20代でもNIPT(出生前診断)を受けるべき?注意点まとめ

若い妊婦でもNIPT(出生前診断)を受けるべき?20代でのリスク、検査の種類や精度、陽性的中率、実際の体験談、受ける前に考えるべきポイントをわかりやすく解説します。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

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妊娠・出産という節目に、「赤ちゃんが健康かどうか」「もし染色体異常があったらどうすべきか」という不安を抱く方は多いです。NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)はそうした不安に応える選択肢の一つですが、特に20代の場合「受けたほうがいいのか」「何に注意すべきか」を考えることが必要です。以下、制度的・科学的・実践的な観点から整理してみます。

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NIPTとは?20代で受ける意味

検査の種類(非確定検査・確定検査)

  • 非確定検査(スクリーニング検査)

採血のみで母体から浮遊する胎児由来DNA(cell‑free fetal DNA: cffDNA)を調べ、染色体異常のリスクを評価します。 侵襲性がなく、母体・胎児双方への物理的リスクが非常に低いとされています。感染や直接的な損傷のリスクはほぼないと考えられています。 検査対象・精度・判定可能な染色体異常の範囲は、施設やプランによって異なります。基本的には21、18、13番トリソミーが対象です。性染色体異常微小欠失/重複(マイクロデリーション/CNV)を含むプランもありますが、これらは精度や臨床的意義が現在も確立中、または限定的な場合が多いとされています。

  • 確定検査(診断検査)
    • 非非確定検査で高リスク(陽性または判定保留)とされた場合に選択する検査です。絨毛検査や羊水穿刺が代表であり、胎児の染色体を直接調べることで診断的な確定を得ることができます。 ただし、流産などのリスクがある(おおよそ0.3〜1%程度)ため、検査を受けるかどうかについては慎重な検討と医師との相談が必要です。

判明する染色体異常

NIPTで「わかる可能性がある」主な異常は以下の通り:

番号・名称内容例
21トリソミー(ダウン症最も頻度が高く、影響が比較的大きく、非確定検査としても感度・特異度が高い。
18トリソミー(エドワーズ症候群)重篤度が高く、生存率や合併する障害が大きい。 
13トリソミー(パトウ症候群)より重い異常を伴うことが多い。 
性染色体異数性ターナー症候群(XO)、クラインフェルター症候群(XXY)、XXX、XYYなど。性別や発達に関連する問題があるが、変異の程度が幅広い。 
微小欠失/重複症候群(部分的な染色体のコピー数変化)例えば22q11.2欠失症候群など。一部のプランで対応。だが偽陽性率や臨床的意義で課題がある。

20代でNIPTを受ける意味は、年齢特有のリスクは若いほど低いものの、「不安の軽減」「将来に備える情報を得る」「家族や産後準備の選択肢を持つ」といった点で一定の価値があります。次節で20代での受検率や背景を見てみましょう。

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20代がNIPTを受ける割合と背景

年齢によるダウン症リスク

年齢が高くなるほど、常染色体異数性、たとえば21番トリソミー(ダウン症)のリスクは上昇します。一般的に35歳以上になるとそのリスクが顕著に高くなるため、日本の制度上でも高齢妊娠とされ、出生前診断の対象とされることが多くなります。

一方で、20代の妊婦さんではダウン症などの染色体異常が発生する確率は全体として低くなります。しかし、それは「起こらない」という意味ではありません。実際には若い母体であっても、遺伝的な背景や過去の妊娠での経験、またはエコー検査などで異常を示す所見がある場合には、リスクが高まることがあります。

20代で検査を受ける理由とメリット

近年では、20代でNIPTを受ける方が増加しており、その背景にはいくつかの理由があります。

まず、妊娠初期から安定した情報を得たいという思いが挙げられます。NIPTは妊娠10週以降に受けることができるため、早期に検査結果を得て心の準備や産後・育児の準備を進めたいと考える方にとって大きなメリットとなっています。

また、漠然とした不安を抱えている方にとっては、検査によって「異常の可能性が低い」と判断されることにより、精神的な安心感を得ることができます。

さらに、家族に遺伝的な疾患の歴がある方や、過去に染色体異常を持つ子どもを授かった経験がある場合には、年齢に関係なく検査の必要性を感じることがあります。

加えて、医療制度や検査施設の整備が進んできていることも一因です。NIPTを提供する認証施設の数が増え、非認証施設でも遺伝カウンセリングの体制が整いつつあることで、以前よりも検査を受けやすくなってきています。

ただし、NIPTにはデメリットも存在します。たとえば、検査費用の高さや心理的な負担、そしてNIPTが確定診断ではないという点は、検査を受けるかどうかを検討する際に重要なポイントとなります。

