フェニルケトン尿症

フェニルケトン尿症フェニルケトン尿症

概要

高フェニルケトン血症(HPA)は、フェニルアラニンと呼ばれるアミノ酸が体内に蓄積するまれな遺伝子疾患です。
その原因によりフェニルアラニン水酸化酸素(PAH)の異常とその補酵素のテトラヒドロビオプテリン(BH4)の異常により分類されます。
フェニルケトン尿症(PKU)は、診断時のフェニルアラニンの量により典型的PKU,軽症PKU,軽症HPAに分類されます。

疫学

頻度は典型的PKUが約9万人に1例、HPAが約16万人に1例で両者を合わせるとPAHの異常によるHPAの頻度は約7.6万人に1例となっています。

原因

フェニルケトン尿症(PKU)は12番染色体にあるPAH遺伝子(PAH)の変異による遺伝性疾患で常染色体劣性遺伝です。

PAH遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

PKUの新生児には最初は何の症状もありませんが、治療をしなければ、通常数か月以内にフェニルケトン尿症の兆候を示します。


未治療のPKUの兆候と症状は軽度または重度であり、次のようなものがあります。
体内のフェニルアラニンが多すぎるために引き起こされる 呼吸、皮膚、または尿のかび臭さ
発作を含む神経系(神経学的)の問題、発疹、肌、髪、目の色が薄い
小頭症、多動性、知的障害、発達の遅れなど

PKUの重症度はタイプによって異なります。
重症の場合、フェニルアラニンを分解するのに必要な酵素が不足しているか、大幅に減少しています。
これにより、高レベルのフェニルアラニンが生じ、申告な脳損傷を引き起こす可能性があります。
軽度または中等度では、重大な脳損傷のリスクが小さくなります。

診断

新生児マススクリーニング、フェニルアラニン値の測定などにより診断を行います。

治療

神経障害が発生すると、不可逆的な障害を残してしまいます。
そのため、治療は合併症を予防することです。根本的な治療はありません。
食事からのフェニルアラニンを除去した特殊ミルクが活用されています。
また、野菜や芋、果物を中心とした低タンパク食を導入することも有効です。
食事療法は生涯を通じて行う必要があります。妊娠を含むライフイベントに際して、適切なコントロールや周囲の理解も必要になる場面も多いです。

一部のタイプの患者さんでは、テトラヒドロビオプテリンと呼ばれる薬が適応になることもあります。

予後

診断してすぐに治療を開始することで、知的障害および主要な健康問題を防ぐことができます。

【参考文献】