NIPT(新型出生前診断)を受けるべき人の特徴とは?産婦人科医が徹底解説【YouTube動画解説】

【医師が解説】NIPT(出生前診断)は高齢出産だけ?「特に受けるべき人」3つの条件

こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。

出生前診断NIPT)について、「私はまだ20代だから関係ないかな?」「高齢出産の人だけが受けるものでしょう?」と思っていませんか?

確かに年齢は大きな要因ですが、実はそれだけではありません。

若いお母さんであっても、染色体の変化が起こる可能性はゼロではありませんし、お父さんの年齢や家系が関わってくることもあります。

今回は、医師の視点から**「特にNIPTを検討すべき人の3つの条件」**について、データを用いて分かりやすく解説します。後悔のない選択をするための参考にしてください。


そもそもNIPTとは?何が分かるの?

NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの腕から採血するだけで、お腹の赤ちゃんのDNA断片を調べ、染色体異常のリスクを判定する検査です。

羊水検査のようにお腹に針を刺さないため、流産のリスクがほぼなく、母子ともに安全なのが最大の特徴です。

当院の検査範囲

一般的なNIPTでは「21・18・13トリソミー」の3種類のみを調べますが、ヒロクリニックではさらに広い範囲をカバーしています。

  • 全染色体検査:1番〜22番の常染色体+性染色体のすべて
  • 微小欠失症候群:染色体の一部が欠けたり重複したりする疾患(ディジョージ症候群など)

これにより、通常の検査では見逃されてしまう染色体の変化も見つけることが可能です。


医師が考える「NIPTを特に受けるべき人」3つの条件

では、具体的にどのような方が検査を強く検討すべきなのでしょうか?

医学的根拠に基づいた3つの条件をお伝えします。

① 母親が35歳以上の方

最も知られている要因ですが、やはり年齢と染色体異常(特にダウン症候群=21トリソミー)には明確な相関関係があります。

【年齢別ダウン症(21トリソミー)の確率目安】

  • 20歳:約 1/1667
  • 30歳:約 1/952
  • 35歳:約 1/385
  • 40歳:約 1/106

見ていただくと分かる通り、35歳を境に確率は急激に上がります。40歳では約1%(100人に1人)という現実的な数字になります。このデータからも、35歳以上の方はNIPTを受ける医学的な意義が非常に大きいと言えます。

② 父親が50歳以上の方

意外に思われるかもしれませんが、お父さんの年齢もリスクに関係します。

近年の研究で、父親の加齢は精子のDNA損傷に関連しており、特に「性染色体異常」などのリスクを高めることが指摘されています。

例えば、50歳以上の父親から生まれる子どもは、30代の父親に比べて性染色体異常のリスクが2倍以上になるという報告もあります。「母は若くても、父は高齢」というカップルの場合も、検査を検討する十分な理由になります。

③ 親族に染色体異常の家族歴がある方

ダウン症の多く(約90〜95%)は「標準型」といって偶然起こるものですが、一部は**「遺伝」**が関与しています。

ご両親のどちらかが「均衡型転座」という染色体の特徴を持っている場合、それがお子さんに受け継がれ、染色体異常転座型ダウン症など)として現れることがあります。

このケースでは、再発率(次の子もダウン症になる確率)が約10%前後と、一般的な確率よりもかなり高くなります。

ご家族やご親族に染色体異常の方がいらっしゃる場合は、遺伝カウンセリングを含めたNIPTの検討をお勧めします。


検査結果の受け止め方:「陽性スコア」とは?

NIPTを受ける上で理解しておきたいのが、「結果をどう読むか」です。

NIPTは精度が高い検査ですが、あくまで「非確定診断(スクリーニング)」です。

  • 陰性の場合:99.9%以上の確率で安心材料になりますが、100%ではありません。
  • 陽性の場合:すぐに確定ではありません。羊水検査で確認する必要があります。

ヒロクリニック独自の「陽性スコア」

当院(提携:東京衛生検査所)の検査結果には、独自の指標である**「陽性スコア」**が記載されます。

これは、「NIPTで陽性と出た時、本当にその病気である確率(陽性的中率)」を数値化したものです。

  • スコアが高い:赤ちゃんに染色体異常がある可能性が高い。
  • スコアが低い:偽陽性、または「胎盤性モザイク(赤ちゃん自身は正常だが胎盤だけ異常がある状態)」の可能性があります。

このスコアがあることで、陽性が出た際にも「どのくらい心配すべきか」「モザイクの可能性はあるか」をより冷静に判断する材料になります。


まとめ:知ることは、未来を守ること

今回のポイントをまとめます。

  1. 35歳以上の女性染色体異常のリスクが急上昇するため。
  2. 50歳以上の男性:精子の影響によるリスクがあるため。
  3. 家族歴がある方:遺伝的な要因が関与する場合があるため。

「検査を受けるのが怖い」と感じるのは当然のことです。

しかし、NIPTは不安を煽るためのものではなく、**「現状を正しく知り、赤ちゃんを迎える準備をするため」**の選択肢です。

もし迷われているなら、一人で抱え込まず、まずは専門医にご相談ください。

私たちは、あなたの選択と未来を全力でサポートします。