この記事のまとめ
妊娠中のおやつは、血糖値を急に上げず、鉄・カルシウム・葉酸・たんぱく質を補える「太らない選び方」を意識すると、体重管理と栄養補給を同時に進められます。甘いお菓子を丸ごと我慢するのではなく、量の目安を1日200kcal前後に置き、市販品なら個包装を上手に使う。手づくりなら水切りヨーグルトや焼き芋、素焼きナッツなど、材料が少なく手軽なものを選べば続けやすくなります。急な体重増加や強い喉の渇きなど、妊娠糖尿病を思わせるサインがあるときは、自己判断で我慢を続けず、かかりつけの産婦人科へ相談してください。この記事では、選び方の軸と具体的なレシピ、市販おやつの量の目安までまとめました。
この記事でわかること
- 妊娠中のおやつを「太らない」ように選ぶ3つの軸(血糖値・体重・栄養)
- おやつで補いたい栄養素(鉄・カルシウム・葉酸・たんぱく質)と食材
- 手軽に作れる低カロリー・高栄養の具体レシピと、市販おやつの量の目安
- 妊娠糖尿病の傾向があるときの注意点と、受診を考える目安
妊娠中のおやつは「太らない選び方」が肝心|血糖値と体重の基本
妊娠中のおやつは、我慢して減らすより、血糖値を急に上げず栄養を補える一品へ置き換える方が、体重管理も気持ちも続きやすくなります。甘いものを完全に断つと、反動でどか食いにつながりがち。おやつを「補食」と考え直すのが第一歩です。まずは、選び方の土台になる考え方から見ていきます。
妊娠中は少しの間食でも血糖値が上がりやすくなります。ホルモンの働きで、体がインスリンを効かせにくくなるためです。菓子パンやジュースのように糖質が多く吸収の速いものは、血糖の急な上昇を招きます。だからこそ、食物繊維やたんぱく質を一緒にとれるおやつが心強い味方。血糖の波をゆるやかにしてくれます。
体重の増え方も、多くの妊婦さんが気にする点です。健診のたびに数字を見て、ため息をつく方も少なくありません。Xでも@A01092miさんが、甘いものがやめられずバクバク食べてしまい、次の妊婦健診で体重を怒られそうだと率直につづっていました。私も相談の場でよく似た声を聞きます。おやつをゼロにする必要はありません。中身と量を整えるだけで、健診前の不安はだいぶ軽くなります。
体重管理の考え方は、間食だけで決まるものではありません。飲み物の糖分や食事全体のバランスも関わります。妊娠期の体重や血糖と食事の関係は、妊娠糖尿病の症状と予防の記事もあわせて読むと理解が深まります。おやつは食事の一部。そう捉えると選び方が変わります。
おやつで補いたい4つの栄養素|鉄・カルシウム・葉酸・たんぱく質
妊娠中に不足しやすい鉄・カルシウム・葉酸・たんぱく質は、3食だけで満たしきれないことが多く、おやつで上手に補うと1日の合計が整いやすくなります。間食を栄養チャンスと考えると、選ぶものが自然と決まってきます。ここでは4つの栄養素と、身近な食材を整理します。
それぞれの栄養素には、妊娠期ならではの役割があります。鉄は赤ちゃんへ酸素を届ける血液のもと。妊娠中は血液量が増えるため、不足すると貧血になりやすくなります。カルシウムは赤ちゃんの骨づくりと、お母さんの骨を守る土台。葉酸は細胞づくりに関わり、特に妊娠初期に意識したい栄養素です。たんぱく質は体をつくる材料そのもの。おやつでも少しずつ補えます。
| 栄養素 | 妊娠中の役割 | おやつ向きの食材 |
|---|---|---|
| 鉄 | 血液をつくり貧血を防ぐ | 小魚、素焼きナッツ、あんこ、ドライプルーン |
| カルシウム | 赤ちゃんの骨と母体の骨を守る | ヨーグルト、チーズ、小魚、高野豆腐 |
| 葉酸 | 細胞づくりを支える | 焼き芋、枝豆、いちご、ブロッコリー |
| たんぱく質 | 体をつくる材料になる | ゆで卵、ヨーグルト、枝豆、豆乳 |
葉酸は妊娠初期にとりわけ意識したい栄養素です。食事からの摂取に加えて、必要に応じてサプリメントで補う考え方もあります。くわしくは葉酸の役割と摂り方の記事を参考にしてください。おやつで焼き芋や枝豆を選べば、葉酸と食物繊維をまとめて補えます。一石二鳥のうれしい食材。
