デスビュキュア骨異形成症2型

Desbuquois Dysplasia 2, XYLT1

概要

デスビュキュア骨異形成症2型は、お母さんのおなかの中にいるときから始まる強い低身長と、関節のゆるさ・脱臼を特徴とする骨系統疾患です。常染色体潜性(劣性)遺伝の形式をとり、XYLT1(16p12.3)遺伝子の変化が原因となります。

デスビュキュア骨異形成症は、手足と体幹が短いこと、関節がゆるく脱臼しやすいこと、丸く平らな顔つきが共通の特徴です。原因となる遺伝子によって型が分かれ、1型は CANT1 遺伝子、2型は XYLT1 遺伝子の変化で起こります。妊娠中の超音波検査で、手足の骨が短いことから気づかれることがあります。

2型は、1型でみられることがある手の指の骨の特徴的な変化(親指や人差し指の付け根の余分な骨など)が目立たない傾向があります。また、一部のお子さまで発達の遅れがみられることが報告されています。同じ XYLT1 遺伝子の病気は「バラテラ・スコット症候群」という名前でも報告されており、現在は同じ病気として扱われています。

原因

XYLT1 は、キシロース転移酵素1という酵素の設計図です。

軟骨の土台となる「プロテオグリカン」という物質は、芯となるたんぱく質に、糖が長くつながった鎖(グリコサミノグリカン)がたくさん付いた形をしています。この糖の鎖は、まず芯のたんぱく質に「キシロース」という糖が1つ付くところから作り始められます。XYLT1 はこの最初の1歩を担う酵素です。

このはたらきが弱まると、プロテオグリカンの糖の鎖が十分に作られず、軟骨が正しい構造を保てなくなります。骨は軟骨を鋳型にして伸びるため、骨の伸びが妨げられ、関節を支える組織も弱くなると考えられています。

お父さま・お母さまがそれぞれ症状のないキャリア(保因者)で、その両方から変化した遺伝子を受け継いだときに発症します(常染色体潜性遺伝)。

症状

  • 出生前から始まる強い低身長:手足と体幹が短く、大人になっても身長はかなり低くなります
  • 関節のゆるさと脱臼:股関節・膝・肘などが外れやすく、この病気の生活への影響を大きく左右する所見です
  • 背骨の変化:成長とともに背骨の曲がり(側弯・後弯)が出ることがあります
  • 特徴的な顔つき:丸く平らな顔、目立つ目、低い鼻、短い首
  • 口蓋裂(上あごの裂け目):一部のお子さまでみられます
  • 発達の遅れ:一部のお子さまでみられ、程度には個人差があります
  • 1型に比べ、手の指の骨の特徴的な変化は目立たない傾向があります

検査・診断

妊娠中の超音波検査で、手足の長い骨の短縮から骨系統疾患が疑われることがあります。ただし、超音波だけでほかの骨系統疾患と区別することは難しいのが実情です。出生後は、身体の診察と全身のX線検査を行い、太ももの骨の付け根の形の変化や、関節の脱臼などの特徴を確認します。

確定診断は遺伝学的検査で行い、デスビュキュア骨異形成症2型では XYLT1 遺伝子に父方・母方それぞれ由来の変化が見つかります。1型(CANT1)とは原因遺伝子が異なるため、どちらの型かをはっきりさせることが、次のお子さまの見通しを正しくお伝えするうえで大切です。

治療

現時点で、この病気そのものを治す治療はありません。治療は、それぞれの症状に合わせた対症療法と、成長・発達の支援が中心になります。整形外科・小児科・リハビリテーションなど、複数の専門家が協力して長く見守ることが大切です。

  • 整形外科での管理:股関節や膝の脱臼、背骨の曲がりを定期的に確認し、必要に応じて装具や手術を検討します
  • リハビリテーション:関節を守りながら、体の動かし方や日常生活の工夫を支援します
  • 口蓋裂がある場合の治療:手術や、哺乳・ことばの支援を行います
  • 発達の支援:発達の様子を定期的に確認し、療育や学習の支援につなげます
  • ご家族への心理的・社会的支援:低身長とともに暮らすための環境づくりや、福祉制度の活用をご相談いただけます

この疾患は検査でわかります

この疾患は、原因となる XYLT1 遺伝子を調べることで、発症前や出生前に見つけることができます。ヒロクリニックNIPTでは次の検査をご用意しています。

エクソーム解析を用いた検査(1,200種類以上)

エクソーム解析は、遺伝子のうちたんぱく質の設計図にあたる部分(エクソン)をまとめて読み取る検査です。この解析を行ったうえで、XYLT1 遺伝子を含む1,200種類以上の遺伝子を対象に調べ、この疾患の原因となる変化を検出することが可能です。国内の検査所で行い、結果までの期間は5週間〜7週間です。

