妊婦が病気になったときの治療ガイド

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妊娠中は体質や免疫の変化で病気にかかりやすくなります。妊婦が病気になった際の治療の進め方、薬の安全性、生活上の注意点、さらにNIPT活用のポイントを解説します。

妊娠したけど・・・不安
NIPTを検討してみては?

妊娠したけど・・・不安
NIPTを検討してみては?

妊娠中は、免疫力やホルモンバランスの変化により、普段より病気にかかりやすくなります。風邪や感染症だけでなく、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病など、妊娠特有の病気が発症することも少なくありません。こうした病気を正しく治療し、母子の健康を守るためには、適切な受診と安全な治療方法を知っておくことが大切です。本記事では、妊婦が病気になったときの治療の流れ、薬の選び方、生活面での注意点を詳しく解説し、最後に出生前診断NIPT)の活用方法についても触れます。

1. 妊娠中に病気になりやすい理由

妊娠中の女性の体は、普段とは大きく異なる変化を経験します。その中でも特に重要なのが 免疫機能の変化 です。胎児は母体にとって半分は「異物」ですが、それを拒絶しないように、妊娠中は免疫の働きが少し抑えられます。その結果、外から入ってくるウイルスや細菌に対する防御力が弱まり、風邪やインフルエンザ、尿路感染症などにかかりやすくなります。

さらに、妊娠すると血液量が通常よりも大幅に増加し、心臓や腎臓などの臓器に負担がかかります。これにより、もともと持っていた持病(高血圧や腎臓病など)が悪化することもあります。

また、ホルモンバランスの変化によって血糖値や血圧が不安定になりやすく、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群 など、妊娠に特有の病気が起こるリスクも高まります。これらは母体だけでなく胎児の発育にも影響を与えるため、早期の発見と管理が重要です。

このように、妊娠中は身体の防御力が弱まり、同時に負担が大きくなるため、病気にかかりやすく重症化しやすい状態にあります。そのため「妊婦だから少し休めば大丈夫」と自己判断するのではなく、体の変化を理解し、病気の予防や早めの受診につなげることが母子の健康を守る第一歩になります。

2. 代表的な病気と治療の考え方

風邪・インフルエンザ

軽い風邪症状であっても妊婦は重症化しやすく、特にインフルエンザは肺炎や早産のリスクが高まります。妊娠中でも安全に接種できるワクチンがあるため、流行期前の予防接種が推奨されます。発熱や咳が続く場合は早めに受診し、自己判断で市販薬を使用しないことが大切です。

妊娠高血圧症候群(PIH)

妊娠20週以降に発症し、高血圧やタンパク尿が見られます。放置すると母体の臓器障害や胎児発育不全を招く危険性があるため、塩分制限や安静、必要に応じた降圧薬の使用が行われます。

妊娠糖尿病

ホルモンの影響でインスリンの働きが弱まり、血糖値が上昇します。治療は食事療法や運動療法が中心で、コントロールが難しい場合はインスリン注射が検討されます。放置すると巨大児や帝王切開のリスクが高まります。

尿路感染症

妊娠中は尿の流れが滞りやすく、細菌が繁殖しやすくなります。無症状でも腎盂腎炎に進行すると高熱や早産の原因になるため、検尿で早期発見し抗菌薬治療を行います。

3. 妊娠中の薬の安全性と使い方

妊娠中に薬を使用する際は、必ず「胎児への影響」を考慮する必要があります。特に妊娠初期(4〜12週頃)は、赤ちゃんの心臓や脳、手足などの器官がつくられる大切な時期です。この時期に催奇形性(奇形を引き起こす作用)のある薬を使うと、胎児の発育に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

しかし一方で、「薬を全部避けたほうが安全」と考えて治療を遅らせてしまうのも危険です。たとえば、高血圧や糖尿病、感染症を放置すると、母体が重症化したり、胎児に酸素や栄養が届きにくくなったりする可能性があります。つまり、「薬を使わないリスク」と「薬を使うリスク」の両方を考えながら、適切な判断をすることが大切です。

薬の安全性は、

  • 妊娠の時期(初期・中期・後期で影響が異なる)
  • 薬の種類(抗菌薬、解熱鎮痛薬、降圧薬など)
  • 投与量と使用期間

によって変わります。医師はこうした点を総合的に判断し、できるだけ胎児に影響が少なく、安全性が確立されている薬を選びます。さらに、必要最小限の量・期間にとどめることでリスクを下げます。

妊婦さん自身が注意すべきなのは、自己判断で薬を中止・変更しないことです。たとえば、持病で長期間薬を飲んでいる人が「妊娠したから勝手にやめよう」とすると、病状が悪化してかえって危険になることがあります。また、市販薬やサプリメントでも妊娠中は安全でないものがあるため、必ず医師や薬剤師に相談してから使用することが大切です。

