この記事のまとめ
転座型ダウン症候群(トランスロケーション型ダウン症)は、ダウン症候群の一種であり、通常のトリソミー21とは異なるメカニズムで発症します。今回は、転座型ダウン症候群がNIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)で検出されるかどうかについて詳しく説明します。
転座型ダウン症候群とは?
ダウン症候群は、通常、21番染色体が3本存在することで発症する染色体異常です。これをトリソミー21と呼びます。しかし、ダウン症候群には他にも2つのタイプが存在します:転座型ダウン症候群とモザイク型ダウン症候群。

転座型ダウン症候群は、21番染色体の一部が他の染色体(通常は14番染色体)に付着している状態を指します。この付着によって、21番染色体の一部が過剰に存在し、ダウン症候群の症状を引き起こします。このタイプのダウン症候群は、全てのダウン症候群の約4%を占めます。下の図の均衡型というのは染色体の量が通常の人と同じ量であるということです。一方不均衡型とは通常の人よりも染色体の量が少なかったり多かったりする状態です。不均衡型の場合には通常流産をします。生存不能とは流産または早晩なくなるという意味です。左の上の図のように14番と21番染色体がロバートソン転座をおこしているばあいには大きく分けて4つのパターンに分類されて精子または卵子が作られます。下の一番左側の卵子または精子が受精するとダウン症となります。この確率は最大10%と言われています。母親、父親の年齢と関係なくこの確率でダウン症が発症するために両親にロバートソン転座があるかどうかを確認することは極めて重要です。この検査自体は妊娠してない時でも行うことが可能です。通常血液から染色体を取り出して、その染色体が転座を起こしているかどうか調べるため、費用も時間もほとんどかかりません。

NIPT検査とは?
NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)は、母体の血液中に存在する胎児由来のDNAを解析し、胎児の染色体異常を検出する方法です。NIPTは、トリソミー21(ダウン症候群)、トリソミー18(エドワーズ症候群)、トリソミー13(パトウ症候群)などの染色体異常を高い精度で検出することができます。
NIPTの利点は、非侵襲的であることから流産のリスクがない点です。これにより、妊婦に対して安全かつ信頼性の高い検査を提供することができます。
転座型のダウン症であってもロバートソン転座由来のダウン症であってもNIPT検査でダウン症を検出することは可能です。

転座型ダウン症候群とNIPT
転座型ダウン症候群がNIPTで陽性となるかどうかについては、染色体の特定領域の過剰な存在が鍵となります。NIPTは、特定の染色体領域のDNA量を測定することで異常を検出します。
21番染色体の領域が増えている場合、NIPTは陽性を示します。これは、転座型ダウン症候群においても同様です。転座型ダウン症候群の胎児では、21番染色体の一部が他の染色体に付着しているため、21番染色体の特定領域が増加しています。NIPTは、この増加を検出することができるため、転座型ダウン症候群であっても陽性となります。
具体的には、転座型ダウン症候群の胎児の血液サンプルを解析する際、21番染色体のDNA量が通常よりも多いことが判明します。これにより、NIPTは21番染色体のトリソミーを示す陽性結果を返します。
転座のキャリアとNIPT
転座型ダウン症候群の子供を持つ親の中には、転座のキャリア(保因者)がいます。転座のキャリアは、21番染色体の一部が他の染色体に付着しているものの、通常の染色体数を持っています。このため、キャリア自身にはダウン症候群の症状は現れません。つまり両親のいずれかが転座のキャリアであっても症状はありません。
ではどのような人が転座の可能性があるのでしょうか?
該当する方はGバンド法という検査を行うことをお勧めします。
親族にダウン症の方がいる場合は、自身が転座型ダウン症のキャリアである可能性があります。
この場合、妊娠前や妊娠初期に自分自身の染色体検査(核型検査)を受けることが推奨されます。
転座型ダウン症候群とNIPTの検出限界について
しかし、転座型ダウン症候群のお子さんを妊娠している場合、胎児の21番染色体の特定領域が増えていることになるため、NIPTでは陽性結果が出ます。通常のダウン症を対象にしたNIPTと検査精度に変わりはありません。
転座型ダウン症候群の遺伝とリスク
片方の親が均衡型転座のキャリアである場合、その子どもにダウン症候群が発生する確率は約10分の1(10%)とされています。このリスクは、通常のダウン症とは異なり、母体の年齢とは関係ありません。40歳の妊婦さんよりも10倍ダウン症が生まれやすい状態だということです。

実際の臨床での対応
NIPTの結果が陽性である場合、さらなる詳細な検査が推奨されます。羊水検査や絨毛検査などの確定診断が必要です。これにより、転座型ダウン症候群や他の染色体異常の正確な診断が可能となります。
転座型ダウン症候群が疑われる場合、親の遺伝子検査も考慮されます。これにより、転座のキャリアであるかどうかを確認し、将来の妊娠におけるリスク評価が行われます。
まとめ
転座型ダウン症候群は、21番染色体の一部が他の染色体に付着することによって発症するダウン症候群の一種です。このタイプのダウン症候群でも、NIPTによって陽性結果が得られる可能性があります。これは、21番染色体の特定領域が増えているためです。
NIPTは、非侵襲的かつ高精度な検査方法であり、多くの妊婦に対して安全な選択肢を提供しています。しかし、陽性結果が出た場合には、さらなる詳細な検査と遺伝カウンセリングが必要です。これにより、正確な診断と適切な対応が可能となります。
転座型ダウン症候群の検出に関する理解を深めることで、妊婦とその家族がより安心して検査を受けることができるようになります。