偽陽性や精度に関する注意

非確定的検査であるNIPTには「限界」があり、特に若い年齢だと「陽性的中率」が下がる傾向があるため、偽陽性や誤解を避けるための理解が不可欠です。

主な原因(胎盤モザイク・vanishing twinなど)

以下のような理由で、NIPTの結果と実際の胎児の状態が一致しない可能性があります。

まず、胎盤限局性モザイク(CPM: Confined Placental Mosaicism)という現象があります。これは胎盤の細胞にのみ染色体異常が存在し、胎児自体にはその異常がないケースを指します。NIPTは胎盤由来のcfDNA(胎児由来DNA)を検査に使用するため、胎盤に異常があるとその影響を受けてしまい、本来正常な胎児でも異常の可能性があると誤って判断されることがあります。

次に、Vanishing Twin(バニシングツイン)という現象も原因となり得ます。これは妊娠初期に双子であった胎児のうち一方が自然に流産・消失するもので、消失した胎児のDNAがしばらく母体内に残るため、それが検体に混ざり、異常なDNAが含まれていると判定されることがあります。

また、母体の影響も検査結果に関係します。たとえば、母体の肥満やBMIが高い場合、自己免疫疾患がある場合、あるいは特定の薬剤を使用している場合には、cfDNAの量や質が影響を受けることがあります。さらに、母体自身に染色体異常や悪性腫瘍がある場合にも、検査の精度が低下する可能性があります。

胎児由来DNAの割合が低い(Fetal fractionが低い)ことも注意すべき点です。妊娠週数が早すぎる場合や、母体の体重が重い場合には、胎児由来DNAの割合が十分でなく、正確な判定ができない、または偽陰性・偽陽性のリスクが高まることがあります。

さらに、胎児自身または胎盤において、一部の細胞にだけ異常があるモザイク状態も、NIPTの結果と確定検査の結果が食い違う原因となります。モザイクとは、一部の細胞が正常で一部が異常という状態を指し、検査対象が異常細胞を多く含んでいた場合には、実際の状態よりも大きく異常と判断されてしまう可能性があります。

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20代での陽性的中率の特徴

「陽性的中率(Positive Predictive Value: PPV)」とは、検査で「陽性(異常がある可能性が高い)」と出た場合に、実際に異常がある確率のことを指します。

20代では、染色体異常そのものの発生頻度が比較的低いため、検査で陽性と判定されても、実際には異常がないケースが一定数存在します。このような背景から、同じ陽性結果であっても、年齢が高い場合に比べて陽性的中率が低くなる傾向があります。

日本におけるデータによると、ダウン症に関しては陽性的中率が約97.3%と非常に高い値を示しています。しかし、18トリソミーでは約88%、13トリソミーでは約54.3%と、検出される染色体異常の種類によってその精度に大きな差があることがわかっています。

そのため、20代でNIPTの結果が陽性と出た場合でも、必ずしも胎児に異常があるとは限りません。実際に異常があるかどうかを判断するには、羊水検査絨毛検査などの確定検査を受ける必要があります。特に若年層においては、偽陽性の割合が相対的に高くなる可能性があるため、慎重な対応が求められます。

また、陰性と判定された場合でも偽陰性の可能性がゼロではありません。ごくまれではありますが、追跡調査などで実際に異常が確認されたケースも報告されています。検査結果に過信せず、必要に応じて医師との相談や追加の検査を行うことが大切です。

実際の20代受検者の体験談

公に発表されている個別の体験談は限られていますが、クリニックのコラムなどでは若い方々の事例が紹介されており、そこから見える傾向や考え方には特徴があります。

受けた場合の感想と考え方

  • 「早く不安を軽くしたかった」
    20代で妊娠が判明してから、NIPTを受けて陽性・異常が出なかったことで「安心できた」という声が多い。検査を受けたことで、自分自身・パートナーが心の準備をできたという例。
  • 「結果を待つ期間がつらかった」
    精度が高くても、判定保留や陽性結果時には不確かな部分が残るため、追加検査のための時間が精神的に大きな負担になるケース。
  • 「情報が足りなかった/説明が十分でなかった」
    特に性染色体異常微小欠失などの拡張検査を含めるプランを選んだ場合、その疾患の将来像、支援体制などを事前に十分理解できていなかったという反省をする人もいる。
  • 「後悔しない選択だった」
    陽性が出なかったこと、あるいは陽性だったとしても確定検査を受けて選択肢を考えるという準備ができたことで、「受けてよかった」という気持ちを持つ人も少なくない。

