妊娠中の病気と赤ちゃんへの影響とは?

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妊娠中に発症しやすい病気と赤ちゃんへの影響を、最新の医学的知見に基づき解説。妊婦と胎児の健康を守るための予防・管理法も紹介。

妊娠したけど・・・不安
NIPTを検討してみては?

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この記事のまとめ

妊娠中に母体がかかる病気は、種類や感染の時期によって赤ちゃんへの影響が変わりますが、多くは手洗い・食事の注意・健診・早めの受診で予防と早期発見ができます。風疹やサイトメガロウイルス、トキソプラズマなどの感染症、そして妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群といった妊娠期特有の病気について、赤ちゃんへの影響と予防のポイントを整理しました。妊娠中は使える薬が限られるため、市販薬を自己判断で飲まず、気になる症状は必ず受診してください。過度に不安を抱えるより、できる予防から始めることが母子を守る近道になります。

この記事でわかること

  • 妊娠中に病気にかかると赤ちゃんにどんな影響があるのか、その全体像
  • 風疹・サイトメガロ・トキソプラズマなど注意したい感染症と、感染の時期による違い
  • 手洗い・食事の注意・ワクチンによる感染予防の基本と、自己判断で薬を飲まないこと
  • 妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群など自覚症状の乏しい病気を健診で見つける流れ
  • 受診・相談の目安と、NIPTなど出生前診断でわかること・わからないこと

妊娠中に病気にかかると赤ちゃんへの影響はある?

妊娠中に母体が病気にかかると、感染症の一部は赤ちゃんに影響する場合がありますが、多くは予防と早期対応でリスクを下げられます。まずは、なぜ妊娠中に体調をくずしやすいのか、その背景から見ていきます。

妊娠すると、赤ちゃんを育てるために体は大きく変化します。ホルモンの分泌が増え、血液の量もふえ、免疫のはたらきも少しずつ調整されます。赤ちゃんは母体にとって遺伝的に半分が異なる存在です。体は赤ちゃんを守るため、免疫の一部をゆるめて受け入れます。

そのぶん、風邪や感染症にかかりやすくなる時期でもあります。とはいえ、かかった病気のすべてが赤ちゃんに影響するわけではありません。影響の有無は、病気の種類・感染した時期・重さ・その後の管理によって大きく変わります。

私が妊婦さんの相談を受けていて感じるのは、「少しでも体調をくずすと赤ちゃんに悪いのでは」と自分を責めてしまう方が多いという点です。不安になるのは自然なこと。ただ、正しい知識があれば、必要以上に怖がらずに備えられます。妊娠期の体調管理については、厚生労働省 母性健康管理サイトでも職場での配慮の受け方などを確認できます。

妊娠中に注意したい感染症の種類と影響

妊娠中に赤ちゃんへ影響しうる感染症には、風疹・サイトメガロウイルス・トキソプラズマ・リステリア・インフルエンザなどがあります。それぞれ感染経路と注意点が異なるため、要点を整理しておきましょう。まずは全体像を図で確認します。

注意したい感染症と感染経路 風疹 せきやくしゃみでうつる 妊娠初期の感染に注意 サイトメガロウイルス 上の子の唾液や尿から 手洗いが基本 トキソプラズマ 生肉や加熱不十分な食品 猫の糞便に注意 リステリア ナチュラルチーズや 生ハムなどに注意
感染症ごとに経路が異なります。経路を知ることが予防の第一歩です

風疹(妊娠初期の感染に注意)

風疹は、せきやくしゃみを通してうつる感染症です。妊娠初期に母体が感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(心疾患・難聴・白内障など)が起こることがあります。予防の基本は、妊娠前に抗体があるかを確認しておくことです。

ワクチンは有効ですが、妊娠中は接種できません。接種は妊娠前、または出産後に行います。抗体が低い方は、パートナーや同居家族もあわせて接種を検討すると、家庭内でうつるのを防ぎやすくなります。抗体価の確認は健診の血液検査で行えます。

サイトメガロウイルス(上の子から)

サイトメガロウイルスは、身近にいるウイルスです。上の子の唾液や尿を介して母体に感染することがあり、手洗いが予防の基本になります。おむつ替えのあとや食べ残しを口にしたあとは、石けんで手を洗ってください。食器やスプーンの共用も、できるだけ控えると安心です。

トキソプラズマ・リステリア(食べ物から)

トキソプラズマとリステリアは、食べ物を通じてうつることがあります。生肉や加熱の足りない肉、猫の糞便に触れることでトキソプラズマに感染するおそれがあります。肉はよく加熱し、ガーデニングや猫のトイレ掃除では手袋を使い、そのあと手を洗ってください。

リステリアは、加熱していないナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモンなどにひそむことがあります。妊娠中はこうした食品を避け、加熱したものを選ぶと安心です。感染症全般の基礎知識は、厚生労働省 結核・感染症のページでも確認できます。

