はじめに
肌を本質的に美しく整えるには、表面的な保湿や美白だけでは不十分です。そこで近年注目を集めているのが、「美肌菌(Skin Microbiome)」です。
私たちの肌には、1平方センチあたり100万個以上の微生物が存在し、外部の刺激や有害菌から肌を守る重要な働きを担っています。その中でも、肌のバリア機能・保湿・炎症抑制などに貢献する常在菌群が「美肌菌」と呼ばれています。
最新のスキンケアは、単なる外的ケアではなく、肌本来が持つ力を引き出す“微生物との共生ケア”へと進化しています。
美肌菌の正体と役割
美肌菌の代表例:表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
この菌は、肌のpHを弱酸性に保つ乳酸や脂肪酸を生成し、病原菌の繁殖を防ぐと同時に保湿成分の生成を促進します。また、最近の研究では、抗炎症性ペプチドの分泌を通じてニキビ菌の活動を抑える働きも報告されています(Nakatsuji et al., 2017)。
美肌菌が乱れるとどうなる?
- 肌が乾燥しやすくなる
- ニキビや肌荒れが頻発する
- 敏感肌になり、刺激に弱くなる
つまり、美肌菌は「肌の土台」と言えるほど重要な存在なのです。

間違ったスキンケアが美肌菌を壊す!
アラサー女性の中には、クレンジングや洗顔を丁寧にしているのに、なぜか肌が不安定…という悩みを抱えている人も少なくありません。その原因の一つが、「洗いすぎ」や「殺菌しすぎ」による美肌菌の減少」です。
よくあるNG習慣
NG習慣 | 肌への影響 |
---|---|
強い洗浄力の洗顔料を使用 | 常在菌まで洗い流しバリア機能低下 |
アルコール配合の拭き取り化粧水 | 肌表面の微生物バランスを破壊 |
抗菌作用のあるスキンケアを多用 | 悪玉菌とともに善玉菌も殺菌してしまう |
美肌菌を“育てる”スキンケア法
1. 洗いすぎない、けど汚れは落とす
✔ 朝はぬるま湯洗顔、夜はミルクタイプのクレンジング+弱酸性洗顔がベスト。
✔ ダブル洗顔不要の製品を使うのも手です。
2. アルコール・防腐剤を避ける
✔ 無添加・アルコールフリー表記のある化粧品を選ぶ
✔ 防腐剤が極力使われていないオーガニック系スキンケアがおすすめ
3. 美肌菌を「補う」プロバイオティクススキンケア
プロバイオティクス(善玉菌)やプレバイオティクス(菌のエサとなる成分)を配合したスキンケアは、肌に存在する美肌菌をサポートする画期的な方法として注目されています。
💡 例 ラクトバチルス発酵液配合化粧水、バイオーム美容液
4. 肌のpHを弱酸性に保つ
✔ 肌に優しいpH5.5前後の化粧品を使用することで、美肌菌が活性化しやすい環境をキープ。
食べ物からも美肌菌は育つ!
腸内環境と肌の状態には密接な関係があり、腸内フローラのバランスが肌の常在菌にも影響を与えることが分かってきました。いわゆる「腸-皮膚軸(gut–skin axis)」と呼ばれるこのメカニズムを利用し、体の内側からも美肌菌を支えることが可能です。
美肌菌を応援する食材
食材カテゴリ | 例 |
---|---|
発酵食品 | ヨーグルト、納豆、キムチ |
食物繊維 | ごぼう、アボカド、玄米 |
ポリフェノール | 緑茶、ブルーベリー、カカオ |
オメガ3脂肪酸 | 亜麻仁油、青魚、くるみ |
最新研究が明かす「美肌菌スキンケア」の未来
- スタンフォード大学の研究では、肌常在菌の多様性が高い人ほど乾燥・赤みなどの肌トラブルが少ない傾向があると報告。
(Stanford study – Skin microbiome and health) - Frontiers in Medicine (2023) によると、プロバイオティクスを塗布したグループは、そうでないグループより水分量が20%増加、バリア機能が有意に向上。(Frontiers article)
- Wiley Online Library では、美容液に含まれるバクテリア由来成分が肌マイクロバイオームの多様性を維持する効果があると確認。 (Microbial Biotechnology Study)
実践編
朝のステップ(整える)
- ぬるま湯のみで洗顔(またはpH弱酸性洗顔料)
- プロバイオティクス化粧水でバリア強化
- セラミド・スクワランなどバリア成分の美容液
- SPF30以上のUVケアで常在菌を外的刺激から守る
夜のステップ(育てる)
- ミルクorバームクレンジング
- 保湿美容液+発酵成分入り化粧水
- 肌フローラを整える「バイオーム美容液」
- 油分リッチなクリームで保湿+菌の繁殖環境維持
まとめ
私たちの肌は、目に見えない無数の微生物と共に生きています。洗い流すだけの時代から、“育てる・共存する”スキンケアへとシフトする今こそ、「美肌菌」に注目すべきです。
- 洗いすぎず、守りすぎず
- 善玉菌を補い、バランスを整える
- 内側(食事・腸)からもサポート
- 科学的エビデンスを取り入れたケア
日々の選択一つで、肌は変わります。美肌菌を味方につけて、ゆらぎ知らずの透明感ある肌を手に入れましょう。