受けなかった場合の判断理由

  • コストが高い/保険適用外で負担が大きい。
  • 精度に完璧さがないことがわかっているので、「陽性になってもどうするか」が決まっていないと受けることが怖い。
  • 結果によって人生を急いで判断することになることへの抵抗。
  • 検査対象が限定的であることや、拡張検査を含まないプランでは「知りたいこと」がわからないかもしれないという思い。
  • ご自身の価値観・宗教・倫理観に基づき、「知ることで得るもの」より「知らずに自然に任せたい」という考えを選ぶ人もいる。

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スーパーNIPT・精度の高い検査が受けられる施設

「スーパーNIPT」「第3世代NIPT」と呼ばれる高精度・拡張検査対応型のプランを掲げている施設があります。特徴や注意点を以下に整理します。

  • ミネルバクリニック
    日本で「スーパーNIPT(第3世代)」をうたしており、MEDICOVER社と独占契約を持つ検査機関を利用している施設として紹介されています。第1世代・第2世代ではわからない異常を検出可能な範囲を拡げているとされます。  プランによって、全染色体異数性、微小欠失を含むものなどがあり、オンライン診療や全国対応をする拠点も持っています。 
  • 認証施設 Vs 非認証施設
    日本には「NIPTを実施する認証施設」があり、これら施設は一定の基準(遺伝カウンセリング体制、産婦人科・小児科医師の常勤、検査分析機関の品質など)を満たしており、実施施設・分析施設とも認証を受けている。  非認証施設でもNIPTを提供しているところはあるが、検査前後のフォロー、遺伝の専門医・カウンセラーがどこまで対応できるか、また検査範囲・品質・実績などをよく確認する必要がある。 
  • 設備・検査内容の拡充
    全染色体異数性検査、微小欠失/重複の検出など、拡張項目を持つプランのある施設もある。これによって見つかる異常の種類が増える反面、「偽陽性率が上がる」「追加検査・情報提供が不可欠」な課題も増える。 

NIPTを受ける前に考えておくべきこと

20代・若い年齢でNIPTを検討するとき、以下を前もって考え相談しておくことをおすすめします。

パートナーと相談するポイント

  • 結果が「陽性」「判定保留」となったとき、どういう選択肢を取りうるか(追加検査を受けるか、中断の可能性を考えるか、療育や支援を考えるか等)について価値観を共有しておく。
  • 倫理的・感情的な側面:異常があったとして、「知りたい」「知らないでいたい」「準備したい」「自然に任せたい」など、パートナーそれぞれの思いを話し合い、後悔しにくい決断の準備をする。
  • 費用と時間の影響:検査費用、検査のための通院・輸送、結果が出るまでの待機期間、追加検査のスケジュールなどが生活に与える影響を見積もる。

検査結果の受け止め方と判断の準備

  • 検査は「はっきり異常がある/ない」を診断するものではなく、「リスクが高い/低い」を探るスクリーニング検査であることを理解する。陽性でも確定ではない。確定するとしても確定検査にはリスク・費用・時間がかかる。 
  • 陽性結果後の対応(確定検査、サポート体制、産後・育児・医療福祉の制度・環境など)を調べておく。地域によっては支援・医療サービスが限定されていることもある。
  • ストレス・精神的負担の準備:結果を待つ心理的時間、決断を迫られる場面など、あらかじめ起こりうる心の負担を想像し、相談相手(家族・友人・専門家など)を確保しておく。
  • 情報源・医療機関の信頼性を確認する:認証施設かどうか、遺伝専門医・遺伝カウンセラーがいるか、検査実績、過去の追跡調査データ、公表されている偽陽性・偽陰性率などを尋ねる。

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まとめ

20代という年齢は、出生前診断NIPT)における「リスク発生のベース率」が高齢者よりは低いため、統計上陽性的中率などで不確かさが残る部分があります。しかし、それでもNIPTには若い妊婦さん・ご家族にとって多くのメリットがあります:

  • 早期に情報を得ることで不安を軽減できる
  • 異常の可能性を知ってからの準備(医療・支援・心の整理など)ができる
  • 将来の選択肢を持つことができる

ただし、以下の注意点を踏まえて受検することが望ましい:

  • NIPTはスクリーニング検査であり、「陽性=確定」ではない。確定診断が必要なケースがある。
  • 偽陽性・判定保留・偽陰性の可能性がゼロではない。特に若年者で胎児異常頻度が低い場合は、陽性的中率が下がる可能性がある。
  • 検査の範囲(どこの染色体異常まで調べるか)、検査施設の信頼性、フォローアップ体制を事前に確認すること。
  • 結果を受けてどうしたいか、自分たちの考えをパートナーと共有しておくこと。

若い妊婦でもNIPT(出生前診断)を受けるべき?20代でのリスク、検査の種類や精度、陽性的中率、実際の体験談、受ける前に考えるべきポイントをわかりやすく解説します。

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