この記事の結論
GABRA5遺伝子の変異による発達性およびてんかん性脳症は、医学データベース(OMIM)上では79型(DEE79)に分類され、生後2〜4か月頃という非常に早い時期からの難治性てんかんと重度の発達遅滞を特徴とする超希少疾患です。同じGABA-A受容体に関わる遺伝子でも、GABRA1の変異は19型(DEE19)、GABRB2の変異は92型(DEE92)という別の病気を引き起こします。サブユニットの種類が違うだけで、発症時期や症状の出方は大きく変わります。ほとんどの症例は突然変異(デノボ変異)で発生しており、ご両親の遺伝や妊娠中の生活が原因ではありません。本記事では、症状・原因・診断・治療の全体像と、名称が紛らわしい類似疾患との違いを、公的・学術情報源にもとづいて整理します。
この記事でわかること
- GABRA5遺伝子が原因の発達性てんかん性脳症(DEE79)の症状と発症時期
- なぜこの病気の呼び方に「92型」と「79型」の両方が見られるのか、名称の整理
- 同じGABA-A受容体に関わるGABRA1遺伝子・GABRB2遺伝子との違いと見分け方
- 診断に必要な検査、治療とケアの選択肢、妊娠中の検査(NIPT)との関係
医師からDevelopmental and epileptic encephalopathyという非常に長く、聞き慣れない診断名を告げられ、情報を求めてこのページにたどり着いたご家族の皆様へ。
まだ小さなお子様に、日本語の定まった呼び方もまだ浸透していないような難病の診断が下り、計り知れないショックと不安の中にいらっしゃることと思います。特に、この病気は世界的に見ても報告数が数例にとどまる非常に希少な疾患であり、日本語で書かれた詳しい情報はインターネット上でもほとんど見当たりません。医師であっても、てんかんや遺伝の専門家でなければ詳しく知らないことも珍しくない、比較的新しい疾患概念です。
この病気は、原因となるGABRA5(ギャブラ・ファイブ)遺伝子の変異によって、乳児期早期からてんかん発作が始まり、それとともに全体的な発達の遅れが見られるという特徴があります。海外の医学データベースOMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)では、発達性およびてんかん性脳症79型(DEE79)として登録されています。
脳症という言葉や番号に圧倒されてしまうかもしれませんが、この数字は発見された順番を区別するための通し番号であり、重症度を表す数字ではありません。また、原因が遺伝子にあると分かったということは、これから起こりうることへの対策が立てやすくなり、お子さんに合った療育やケアのプランを考えるための地図を手に入れたということでもあります。
1. 概要:GABRA5遺伝子とDEE79とは
GABRA5遺伝子の変異が原因の発達性てんかん性脳症は、脳の神経細胞にあるブレーキ役のタンパク質がうまく働かなくなることで、乳児期早期から発作と発達の遅れが現れる先天性の疾患です。まず、病名グループの意味を整理しておきましょう。
発達性とは、生まれ持った遺伝子の変化そのものが、脳の発達や成長に影響を与えていることを意味します。てんかん発作があるから発達が遅れるだけでなく、発作がなくても発達に課題が生じる体質であることを示す言葉です。
てんかん性とは、頻繁なてんかん発作や脳波の激しい乱れが、脳の機能や発達にさらなる悪影響を与えている状態を指します。脳症とは、脳全体の働きに広範な影響が出ている状態を指す医学用語です。
つまりこの病気は、遺伝子の影響による発達の遅れと、てんかん発作による脳への負担という二つの要素が合わさって症状が現れる病気です。国内外で報告された症例数は極めて限られており、正確な有病率はわかっていません。数少ない症例報告から特徴を積み上げてきた、比較的新しい疾患概念だとご理解ください。
2. 主な症状:てんかん発作と発達の遅れ
この病気の症状は、生後2〜4か月頃という早い時期に始まる難治性のてんかん発作と、重度の精神運動発達の遅れが中心です。お子さんによって症状の重さや出方は異なりますが、これまでの症例報告にもとづく代表的な特徴を見ていきましょう。
てんかん発作
報告されている発作の始まりは、生後2か月から4か月頃という乳児期早期です。発作の形は一種類ではなく、複数のタイプが組み合わさって現れることが知られています。
| 発作のタイプ | 主な特徴 |
|---|---|
| ミオクロニー発作 | 手足や体が一瞬ビクッとする発作 |
| 強直発作 | 手足が突っ張って硬くなる発作 |
| 口部自動症 | 口をもぐもぐさせるような無意識の動き |
| 全般強直間代発作 | 全身が硬直したあとにガクガクと震える発作 |
| 遊走性焦点発作 | 発作の起きる脳の場所が移動していくように見える発作 |