1日にどれくらい栄養をとればよいかは、公的な基準が目安になります。厚生労働省の日本人の食事摂取基準には、妊娠期の付加量も示されています。数字をすべて覚える必要はありません。不足しがちな栄養素を、間食で少しずつ足していく。その意識があれば十分です。
太らない低カロリー・高栄養おやつレシピ
ここで紹介するレシピは、いずれも材料が少なく、1品あたりおおむね100〜200kcalに収まる低カロリー・高栄養のおやつです。特別な道具はいりません。仕事や家事の合間でも作れる手軽さを大切にしました。順に材料と作り方を見ていきます。

水切りヨーグルトのフルーツのせ(たんぱく質・カルシウム)
プレーンヨーグルトの水分を切るだけで、濃厚な口当たりに変わります。たんぱく質とカルシウムをまとめて補える、頼れる一品。甘みは果物でつけるので、砂糖は控えめで満足できます。
材料(1人分):プレーンヨーグルト200g/いちごやキウイなど季節の果物・適量/はちみつ小さじ1(お好みで)。
- ザルにキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトを入れて冷蔵庫で1〜2時間おきます。
- 水分が切れて半量ほどになったら器に盛ります。
- 食べやすく切った果物をのせ、お好みではちみつを少しかけて完成です。
ヨーグルトは腸内環境を整える働きも期待できます。妊娠中の便秘対策としても心強い一品。食物繊維の多い果物を選べば、血糖の上がり方もゆるやかになります。
焼き芋の冷やし芋(葉酸・食物繊維)
さつまいもは葉酸と食物繊維が豊富で、腹持ちもよい食材です。焼いて冷やすと甘みが増し、砂糖なしでも満足感があります。冷やし芋にすると、消化がゆっくりになり血糖の波もおだやかに。
材料(作りやすい分量):さつまいも中1本(約200g)。味つけは不要です。
- よく洗ったさつまいもを、皮ごとアルミホイルで包みます。
- 160度のオーブンで60分ほど、竹串がすっと通るまで焼きます。
- 粗熱をとって冷蔵庫で冷やし、食べる分だけ厚めに切ります。
一度にたくさん焼いて、小分けにして冷蔵しておくと便利です。半分の100gなら、およそ130kcalほど。食べ過ぎない量を先に取り分けておくと、つい進みすぎるのを防げます。
ゆで卵と塩昆布(たんぱく質・鉄)
ゆで卵は、たんぱく質を手軽に補える優等生。1個あたり約80kcalと控えめで、血糖もほとんど上げません。小腹がすいたときの主役になります。
材料(1人分):卵1個/塩昆布ひとつまみ。
- 沸騰したお湯に卵を入れ、10〜12分ゆでます。
- 冷水にとって殻をむき、半分に切ります。
- 塩昆布を少し添えれば、うまみが加わって満足感が上がります。
まとめてゆでて冷蔵しておけば、忙しい日でもすぐ食べられます。塩分が気になるときは塩昆布を減らし、こしょうやレモンで風味づけを。手を動かさずに栄養を足せる、私のいちおしです。
小魚アーモンド(カルシウム・鉄)
市販の小魚アーモンドは、カルシウムと鉄を同時に補える便利なおやつです。かむ回数が増えるので、少量でも満足しやすいのが利点。デスクやバッグに常備しておくと安心です。
目安量:ひとつかみ(約20〜25g、およそ100kcal)。無塩か薄塩タイプを選んでください。
ナッツは栄養価が高い一方で、脂質も多く含みます。ひとつかみを小皿に出し、袋のまま食べないのがコツ。よくかんで、ゆっくり味わってください。手軽さと栄養を両立できる常備おやつです。
きなこ豆乳ドリンク(たんぱく質・鉄)
混ぜるだけで作れる、飲むおやつです。豆乳ときなこで、たんぱく質と鉄をやさしく補えます。温めても冷やしてもおいしく、つわりで固形物がつらい時期にも取り入れやすい一杯。
材料(1人分):無調整豆乳150ml/きなこ大さじ1/はちみつ小さじ1(お好みで)。
- コップに豆乳を注ぎ、きなこを加えます。
- だまが残らないようによく混ぜます。
- お好みではちみつを少し加えて、甘さを調えて完成です。
