妊娠初期の出血はおよそ4人に1人が経験し、半数以上はそのまま妊娠が続きます。着床出血・絨毛膜下血腫・切迫流産・異所性妊娠など7つの原因を一覧で整理し、すぐ受診すべき出血と様子を見てよい出血の境目、色や量から分かることを解説します。
妊娠初期の出血は珍しいことではなく、妊婦さんのおよそ4人に1人が経験するといわれています。そのうち半数以上は妊娠が問題なく続きます。ただし、なかには急いで受診が必要な出血もあります。この記事では、妊娠初期に起こる出血の原因を整理し、様子を見てよいものと、すぐに受診すべきものの見分け方を解説します。
この記事のまとめ
妊娠初期の出血で最も多いのは、少量で数日以内に止まるものです。一方で、強い腹痛をともなう出血、レバー状の塊が出る出血、片側だけの激しい痛みは、すぐに受診が必要です。
①どのくらいの人に起こるか
妊娠初期の出血はおよそ4人に1人が経験し、その半数以上はそのまま妊娠が続きます。
②様子を見てよい出血
おりものに混じる程度の茶色い出血で、痛みがなく、数日で止まるもの。次の健診で伝えれば十分です。
③すぐに受診すべき出血
生理2日目より多い、レバー状の塊が出る、強い腹痛や片側だけの痛みがある、立ちくらみがする。この場合は夜間・休日でも連絡してください。
この記事でわかること
- 妊娠初期の出血で考えられる7つの原因と、その見分け方
- 色・量・痛みの有無から読み取れること
- すぐ受診すべき出血と、次の健診まで待ってよい出血の境目
- 出血が続くとき、いつまで様子を見てよいか
妊娠初期の出血はどのくらいの人に起こる?
妊娠初期(妊娠15週まで)に性器出血を経験する方は、およそ20〜25%とされています。決して珍しいことではありません。
そして、出血があった方のうち半数以上はそのまま妊娠が続きます。出血=流産、ではありません。
ただし、出血の原因はひとつではなく、なかには緊急の対応が必要なものも含まれます。原因ごとの特徴を知っておくと、落ち着いて判断できます。
妊娠初期の出血で考えられる7つの原因
妊娠初期の出血には、大きく分けて次のような原因があります。
| 原因 | 時期の目安 | 出血の特徴 | 緊急度 |
|---|---|---|---|
| 着床出血 | 妊娠3〜4週 (生理予定日の前後) | ごく少量。ピンク〜茶色。1〜3日で止まる | 低 |
| 子宮腟部びらん・ポリープ | いつでも | 内診や性交渉のあとに少量。痛みなし | 低 |
| 絨毛膜下血腫 | 妊娠5〜12週ごろ | 茶色〜赤。少量が続いたり繰り返したりする | 中(受診) |
| 切迫流産 | 妊娠初期全般 | 少量〜中等量。軽い腹痛や張りをともなうことがある | 中(受診) |
| 流産(進行流産・稽留流産) | 妊娠初期全般 | 量が増える。塊が出る。強い腹痛 | 高(早めに受診) |
| 異所性妊娠(子宮外妊娠) | 妊娠5〜8週ごろ | 少量でも片側の激しい腹痛。肩の痛み、立ちくらみ | 最も高い(すぐ受診) |
| 胞状奇胎 | 妊娠8〜12週ごろ | 断続的に続く。つわりが異常に強い | 高(早めに受診) |
このうち、着床出血については着床出血とは?量・色・生理との違いと着床痛、絨毛膜下血腫については絨毛膜下血腫の症状とリスクで詳しく解説しています。
すぐ受診すべき出血の見分け方
迷ったときは、次の3つを確認してください。ひとつでも当てはまれば、夜間・休日でもかかりつけに連絡してください。
1. 量 ― 生理2日目より多いか
ナプキンが1時間ももたない、レバーのような塊が出る、といった量は明らかに多すぎます。
反対に、おりものシートで足りる程度であれば、緊急性は高くないことがほとんどです。
2. 痛み ― 強い腹痛、とくに片側だけの痛みがあるか
片側だけの強い腹痛は、異所性妊娠(子宮外妊娠)のサインである可能性があります。妊娠している場所が卵管などの場合、破裂すると大量出血につながり、命に関わります。
肩の先が痛む、冷や汗が出る、意識が遠のくといった症状があるときは、救急を受診してください。
3. 全身の状態 ― 立ちくらみやふらつきがあるか
顔色が悪い、立ち上がるとふらつく、動悸がするといった症状は、出血量が体に影響していることを示します。ためらわず連絡してください。
色や量から何がわかる?