これらの発作は、一般的な抗てんかん薬が効きにくい難治性であることが多いです。複数の薬を組み合わせても発作を完全に止めることが難しい場合があり、発作をゼロにすることだけを目指すのではなく、生活の質を保ちながら発作とうまく付き合っていく視点も必要になります。
発達と神経の症状
発作と並んで、あるいは発作が始まる前から、重度の精神運動発達の遅れが目立つようになります。首がすわる、目でものを追う、お座りをするといった運動面と、あやすと笑う、言葉を理解するといった精神面の両方が、一般的なペースよりかなりゆっくりになります。報告された症例の中には、3〜7歳になっても言葉によるコミュニケーションが難しいお子さんもいました。
体の緊張については、赤ちゃんの頃に体がふにゃふにゃとして柔らかい筋緊張低下が見られる場合と、逆に手足が突っ張りやすい痙縮が見られる場合の両方が報告されています。どちらが出るかはお子さんによって異なります。
脳の画像検査(MRI)では、脳の神経線維を覆う膜の形成が不十分な髄鞘化不良、脳全体がやや小さくなる脳萎縮、脳梁という左右の脳をつなぐ部分が薄くなる所見が報告されています。特徴的な顔つきについての報告は少なく、外見だけで気づかれることはほとんどありません。

3. 原因:GABRA5遺伝子とGABA-A受容体の異常
この病気の原因は、脳の神経細胞にあるブレーキシステム、GABA-A受容体の設計図であるGABRA5遺伝子の変異です。なぜ、てんかんが起きたり発達が遅れたりするのか、その仕組みを見ていきましょう。
GABRA5遺伝子の役割
GABRA5遺伝子は、第15番染色体(15q11〜q13の領域)にあります。この領域には、GABRB3・GABRG3という関連遺伝子も近接して並んでおり、まとめてGABA-A受容体遺伝子クラスターと呼ばれています。
GABRA5遺伝子は、GABA(ギャバ)受容体という、脳の中で非常に重要な役割を果たすタンパク質の部品を作るための設計図です。GABAは、脳の神経細胞の興奮を抑える、いわばブレーキの役割をする神経伝達物質です。神経細胞の表面には、このGABAを受け取るための受け皿、つまりGABA-A受容体があり、GABRA5遺伝子はその部品の一つであるアルファ5サブユニットを作っています。アルファ5サブユニットは、脳全体に均等にあるわけではなく、記憶や学習に関わる海馬という部位に多く存在し、シナプスの外側で持続的な抑制(緊張性抑制)を担うという特徴を持ちます。
遺伝子の変化による影響
米国国立医学図書館のデータベースに収載された研究報告によると、GABRA5遺伝子の変異を持つ患者さんの受容体を細胞レベルで調べたところ、正常な受容体と比べてGABAへの感受性が最大で10倍ほど高まっている一方、受容体が刺激に慣れて反応しなくなる脱感作が進みやすくなり、最終的に流れる電流の量はかえって少なくなっていることがわかりました。
ブレーキの利きが不安定になった車のように、脳の神経回路における興奮と抑制のバランスが崩れることで、神経が過剰に興奮しててんかん発作が起きたり、正常な神経ネットワークの形成が妨げられて発達の遅れが生じたりすると考えられています。GABRA5遺伝子の機能に直接働きかける治療薬は、2026年時点ではまだ研究段階です。
遺伝について
多くのご家族が、親から遺伝したのか、妊娠中の生活に問題があったのかとご自身を責めてしまわれます。しかし、これまでに報告されているGABRA5関連のケースは、いずれも新生突然変異(デノボ変異)によるものです。
これは、ご両親の遺伝子には異常がなく、精子や卵子が作られる過程、あるいは受精した直後の細胞分裂の段階で、偶然にGABRA5遺伝子に変化が起きたことを意味します。遺伝形式そのものは常染色体顕性遺伝に分類されますが、ご両親のどちらかのせいで遺伝したわけではありません。妊娠中のお母さんの食事、お薬、ストレス、環境などが原因で起きるものでも決してなく、誰にでも起こりうる偶然の現象です。
4. GABRA1遺伝子・GABRB2遺伝子との違い
同じGABA-A受容体に関わる遺伝子でも、GABRA5・GABRA1・GABRB2はそれぞれ異なる病気(DEE79・DEE19・DEE92)の原因となり、発症時期や症状の出方が異なります。名称が紛らわしいため、この章で整理しておきます。
GABA-A受容体は、アルファ・ベータ・ガンマなど複数の種類のサブユニットが5個組み合わさってできています。GABRA5とGABRA1はどちらも「アルファ」サブユニットの仲間ですが、担当する場所と役割が異なります。GABRA5(アルファ5)は主に海馬に存在し、シナプスの外側で持続的な抑制を担うのに対し、GABRA1(アルファ1)は脳内で最も数が多いサブユニットで、シナプスそのものの瞬間的な抑制伝達を担っています。GABRB2は「ベータ」サブユニットで、アルファ・ガンマと組み合わさって受容体そのものを構成する部品です。