インフルエンザなどの発熱をともなう感染症

インフルエンザや新型コロナなどは、妊娠中に重くなりやすい面があります。高い熱が続くと母体の負担が大きくなるため、早めの受診が大切です。インフルエンザワクチンは妊娠中でも接種でき、予防の選択肢のひとつになります。くわしくは妊婦のインフルエンザワクチンをご覧ください。花粉症の時期の対処に迷う方は、妊婦の花粉症対策も参考になります。

妊娠中の感染予防の基本(手洗い・食事・ワクチン)

感染予防の基本は、こまめな手洗い・食べ物の加熱と選び方・妊娠前や産後のワクチンの3つです。むずかしいことより、毎日続けられる習慣が赤ちゃんを守ります。三本柱を図で確認しましょう。

感染予防の三本柱 手洗い 石けんと流水で 外出後や食事前 おむつ替えのあと 食事の注意 肉はよく加熱 生ハムや生チーズは 控えめに ワクチン 風疹は妊娠前か産後 インフルは妊娠中も可 医師に相談のうえ
手洗い・食事の注意・ワクチンの三本柱で、感染のリスクをやわらげます

まず、いちばん身近で効果が高いのが手洗いです。外から帰ったとき、食事の前、トイレやおむつ替えのあとに、石けんと流水でしっかり洗ってください。手には目に見えない細菌やウイルスがついています。ていねいに洗うだけで、多くの感染を防げます。

この手洗いの大切さは、当事者の方の声からも伝わってきます。Xでも@toxocmvさんが、妊娠中の感染予防としてまず石けんと流水でしっかり手を洗うこと、手には目に見えない病原体がたくさんいて赤ちゃんを病気にしてしまうものもいるかもしれない、と注意を呼びかけていました。私も同じ気持ちです。特別な道具はいりません。今日からできる基本を続けてください。

食べ物では、肉や魚をよく加熱し、生ハム・生チーズ・スモークサーモンなどは控えめにします。野菜や果物はよく洗ってから食べてください。栄養面では葉酸も欠かせません。妊娠初期の栄養づくりは葉酸の役割でくわしく紹介しています。ワクチンは、風疹など妊娠中に打てないものは妊娠前や産後に、インフルエンザのように妊娠中でも打てるものは医師に相談のうえ検討してください。

健診で見つかる病気(妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群)

妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群は自覚症状が乏しく、多くは妊婦健診の検査で初めて見つかります。症状がないからこそ、決められた健診が発見の入り口になります。

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて見つかる血糖の異常です。のどの渇きや頻尿が出ることもありますが、妊娠中は起こりやすい変化のため見分けにくいもの。健診の血糖検査で気づかれるのが一般的です。血糖が高い状態が続くと、赤ちゃんが大きくなりすぎる巨大児や、生まれた直後の低血糖につながることがあります。症状や予防は妊娠糖尿病の症状と予防でくわしく解説しています。

妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降に血圧が高くなる状態です。むくみやたんぱく尿をともなうこともあります。重くなると母体にも赤ちゃんにも負担がかかるため、健診での血圧チェックが欠かせません。血圧はわずかな変化でも医師に伝えてください。くわしくは妊娠高血圧腎症(妊娠高血圧症候群)をご覧ください。下の表に、両者の見つかり方をまとめました。

病気主な発見のきっかけ気をつけたいこと
妊娠糖尿病健診の血糖検査(24〜28週ごろのスクリーニング)自覚症状が乏しい・巨大児や新生児低血糖に注意
妊娠高血圧症候群毎回の健診での血圧・尿検査むくみや頭痛が出たら早めに相談
どちらも自覚症状が乏しく、健診での定期的なチェックが発見の鍵になります

どちらの病気も、早めに見つけて管理すれば赤ちゃんへのリスクを下げられます。自覚症状を待つのではなく、健診で拾い上げるという考え方が大切です。健診の頻度や検査内容に迷う方は、妊婦健診の頻度と検査内容もあわせて確認してください。

臨月を迎えおなかに手をあてる妊婦さん

妊娠中は薬の自己判断を避けて受診する

妊娠中は使える薬が限られるため、市販薬を自己判断で飲まず、症状が続くときは医療機関を受診してください。「たかが風邪」と我慢して長引かせるより、早めに相談するほうが体への負担が軽くなります。

薬のなかには、妊娠中に避けたほうがよいものがあります。だからといって、体調不良を放置してよいわけではありません。高い熱や強い咳、長く続く不調は、それ自体が母体の負担になります。市販薬を飲む前に、まずかかりつけの産婦人科や薬剤師に相談してください。

病気にかかって薬を思うように使えないつらさは、経験した方の言葉から伝わってきます。Xでも@Oo_SHAKEEE_oOさんが、妊娠中にコロナにかかって薬もろくに飲めず長引き、その後は喘息にもなって体調不良が続いた、と率直な体験をつづっていました。読んでいて胸が痛みます。こうした状況を防ぐためにも、早めの受診と予防が助けになります。ひとりで抱え込まず、医療機関を頼ってください。

