こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
このコラムでは、NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなくデータで分かりやすくお届けしています。
近年、社会的にも関心が高まっている発達障害(ASD、ADHDなど)について、「自分の子どもにも関係あるのではないか」と不安を抱く親御さんは少なくありません。
結論から言うと、現在の医学では、**ASDやADHDといった「発達障害そのもの」を出生前に直接診断することはできません。**しかし、発達障害のリスクを大幅に高める特定の遺伝子や染色体の異常については、NIPTなどで検出可能になってきています。
本記事では、発達障害の正しい理解から、遺伝と環境の関係、そして現在の医学で**「どこまで」リスクを知り、「どう備えるべきか」**を整理していきます。

発達障害は、特定の病気の名前ではなく、脳の発達に特性があるために、社会生活で困りごとが生じやすい状態をまとめた言葉です。「発達障害=特殊な病気」というわけではなく、あくまでその人の脳の働きの特徴を表しています。
子どもの5〜10%程度が診断されると言われており、決して珍しいものではありません。代表的な3つの特性を見ていきましょう。
ASDは、かつての「自閉症」や「アスペルガー症候群」を統合した概念です。
主な特徴は「不注意」「多動」「衝動性」の3つです。
知的発達に遅れがないにもかかわらず、特定の学習分野だけが極端に苦手になる特性です。文字を読むのが苦手な**「読みの障害」、字を書くのが苦手な「書字の障害」、計算が苦手な「算数障害」**などがあります。
現在のNIPTでは、ASDやADHDといった**「発達障害そのもの」を直接診断することはできません。なぜなら、発達障害は単一の遺伝子異常ではなく、100を超える多数の遺伝子と環境要因**が複雑に絡み合って発症する、多因子性の特性だからです。
しかし、「全く分からない」わけではありません。NIPTは、発達障害や重い知的障害のリスクを高める特定の染色体・遺伝子異常を見つける手がかりとなります。
それが、**「微小欠失症候群」や「微小重複症候群」**です。
これは、本来46本ある染色体の中で、特定の部分だけが**「欠けていたり(欠失)」、「余分に増えていたり(重複)」**する異常です。
こうした**「発達障害の背景となり得る染色体異常」については、NIPTで検出可能なケースが多く、生まれる前に「より重いリスクがあるかどうか」**を知ることができます。
発達障害の原因を考える上で、**「遺伝と環境の掛け算」**という考え方が非常に重要です。
研究からわかっているように、ASDやADHDには非常に高い遺伝率が示されています。
特にASDとADHDは、**「遺伝が強い素地(素因)」**を作ることは明らかです。
しかし、「遺伝子を持っている=必ず発症する」わけではありません。遺伝子はあくまで**「素地」にすぎず、それが実際に「障害」**として強く表に出るかどうかは、環境要因が大きく関わります。
【結論】
NIPTで「背景となる遺伝子異常」を知ることは、**「その子の持つ特性を早期に知り、環境を整えるための最大のヒント」**になるのです。
今日は、「発達障害は出生前にわかるのか?」というテーマで、以下の重要なポイントを解説しました。
NIPTは、発達障害を**「見つける検査」ではなく、「発達の困難につながるより重いリスクを早期に知り、家族の備えにつなげるための検査」**として活用することが、最も賢明な選択だと言えるでしょう。
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