概要
眼皮膚白皮症1型(OCA1)は、髪・皮膚・目の色をつくる色素(メラニン)が作られないか、ごくわずかしか作られない病気です。常染色体潜性(劣性)遺伝の形式をとり、TYR 遺伝子の変化が原因となります。
「アルビノ」として知られる病気のなかで、もっとも症状のはっきりした型です。皮膚と髪が白く、視力の低下と眼振(目のゆれ)を伴います。紫外線から皮膚と目を守ることが、生涯にわたって大切です。
原因
TYR 遺伝子は、チロシナーゼという酵素の設計図です。この酵素は、メラニンを作る一連の反応の最初の段階を担当しています。
酵素がまったくはたらかない場合を OCA1A(生涯にわたって色素がない)、わずかにはたらく場合を OCA1B(成長とともに少し色がついてくる)と呼びます。メラニンは視神経の発達にも関わるため、目の症状を伴います。
症状
- OCA1A:生まれたときから真っ白な髪と皮膚、青みがかった虹彩。生涯変わりません
- OCA1B:生まれたときは白いが、成長とともに髪や皮膚に少し色がついてくる
- 眼振(目が細かくゆれる)、視力の低下(0.1〜0.3程度のことが多い)
- 羞明(まぶしさに弱い)、斜視、立体的にものを見る力の低下
- 日焼けしやすく、皮膚がんのリスクが高い
- 知的な発達や寿命に影響することはありません
検査・診断
生まれたときからの色素の欠如と眼の所見(眼振、虹彩の透見、眼底の色素欠如、視神経の交叉異常)から診断します。TYR 遺伝子の解析によって型を確定します。ヘルマンスキー・パドラック症候群など、出血しやすさを伴う型との区別のためにも遺伝学的検査が有用です。
治療
- 紫外線対策:日焼け止め(SPF50+)、帽子、長袖、UVカットの眼鏡やサングラス
- 定期的な皮膚科の受診(皮膚がんの早期発見のため)
- 眼科での視力矯正、遮光眼鏡、拡大読書器などのロービジョンケア
- 弱視や斜視に対する治療
- 学校での配慮(座席の位置、教材の拡大、まぶしさへの対応)
この疾患は検査でわかります
この疾患は、原因となる TYR 遺伝子を調べることで、発症前や出生前に見つけることができます。ヒロクリニックNIPTでは次の2つの検査をご用意しています。
エクソーム解析を用いた検査(1,200種類以上)
エクソーム解析は、遺伝子のうちたんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)をまとめて読み取る検査です。この解析を行ったうえで、TYR 遺伝子を含む1,200種類以上の遺伝子を対象に調べ、この疾患の原因となる変化を検出することが可能です。国内の検査所で行い、結果までの期間は5週間〜7週間です。
キャリアスクリーニングテスト(228種類)
常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患は、ご両親がどちらも症状のない「キャリア(保因者)」であるときに、4分の1の確率でお子さまが発症します。キャリアスクリーニングテストでは、ご夫婦がこの疾患のキャリアかどうかを頬の内側の粘膜から調べ、お子さまに受け継がれる可能性を、妊娠前や出生前に予測することができます。
検査の内容・費用・結果までの期間は キャリアスクリーニングテスト228 のページをご覧ください。
専門的な解説
眼皮膚白皮症1型は TYR(11q14.3)の両アレル変異による。チロシナーゼはチロシンからDOPA、DOPAキノンへの変換を触媒するメラニン合成の律速酵素である。
完全欠損型(OCA1A)と部分欠損型(OCA1B、旧称 yellow OCA)に分けられる。OCA1Bでは温度感受性変異(温度の低い四肢末端でのみ色素が形成される)を示す症例も報告されている。
眼症状の本質は網膜中心窩の低形成と、視神経の異常交叉である。メラニンは胎生期の網膜発達に必要で、その欠如により中心窩が形成されず、視力は矯正しても0.1〜0.3程度にとどまる。視交叉での交叉線維が過剰となり、両眼視機能が損なわれる。
鑑別としてOCA2(P遺伝子)、OCA3(TYRP1)、OCA4(SLC45A2)に加え、出血傾向を伴うヘルマンスキー・パドラック症候群、免疫不全を伴うチェディアック・東症候群を必ず考慮する。これらは生命予後に関わるため、遺伝学的検査による鑑別が重要である。
よくある質問
Q. 視力はよくなりますか?
A. 眼鏡で矯正しても0.1〜0.3程度にとどまることが多いとされます。ロービジョンケア(拡大読書器や遮光眼鏡など)で、生活のしやすさを高めることができます。
Q. 日焼け止めはどのくらい必要ですか?
A. 毎日、屋外に出るときは必ず使ってください。皮膚がんのリスクが高いため、帽子や長袖もあわせて習慣にしていただくことが大切です。
Q. 知的な発達に影響はありますか?
A. ありません。寿命にも影響しません。視力への配慮があれば、通常の学校生活を送れます。
Q. 成長すると色がついてきますか?
A. OCA1B では、成長とともに髪や皮膚に少し色がついてくることがあります。OCA1A では生涯変わりません。
Q. 他の型と見分ける必要はありますか?
A. はい。出血しやすさを伴う型や、感染しやすさを伴う型があり、これらは治療方針が変わります。遺伝子検査で確かめることが大切です。
参考文献
- Tomita Y, Takeda A, Okinaga S, et al. Human oculocutaneous albinism caused by single base insertion in the tyrosinase gene. Biochem Biophys Res Commun. 1989;164(3):990-996.
- Grønskov K, Ek J, Brondum-Nielsen K. Oculocutaneous albinism. Orphanet J Rare Dis. 2007;2:43.
- Lewis RA. Oculocutaneous Albinism Type 1. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle.
- Kruijt CC, de Wit GC, Bergen AA, et al. The Phenotypic Spectrum of Albinism. Ophthalmology. 2018;125(12):1953-1960.
- OMIM #203100 Albinism, oculocutaneous, type IA
