妊娠中でも、加熱殺菌されたプロセスチーズや十分に加熱したナチュラルチーズであれば、リステリア菌の心配なく食べられます。避けたいのは、非加熱のまま熟成させた輸入系のナチュラルチーズです。
「チーズは好きだけど、妊娠中は何がダメなのかよくわからない」——そう感じている方は少なくありません。本記事では、避けるべきチーズと安心して楽しめるチーズの見分け方を、リステリア菌のリスクとあわせて解説します。パッケージの表示を確認する習慣をつけるところから始めてみてください。
この記事でわかること
- 妊娠中に注意すべき「リステリア菌」の感染リスクと胎児への影響
- 避けるべきチーズと安全に食べられるチーズの具体的な見分け方
- 非加熱のナチュラルチーズでも「加熱すれば」食べられる理由
- 外食やパーティーでチーズが出たときの注意点
- チーズ以外に妊娠中気をつけたい食品と、栄養面での上手な取り入れ方
1. 妊娠中にチーズで注意すべき理由は「リステリア菌」
チーズが妊娠中に注意される最大の理由は、リステリア菌による食中毒リスクです。正式名はリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)といいます。妊娠していない状態なら軽い風邪症状で済むことが多い菌ですが、妊娠中は胎児への影響が出ることがあるため区別して考える必要があります。
1.1 リステリア菌とはどんな菌か
リステリア菌は土壌や河川水、動物の腸管内など、自然界に広く分布する細菌です。厚生労働省によると、4℃以下の低温や高い塩分濃度の食品中でも増殖できるのが特徴です。冷蔵庫に入れておけば安全、というわけではありません。
加熱には弱く、しっかり火を通せば死滅します。問題になりやすいのは、非加熱のまま冷蔵保存され、そのまま食べられる食品。ナチュラルチーズのほか、生ハムやスモークサーモン、肉や魚のパテなども同じ理由で注意が必要とされています。
1.2 妊娠中は感染しやすく、胎児への影響もある
妊娠中は免疫のはたらきが通常と異なる状態になり、リステリア菌に感染しやすいことが知られています。国立健康危機管理研究機構によると、潜伏期間は1日から1カ月程度(通常は約3週間)と幅があります。発熱や頭痛、嘔吐といった症状が出ることがあります。
妊娠中に感染した場合は、胎盤を通じて胎児に感染する「母子感染(垂直感染)」が起こることがあります。流産や早産につながる可能性があるため注意が必要です。食品安全委員会も、妊娠前から注意すべき食品としてナチュラルチーズを挙げています。
1.3 感染した場合に起こりうること
リステリア症は、感染したタイミングや重症度によって影響の出方が変わります。主なリスクを整理しました。
| 時期・状況 | 起こりうる影響 |
|---|---|
| 妊娠中の母体感染 | 発熱・頭痛・嘔吐など、風邪に似た症状が出ることがある |
| 胎盤を通じた母子感染 | 流産・早産につながる可能性がある |
| 出生後の新生児感染 | 敗血症や髄膜炎を発症するケースがある |
| 重症化した場合 | 意識障害やけいれんを伴う髄膜炎に至ることもある |
国立健康危機管理研究機構によれば、日本国内では大規模な集団発生は確認されておらず、あくまで散発的な事例にとどまっています。むやみに不安を感じる必要はありませんが、避けられるリスクは事前に把握しておくと安心です。
実際にSNS上でも、リステリア菌のリスクを踏まえてチーズの選び方を意識している声が見られます。「アメリカでチーズのリステリア菌中毒が発生しているというニュース」に触れつつ、「熱に弱い菌なので、日本国内では保健所の指導などで基本的には生乳の加熱殺菌される」と説明していた乳業メーカー勤務の@umomousioさんの投稿は、不安を煽らず正しく理解する視点として参考になります。
2. 妊娠中に避けたいチーズの種類【一覧表】
妊娠中に避けたいのは、加熱殺菌されていない非加熱タイプのナチュラルチーズです。特に輸入品の白カビ・青カビタイプは、リステリア菌のリスクが比較的高いとされています。
2.1 非加熱のナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、乳を乳酸菌や酵素で発酵させ、乳清を除いて固めた(または熟成させた)チーズのことです。生きた乳酸菌が含まれているため熟成が進み、風味が変化していくのが特徴です。ただし非加熱のまま製造されるタイプは、リステリア菌のリスクが残ります。
避けたい代表的なナチュラルチーズ
- カマンベールチーズ・ブリーなどの白カビタイプ
- ロックフォール・ゴルゴンゾーラなどの青カビタイプ
- フェタ・モッツァレラなど、未加熱表示のフレッシュタイプ
- 「生乳使用」「非加熱」と表示された輸入ナチュラルチーズ
