早期NIPT検査で発見できる微小欠失症候群とは?種類ごとの概要も併せて解説

早期NIPT検査で発見できる微小欠失症候群とは?種類ごとの概要も併せて解説 ヒロクリニック NIPT

微小欠失症候群を早期発見するために注目されているのがNIPT検査です。微小欠失症候群は欠失部位の違いにより複数の疾患に区別されています。当記事では、7つの微小欠失症候群の原因や症状、治療方法などを紹介します。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

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この記事のまとめ

早期NIPTは、母体の血液に含まれる細胞外を流れるDNA(cfDNA)を解析し、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査で、施設によっては微小欠失症候群を検査項目に含みます。ただし微小欠失は一つひとつの頻度が低いため、陽性が出ても実際に疾患がある確率(陽性的中率)は基本トリソミーより下がりやすく、確定診断には羊水検査などが欠かせません。この記事では、NIPTの性質、微小欠失症候群の基礎、早期に受けられる時期、確定検査、施設選びまでをやさしくまとめました。

この記事でわかること

  • NIPTが「何を調べる非確定的検査」なのか、その性質と限界
  • 微小欠失症候群とは何か、代表的な疾患と頻度の考え方
  • NIPTで微小欠失を調べるときの対象と、陽性的中率が下がりやすい理由
  • 早期に受けられる時期の目安と、確定検査・施設選びのポイント

NIPTとは何を調べる検査か

NIPTは、母体の血液に含まれる細胞外を流れるDNA(cfDNA)を解析し、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査です。採血だけで受けられるため、母体や胎児への負担が少ない点が特徴になります。

妊娠中の母体の血液には、胎盤に由来するごく小さなDNAの断片が流れています。この細胞外を流れるDNA(cfDNA)を調べることで、対象の染色体の数に増減の傾向がないかを推定します。あくまで「傾向」を見る検査という点が、まず押さえておきたい前提です。

ここで大切なのは、NIPTが確定診断ではないという事実です。対象疾患について高い検出精度が報告される非確定的検査ではありますが、陽性という結果は「その可能性が高い」という段階にとどまります。診断を確定させるには、後述する羊水検査などの確定検査が必要になります。NIPTの位置づけをもう少し詳しく知りたい方は、NIPT(新型出生前診断)とはNIPTの仕組み・原理もあわせてご覧ください。

私自身がこれから受ける妊婦さんの相談に立ち会っていて感じるのは、「わかること」と「わからないこと」を最初に切り分けておくと、結果を落ち着いて受け止めやすいという点です。検査は不安を消すための道具ではなく、次の選択を考えるための材料。そう捉えると気持ちがすこし軽くなります。

NIPTから確定検査までの流れ 母体の採血 血液を少量 cfDNAを解析 染色体の傾向 非確定的な結果 陰性・陽性 確定検査へ 陽性のとき NIPTは傾向を調べる検査。診断の確定には確定検査が必要です
NIPTは採血で行う非確定的検査。陽性なら羊水検査などで確定します

微小欠失症候群とは

微小欠失症候群とは、染色体の一部(ごく小さな領域)が欠けることで、発達や成長にさまざまな影響があらわれる疾患群のことです。欠ける位置や大きさによって、あらわれる特徴が異なります。

染色体には多くの遺伝子が並んでいます。そのうち、ある特定の部分がわずかに欠けた状態が微小欠失です。欠失そのものは小さくても、そこに含まれる遺伝子の働きがそろわないことで、体や発達に影響が及ぶことがあります。多くは母体の年齢と関係なく、偶発的に生じると考えられています。

代表例が、22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)です。ほかにも1p36欠失症候群、5p欠失症候群(猫なき症候群)、15番染色体の領域に関わるプラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群などが知られています。名前はむずかしく見えますが、いずれも「染色体のどの場所が欠けたか」で区別されているとイメージすると整理しやすくなります。

代表的な微小欠失症候群を、欠ける染色体の場所ごとに表にまとめました。頻度はいずれも低く、一つひとつはまれな疾患です。

疾患名(別名)関わる染色体の領域知られている特徴の例
22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群22番染色体 22q11.2心臓の合併症、発達の遅れ、特徴的な顔つきなど
1p36欠失症候群1番染色体短腕の末端成長や発達の遅れ、てんかん、筋緊張の低下など
5p欠失症候群(猫なき症候群)5番染色体短腕低出生体重、成長や発達の遅れ、特徴的な泣き声など
プラダー・ウィリー症候群15番染色体 q11-q13(父由来)筋緊張の低下、肥満傾向、発達の遅れなど
アンジェルマン症候群15番染色体 q11-q13(母由来)重度の発達の遅れ、てんかん、運動の障害など
代表的な微小欠失症候群と関わる染色体の領域(特徴は一例)

症状の重さやあらわれ方には、同じ疾患でも個人差があります。表の内容は代表的な特徴の一例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。染色体そのものを治す方法は今のところなく、あらわれた症状に合わせた治療や療育が中心になります。だからこそ、家族への遺伝カウンセリングが支えとして欠かせません。

