NIPTは、妊婦さんの腕から少量の血液を採取するだけで赤ちゃんの染色体を調べられる検査です。お腹に針を刺す羊水検査とは違い、母体への負担がほとんどありません。「血液だけでどうしてわかるの?」という疑問を持つ方は多いはずです。この記事では、血液の中の小さなDNA断片を読み取る仕組みを、専門用語を最小限にして解説します。
NIPTは赤ちゃんの染色体をどうやって調べているのか
NIPTは、妊婦さんの血液に浮かぶ小さなDNA断片を読み取り、赤ちゃんの染色体の数に増減がないかを調べる検査です。お腹に針を刺す必要はなく、採血だけで完了します。
一般的に妊娠10週以降から受けられる検査で、母体への負担が少ない点が広く選ばれている理由です。仕組みを知れば、検査結果の見方も自然とわかってきます。
血液に浮かぶ「無細胞DNA」の正体
採血だけで判定できる理由は、血液の中に胎盤由来の小さなDNA断片、無細胞DNAが浮かんでいるためです。
無細胞DNAは、役目を終えた胎盤の細胞が分解される過程で血液中に流れ出したDNAの残骸です。長さは150塩基に満たない非常に小さな断片で、母体由来のものと胎児(胎盤)由来のものが混ざり合って血漿の中を漂っています。
採血室で「針を刺すだけで本当にわかるんですか」と驚かれる妊婦さんを、私たちは数多く見てきました。実は、この目に見えない小さな断片こそが解析の主役なのです。
血漿の中で胎児(胎盤)由来の無細胞DNAが占める割合は、妊娠週数が進むほど増える傾向にあります。妊娠10週以降を目安に検査時期が設定されているのは、この割合が解析に十分な水準まで高まるためです。
次世代シークエンシング(NGS)でDNAを読み取る仕組み
取り出した無細胞DNAは、次世代シークエンシング(Next Generation Sequencing、以下NGS)という技術で解析されます。血液1回分に含まれる数百万から数千万のDNA断片を、同時並行で一気に読み取れる技術です。
読み取った断片の文字列を、ヒトの標準的なゲノム配列と照らし合わせ、それぞれが元々どの染色体に由来するかを割り出します。特定の染色体由来の断片が通常より多いか少ないかを数え上げることで、数の異常の可能性を判定する仕組みです。
以前は数週間かかっていた解析が、シークエンシング技術の進歩によって短期間で行えるようになりました。この技術の発展こそが、NIPTを日常の検査として利用できる水準まで押し上げた土台といえます。
この考え方は「カウント法」と呼ばれ、特定の場所の配列を細かく解読するのではなく、断片が由来する染色体ごとの数を集計する点が特徴です。1つの染色体だけを深く調べるのではなく、全体の分布から偏りを見つけ出す発想だとイメージしてください。
血液から結果が出るまでの4つのステップ
採血からご報告まで、大きく分けて4つの工程で進みます。全体の流れを知っておくと、結果を待つ間の不安も和らぐはずです。
ステップ1 採血
腕から少量の血液を採取します。針を刺すのは通常の採血と同じ一度だけです。
ステップ2 血漿の分離
採取した血液を遠心分離機にかけ、血球成分と血漿成分に分けます。無細胞DNAは血漿側に含まれています。
ステップ3 DNAの解析(NGS)
血漿から無細胞DNAを取り出し、次世代シークエンシングで大量に読み取ります。読み取ったデータをコンピューターで解析し、染色体ごとの断片数を集計します。
ステップ4 判定・報告
集計結果をもとに、陽性・陰性・判定保留のいずれかで報告します。検査結果を正しく理解するために、担当医から直接説明を受けることが大切です。
NIPTでわかること・わからないこと
NIPTでわかるのは、主に3つの染色体の数的な変化です。すべての病気や異常がわかる検査ではありません。
| 染色体 | 主な疾患名 | 検査でわかること |
|---|---|---|
| 21番染色体 | 21トリソミー(ダウン症候群) | 染色体が通常より多い可能性 |
| 18番染色体 | 18トリソミー | 染色体が通常より多い可能性 |
| 13番染色体 | 13トリソミー | 染色体が通常より多い可能性 |
NIPTは非確定的なスクリーニング検査です。陽性という結果が出ても、それは可能性を示すものであり、確定診断ではありません。日本産科婦人科学会やNIPTコンソーシアムも、確定には羊水検査などの検査が必要だと案内しています。
NIPTを受けるかどうか迷ったときに考えたいこと
出生前検査にはNIPTのほかに、母体血清マーカーテストやコンバインド検査といった選択肢もあります。それぞれ調べ方や検査時期が異なるため、迷ったら比較してから決めても遅くはありません。
