毛細血管拡張性運動失調症

毛細血管拡張性運動失調症毛細血管拡張性運動失調症

概要

歩行開始時から明らかになる進行性運動失調症、免疫不全症、高頻度の腫瘍発生、内分泌異常症、放射線高感受性、毛細血管拡張などを特徴とする、多臓器に渡る障害が進行性に認められる遺伝疾患です。

疫学

患者数100人~1000人、人口10-15万人に1人、保因者は人口の0.5-1%

原因

1995年にATM(Ataxia telangiectasia mutated)遺伝子が、Ataxia telangiectasiaの責任遺伝子として同定されました。遺伝子は11q22.3に位置し、66のエクソンからなり、全長150KBのゲノムDNAから成ります。遺伝子産物であるATMはDNA損傷修復応答の鍵となる分子です。

ATM遺伝子であれば当院のN-advance FM+プランN-advance GM+プランで検査が可能となっております。

症状

歩行開始と共に明らかになる歩行失調(体幹失調)、小脳性構語障害・流涎、眼球運度の失行、眼振、眼球結膜・皮膚の毛細血管拡張(6歳までに50%で明らかに。8歳時までにほぼ全例)、易感染性・免疫不全症状、高頻度の悪性腫瘍発生を認めます。その他、発育不良や内分泌異常を認めることがあります。

診断

診断には血液検査を行います。 治療には抗菌薬(感染症予防のため)と免疫グロブリン製剤が用いられます。

治療

対症的治療(低γグロブリン血症に対するγグロブリン補充、感染時の抗菌薬投与、誤嚥防止など)。欧米ではDNA損傷の軽減を目的として、抗酸化薬のトライアルが行われています。

【参考文献】

難病情報センター – 毛細血管拡張性運動失調症