茶色い出血
茶色は、出血してから時間が経って酸化した血液の色です。いま出血しているのではなく、少し前の出血が出てきている状態を示します。
少量で止まっていくようであれば、経過を見てよいことが多い出血です。
赤い(鮮血の)出血
いま出血していることを示します。少量ならびらんやポリープからの出血のこともありますが、量が増えていく、痛みをともなうといった場合は受診してください。
ピンク色のおりもの
ごく少量の血液がおりものに混じった状態です。着床出血や、内診後の刺激によることが多く、痛みがなければ様子を見てかまいません。
生理のような出血があっても妊娠が続くことはある?
あります。実際に「いつも通りの生理が来たと思っていたのに妊娠していた」というケースは珍しくありません。
妊娠初期に生理と間違えるような出血が起こる背景には、着床出血のほか、絨毛膜下血腫やホルモンの一時的な変動があります。
詳しくはいつも通りの生理なのに妊娠してた?着床出血との違いと見分け方をご覧ください。
出血はいつまで続く?続くときはどうする?
原因によって異なります。
- 着床出血:1〜3日で止まります
- びらん・ポリープからの出血:刺激があったときだけ、1〜2日
- 絨毛膜下血腫:血腫が吸収されるまで、数日〜数週間にわたり出たり止まったりを繰り返すことがあります
1週間以上続く場合、量が日ごとに増える場合、いったん止まってからまとまった量が出た場合は、受診してください。
妊娠初期は「様子を見る」と言われることも多い時期ですが、それは医師が超音波で状態を確認したうえでの判断です。自己判断で長く様子を見ることは避けてください。
出血したときの過ごし方
出血があったときは、次のことを心がけてください。
- 横になって安静にする(絶対安静が必要かは診察のうえで判断されます)
- タンポンは使わない。ナプキンかおりものシートを使う
- 性交渉、長時間の入浴、激しい運動は控える
- 出血の量・色・いつからかをメモしておく(受診時に役立ちます)
- ナプキンの汚れ方を写真に撮っておくと、量を伝えやすくなります
なお、安静にしていれば流産を防げる、というわけではありません。妊娠初期の流産の多くは受精卵の染色体の問題によるもので、お母さんの行動が原因ではありません。「あのとき動いたせいかも」と自分を責める必要はありません。
出血と赤ちゃんの染色体の関係
妊娠初期の流産の約60〜80%は、受精卵の染色体の数の異常によるものと考えられています。これは偶然起こるもので、予防することはできません。
妊娠が順調に続いていることが確認できたあとで、赤ちゃんの染色体について調べたい場合には、妊娠10週0日から受けられるNIPT(新型出生前診断)という選択肢があります。採血だけで受けられ、流産のリスクがない検査です。
出血があった時期に検査を受けてよいかは、妊娠の状態によりますので、まずは主治医にご相談ください。
妊娠初期の出血についてよくある質問
Q. 出血があったら、すぐ病院に行くべきですか?
A. 量が多い、強い腹痛がある、片側だけ痛い、立ちくらみがするときはすぐに連絡してください。おりものに茶色が混じる程度で痛みがなければ、翌診療日の受診でも間に合うことがほとんどです。
Q. 出血があると流産しやすいのでしょうか?
A. 出血があった方の半数以上は、そのまま妊娠が続きます。ただし出血の原因は診察しないと分からないため、確認は必要です。
Q. 少量の出血が2週間続いています。大丈夫でしょうか?
A. 絨毛膜下血腫などで長引くことはありますが、2週間続いているのであれば一度受診してください。超音波で原因を確認できます。
Q. 出血しているとき、仕事は休んだほうがいいですか?
A. 業務内容によります。立ち仕事や重いものを扱う仕事の場合は、母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)を医師に書いてもらうことで、勤務時間の短縮や休業を申し出ることができます。
Q. 出血が止まったので、受診しなくてもいいですか?
A. 止まっていても、次の健診で必ず伝えてください。いつ・どのくらい・何色だったかを記録しておくと役立ちます。
まとめ
- 妊娠初期の出血はおよそ4人に1人が経験し、半数以上はそのまま妊娠が続く
- 原因は着床出血・びらん・絨毛膜下血腫・切迫流産・流産・異所性妊娠・胞状奇胎など
- 量が多い/強い腹痛/片側だけの痛み/立ちくらみのときはすぐに受診
- 茶色い出血は時間が経った血液で、緊急性が低いことが多い
- 1週間以上続く、量が増える場合は受診を
- 妊娠初期の流産の多くは染色体の偶然の問題によるもので、行動が原因ではない
妊娠初期の出血はおよそ4人に1人が経験し、半数以上はそのまま妊娠が続きます。着床出血・絨毛膜下血腫・切迫流産・異所性妊娠など7つの原因を一覧で整理し、すぐ受診すべき出血と様子を見てよい出血の境目、色や量から分かることを解説します。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

