妊娠中に控えるべきカフェイン摂取量

コーヒー

この記事のまとめ

妊娠中のカフェインは1日200mg前後を一つの目安に、飲みすぎに気をつけながら楽しむ姿勢で大丈夫です。カフェインは胎盤を通って赤ちゃんに移り、赤ちゃんは代謝機能が未熟なため排出に時間がかかります。過剰摂取は流産や低出生体重との関連が報告されていますが、少量まで神経質にゼロにする必要はありません。目安は機関によって幅があり、世界保健機関(WHO)はコーヒー1日3〜4杯まで、英国や欧州(EFSA)は妊娠中200mgまでとしています。コーヒーや紅茶だけでなく緑茶やチョコレートにも含まれるため、含有量を知って上手に減らしていきましょう。

この記事でわかること

  • 妊娠中にカフェインが気になる理由(胎盤を通って赤ちゃんに移るしくみ)
  • 1日の摂取量の目安が機関ごとに異なる理由と、200mgという数字の位置づけ
  • コーヒー・お茶・チョコレートなど飲み物・食品別のカフェイン含有量を表で確認
  • カフェインレス・ノンカフェインの代替と、無理なく減らすコツ・授乳中の考え方

妊娠中にカフェインが気になる理由

カフェインは胎盤を通り抜けて赤ちゃんへ移り、赤ちゃんは代謝機能が未熟なため排出に時間がかかります。ここが、妊娠前と同じ感覚で飲めない一番の理由です。お母さんが飲んだカフェインは血液にのって全身をめぐり、胎盤というフィルターも通過して赤ちゃんの体に届きます。大人なら数時間で分解できる量でも、赤ちゃんの体内には長くとどまります。

だからといって、コーヒー1杯で慌てる必要はありません。問題になるのはあくまで「摂りすぎ」のときです。私は妊婦さんの相談に立ち会ってきた経験から、正しい量を知らずに飲み物すべてを断ってしまい、かえってストレスをためる方が多いと感じています。仕組みを知れば、怖がりすぎず付き合えます。

体の変化で影響を受けやすくなる時期

妊娠中はカフェインの分解にかかる時間が、ふだんより長くなるといわれています。妊娠が進むにつれて体の代謝が変わり、同じ1杯でも体内に残りやすくなるためです。夜に飲むと寝つきが悪くなったと感じる方が増えるのも、この変化が関係します。

妊娠初期は赤ちゃんの器官が作られる時期でもあり、生活のリズムを整えたい時期。この時期の過ごし方は妊娠中期に気をつけたいことの記事ともあわせて確認しておくと、全体像がつかみやすくなります。カフェインだけでなく、栄養や睡眠も含めて見直すきっかけにしてください。

1日の摂取量の目安|機関ごとの違い

妊娠中の目安は「200mg前後」が一つの基準ですが、機関によって数字に幅があります。世界保健機関(WHO)はコーヒー1日3〜4杯までとし、英国や欧州の食品安全機関(EFSA)は妊娠中のカフェインを1日200mgまでとしています。日本には妊婦向けの明確な上限基準値はなく、農林水産省「カフェインの過剰摂取について」が過剰摂取への注意を呼びかけています。

数字が一つに定まっていないのは、研究によって前提や対象が異なるからです。だから「200mgを1mgでも超えたら危険」という受け止め方は正確ではありません。おおよその上限をイメージしておき、その範囲で楽しむくらいの気持ちがちょうどよいと考えています。神経質になりすぎないことも、妊娠生活では大切です。

妊娠中の1日のカフェイン目安 200mg前後が目安 少なめ(安心して楽しめる範囲) 摂りすぎ注意 WHO:コーヒー1日3〜4杯まで 英国・欧州(EFSA):1日200mgまで
目安は幅があり、200mg前後を意識しつつ飲みすぎに気をつけるイメージ

