リポタンパク質リパーゼ欠損症

リポタンパク質リパーゼ欠損症リポタンパク質リパーゼ欠損症

概要

リポタンパク質リパーゼ欠損症(Lipoprotein Lipase Deficiency)は、体内の脂肪の正常な分解を妨害し、特定の種類の脂肪の増加をもたらす遺伝性疾患です。

疫学

有病率は、100万人に約1人です。カナダのケベック州の特定の地域で多く見られます。

原因

LPL遺伝子の変異が、リポタンパク質リパーゼ欠損症を引き起こします。LPL遺伝子は、リポタンパク質リパーゼと呼ばれる酵素を生成するための指示を出します。これは、主に筋肉や脂肪組織内の毛細血管の細胞表面に見られます。この酵素は、リポタンパク質によって運ばれる脂肪のトリグリセリドを分解するのに役立ちます。

LPL遺伝子の変異は、リポタンパク質リパーゼ活性の低下または消失を引き起こし、酵素がトリグリセリドを効果的に分解するのを妨げます。その結果、リポタンパク質に付着したトリグリセリドが血液や組織に蓄積し、リポタンパク質リパーゼ欠損症の兆候と症状を引き起こします。

LPL遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

通常、10歳より前に徴候と症状を発症し、4分の1が1歳までに症状を示します。通常、最初の症状は腹痛で、軽度から重度までさまざまです。腹痛は多くの場合、膵炎が原因です。治療せずに放置すると、膵炎は慢性状態に発展し膵臓に損傷を与え、生命に関わる場合があります。

また、肝脾腫、発疹性黄色腫、網膜脂肪血症や、うつ病、記憶喪失、軽度の認知症などを引き起こす可能性もあります。

治療

薬物療法の効果は限定的です。海外ではリポタンパク質リパーゼ欠損症に対する遺伝子治療薬が近年認可されており、膵炎発作の減少効果が期待されています。

予後

急性膵炎の発症、重症度により生命予後が左右されます。