こんにちは、未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする「おかひろし」です。
妊婦健診のエコー検査で、医師からふと**「赤ちゃんの首の後ろに、少しむくみ(NT)がありますね」**と言われ、心臓が止まるような思いをしたことはありませんか?
家に帰ってインターネットで検索し、出てくる怖い情報に眠れなくなってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
まず、深呼吸をしてください。
「むくみがある=必ず病気がある」ということではありません。
今回は、この**「NT(胎児の首のむくみ)」**について、感情論ではなく医学的なデータに基づいて、その正体とリスク、そして不安な時にどう行動すべきかを解説します。
NTとは「Nuchal Translucency(ヌーカル・トランスルーセンシー)」の略で、日本語では「後頸部透亮像(こうけいぶとうりょうぞう)」と呼ばれます。
妊娠11週から13週頃の赤ちゃんの首の後ろに見られる、黒く抜けたスペース(むくみ)のことです。
実は、この時期の赤ちゃんは、リンパや血液の流れがまだ未発達です。そのため、どんな赤ちゃんにも生理的に多少のむくみは見られます。
決して「異常な物体」ができているわけではありません。
しかし、この厚さが一定以上(一般的には3mm以上など)になると、染色体異常や心疾患などの可能性が高くなることが統計的にわかっています。そのため、出生前診断における「重要なサイン」としてチェックされているのです。
重要なのは「測定する時期」
NTは妊娠11週〜13週の間でしか正確に評価できません。14週を過ぎるとリンパ系が発達し、自然にむくみが消えてしまうことが多いためです。
「NTが厚い」と指摘された場合、医学的に関連が疑われる主な疾患は以下の通りです。
最も関連性が高いのが、以下の3つのトリソミー(染色体の数の変化)です。
染色体は正常でも、心臓に負担がかかってむくみが出ているケースがあります。心室中隔欠損などの心臓の病気が隠れているリスクが高まるとされています。

ここからが重要なデータのお話です。
「NTが厚い」というだけで、どれくらい正確に病気を見つけられるのでしょうか?
研究によると、NT測定単独での染色体異常の感度(見つけられる確率)は、およそ70%前後と報告されています。
「たった70%しか分からないの?」「30%も見逃すの?」と不安に思うかもしれません。しかし、医療における「スクリーニング検査(拾い上げ検査)」として、この数字は決して低いものではありません。他の身近な検査と比較してみましょう。
【一般的な医療検査の感度目安】
いかがでしょうか? 私たちが普段受けている健康診断や検査と同じくらいの精度なのです。
つまり、NTは「確定診断」ではなく、あくまで**「詳しく調べる必要があるかどうかのサイン(スクリーニング)」**として機能しているのです。
そして忘れてはいけないのが、**「NTが厚くても、染色体や心臓に異常がなく、元気に生まれてくる赤ちゃんもたくさんいる」**という事実です。
14週以降に自然にむくみが消え、何事もなく出産されるケースも珍しくありません。
NTを指摘された後、「ただ不安なまま過ごす」のではなく、次のステップに進むための選択肢があります。
ご夫婦の価値観や、知りたい情報の深さに合わせて検討してください。
今回のポイントをまとめます。
「NTが厚い」と言われたことは、ショックだったかもしれません。
しかし、それは「赤ちゃんをより詳しく見守るチャンスをもらった」と捉えることもできます。
当クリニックでは、NIPT検査を通じて、不安を抱えるご家族に科学的根拠に基づいた情報提供とサポートを行っています。
一人で悩まず、まずは専門医にご相談ください。あなたの不安を、安心に変えるお手伝いをいたします。
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