妊娠中の体調管理は、飲み物だけで決まるものではありません。定期的な妊婦健診で赤ちゃんの発育を確認しながら、気になる点は担当医に相談してください。公的な健康情報は、女性の健康を扱う女性の健康推進室ヘルスケアラボこども家庭庁 母子保健のページも参考になります。

飲み物・食品別のカフェイン含有量

コーヒーだけでなく、玉露や紅茶、チョコレートにもカフェインは含まれます。意外な飲み物・食べ物に入っているため、量を把握しておくと1日の合計を見積もりやすくなります。ここでは飲み物100mlあたりの目安と、身近な食品の傾向を整理します。まずは代表的な飲み物を表で見てください。

飲み物100mlあたりのカフェイン量の目安 約160mg 玉露 約60mg ドリップ コーヒー 約60mg インスタント 約30mg 紅茶 約20mg 煎茶 約20mg ウーロン茶
飲み物100mlあたりのカフェイン量の目安(玉露が最も多い)
飲み物・食品カフェイン量の目安ひとことメモ
玉露約160mg/100mlお茶の中でも特に多め
ドリップコーヒー約60mg/100mlマグ1杯なら量に注意
インスタントコーヒー約60mg/100mlドリップと同程度
紅茶約30mg/100mlコーヒーの半分ほど
煎茶約20mg/100ml日常のお茶は控えめ
ウーロン茶約20mg/100ml煎茶と同程度
エナジードリンク製品差が大きい表示を必ず確認
チョコレート・コーラ少量含む食べ物にも入る
飲み物・食品別のカフェイン含有量の目安(100mlあたり中心)

お茶や食べ物にも入っている

コーヒーを控えても、玉露や煎茶、紅茶からカフェインを摂っていることは見落とされがちです。とくに玉露は100mlあたり約160mgと、コーヒーより多く含みます。お茶を何杯も飲むと、意外と合計が積み上がります。チョコレートやコーラにも少量含まれるため、飲み物と食べ物を合わせて考えてください。

私自身、この「積み上がり」に驚く妊婦さんをよく見てきました。同じ気づきをXでもつづっている方がいます。@kurari_firethunさんは、初めての妊娠でカフェインを控えようと調べたら、コーヒーや紅茶だけでなく緑茶やチョコにも入っていて「キリがない」と感じたと書いていました。ゼロを目指すとしんどくなる、という実感のこもった声。だからこそ、量を把握して優先順位をつける発想が役立ちます。

エナジードリンクは表示を確認

エナジードリンクは製品ごとの差が大きく、1本で高用量のカフェインを含むものもあります。妊娠中は基本的に控えめにして、飲む場合はパッケージの含有量表示を必ず確認してください。眠気覚ましのつもりの1本が、1日の目安を一気に押し上げることもあります。

市販薬や栄養ドリンクにカフェインが入っている場合もあります。服用する前に成分表示に目を通し、不安があれば薬剤師や医師にたずねてください。飲み物・食べ物・薬をトータルで見る視点が安心につながります。

摂りすぎるとどうなるか

過剰摂取は流産や低出生体重との関連が報告されていますが、少量で必ず起こるものではありません。あくまで「摂りすぎ」の場合に注意すべき、という位置づけです。断定された因果ではなく、関連が指摘されている段階と理解しておくと、数字に振り回されずにすみます。ここでは報告されているリスクを、落ち着いて整理します。

報告されているリスク

妊娠中に大量のカフェインを摂り続けた場合、流産や低出生体重との関連が研究で報告されています。低出生体重とは、生まれたときの体重が小さいことを指します。赤ちゃんはカフェインの排出に時間がかかるため、体内にとどまりやすいことが背景にあると考えられています。だからこそ「毎日たくさん」を避けることに意味があります。

一方で、コーヒー1杯や少量のチョコレートで慌てる必要はありません。目安の範囲におさめていれば、過度に心配しなくて大丈夫です。私は相談の場で、少量の摂取を悔やんで自分を責める方に「その量なら大丈夫ですよ」と何度もお伝えしてきました。安心して過ごすことも、赤ちゃんのためになります。

