神経有棘赤血球症

神経有棘赤血球症神経有棘赤血球症

概要

神経有棘赤血球症(Chorea-acanthocytosis)は、血液中に異常な星型の赤血球(有棘赤血球症・アカントサイト)が発現し、身体のいたるところに神経障害を起こす疾患です。

この障害を持つ人々の不随意のけいれん運動は「舞踏病」と呼ばれます。男女差はほとんどありません。成人期に発症することが多く、子ども~青年期での発病はないようです。

疫学

世界中で500から1,000人が胆管有棘赤血球症を患っていると推定されています。本邦では全国に約100名程度の患者さんがいると推定されています。

原因

VPS13A遺伝子の変異が、神経有棘赤血球症を引き起こします。VPS13A遺伝子は、コレインと呼ばれるタンパク質を生成するための指示を提供します。

コレインは、細胞内のタンパク質の動きに役割を果たすといわれていますが、VPS13A遺伝子の変異は、異常に小さくて機能しないコレインを生成してしまいます。この遺伝子の突然変異が、脳と赤血球だけに影響を与える理由は不明です。

VPS13A遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。
原因
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症状

初発症状

口の周りの不随意運動、てんかん発作、強いこだわり、妄想や幻覚、抑うつなどの精神症状から発症することが多いとされています。

舞踏運動(コレア)

自分の意志とは無関係に生ずる(不随意の)顔面・四肢動きのことをいいます。舌や口唇が不随意運動をするため、発音がはっきりせず、コミュニケーションに障害を来したり、食物を飲み込む際に問題が起きたりします。

認知障害、行動異常

認知障害は比較的軽く、ある事柄に強いこだわりを持つなどの、固執性や強迫症状を示すことが多いようです。

治療

VPS13A遺伝子の機能に関しては、いまだに不明点が多く、根治療法は開発されていません。
対症療法として、舞踏運動に対しては抗精神病薬が使用され、てんかんに対しては抗てんかん薬が用いられます。

予後

進行性疾患で予後不良です。

【参考文献】