
この表を見てもらうと、同じ“飲み物”でもだいぶ差があるのがわかります。コーヒーは1杯で120mgくらい入っているのに対して、緑茶や紅茶は半分以下。コーラやエナジードリンクは“甘い飲み物”というイメージですが、実はカフェインもけっこう含まれているんです。
つまり、コーヒーを2杯飲んだらそれだけで200mgを超えてしまうので、他の飲み物と合わせて考えるのが大事なんです
質問者:
次は感染症について聞きたいです。感染症って、風邪とかインフルエンザみたいなものを指すんですか?
先生:
それらも含まれますが、妊娠中に特に気をつけたいのは“食べ物由来の感染症”なんです。ふだんはそこまで気にしない人も多いんですが、妊娠中は赤ちゃんに大きな影響を与える可能性があるので、注意が必要になります。
質問:
どんなものに気を付ければいいですか?
先生:
代表的なものが“トキソプラズマ”と“リステリア菌”です。たとえば生肉や加熱が不十分なお肉、生ハム、ナチュラルチーズ、さらには半熟卵などから感染することがあります。特に妊娠中は免疫が弱くなっているため、通常よりも感染リスクが高いんです。
質問者:
えっ、生ハムやナチュラルチーズも危ないんですか? 普通に食べちゃいそうで怖いですね
先生:
そうなんです。妊娠前なら大丈夫でも、妊娠中はリスクになります。たとえばトキソプラズマに感染した場合、赤ちゃんに水頭症や視力障害、精神や運動機能の発達に影響が出る可能性があると言われています。リステリア菌も同じで、流産や早産の原因になることがあるんです。
なので妊娠がわかったら、“いつも通りの食生活”を続けるのではなく、感染症を防ぐために食事を見直すことがとても大切になります
質問:
妊娠中に注意したい食べ物はありますか?
先生:
まず、”生肉や加熱が不十分なお肉”は、トキソプラズマや大腸菌のリスクがあります。食べるときは必ず中心部までしっかり加熱することが大切で、目安は75℃以上で1分以上です。
次に、”生ハムやサラミなどの加工肉”。こちらも実はトキソプラズマやリステリア菌のリスクがあるため、妊娠中は控えるのが安心です。
質問:
他にどんな食べ物に注意すればいいですか?
先生:
”チーズ”も注意が必要で、特にナチュラルチーズはリステリア菌が原因となる可能性があります。チーズを食べたいときは「加熱処理済み」や「プロセスチーズ」を選びましょう。
”卵“については、半熟卵や生卵がサルモネラ菌のリスクになります。妊娠中は完全に加熱した卵料理を選ぶのが安心です。
さらに、”刺身やお寿司などの生魚”も気をつけましょう。アニサキスなどの寄生虫が潜んでいる可能性があります。ただ、冷凍処理された魚はリスクが大幅に下がるため、食べる場合は加工方法を確認すると良いと思います。
| 食べ物 | 主なリスク |
| 生肉・加熱不十分な肉 | トキソプラズマ・大腸菌 |
| 生ハム・サラミ | トキソプラズマ・リステリア菌 |
| ナチュラルチーズ | リステリア菌 |
| 半熟卵・生卵 | サルモネラ菌 |
| 刺身・寿司 | 寄生虫(アニサキスなど) |
生活習慣や感染症の対策をきちんとするのはもちろん大事なんですが、それでも“赤ちゃんが本当に元気に育っているのか”って不安になる方は多いです。
4. NIPTなどの検査を検討
質問者:
一番初めに葉酸とダウンについて話がありましたが、ダウン症などの障害は生まれる前に事前にわかるのですか?
先生:
妊娠中に事前に知ることができる方法として、NIPT新型出生前診断などの出生前検査です。
お母さんの血液に含まれている胎児由来のDNAを解析して、ダウン症の21トリソミーや18トリソミー、13トリソミーといった染色体の数の異常を早い段階で調べることができるんです。
質問者:
そんなことまで血液検査でわかるんですね。いつから受けられるんでしょうか?
先生:
ヒロクリニックでは妊娠6週からできるのですが、一般的には10週以降に行うケースが多いです。
方法もとてもシンプルで、お母さんの腕から採血するだけ。お腹に針を刺す必要もなく、赤ちゃんや子宮に負担をかけないというのが大きな特徴です。
ここで大事なのは、NIPTは“診断”ではなく“スクリーニング検査”だという点で、“可能性を調べる検査”なんです。
もし陽性の結果が出た場合には、羊水検査や絨毛検査といった確定検査を受けて、最終的な判断をする必要があります。
一方で、NIPTの意義は“あるかないか”をただ判定することにとどまりません。異常の可能性を事前に知ることで、出産や子育ての準備を早くから整えることができる。医療体制の整った病院を選ぶ、家族で支援の体制を整える、といった時間的余裕が得られるんです。
質問者:
なるほど…。ただ“異常があるかないか”を見るだけじゃなくて、“どう備えるかを考える時間を持てる”っていうのがすごく大きいですね。
先生:
その通りです。
だからこそ、NIPTを受けるかどうかはご夫婦でよく話し合って決めていただきたいです。“受けた方が正 しい”“受けない方が正しい”ということではなくて、“知らずに不安を抱える”よりも“知って備える”という選択肢があるんだ、ということを知っておいていただきたいんです。そうすることで、自分たちに合った選択ができるようになります。
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