シスチノーシス(シスチン症)

シスチノーシス(シスチン症)シスチノーシス(シスチン症)

概要

腎臓、眼の角膜、甲状腺、膵臓など全身のさまざまな臓器の細胞にシスチンが蓄積する病気です。

日本における正確な発症頻度は検討されていません。過去には少なくても20数名のシスチノーシス疑いの方が報告されていました。2018年5月時点では10数名のシスチノーシスの方がいらっしゃいます。欧米の発症頻度は約10万から20万人に一人です。発症頻度が高い地域では、フランスのブルターニュ地域で26000人に一人、カナダのケベック地域では62500人に一人と言われています。

原因

シスチンを排出する輸送体のシスチノシンの遺伝子(CTNS遺伝子)がうまく働かなくなることが原因です。CTNS遺伝子が変化するとシスチノシンがシスチンをライソゾームから排出することができなくなり、全身の臓器の細胞に蓄積します。

CTNS遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

乳児期に腎臓の症状(尿蛋白、尿糖、アミノ酸尿などが生じるるファンコーニ症候群)、体重増加不良、多飲多尿、吐き気、嘔吐や口渇(口がかわく)などがあらわれます。

診断

あらわれている症状の組み合わせから、シスチノーシスを疑います。シスチノーシスの診断基準は、以下のいずれかひとつの所見がある場合です。細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査による角膜のシスチン結晶の同定、多核白血球中のシスチン量の増加。

①腎症状
腎性ファンコニー症候群に対しては、水分、電解質、アシドーシスの補正、くる病骨病変に対してはリン酸塩、ビタミンD補充が行われます。腎不全が進行した場合は腎臓移植が適応となります。
②内分泌異常
甲状腺機能低下症に対する経口L-サイロキシン投与や糖尿病に対するインスリン投与、原発性性腺機能低下に対するテストステロン投与、成長障害に対する成長ホルモンが有効です。
③眼症状
角膜のシスチン結晶減少のため、1日10回から12回、システアミンの点眼を行ないます。
④システアミン内服
細胞内のシスチンを除去するため、システアミンの内服を行ないます。小児は1日当たり60-90mg/kg、成人は1回500mgを6時間おきに経口内服します。

【参考文献】

難病情報センター – シスチノーシス(シスチン症)