安心して治療を受けるためには、医師とよく相談しながら「使うべき薬」と「避けるべき薬」を理解し、正しく服薬管理を行うことが母子の健康を守る鍵となります。

4. 自宅療養と日常生活での注意点

妊娠中に風邪などの軽い症状が出た場合でも、妊婦さんは体力の消耗を避けることが特に大切です。無理をすると症状が悪化したり、胎児に影響が及ぶ可能性があるため、日常生活の中でいくつかの工夫を心がけましょう。

  • 安静と十分な睡眠
    睡眠不足は免疫力を下げ、回復を遅らせる原因になります。横になって体を休め、夜はもちろん昼間も短時間の休養を取り入れると効果的です。
  • 水分補給
    発熱や下痢などがあると体内の水分が失われやすくなります。こまめに水や麦茶、経口補水液を飲み、脱水を予防しましょう。冷たい飲み物より常温や温かい飲み物の方が体に負担が少なく、発汗や体温調整にも役立ちます。
  • 消化に良い食事
    体調が優れないときは、脂っこい食事や刺激の強いものは避け、消化の良いおかゆ、うどん、スープなどを取り入れると胃腸への負担を減らせます。少量ずつ回数を分けて食べるのもおすすめです。
  • 室内の環境管理
    定期的に換気を行い、新鮮な空気を取り入れましょう。また、加湿器や濡れタオルを利用して湿度を保つと、のどや鼻の粘膜が守られ、ウイルスの繁殖を防ぐ効果があります。

さらに、体調が安定しているときでも体を冷やさない工夫適度なリラックスを意識すると、免疫力の維持につながります。

ただし、症状が数日たっても改善しない場合や、急に高熱が出た・お腹が張る・胎動が減ったといった異常がある場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。

ソファで昼寝する妊婦

5. 病気予防のための生活習慣

妊娠中は病気になってから治療するよりも、日常生活の中で予防を意識することがとても大切です。小さな工夫を積み重ねることで、母体と胎児の健康を守ることにつながります。

  • 栄養バランスの取れた食事
    鉄分・葉酸・カルシウムは妊娠期に特に必要とされる栄養素です。貧血予防や胎児の神経・骨の発達に欠かせないため、毎日の食事で意識的に取り入れましょう。
  • 感染症対策
    人混みを避ける、マスクの着用、こまめな手洗いは基本的な予防策です。特にインフルエンザや胃腸炎などの流行期には、外出時の工夫が大きな差になります。
  • 適度な運動
    ウォーキングやマタニティヨガといった軽い運動は、血流を良くし、便秘や体重増加の予防にも役立ちます。無理のない範囲で続けることが大切です。
  • ストレス管理と休養
    妊娠中はホルモンの影響で気分が不安定になりやすいため、リラックスできる時間を意識的に確保しましょう。十分な睡眠と休養は、免疫力を高め病気に負けない体づくりにつながります。

こうした生活習慣を継続することで、病気の発症リスクを大きく減らすことができます。日常の中で無理なく実践し、母子ともに安心して過ごせる環境を整えていきましょう。

6. 出生前診断(NIPT)の活用と妊婦健診の重要性

妊娠10週以降に受けられる新型出生前診断NIPT)は、母体の血液から胎児の染色体情報を解析する検査です。特定の染色体数の変化を高精度で調べられ、非侵襲的で母体・胎児への負担が少ないのが特徴です。
病気の有無に関わらず、将来の出産準備や医療的サポートを考えるうえで有用な情報となります。あくまでスクリーニング検査であるため、結果は医師と相談しながら活用することが重要です。妊婦健診とあわせて行うことで、安心感を高められます。

7. まとめ

妊娠中の体は、普段とは異なる特別な状態にあり、免疫力やホルモンバランスの変化によって病気にかかりやすくなったり、症状が急速に進行したりすることがあります。風邪や感染症のような身近な病気だけでなく、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病といった妊娠特有の疾患が発症する可能性もあり、早期の気づきと正しい対応がとても重要です。

一方で、妊婦さん自身が日常生活でできる工夫も多くあります。十分な休養やバランスの取れた食事、適度な運動、感染症予防などを意識することで、病気の発症リスクを大きく減らすことができます。また、薬の使用については「避けるべき」と考えがちですが、必要な治療を遅らせることは母子ともに危険を伴うため、必ず医師の指示を守り、安全性を確認しながら適切に使うことが大切です。

さらに、出生前診断NIPT)などを上手に活用することで、病気の診断そのものではなく、将来の準備や支援体制を整えるための一助とすることもできます。定期的な妊婦健診とあわせて医師や専門家に相談しながら、自分と赤ちゃんに合った最善の選択をしていきましょう。

つまり、妊娠中の病気は決して特別に恐れるべきものではなく、正しい知識と備えがあれば、多くは予防や早期対応が可能です。小さな不調も軽視せず、医療機関や家族、地域の支援を頼りながら、安心して健やかな妊娠生活を送りましょう。

妊娠中は体質や免疫の変化で病気にかかりやすくなります。妊婦が病気になった際の治療の進め方、薬の安全性、生活上の注意点、さらにNIPT活用のポイントを解説します。

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