プロセスチーズについて「食欲があまりない時でも効率的にカルシウム取れるのチートアイテムすぎる」と述べつつ、「ナチュラルチーズはリステリア菌の観点からなるべく避けた方がいい」と投稿していた@omiya_kyuさんのように、妊娠中はナチュラルチーズとプロセスチーズを区別して選んでいる方が多いようです。
2.2 表面が白カビ・青カビで覆われたチーズ
熟成の過程でカビを利用するタイプのチーズは、加熱殺菌されないままパッケージ化されることが多く、妊娠中は避けた方が無難です。表面だけでなく内部にもカビの成分が浸透しているため、表面を取り除いても安全性は変わりません。

筆者自身、妊娠が分かってからカマンベールを我慢していた時期があり、スーパーでパッケージの表示を隅々まで確認する習慣がつきました。同じような戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
3. 妊娠中でも安心して食べられるチーズの見分け方
すべてのチーズを避ける必要はありません。加熱殺菌されたプロセスチーズや、十分に加熱調理したナチュラルチーズであれば、妊娠中でも安心して食べられます。
3.1 プロセスチーズは加熱殺菌済みで安心
プロセスチーズは、ナチュラルチーズに乳化剤などを加えて一度加熱溶解し、再び成形したものです。製造工程で加熱処理を行うため乳酸菌は死滅しており、保存性にも優れています。6Pチーズやスライスチーズなど、日常的によく見かけるタイプの多くがこのプロセスチーズにあたります。
3.2 ナチュラルチーズでも「加熱」すれば食べられる
ナチュラルチーズだからといって、妊娠中に一切口にできないわけではありません。リステリア菌は加熱に弱いため、ピザやグラタンのように十分に加熱調理されたチーズであれば、種類を問わず心配はいりません。
食品安全委員会によると、多くの細菌やウイルスは中心温度75℃で1分以上の加熱により死滅します。カマンベールも、トーストで熱々に焼く、グラタンに使うといった調理法なら妊娠中でも楽しめます。
| チーズの種類 | 妊娠中の安全性 |
| プロセスチーズ(6P・スライス等) | 製造時に加熱殺菌済みでそのまま安心 |
| 国産ナチュラルチーズ(加熱殺菌済表示あり) | パッケージの表示を確認できれば安心 |
| ナチュラルチーズ(非加熱・輸入生乳表示) | そのままは避け、加熱調理してから食べる |
| ピザ・グラタンなど加熱調理済み料理 | 中心部まで熱が通っていれば安心 |
3.3 パッケージ表示の確認ポイント
「加熱殺菌済み」「要加熱」「妊娠中の方はお控えください」といった注意書きがパッケージに記載されていることがあります。購入前にラベルを確認する習慣をつけましょう。迷ったときは、店員やメーカーの問い合わせ窓口に確認するのも一つの方法。
4. 外食・パーティーでチーズが出たときの注意点
外食やホームパーティーでは、どのチーズが使われているか分かりにくい場面が多く、事前に伝えておくことが安心につながります。カプレーゼやチーズ盛り合わせは、非加熱のモッツァレラやナチュラルチーズが使われていることが少なくありません。
妊娠中であることを周囲に伝えていても、対応に戸惑いを感じる場面はあるようです。「事前に妊娠中でナチュラルチーズと生肉無理と伝えたら、カプレーゼのチーズは生ハムになり、ステーキはよく焼きで出された」という@ka2ka2daisukiさんの投稿のように、良かれと思った対応がかえって驚きにつながることもあります。気になる場合は「加熱済みかどうか」「ナチュラルチーズかどうか」を具体的に確認しておくと安心です。
外食全般での注意点は、妊娠中でも外食を楽しむための注意点で詳しく紹介しています。お店選びやメニューの伝え方に迷ったら、あわせて確認してください。
食生活のリスク管理だけでなく、赤ちゃんの染色体・遺伝的な状態が気になる方も多いはずです。NIPTについて相談したい場合は、上記の窓口からお問い合わせください。
5. チーズは妊娠中の栄養にも役立つ食品
チーズは、カルシウムやたんぱく質、ビタミンB2など、妊娠中に必要な栄養素をバランスよく含む食品です。安全な種類を選べば、無理に避ける必要はありません。
5.1 妊娠中に役立つ主な栄養素
チーズには、胎児の成長や母体の体調維持に関わる栄養素が含まれています。
- カルシウム:胎児の骨や歯の形成に不可欠な栄養素です。
- たんぱく質:胎児の成長と母体の体調維持を支えます。
- ビタミンB2・ビタミンA:代謝や皮膚・粘膜の健康維持に関わります。
実際に、「チーズと牛肉でタンパク質とカルシウムが沢山取れるから実は妊娠中の人にとって一番いい食べ物の可能性ある」という声も見られます。栄養価の高さは、多くの方が実感しているポイントのようです。筆者も、安全な種類だと分かってからは罪悪感なくチーズを楽しめるようになりました。
5.2 適量を意識した取り入れ方
ただし、脂質や塩分が高い製品もあるため、量には注意が必要です。1日あたり20〜30g程度を目安に、安全な種類を選びながら、日々の食事に取り入れてください。カフェインなど他の摂取制限がある食品と合わせて管理すると、より安心です。