1杯でおよそ130kcalほど。腹持ちがよく、夜の小腹対策にも向いています。妊娠中は便秘に悩む方も多いので、食物繊維の多いおやつと組み合わせると心強いはずです。腸を整える食事の工夫は妊娠中の便秘対策の記事も参考にしてください。
市販おやつの選び方と量の目安
市販おやつは、パッケージの栄養成分表示を見て、1回分を1日200kcal前後に収めれば、手づくりでなくても体重管理と両立できます。忙しい日は市販品に頼って構いません。選び方と量のコツさえ押さえれば十分です。ここでは具体的な目安を示します。
選ぶときは、まず裏面の栄養成分表示を見てください。エネルギーだけでなく、たんぱく質や食物繊維が入っているかも確認の手がかりになります。ヨーグルト、素焼きナッツ、するめ、高カカオチョコ、干し芋、小魚などは、栄養を補いながら満足感を得やすい市販おやつ。反対に、菓子パンや甘い清涼飲料は血糖を上げやすいので、頻度をひかえめにしてください。
| 選びやすい市販おやつ | 補える栄養 | 1回量の目安 |
|---|---|---|
| プレーンヨーグルト | たんぱく質・カルシウム | 1カップ(約100kcal) |
| 素焼きミックスナッツ | 鉄・良質な脂質 | ひとつかみ(約100kcal) |
| 高カカオチョコレート | ポリフェノール | 2〜3かけ(約120kcal) |
| 干し芋 | 葉酸・食物繊維 | 2切れ(約110kcal) |
| 小魚・するめ | カルシウム・たんぱく質 | 小袋の半分(約80kcal) |
量の目安は、じつは人によって受け取り方が違います。Xでも@tenten__tさんが、低カロリーおやつの紹介が個包装1つ分だったのを見て、自分は丸ごと1つ食べるからと苦笑しつつ投稿していました。私はこの正直さに、思わずうなずきました。無理に1個へ我慢するより、はじめから小袋を選ぶ。手元に置く量を減らす方が、現実的で続けやすい工夫です。
飲み物にも目を向けてください。カフェインのとりすぎには注意が必要で、量の考え方は妊娠中のコーヒー摂取の記事にまとめています。甘い飲料をお茶や炭酸水に替えるだけでも、1日の糖分はぐっと減らせます。おやつと飲み物はセットで見直すのがコツ。
妊娠糖尿病の傾向があるときの注意と受診の目安
健診で血糖値の高さを指摘されたり、妊娠糖尿病の傾向があると言われたときは、自己流の我慢や糖質制限に走らず、医師や管理栄養士の指導に沿っておやつを調整してください。間食を一律に我慢すればよいわけではありません。低血糖を避けつつ整える視点が要ります。ここでは注意点と受診の目安を整理します。
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて見つかる血糖の高い状態を指します。多くは自覚症状が乏しく、健診の血糖検査(50gブドウ糖負荷試験や75gOGTT)で気づかれます。放っておくと、赤ちゃんが大きくなりすぎたり、産後の血糖トラブルにつながることもあります。だからこそ、指摘されたら早めに向き合うことが赤ちゃんを守ることにつながります。
おやつの面では、糖質の多い菓子パンや清涼飲料をひかえ、たんぱく質や食物繊維を組み合わせる工夫が役立ちます。食べる時間を分ける「分割食」の考え方をすすめられることもあります。ただし、対応は一人ひとりの状態で変わります。妊娠糖尿病の見つかり方やセルフケアは妊娠糖尿病の症状と予防の記事もあわせてご覧ください。避けたい食品の全体像は妊娠中に控えたい食べ物リストの記事が参考になります。
実際の食生活は、教科書どおりにいかないこともあります。Xでも@A01092miさんが、妊婦健診の後にファストフードやベーグルを楽しんだと投稿していました。私はこうした声を、決して否定したくありません。大切なのは、ゼロか百かで考えないこと。健診で数値を指摘された日は少し整え、落ち着いている日はほどよく楽しむ。そのメリハリが続けるコツです。