お母さん自身の不調にも注意

カフェインの摂りすぎは、お母さん自身の睡眠の質を下げたり、動悸や胃の不快感につながったりします。妊娠中は体が敏感になり、ふだんは平気だった量でも不調を感じやすくなります。夜のコーヒーで眠れなくなったら、時間帯や量を見直すサインです。

体調を整える土台は、栄養バランスのよい食事と休息です。妊娠中の食事は、葉酸のように意識して摂りたい栄養もあれば、血糖値に配慮した妊娠糖尿病の食事のように控えめにしたい場面もあります。カフェインもその一部と考え、全体の中でバランスを取ってください。

カフェインレス・ノンカフェインの代替と上手な減らし方

完全にゼロにする必要はなく、カフェインレスやノンカフェインの飲み物を取り入れて、飲みすぎに気をつけながら楽しむ姿勢で十分です。いきなり我慢するとストレスになり、続きません。まずは置き換えから始めると、無理なく減らせます。ここでは具体的な代替と、続けるコツを紹介します。

デカフェ・カフェインレスに置き換える

コーヒーが好きな方には、カフェインレスやデカフェのコーヒーがおすすめの入り口です。風味を残しながらカフェインを抑えられるため、飲む習慣そのものを手放さずにすみます。最近はスーパーやコンビニでも手軽に買えるようになりました。

私は「やめる」より「切り替える」ほうが続くと感じています。同じように行動した方の声もあります。@asaki_007さんは、もともとブラックコーヒーが大好きだったけれど、妊娠が発覚したその日にコーヒーをカフェインレスへ切り替えたとつづっていました。好きなものを完全に断つのではなく、やめるより切り替える。この工夫が、無理のない妊娠生活につながります。

ノンカフェインの飲み物を選ぶ

もともとカフェインを含まない飲み物も心強い味方です。麦茶やルイボスティー、たんぽぽ茶、コーン茶などは、妊娠中でも安心して選びやすい定番。温めても冷やしても飲めるので、季節を問わず水分補給に使えます。味の好みで数種類を用意しておくと、飽きずに続けられます。

ただし「ノンカフェイン」でも、飲み物によっては体調や体質で合う・合わないがあります。気になるものは少量から試し、不安があればかかりつけの医師に相談してください。無理に何かを足すより、自分が心地よく続けられるものを選ぶ視点が大切です。

無理なく減らすコツ

減らし方のコツは、時間帯と量の工夫です。午前中の1杯だけコーヒーにして、午後はノンカフェインにする。マグではなくカップで淹れる。こうした小さな置き換えを積み重ねると、合計は自然と下がります。がんばりすぎず、続けられる形を優先してください。

大切なのは、ゼロを目指して疲れないことです。カフェインは適量なら楽しんでよい、という前提で付き合えば、妊娠生活の楽しみを削らずにすみます。目安の範囲を意識しつつ、好きな一杯をほっとする時間として残してください。

授乳中のカフェインはどう考えるか

授乳中も少量なら過度に心配は要りませんが、赤ちゃんの様子を見ながら量を調整してください。母乳に移るカフェインはごくわずかとされ、コーヒー1〜2杯程度で神経質になる必要はありません。ただし赤ちゃんによっては、寝つきが悪くなったり落ち着かなくなったりする場合があります。

気になるときは、授乳のあとにコーヒーを飲むなど、タイミングを工夫すると安心です。赤ちゃんの機嫌や眠りに変化を感じたら、量や時間帯を見直してください。妊娠中から続けてきたカフェインレスの習慣を、そのまま授乳期に生かす方も多くいます。

妊娠中にカフェインレスの飲み物でひと息つく妊婦さんのイメージ

NIPTなど出生前の検査を考えるとき

妊娠中は飲み物だけでなく、赤ちゃんの健康を確認したいという気持ちも自然に生まれます。NIPT(新型出生前診断)は、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査で、確定診断には羊水検査などが必要です。気になる方はNIPTの解説記事で性質を確認してください。