カフェインの摂取量については、妊娠中に控えるべきカフェイン摂取量で詳しく解説しています。チーズとあわせてコーヒーや紅茶を楽しみたい方は、目安量を確認しておくと安心です。
6. チーズ以外にも妊娠中に注意したい食品
妊娠中はチーズ以外にも、リステリア菌や他の食中毒菌のリスクがある食品がいくつかあります。まとめて把握しておくと、日々の献立を考えやすくなります。
| 食品名 | 主なリスク要因 |
| 生ハム・肉や魚のパテ | リステリア菌 |
| スモークサーモン | リステリア菌 |
| 加熱不十分な肉(レア肉等) | トキソプラズマ・リステリア菌 |
| 非加熱の生乳・ジュース | 細菌汚染の可能性 |
実際に「リステリアとトキソプラズマのことを考えると、肉は絶対生で食べられない」「生ハム、チーズ、ローストビーフ、鶏ハム、スモークサーモンとか大好きで低温調理もよくしてたけど妊娠中は我慢するしかない」と投稿していた@sausageandbasilさんのように、チーズ単体だけでなく生ハムや魚介の加工品にも同じ考え方で気をつけている方が多いようです。
妊娠中に控えたい食べ物の全体像は、妊娠中に控えるべき食べ物リストで網羅的にまとめています。チーズ以外の注意点もあわせて確認しておくと、献立づくりの参考になります。
生ものについては、妊娠中の刺身や寿司はOK?気を付けるべきポイントでも詳しく解説しています。お寿司やお刺身が気になる方は、こちらもあわせてご覧ください。
7. よくある質問(FAQ)
妊娠中のチーズについて、よく寄せられる質問をまとめました。
Q1. カマンベールチーズは絶対に食べてはいけませんか
非加熱のままであれば避けたい食品ですが、絶対に食べられないわけではありません。トーストやグラタンなど、中心部までしっかり加熱調理したうえで食べる分には心配ありません。
Q2. 6Pチーズやスライスチーズは食べても大丈夫ですか
6Pチーズやスライスチーズの多くはプロセスチーズで、製造工程ですでに加熱殺菌されています。そのまま食べても問題ありません。
Q3. ピザやグラタンのチーズは加熱されていれば安心ですか
はい。ピザやグラタンのように中心部まで十分に加熱される料理であれば安心です。使われているチーズの種類を問わず、リステリア菌の心配は基本的にありません。
Q4. 妊娠中にリステリア菌に感染すると必ず流産になりますか
必ず流産になるわけではありません。ただし、胎盤を通じた母子感染により、流産や早産につながる可能性が報告されています。体調に不安がある場合や発熱などの症状がある場合は、自己判断せずかかりつけ医に相談してください。
Q5. 授乳中もチーズの注意点は妊娠中と同じですか
授乳中は、妊娠中ほど厳密にリステリア菌を気にする必要はないとされています。ただし体調に不安がある時期は、加熱済みのチーズを選ぶと安心です。栄養バランスを意識しながら、適量を心がけてください。
Q6. パッケージに表示がないチーズはどう判断すればよいですか
表示が見当たらない場合は、念のため加熱調理してから食べる、もしくは購入を控える方が安全です。判断に迷うときは、店舗の問い合わせ窓口やメーカーに確認する方法もあります。
まとめ:チーズは正しく選べば妊娠中の味方に
チーズには確かにリステリア菌のリスクがあります。ただし加熱殺菌済みのプロセスチーズを選ぶ、あるいはナチュラルチーズも十分に加熱してから食べることで、そのリスクは避けられます。大切なのは「何を食べるか」ではなく「どう選び、どう食べるか」という視点。
まず着手するなら、冷蔵庫にあるチーズのパッケージを確認し、加熱殺菌済みかどうかをチェックすることから始めてみてください。外食時は、ナチュラルチーズが使われていないか事前に確認する習慣も安心につながります。
食生活のリスク管理と同じく、赤ちゃんの状態を早めに把握したい方も多いはずです。そんな方には、NIPT(新型出生前診断)も選択肢の一つです。食生活と医療の両面から、母子ともに健やかな妊娠期間を目指しましょう。
【監修者】岡博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック 統括院長 / Labo Director
慶應義塾大学医学部を卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格。臨床研修を経て、わずか2年で医学博士号を取得しました。専門職大学の客員教員も務め、国内に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有しています。妊娠中の食生活相談や出生前検査に関する幅広い知見をもとに本記事の監修を行いました。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