妊婦さんが出生前検査について考えているイメージ

NIPTで微小欠失を調べるときの対象と限界

NIPTで微小欠失を調べる場合、陽性が出ても実際に疾患がある確率(陽性的中率)は基本トリソミーより低くなりやすく、偽陽性に注意が必要です。だからこそ確定検査が欠かせません。

理由はシンプルです。微小欠失症候群は一つひとつの頻度がとても低いため、もともと母集団に占める割合が小さくなります。検査の精度が同じでも、まれな疾患ほど「陽性のうち本当に疾患がある割合」は下がりやすい、という統計上の性質があるためです。つまり、検査そのものが不正確なのではなく、対象の頻度の低さが的中率に影響します。

この「わかること」と「あとで分かること」の距離感は、当事者の声からも学べます。私は、検査を受けても今すぐ白黒つかない領域があるという事実を、あらかじめ知っておくほうが安心につながると感じています。Xでも@nanaka2ntmさんが、NIPTで今は分からない領域が、後になって分かることもあると当事者の視点で書いていました。検査の結果は一度きりの断定ではなく、経過の中で見えてくる部分もあります。

検査項目は施設・プランで異なる

NIPTの基本の対象は13・18・21トリソミーなど対象の染色体です。微小欠失を含めるかどうかは、施設やプランによって変わります。どの微小欠失を対象にするか、何を調べられるかも施設ごとに設計が異なるため、申し込み前に検査項目を確かめてください。NIPTでわかる範囲をもう少し広く知りたい方は、ダウン症以外にNIPTでわかることも参考になります。

陰性・陽性の結果をどう受け止めるか

陰性であっても、対象外の疾患まで否定できるわけではありません。陽性であっても、確定検査を受けるまで診断は確定しません。結果を一人で抱え込まず、検査前後の遺伝カウンセリングで医師や認定遺伝カウンセラーに相談してください。数値だけで一喜一憂せず、意味を一緒に読み解く姿勢が助けになります。

頻度と陽性的中率のイメージ 基本トリソミー 対象の頻度が比較的高い 陽性のとき本当に 当たる割合が高めになりやすい 微小欠失 対象の頻度がとても低い 陽性でも当たる割合が 下がりやすく偽陽性に注意
頻度が低い微小欠失は、陽性でも的中率が下がりやすいため確定検査が欠かせません

出生前検査の種類とNIPTの位置づけ

出生前検査には、超音波検査・母体血清マーカー検査・NIPT羊水検査などがあり、NIPTは採血で行う非確定的検査という位置づけです。それぞれ調べる内容や性質が異なります。

検査の種類を最初に整理しておくと、選択肢を落ち着いて比べられます。私は、この全体像を一枚の地図のように持っておくと、どの検査を受けるか迷ったときに立ち返れると感じています。Xでも@HY_BABYJPさんが、超音波・母体血清マーカーNIPT羊水検査といった出生前検査の種類を整理して紹介していました。まず地図を持つ、という姿勢が最初の一歩になります。

大きくは、確率や傾向を示す「非確定的検査」と、診断を確定する「確定的検査」に分かれます。母体血清マーカー検査(クアトロ検査など)は確率で示す非確定的検査です。NIPTも非確定的検査で、陽性なら確定検査へ進みます。費用の目安を知りたい方は出生前診断の費用もご確認ください。

検査性質体への負担
超音波検査形態や発育を観察する検査採血や穿刺なし
母体血清マーカー検査確率で示す非確定的検査採血のみ
NIPT対象の染色体を調べる非確定的検査採血のみ
羊水検査絨毛検査診断を確定する確定的検査お腹に針を刺す
主な出生前検査の性質と体への負担の比較

早期に受けられる時期の目安

早期NIPTは、心拍確認後、おおむね妊娠10週前後から受けられる施設があります。ただし対応する週数や検査項目は、施設やプランによって異なります。

NIPTは採血で行うため、体調が安定していれば妊娠の早い時期から検討できます。早めに受けると、結果を知ったうえで、その後の妊婦健診や相談の時間を落ち着いて確保しやすくなります。心の準備や情報収集にゆとりが生まれる点も、早期に受ける方が挙げる理由のひとつです。

一方で、早ければ早いほどよいとは言い切れません。心拍確認の前だと受けられない場合があり、施設ごとに開始できる週数の考え方も違います。妊娠週数の数え方に迷うときや、体調に不安があるときは、無理に急がず、かかりつけの産婦人科や検査施設に相談してください。焦らず、自分のペースで決めて大丈夫です。

生まれたばかりの赤ちゃんの足

陽性のあとに受ける確定検査

NIPTで陽性となったときに診断を確定させる検査が、羊水検査絨毛検査といった確定的検査です。お腹に針を刺して、細胞を直接調べます。

羊水検査は、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、胎児の細胞から染色体を調べる検査です。絨毛検査は、胎盤のもとになる絨毛を採取して調べます。いずれも診断を確定できる一方、ごくわずかに流産などのリスクが伴うため、受けるかどうかは医師とよく相談して決めます。羊水検査について詳しくは羊水検査とはをご覧ください。

