眼皮膚白皮症VI型

Albinism, oculocutaneous, type VI, SLC24A5

概要

眼皮膚白皮症VI型は、メラニン色素が十分につくられないために、皮膚・髪・目の色が薄くなり、視力の低下や眼振(目の揺れ)が起こる病気です。常染色体潜性(劣性)遺伝の形式をとり、SLC24A5(15q21.1)遺伝子の変化が原因となります。

眼皮膚白皮症(いわゆる「白皮症」「アルビニズム」)には、原因遺伝子の違いによっていくつもの型があります。VI型は2013年に中国の家系で初めて報告された、比較的新しく、非常にまれな型です。皮膚や髪の色の薄さは軽いことが多く、生まれたときは明るい色だった髪が、成長とともに濃くなっていくことがあります。一方で、目の症状(視力の低下、眼振、まぶしさ)は他の型と同じように現れます。

このように見た目の色の変化が目立たないことがあるため、「目の病気」として先に気づかれ、遺伝子検査ではじめてこの型とわかることも少なくありません。知的な発達や寿命には影響しないと考えられています。

原因

SLC24A5は、色素をつくる細胞(メラノサイト)のなかで、カルシウムなどのイオンを出し入れする運び屋(交換輸送体)の設計図です。

メラニンは、メラノサイトのなかの「メラノソーム」という小さな袋の中でつくられます。SLC24A5 のはたらきは、メラノソームが成熟し、メラニンを十分につくれる環境を整えることにかかわっていると考えられています。この遺伝子がはたらかないと、メラニンの量が減り、皮膚・髪・目の色が薄くなります。また、目の網膜の発達にはメラニンが必要なため、網膜の中心(黄斑)の発達が不十分になり、視力の低下につながります。

お父さま・お母さまがそれぞれ症状のないキャリア(保因者)で、その両方から変化した遺伝子を受け継いだときに発症します(常染色体潜性遺伝)。

症状

  • 視力の低下:網膜の中心(黄斑)の発達が不十分なためで、この病気で生活にもっとも影響する症状です
  • 眼振:目が細かく揺れる症状で、乳児期に気づかれることが多いです
  • まぶしさ(羞明):虹彩の色素が少なく、光が目の中に入りすぎるためです
  • 斜視、強い屈折異常(近視・遠視・乱視)
  • 皮膚・髪の色が薄い:程度は軽いことが多く、ご家族のなかで「少し色白」と思われる程度のこともあります
  • 年齢とともに髪の色が濃くなることがある:生まれたときは金色に近い髪が、成長とともに茶色に変わっていった例が報告されています
  • 日焼けしやすく、長い年月のあいだに紫外線による皮膚の傷みや皮膚がんのリスクが高くなります

報告された患者さんの数がまだ少ないため、症状の現れ方には個人差が大きいと考えられています。

検査・診断

多くは乳児期の眼振や視線の合いにくさをきっかけに眼科を受診して疑われます。眼科では、虹彩に光が透けて見える所見(虹彩透光性)、網膜の色素の少なさ、黄斑の低形成を確認します。光干渉断層計(OCT)や視覚誘発電位の検査が役立つこともあります。

皮膚や髪の色の変化が軽いVI型では、見た目だけでは他の型や眼白皮症(目だけに症状が出る型)と区別できません。確定診断は遺伝学的検査で行い、眼皮膚白皮症VI型では SLC24A5 遺伝子に父方・母方それぞれ由来の変化が見つかります。白皮症のなかには、出血しやすさや免疫の異常など全身の症状を伴う病気もあるため、原因遺伝子を確定することには大きな意味があります。

なお、この病気は妊娠中の超音波検査では見つけることができません。

治療

現時点で、色素の不足そのものを治す治療はありません。治療の中心は、見え方を最大限に生かすための眼科的な支援と、紫外線から皮膚と目を守ることです。適切な支援を受けながら、学校生活や仕事、日常生活を送っている方が多くいます。

  • 眼科での定期的な診察:眼鏡やコンタクトレンズで屈折異常を矯正し、乳幼児期の視力の発達を支えます。斜視には手術を検討することもあります
  • まぶしさへの対策:遮光眼鏡、つばの広い帽子などを用います
  • ロービジョンケア:拡大鏡や拡大読書器、教科書の拡大、座席の配慮など、学校や職場での支援を整えます
  • 紫外線対策:日焼け止め、長袖の衣服、日中の強い日差しを避けることが大切です
  • 皮膚科での定期的な診察:紫外線による皮膚の変化や皮膚がんを早めに見つけるために役立ちます

この疾患は検査でわかります

この疾患は、原因となる SLC24A5 遺伝子を調べることで、発症前や出生前に見つけることができます。ヒロクリニックNIPTでは次の検査をご用意しています。

エクソーム解析を用いた検査(1,200種類以上)