カフェインの心配も検査の不安も、一人で抱えると大きく感じます。正確な情報を得て、必要なら専門家に相談する。その一歩で、気持ちはずいぶん軽くなります。妊娠生活を穏やかに過ごすために、頼れる窓口を上手に使ってください。

よくある質問

Q. 妊娠中はコーヒーを1日何杯まで飲めますか?

目安は機関により幅がありますが、200mg前後を一つの基準にすると考えやすいです。世界保健機関(WHO)はコーヒー1日3〜4杯まで、英国や欧州(EFSA)は妊娠中200mgまでとしています。ドリップコーヒーは100mlあたり約60mgのため、マグカップの量なら杯数に注意してください。完全にゼロにする必要はなく、飲みすぎに気をつけて楽しむ姿勢で大丈夫です。

Q. カフェインは赤ちゃんにどんな影響がありますか?

カフェインは胎盤を通って赤ちゃんに移り、赤ちゃんは代謝機能が未熟なため排出に時間がかかります。大量に摂り続けた場合、流産や低出生体重との関連が報告されています。ただし断定された因果ではなく、あくまで摂りすぎの際に注意すべきという位置づけです。目安の範囲におさめていれば、過度に心配する必要はありません。

Q. コーヒー以外にカフェインが入っている飲み物はありますか?

玉露は100mlあたり約160mgとお茶の中でも多く、紅茶は約30mg、煎茶やウーロン茶は約20mg含みます。エナジードリンクは製品差が大きく、チョコレートやコーラにも少量含まれます。コーヒーを控えてもお茶や食べ物から積み上がるため、飲み物と食品を合わせて1日の合計を見積もってください。

Q. カフェインレスとノンカフェインの違いは何ですか?

カフェインレス(デカフェ)は、もともとカフェインを含む飲み物からカフェインを取り除いてごくわずかにしたものです。ノンカフェインは、麦茶やルイボスティーのように最初からカフェインを含まない飲み物を指します。どちらも妊娠中に選びやすく、好みや気分で使い分けると無理なく続けられます。

Q. うっかり多めに飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?

一度多めに飲んだからといって、すぐに問題が起こるわけではありません。心配なのは毎日大量に摂り続けた場合で、たまたまの1日で自分を責める必要はありません。翌日から量を目安の範囲に戻せば大丈夫です。体調に気になる変化があるときや、不安が続くときは、かかりつけの産婦人科に相談してください。

Q. 授乳中もカフェインは控えたほうがよいですか?

母乳に移るカフェインはごくわずかとされ、コーヒー1〜2杯程度なら過度に心配は要りません。ただし赤ちゃんによっては寝つきが悪くなることがあるため、様子を見ながら量を調整してください。授乳のあとに飲むなどタイミングを工夫すると安心です。気になる変化があれば、量や時間帯を見直してください。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

医師監修 監修日:2025年9月8日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年9月8日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年9月8日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. James JE. Maternal caffeine consumption and pregnancy outcomes: a narrative review with implications for advice to pregnant women and women planning pregnancy. BMJ Evid Based Med. 2021;26(3):114-115.
  2. Gleason JL, Tekola-yeiye FD, Sundaram R, Hinkle SN, Chen Z, Albert PS, et al. Association of Maternal Caffeine Consumption During Pregnancy With Child Growth. JAMA Netw Open. 2021;4(3):e213137.
  3. World Health Organization. WHO recommendation on caffeine intake during pregnancy. Geneva: World Health Organization; 2016.
  4. European Food Safety Authority. Scientific Opinion on the safety of caffeine. EFSA Journal. 2015;13(5):4102.
  5. 内閣府食品安全委員会. ファクトシート「食品中のカフェイン」. 東京: 食品安全委員会; 2018.
  6. 厚生労働省. 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A. 東京: 厚生労働省; 2017.

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