ここで思い出したいのが、微小欠失は陽性的中率が下がりやすいという性質です。NIPTで微小欠失の陽性が出ても、そのまま診断が確定するわけではありません。確定検査を受けて初めて、実際に欠失があるかどうかがわかります。陽性という結果に動揺しやすい場面だからこそ、次の一手を落ち着いて選べるよう、遺伝カウンセリングの場を活用してください。

陽性となった場合の考え方や、どの疾患のリスクを調べるのかについては、ダウン症の可能性と検査もあわせて読むと理解が深まります。ひとつの結果で結論を急がず、確定検査という次の段階があることを覚えておいてください。

赤ちゃんを抱くお父さん

施設の選び方と遺伝カウンセリング

NIPTを受ける施設は、日本医学会の出生前検査認証制度などを目安に、遺伝カウンセリングの体制が整っているかで選ぶと安心です。検査の前後に相談できる環境かどうかを確かめてください。

出生前検査は、結果をどう受け止め、次にどう動くかまで含めて支えてもらえるかが鍵になります。認証を受けた施設では、検査前の説明と検査後の相談を医師や認定遺伝カウンセラーが担う体制が整えられています。認証制度の考え方や施設の一覧は、出生前検査認証制度等運営委員会の情報で確認できます。

確かめておきたいのは、次のような点です。いきなり比べようとせず、まず気になる施設で説明を聞くところから始めると選びやすくなります。

  • 検査項目:基本トリソミーだけか、微小欠失を含むか。含む場合はどの疾患が対象か。
  • 遺伝カウンセリング:検査前後に医師や認定遺伝カウンセラーへ相談できるか。
  • 陽性時の対応:確定検査への案内や、費用面のサポートがあるか。
  • 対応週数:心拍確認後の早期から受けられるか、自分の週数に合うか。

妊娠・出産に関する信頼できる情報源として、日本産科婦人科学会や、母子保健の基本をまとめたこども家庭庁 母子保健の情報も役立ちます。私は、公的機関や学会の情報に一度立ち返ってから施設を選ぶと、広告の印象に流されずに判断できると感じています。迷ったら、遠慮なく相談窓口を頼ってください。

赤ちゃんと手をつなぐ様子

よくある質問

早期NIPTと微小欠失について、妊婦さんからよく寄せられる疑問をまとめました。検討の参考にしてください。

Q. NIPTは何を調べる検査ですか?

NIPTは、母体の血液に含まれる細胞外を流れるDNA(cfDNA)を解析し、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査です。採血だけで受けられますが、診断を確定させるには羊水検査などの確定検査が必要になります。

Q. NIPTで微小欠失も調べられますか?

微小欠失を検査項目に含む施設やプランがあります。ただし対象とする疾患は施設ごとに異なるため、申し込み前に検査項目を確かめてください。微小欠失は頻度が低く、陽性でも的中率が下がりやすい点にも注意が必要です。

Q. 微小欠失で陽性が出たら必ず疾患がありますか?

いいえ、陽性がそのまま診断の確定を意味するわけではありません。微小欠失症候群は頻度が低いため、陽性が出ても実際に疾患がある確率(陽性的中率)は基本トリソミーより低くなりやすく、偽陽性の可能性があります。羊水検査などの確定検査で確かめてください。

Q. 早期NIPTはいつから受けられますか?

心拍確認後、おおむね妊娠10週前後から受けられる施設があります。対応する週数や検査項目は施設・プランで異なるため、体調や妊娠週数に不安があるときは、かかりつけの産婦人科や検査施設に相談してください。

Q. 施設はどう選べばよいですか?

日本医学会の出生前検査認証制度などを目安に、検査前後に遺伝カウンセリングを受けられる体制が整っているかで選ぶと安心です。検査項目・陽性時の対応・対応週数もあわせて確認してください。認証制度の情報は出生前検査認証制度等運営委員会のサイトで確認できます。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

Q&A

  • Q
    早期NIPT(新型出生前診断)検査は妊娠何周目まで受けられますか?
    厳密に何周目までに受けなければいけないという制限はありません。ただし、羊水検査などを考慮して早めに受けるのが望ましいでしょう。ヒロクリニックNIPTでは、エコー検査で胎児心拍を確認後すぐに検査を受けられます。
  • Q
    早期NIPT(新型出生前診断)検査の精度はどのくらいですか?
    早期NIPT検査はスクリーニング検査(非確定検査)です。確定的ではありませんが、ヒロクリニックNIPTでは精度の高い検査を実施しています。

微小欠失症候群を早期発見するために注目されているのがNIPT検査です。微小欠失症候群は欠失部位の違いにより複数の疾患に区別されています。当記事では、7つの微小欠失症候群の原因や症状、治療方法などを紹介します。

羊水検査について詳しく見る

羊水検査について詳しく見る

医師監修 監修日:2023年9月20日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2023年9月20日
水田 俊 (医師・医学博士/ヒロクリニック岡山駅前院 院長)

日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科学会認定 出生前コンサルト小児科医/小児科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2023年9月20日
新田 啓三 (医師/ヒロクリニック札幌駅前院 院長)

日本小児科学会 小児科専門医/日本アレルギー学会 所属/小児科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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