概要
第V因子は血液凝固に関与する重要なタンパク質で、凝固カスケードにおいてトロンビン生成を促進する役割を担っています。第V因子に異常があると、血液が固まりやすくなったり、逆に固まりにくくなったりするなど、止血・血栓形成のバランスが崩れます。
本疾患に関連する代表的な遺伝子異常がF5遺伝子変異であり、特にFactor V Leiden変異は第V因子が活性化プロテインCによる不活化を受けにくくなり、血栓ができやすい状態(血栓性素因)を引き起こします。これにより、若年発症の深部静脈血栓症や肺塞栓症などのリスクが高まります。
疫学
Factor V Leiden変異は欧米人で最も頻度の高い遺伝性血栓性素因であり、白人の約5%が保因者とされています。アジア人では頻度は極めて低いとされています。
原因
病因
本疾患はF5遺伝子の変異によって発症します。Factor V LeidenではF5遺伝子の特定の変異(Arg506Gln)が起こり、活性化プロテインCによる分解が阻害されます。その結果、第V因子の凝固促進作用が過剰に持続し、血液が固まりやすくなります。
遺伝形式
常染色体優性遺伝(不完全優性)とされます。
遺伝子検査について
F5遺伝子は当院の遺伝子検査で解析可能です。
症状
血栓症関連
- 深部静脈血栓症(下肢の腫脹・疼痛)
- 肺塞栓症(息切れ、胸痛)
- 脳静脈血栓症
その他
診断
- 若年発症または再発性血栓症から疑います。
- 凝固検査でAPC抵抗性を確認します。
- 遺伝子検査でF5変異を同定することで確定診断となります。
治療
無症状の保因者は経過観察となることが多く、血栓症を発症した場合は抗凝固療法を行います。
- 抗凝固薬(ワルファリン、DOACなど)
- リスク状況(手術、妊娠、長期臥床)に応じた予防投与
- 生活指導(長時間座位回避、水分摂取)
【参考文献】
- GeneReviews®: Factor V Leiden Thrombophilia
- MedlinePlus Genetics: Factor V Leiden thrombophilia
- OMIM: F5-related thrombophilia
- 難病情報センター:血栓性素因