NIPTは血液だけで完結する分、母体への身体的な負担は小さい検査です。一方で、対象となる疾患は限られており、すべての先天性疾患を網羅する検査ではない点は理解しておく必要があります。
受ける・受けないの判断に正解はありません。日本産科婦人科学会の情報も参考にしながら、パートナーや担当医と相談して決めてください。
検査を受けた方たちのリアルな声
検査前後の気持ちは、実際に受けた方の投稿からもうかがえます。仕組みを理解していても、結果を待つ間の不安は別物だと感じます。
検査前は「陽性になったらどうしよう」と考えても仕方がないとわかっていながら、それでも落ち着かないという声をよく耳にします。@8wze1pさんも、検査を明後日に控えた心境として、陽性になった時のことを考えても意味がないと思いつつ不安が拭えないこと、そして子育てにかかる費用への不安を投稿しています。
一方で、陰性という結果が出た後も悩みが尽きるわけではありません。@komamatsunaさんは、NIPTで陰性だった後、胎児ドックを追加で受けるべきか迷う気持ちを投稿しています。検査結果を受け取った後にどう次の一歩を選ぶか、悩む方は少なくありません。
陽性だった場合の次のステップ―確定検査との違い
NIPTで陽性という結果が出ても、それは診断の確定ではありません。次に何をすべきかを事前に知っておくと、いざという時にも落ち着いて対応できます。
NIPTは血液からの間接的な推定であるのに対し、羊水検査は羊水を採取して胎児の細胞そのものを調べる確定検査です。羊水検査には母体への一定の負担が伴うため、NIPTで陽性となった場合の次の選択肢として案内されます。
陽性の結果を一人で抱え込む必要はありません。まずは担当医やカウンセラーに相談し、次にすべきことを一緒に確認してください。
検査を受けるタイミングと流れ
NIPTは妊娠10週以降から受けられます。予約から結果報告までの流れをあらかじめ知っておくと、スケジュールが立てやすくなります。
- オンラインまたは電話で予約する
- 来院し、問診とカウンセリングを受けたうえで採血する
- 解析結果を医師から説明してもらう
予約方法や必要な持ち物は予約案内ページにまとめています。妊婦健診の一環として検査を検討する方は、こども家庭庁の母子保健施策の情報もあわせて確認してください。
お電話でのご相談も受け付けています。0120-169-629
ヒロクリニックNIPTが選ばれる理由
解析の精度と体制の両方に裏付けがあることが、検査を選ぶうえでの安心材料になります。
解析は国内の検査機関である東京衛生検査所で行われています。採取した血液は国内の体制のもとで処理され、結果は医師を通じてお伝えします。
相談窓口では、陰性の結果を見て初めて安心して眠れたという声を、私たちは日々耳にしています。検査を受けるかどうか迷っている段階でも、まずは相談だけでも構いません。
よくある質問(FAQ)
NIPTとはどのような検査ですか
妊婦さんの血液から胎児の21番・18番・13番染色体の数的な変化を調べる、非確定的なスクリーニング検査です。
NIPTでダウン症候群以外もわかりますか
主な対象は21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーです。プランによって調べられる範囲は異なるため、事前にご確認ください。
NIPTが陽性だった場合はどうすればいいですか
NIPTは確定診断ではないため、羊水検査など確定検査を受けたうえで判断する流れになります。まずは担当医に相談してください。
血液検査だけで本当にわかるのですか
血液中に含まれる胎盤由来の無細胞DNA断片を、次世代シークエンシングで解析するためです。羊水穿刺のようにお腹に針を刺す必要はありません。
NIPTはいつから受けられますか
一般的に妊娠10週以降から受けられます。詳しい時期は予約時に確認してください。
検査結果はどのくらいで届きますか
選択するプランや検査機関の状況によって日数が異なります。予約時に目安の日数を確認してください。
母体血清マーカーテストなど他の検査との違いは何ですか
母体血清マーカーテストやコンバインド検査は血液や超音波の数値から確率を算出する検査です。NIPTは無細胞DNAを直接解析するため、検査の考え方そのものが異なります。
監修: 岡博史(おか ひろし) / 医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director
染色体異常が起こるメカニズムについては、姉妹記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
