概要
眼皮膚白皮症IV型(OCA4)は、髪・皮膚・目の色をつくる色素(メラニン)が不足する病気です。常染色体潜性(劣性)遺伝の形式をとり、SLC45A2 遺伝子の変化が原因となります。
欧米ではまれですが、日本人の眼皮膚白皮症ではもっとも頻度の高い型で、全体の約4分の1を占めると報告されています。症状の幅が広く、色素がよく残る方から、ほとんどない方までさまざまです。
原因
SLC45A2 遺伝子は、メラニンを作る細胞のなかにある「メラノソーム」という袋の膜ではたらく輸送体(MATP)の設計図です。この輸送体は、袋のなかの環境を整え、チロシナーゼが正しく運ばれてはたらけるようにしています。
この遺伝子に変化があるとメラニンが十分に作られず、髪・皮膚・目の色が薄くなります。メラニンは視神経の発達にも関わるため、目の症状を伴います。
症状
- 生まれたときからの髪・皮膚の色の薄さ(白色から薄い茶色まで幅があります)
- 眼振(目が細かくゆれる)、視力の低下
- 羞明(まぶしさに弱い)、斜視
- 成長とともに色素が増えることがある
- 日焼けしやすく、皮膚がんのリスクが高い
- 知的な発達や寿命に影響することはありません
検査・診断
生まれたときからの色素の減少と眼の所見(眼振、虹彩の透見、眼底の色素欠如)から診断します。日本人では、まずこの型を考える必要があります。SLC45A2 遺伝子の解析によって型を確定します。
治療
- 紫外線対策:日焼け止め(SPF50+)、帽子、長袖、UVカットの眼鏡やサングラス
- 定期的な皮膚科の受診(皮膚がんの早期発見のため)
- 眼科での視力矯正、遮光眼鏡、拡大読書器などのロービジョンケア
- 弱視や斜視に対する治療
- 学校での配慮(座席の位置、教材の拡大、まぶしさへの対応)
この疾患は検査でわかります
この疾患は、原因となる SLC45A2 遺伝子を調べることで、発症前や出生前に見つけることができます。ヒロクリニックNIPTでは次の2つの検査をご用意しています。
エクソーム解析を用いた検査(1,200種類以上)
エクソーム解析は、遺伝子のうちたんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)をまとめて読み取る検査です。この解析を行ったうえで、SLC45A2 遺伝子を含む1,200種類以上の遺伝子を対象に調べ、この疾患の原因となる変化を検出することが可能です。国内の検査所で行い、結果までの期間は5週間〜7週間です。
キャリアスクリーニングテスト(228種類)
常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患は、ご両親がどちらも症状のない「キャリア(保因者)」であるときに、4分の1の確率でお子さまが発症します。キャリアスクリーニングテストでは、ご夫婦がこの疾患のキャリアかどうかを頬の内側の粘膜から調べ、お子さまに受け継がれる可能性を、妊娠前や出生前に予測することができます。
検査の内容・費用・結果までの期間は キャリアスクリーニングテスト228 のページをご覧ください。
専門的な解説
眼皮膚白皮症IV型は SLC45A2(5p13.2)の両アレル変異による。SLC45A2がコードするMATP(membrane-associated transporter protein)は、メラノソーム膜でのpH調節とチロシナーゼの輸送に関与する。
日本人のOCAではOCA4が最多で、報告により24〜27%を占める(欧米ではOCA1・OCA2が多い)。日本人に特有の変異(p.Asp157Asn など)が知られており、日本人症例ではまずSLC45A2を検索すべきである。
表現型の幅は広く、OCA1Aに近い完全脱色素型から、色素がかなり残り診断が難しい軽症型まで存在する。眼所見(中心窩低形成、視交叉異常交叉)は色素量に依存する。
SLC45A2はヒトの皮膚色を規定する多型(p.Leu374Phe)としても知られ、ヨーロッパ人集団の明るい皮膚色に寄与している。OCA4の鑑別にはヘルマンスキー・パドラック症候群などの症候性白皮症の除外を要する。
よくある質問
Q. 日本人に多い型と聞きました。
A. はい。日本人の眼皮膚白皮症では、この型がもっとも多く、全体の約4分の1を占めると報告されています。
Q. 色素が残っているようですが、白皮症ですか?
A. この型は症状の幅が広く、色素がかなり残る方もいらっしゃいます。眼の症状(眼振、視力低下)があれば、検査をお勧めします。
Q. 視力はよくなりますか?
A. 残っている色素の量によります。ロービジョンケア(拡大読書器や遮光眼鏡など)で生活のしやすさを高めることができます。
Q. 日焼け対策はどのくらい必要ですか?
A. 毎日、屋外に出るときは必ず日焼け止めを使ってください。帽子や長袖もあわせて習慣にしていただくことが大切です。
Q. 知的な発達に影響はありますか?
A. ありません。視力への配慮があれば、通常の学校生活を送れます。
参考文献
- Newton JM, Cohen-Barak O, Hagiwara N, et al. Mutations in the human orthologue of the mouse underwhite gene (uw) underlie a new form of oculocutaneous albinism, OCA4. Am J Hum Genet. 2001;69(5):981-988.
- Inagaki K, Suzuki T, Shimizu H, et al. Oculocutaneous albinism type 4 is one of the most common types of albinism in Japan. Am J Hum Genet. 2004;74(3):466-471.
- Suzuki T, Tomita Y. Recent advances in genetic analyses of oculocutaneous albinism types 2 and 4. J Dermatol Sci. 2008;51(1):1-9.
- OMIM #606574 Albinism, oculocutaneous, type IV
