こんにちは。未来のあなたと赤ちゃんを笑顔にする、おかひろしです。
このコラムでは、NIPT(新型出生前診断)を中心に、医学的根拠に基づいた情報を、感情論ではなくデータで分かりやすくお届けしています。
「パイプカット」、すなわち**精管結紮術(せいかんけっさつじゅつ)**という言葉を聞くと、「男性機能が落ちるのではないか」「去勢と同じではないか」と不安や抵抗を感じる方も多いでしょう。日本ではまだ馴染みが薄い手術ですが、世界的に見ると、男性が主体的に避妊の責任を担う方法として広く普及しています。
しかし、この手術は極めて高い避妊効果を持つ一方で、実質的に元に戻せない不可逆的な選択でもあります。
本記事では、パイプカットに関する誤解を科学的に解き、その避妊効果と手術の具体的な内容、そして**「後悔しないための条件」**を徹底的に解説します。
パイプカット(精管結紮術)は、男性の生殖システムの一部である精管を、物理的に遮断する手術です。
| 項目 | パイプカット(精管結紮術) | 去勢(精巣摘出術) |
| 目的 | 精子の遮断による避妊 | 精巣の除去(主にがん治療) |
| 精巣 | 残る | 除去する |
| 男性ホルモン | 分泌され続ける | 分泌されなくなる |
| 影響 | 性機能や性欲、体格に影響しない | ホルモンバランスが崩れ、体格・声・性欲に影響する |
パイプカットは去勢とは全く異なる手術であり、「男性機能が落ちる」という心配は不要です。

パイプカットの避妊効果は非常に高く、約99%以上とされています。これは、女性が主体となる避妊法である子宮内避妊具(IUD/IUS)や、正しく服用した場合の経口避妊薬(ピル)と同等か、それ以上の確実性です。
| 避妊方法 | 実際の使用環境での避妊率(目安) |
| パイプカット | 99%以上 |
| 子宮内避妊具(IUD/IUS) | 99%以上 |
| 経口避妊薬(ピル) | 90%台前半(飲み忘れ含む) |
| コンドーム | 85%程度(装着忘れや破損含む) |
一度手術をすれば、**「毎回意識する必要がない」**のがパイプカットの最大の強みであり、精神的な安心感をもたらします。
【注意点:術後の避妊】
手術直後は精管内に残っていた精子が排出されるまで、避妊効果は完全ではありません。通常、20〜30回程度の射精を経て、3か月後に精液検査で精子がいないことを確認するまで、必ずコンドームなどを併用する必要があります。
パイプカットは、複雑な手術ではありません。
日本ではパイプカットは保険適用外のため、費用は5〜10万円程度が目安です。長期的な避妊のコストや精神的な安心感を考慮すれば、経済的なメリットも十分にあります。
世界的に見ると、カナダ(22%)やイギリス(21%)、韓国(16.8%)などでは男性の避妊法として一般的ですが、日本の実施率は推定1%未満と非常に低く、男性が主体的に避妊の責任を担うという意識がまだ浸透していない現状があります。

パイプカットを検討する上で、最も深く考えるべきは、不可逆性(元に戻せないこと)です。
精管を再びつなげる精管再建術という手術はありますが、成功率は非常に低く、年数が経つほど妊娠成立の可能性は下がります。
したがって、パイプカットは**「実質的には元に戻せない手術」**と考え、将来、絶対に子どもを望まないという確信があって初めて検討すべき選択です。
海外の調査では、パイプカットを受けた男性の5〜10%が後悔していると答えています。
特に、20代などの若い年代や、パートナーとの関係が不安定な時期に決断した場合に後悔が多い傾向があります。
今日は、【パイプカット】という、男性の避妊手術についてお話ししました。
**「本当に子どもを望まないかどうか」**という人生の重大な問いを、パートナーと真摯に話し合う機会として、この情報をご活用ください。
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