受診のときは、妊娠していることと妊娠週数を必ず伝えてください。医師はそのうえで、妊娠中でも使える薬を選びます。自己判断で市販薬を続けるより、はるかに安心です。

受診・相談の目安とNIPTでわかること

気になる症状があるときは次の健診を待たずに相談し、赤ちゃんの染色体を調べたい場合はNIPTなどの出生前診断を検討してください。まずは受診の目安を整理します。

発熱が続く、強い頭痛やむくみがある、発疹が出た、胎動がいつもと違う。こうしたときは、自己判断せず医療機関へ相談して構いません。感染症が心配なときも、まず電話で状況を伝えてから受診すると安心です。産婦人科の一般的な情報は、日本産科婦人科学会のサイトでも確認できます。

赤ちゃんの染色体について知りたい方には、出生前診断という選択肢があります。NIPT(新型出生前診断)は、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的な検査です。陽性の結果が出た場合は、確定診断として羊水検査絨毛検査が必要になります。感染症や妊娠糖尿病そのものを調べる検査ではない点にも注意してください。

検査を受けるかどうか、受けた結果をどう受けとめるかは、ご家族で話し合って決めることです。迷いや不安があるのは自然なこと。私たちは、どんな選択も尊重します。判断に迷うときは、専門の窓口に気軽に相談してください。

よくある質問

妊娠中の病気と赤ちゃんへの影響について、妊婦さんからよく寄せられる疑問をまとめました。参考にしてください。

Q. 妊娠中に風邪をひくと赤ちゃんに影響しますか?

一般的な風邪の多くは、赤ちゃんに直接大きな影響を与えることは少ないとされています。ただし高い熱が続いたり、症状が長引いたりする場合は母体の負担になります。市販薬を自己判断で飲まず、妊娠していることを伝えて医療機関を受診してください。

Q. 風疹のワクチンは妊娠中に打てますか?

風疹のワクチンは妊娠中には接種できません。接種は妊娠前、または出産後に行います。妊娠初期に感染すると赤ちゃんに影響が出ることがあるため、妊娠前に抗体の有無を確認し、必要なら家族もあわせて接種を検討してください。

Q. トキソプラズマやリステリアはどう防げばよいですか?

肉はよく加熱し、生ハム・生チーズ・スモークサーモンなどは控えてください。トキソプラズマは猫の糞便からも感染するため、トイレ掃除やガーデニングでは手袋を使い、そのあと手を洗います。野菜や果物もよく洗ってから食べてください。

Q. 妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群は自分で気づけますか?

どちらも自覚症状が乏しく、自分で気づくのは簡単ではありません。多くは妊婦健診の血糖検査や血圧測定で見つかります。決められた健診をきちんと受けることが、早期発見のいちばんの近道です。気になる症状があれば早めに相談してください。

Q. 上の子から感染する病気はありますか?

サイトメガロウイルスは、上の子の唾液や尿を介して母体に感染することがあります。おむつ替えや食べ残しを口にしたあとは石けんで手を洗い、食器やスプーンの共用を控えると予防に役立ちます。手洗いが基本の対策になります。

Q. NIPTで妊娠中の病気もわかりますか?

NIPTは、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的な検査です。感染症や妊娠糖尿病そのものを調べる検査ではありません。陽性の場合は、確定診断のために羊水検査などの精密検査が必要です。目的に合わせて検討してください。

著者・監修

監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

妊娠中に発症しやすい病気と赤ちゃんへの影響を、最新の医学的知見に基づき解説。妊婦と胎児の健康を守るための予防・管理法も紹介。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

医師監修 監修日:2025年8月21日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年8月21日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年8月21日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン 産科編 2020. 東京: 日本産科婦人科学会; 2020.
  2. Metzger BE, Lowe LP, Dyer AR, Trimble ER, Chaovarindr U, Coustan DR, et al. Hyperglycemia and adverse pregnancy outcomes. N Engl J Med. 2008 May 8;358(19):1991-2002. (妊娠糖尿病に関する基本的論文)
  3. Brown MA, Magee LA, Kenny LC, Karumanchi SA, McCarthy FP, Saito S, et al. Hypertensive disorders of pregnancy: ISSHP classification, diagnosis, and management recommendations for international practice. Hypertension. 2018 Jul;72(1):24-43. (妊娠高血圧症候群に関する国際ガイドライン)
  4. Rawlinson WD, Boppana SB, Fowler KB, Kimberlin DW, Lazzarotto T, Ljungman P, et al. Congenital cytomegalovirus infection in pregnancy and the neonate: consensus recommendations for prevention, diagnosis, and therapy. Lancet Infect Dis. 2017 Jun;17(6):e177-e188. (先天性サイトメガロウイルス感染症に関するコンセンサス)
  5. Montoya JG, Liesenfeld O. Toxoplasmosis. Lancet. 2004 Jun 12;363(9425):1965-76. (トキソプラズマ感染症に関する総説)
  6. Lambert N, Strebel P, Orenstein W, Coleman T, Poland GA. Rubella. Lancet. 2015 Jun 6;385(9984):2297-307. (風疹および先天性風疹症候群に関する論文)

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