常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患は、ご両親がどちらも症状のない「キャリア(保因者)」であるときに、お子さまごとに4分の1の確率で発症します。検査の内容・費用・結果までの期間は キャリアスクリーニングテスト1,200+のページ をご覧ください。

専門的な解説

XYLT1(xylosyltransferase 1)は、プロテオグリカンのコアたんぱく質のセリン残基にキシロースを転移する酵素で、ヘパラン硫酸・コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカン鎖合成の律速的な開始段階を担う。機能喪失により軟骨のプロテオグリカン量が低下し、成長板での軟骨細胞の分化・増殖が障害される。

デスビュキュア骨異形成症は、出生前発症の重度低身長、関節弛緩と多発脱臼、平坦な顔貌、大腿骨近位の小転子の突出(いわゆる「スウェーデン鍵」様変形)を特徴とする。従来は手の所見により、余剰骨化中心や母指末節骨の二分を伴う型と伴わない型に分けられてきた。1型の原因 CANT1 が主に手の所見を伴う例で見いだされたのに対し、XYLT1 は手の所見を伴わない例で同定された(2014年)。両遺伝子ともプロテオグリカン合成に関わる点で共通する。

XYLT1 の両アレル性変異は、発達遅滞を伴うことのあるバラテラ・スコット症候群としても報告されており、同一疾患の範疇と考えられている。同症候群の患者の一部では、XYLT1 の第1エクソン近傍の GGC リピート伸長とそれに伴う高メチル化による遺伝子発現の低下が原因と報告されている。このようなリピート伸長は通常のエクソーム解析では検出が難しいため、臨床的に強く疑われるのに変異が見つからない場合は追加の解析を検討する。鑑別としては、デスビュキュア骨異形成症1型(CANT1)、ラーセン症候群(FLNB、顕性)、CHST3 関連骨異形成症、B3GAT3・B4GALT7 関連のリンカー領域病(linkeropathy)などが挙がる。

よくある質問

Q. 次のお子さまへの影響はありますか。

A. この病気は常染色体潜性遺伝のため、ご両親がどちらもキャリアの場合、お子さまごとに4分の1の確率で発症します。男の子・女の子で確率に差はありません。似た症状の骨系統疾患には遺伝形式が異なるものもあるため、原因遺伝子を確定することが、正確な見通しにつながります。

Q. 妊娠中に分かりますか。

A. 妊娠中の超音波検査で、手足の骨が短いことから骨系統疾患が疑われることがあります。ただし、超音波だけで病名まで決めることは難しく、確定には遺伝学的検査が必要です。前のお子さまで診断がついている場合は、妊娠早期からの検査を検討できます。遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q. 1型と2型はどう違いますか。

A. 1型は CANT1 遺伝子、2型は XYLT1 遺伝子の変化で起こり、原因遺伝子が異なります。低身長や関節のゆるさは共通していますが、2型では手の指の骨の特徴的な変化が目立たない傾向があり、一部で発達の遅れがみられることが報告されています。どちらの型かは遺伝学的検査で確かめます。

Q. 知能の発達に影響はありますか。

A. 発達の遅れがみられるお子さまもいますが、程度には大きな個人差があります。早い時期から発達の様子を確認し、必要に応じて療育などの支援につなげることで、お子さまの力を伸ばしていくことができます。

Q. 遺伝カウンセリングでは何を相談できますか。

A. 診断の意味、次のお子さまへの影響、出生前検査や着床前検査の選択肢、ごきょうだいやご親族への影響などをご相談いただけます。判断を急がせることはありません。

参考文献

  • Bui C, Huber C, Tuysuz B, et al. XYLT1 mutations in Desbuquois dysplasia type 2. Am J Hum Genet. 2014;94(3):405-414.
  • LaCroix AJ, Stabley D, Sahraoui R, et al. GGC repeat expansion and exon 1 methylation of XYLT1 is a common pathogenic variant in Baratela-Scott syndrome. Am J Hum Genet. 2019;104(1):35-44.
  • Huber C, Oulès B, Bertoli M, et al. Identification of CANT1 mutations in Desbuquois dysplasia. Am J Hum Genet. 2009;85(5):706-710.
  • Mortier GR, Cohn DH, Cormier-Daire V, et al. Nosology and classification of genetic skeletal disorders: 2019 revision. Am J Med Genet A. 2019;179(12):2393-2419.
  • OMIM #615777 Desbuquois dysplasia 2; DBQD2. Online Mendelian Inheritance in Man.
医師監修 監修日:2026年11月3日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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