次のようなサインがあるときは、次の健診を待たずに相談してください。短期間での急な体重増加、強い喉の渇きや多尿、健診で毎回のように血糖や尿糖を指摘される、といった変化です。自己判断で極端な食事制限を続けるのは避けてください。妊娠期の食事や母子の健康については、厚生労働省の妊娠・出産・育児期に役立つ情報サイトや、こども家庭庁 母子保健の情報も心強い味方になります。
なお、おなかの赤ちゃんの染色体について不安を整理したい方へ補足します。NIPT(新型出生前診断)は、13・18・21トリソミーなど対象の染色体に限定した非確定的検査であり、確定には羊水検査などが必要です。妊娠糖尿病やおやつの管理とは目的が異なりますが、妊娠期の心配ごとを一つずつ整理する選択肢として知っておいてください。気になることは、ひとりで抱え込まず気軽に相談してください。
よくある質問
Q. 妊娠中のおやつは1日どれくらいまでなら食べていいですか?
一般的には、1日200kcal前後が間食の目安とされています。素焼きナッツひとつかみ、ヨーグルト1カップ、干し芋2切れなどが、この範囲に収まる量です。大切なのは中身と回数。糖質の多いお菓子を一度に食べるより、たんぱく質や食物繊維を含むものを選び、量を決めて取り分けてください。体重の増え方に不安があるときは、健診で医師や管理栄養士に相談してください。
Q. 太らないためには甘いものを完全にやめるべきですか?
完全にやめる必要はありません。我慢しすぎると反動でどか食いにつながり、かえって体重が増えることもあります。甘いものが食べたいときは、高カカオチョコを2〜3かけ、果物入りヨーグルトなど、栄養を補える形に置き換えてください。食べる量を先に取り分け、袋のまま食べないだけでも違います。楽しみを残しながら整える方が、長く続けられます。
Q. つわりでほとんど食べられないときのおやつは?
つわりの時期は、栄養バランスより「食べられるものを少しずつ」で構いません。冷たくて匂いの少ないもの、さっぱりした果物、クラッカー、きなこ豆乳ドリンクなどが取り入れやすいです。空腹で気持ち悪くなる方は、小分けにしてこまめに口にしてください。水分もこまめに補いましょう。ほとんど食べられず体重が減る、水分もとれないときは、早めにかかりつけへ相談してください。
Q. 妊娠糖尿病と言われました。おやつはやめるべきですか?
一律にやめる必要はなく、医師や管理栄養士の指導に沿って調整します。糖質の多い菓子パンや清涼飲料をひかえ、たんぱく質や食物繊維を含むおやつを選ぶのが基本です。食べる時間を分ける分割食をすすめられることもあります。対応は状態によって変わるため、自己流の糖質制限は避けてください。指導内容に迷ったときは、遠慮なく担当の医療者へ確認してください。
Q. 市販のおやつを選ぶとき、どこを見ればいいですか?
パッケージ裏面の栄養成分表示を確認してください。まずエネルギー量を見て、1回分が200kcal前後に収まるかを目安にします。あわせて、たんぱく質や食物繊維が含まれているかもチェックの手がかりになります。個包装や小袋タイプを選ぶと、食べ過ぎを防ぎやすくなります。素焼きナッツ、ヨーグルト、干し芋、小魚などは、栄養を補いながら満足感を得やすい選択肢です。
Q. 体重が急に増えてしまいました。どうすればいいですか?
まずは、おやつと飲み物を見直してください。甘い飲料をお茶や炭酸水に替えるだけでも、糖分は大きく減らせます。ただし、短期間での急な体重増加は、むくみなど体からのサインのこともあります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が背景に隠れる場合もあるため、自己判断で厳しい食事制限をせず、次の健診で医師に相談してください。数値を共有すれば、無理のない調整方法を一緒に考えられます。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
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