エクソーム解析は、遺伝子のうちたんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)をまとめて読み取る検査です。この解析を行ったうえで、SLC24A5 遺伝子を含む1,200種類以上の遺伝子を対象に調べ、この疾患の原因となる変化を検出することが可能です。国内の検査所で行い、結果までの期間は5週間〜7週間です。

常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患は、ご両親がどちらも症状のない「キャリア(保因者)」であるときに、お子さまごとに4分の1の確率で発症します。検査の内容・費用・結果までの期間は キャリアスクリーニングテスト1,200+のページ をご覧ください。

専門的な解説

SLC24A5(NCKX5)はカリウム依存性ナトリウム/カルシウム交換輸送体ファミリーに属し、メラノサイトのトランスゴルジ網付近に局在する。ゼブラフィッシュ golden 変異体の原因遺伝子として同定され、メラノソームの成熟とメラニン産生に必要であることが示された。

同遺伝子のミスセンス多型 p.Ala111Thr(rs1426654)はヨーロッパ系集団でほぼ固定しており、皮膚色の集団差を説明する主要な要因の一つである。これは正常な色素多様性であり疾患ではない。これに対し、OCA6 は両アレルの機能喪失型変異によって生じる。2013年に中国人家系でエクソーム解析により初めて同定され、その後ヨーロッパ系の患者でも報告された。皮膚・毛髪の低色素は軽度〜中等度で、毛髪色が加齢とともに濃くなる例がある一方、眼振・黄斑低形成・虹彩透光性・視力低下といった眼症状は典型的な OCA と同様に認められる点が特徴である。

鑑別としては、他の非症候性 OCA(OCA1:TYR、OCA2:OCA2、OCA3:TYRP1、OCA4:SLC45A2、OCA7:LRMDA、OCA8:DCT)、X連鎖性の眼白皮症(GPR143)、さらに症候性白皮症である Hermansky-Pudlak 症候群(出血傾向・肺線維症など)や Chediak-Higashi 症候群(免疫不全)が挙がる。皮膚所見が軽いため眼白皮症や症候性白皮症との臨床的鑑別は困難であり、遺伝形式・合併症管理・遺伝カウンセリングの観点から分子診断が重要となる。

よくある質問

Q. 次のお子さまへの影響はありますか。

A. この病気は常染色体潜性遺伝のため、ご両親がどちらもキャリアの場合、お子さまごとに4分の1の確率で発症します。男の子・女の子で確率に差はありません。白皮症には遺伝形式の異なる型(X連鎖性の眼白皮症など)もあるため、原因遺伝子を確定することが重要です。

Q. 妊娠中に分かりますか。

A. この病気は妊娠中の超音波検査ではわかりません。ご両親のキャリアの状態がわかっている場合や、前のお子さまで原因遺伝子が確定している場合は、遺伝子検査による出生前検査を検討できます。遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q. 他の型の白皮症とは何が違いますか。

A. 型ごとに原因遺伝子が異なります。VI型は SLC24A5 遺伝子が原因で、皮膚や髪の色の薄さが比較的軽く、成長とともに髪の色が濃くなることがある点が特徴です。ただし目の症状は他の型と同じように現れるため、眼科での支援が大切です。

Q. 視力はどのくらいになりますか。普通に生活できますか。

A. 見え方には個人差がありますが、眼鏡などを使っても視力が十分に上がらないことが多いです。一方で、知的な発達や寿命には影響しないと考えられており、ロービジョンケアや学校・職場での配慮を受けながら、自分らしい生活を送っている方が多くいます。早い時期から眼科で相談を始めることをおすすめします。

Q. 遺伝カウンセリングでは何を相談できますか。

A. 診断の意味、次のお子さまへの影響、出生前検査や着床前検査の選択肢、ごきょうだいやご親族への影響などをご相談いただけます。判断を急がせることはありません。

参考文献

  • Wei AH, Zang DJ, Zhang Z, et al. Exome sequencing identifies SLC24A5 as a candidate gene for nonsyndromic oculocutaneous albinism. J Invest Dermatol. 2013;133(7):1834-1840.
  • Morice-Picard F, Lasseaux E, François S, et al. SLC24A5 mutations are associated with non-syndromic oculocutaneous albinism. J Invest Dermatol. 2014;134(2):568-571.
  • Lamason RL, Mohideen MA, Mest JR, et al. SLC24A5, a putative cation exchanger, affects pigmentation in zebrafish and humans. Science. 2005;310(5755):1782-1786.
  • Grønskov K, Ek J, Brondum-Nielsen K. Oculocutaneous albinism. Orphanet J Rare Dis. 2007;2:43.
  • OMIM #615312 Albinism, oculocutaneous, type VI; OCA6. Online Mendelian Inheritance in Man.
医師監修 監修日:2026年11月3日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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