| 原因遺伝子 | サブユニットの役割 | 関連する病型(OMIM) | 発症時期の目安 |
|---|---|---|---|
| GABRA5 | アルファ5:海馬の緊張性(持続的)抑制 | DEE79 | 生後2〜4か月頃 |
| GABRA1 | アルファ1:脳内で最多、シナプスの瞬間的抑制 | DEE19 | 生後8〜12か月頃 |
| GABRB2 | ベータ2:受容体を構成する部品の一つ | DEE92 | 乳児期〜小児期(報告により幅あり) |
米国国立医学図書館に収載された研究では、GABRA5変異の患者さんは生後2〜4か月で発作が始まり脳萎縮を伴う例が報告されているのに対し、GABRA1変異の患者さんは生後4〜12か月で発作が始まり、ウエスト症候群のような全般発作型を示す例が報告されています。同じ「GABA-A受容体の遺伝子」という括りで検索すると混同しやすいのですが、サブユニットが一つ違うだけで、発症時期も脳への影響の出方もはっきりと異なるのです。
私自身、遺伝カウンセリングの場で「同じGABAの遺伝子なのに、なぜ全然違う病名になるのですか」というご質問をいただくことがあります。人間の体には無数の遺伝子があり、似た名前の遺伝子でも担当する仕事がまったく違うことは珍しくありません。GABRA5・GABRA1・GABRB2の関係は、その典型例だといえます。
GABRA1遺伝子による発達性てんかん性脳症19型(DEE19)は、発熱をきっかけに発作が誘発されやすい点や、発症がやや遅い点が異なります。あわせてご確認いただくと、混同を避けやすくなります。GABAという神経伝達物質のバランスは、てんかんだけでなく自閉スペクトラム症など発達障害全般とも関わりが指摘されており、GABA極性シフトと発達障害のつながりの記事でも背景となる科学を解説しています。
5. 診断と検査
診断は、症状の観察、脳波検査、画像検査、そして遺伝子検査を組み合わせて行われます。それぞれの検査で何を確認するのか、順に見ていきましょう。
脳波検査
てんかん発作の診断や脳の活動状態を調べるために不可欠な検査です。てんかん性の突発波(スパイク)が多発したり、脳全体の電気活動がゆっくりになる徐波化が見られたりします。発作のタイプを特定し、薬を選ぶためにも繰り返し行われます。
画像検査(MRI)
脳の形や構造を詳しく調べるためにMRI検査が行われます。発症初期には明らかな異常が見られないことも多いですが、経過とともに髄鞘化不良や脳萎縮、脳梁の菲薄化が確認されることがあります。他の病気を除外するためにも重要な検査です。
遺伝学的検査
確定診断のためには、血液を採取してDNAを調べる検査が必要です。近年普及してきた次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析(WES)や、てんかん関連遺伝子パネル検査が行われることが一般的です。
この病気は極めて稀であるため、症状だけでは診断がつかず、網羅的な遺伝子検査を行って初めてGABRA5遺伝子の変異が見つかり、診断に至るケースがほとんどです。診断名として「GABRA5関連てんかん性脳症」「DEE79」のいずれで報告されるかは、検査を行った施設や参照するデータベースによって異なる場合があります。
6. 治療と管理
現在の医学では、遺伝子の変化そのものを修復して病気を根本から治す治療法は確立されていません。それぞれの症状に対する対症療法とサポートを組み合わせることで、お子さんの苦痛を和らげ、生活の質を高めることは十分に可能です。
てんかんの治療
てんかん発作を減らすために、抗てんかん薬による治療が行われます。乳児期発症の難治性てんかんに対しては、バルプロ酸、レベチラセタム、クロバザム、トピラマートなどが発作のタイプに合わせて試されますが、GABRA5変異に特化した薬剤選択のエビデンスはまだ限られています。お薬だけで発作が止まらない場合は、脂肪分を多く糖質を少なくした食事で脳のエネルギー源を切り替えるケトン食療法が検討されることもあります。
発達支援と療育
早期からの療育が、お子さんの成長と生活の安定にとって非常に大切です。
- 理学療法(PT): 筋緊張低下や痙縮に合わせて、姿勢を保つ練習や関節が硬くならないためのケアを行います。
- 作業療法(OT): 手先の感覚を養い、遊びを通じて外界への興味を引き出すとともに、日常生活動作の工夫を学びます。
- 言語聴覚療法(ST): 言葉の理解を促すとともに、食べる機能(摂食嚥下)の訓練を行い、口から食べる楽しみを支えます。
座位保持装置や車椅子など、お子さんの体に合った福祉用具を選ぶ際にも、療育の専門家から具体的なアドバイスを受けられます。
栄養・呼吸・感染症対策
重度のてんかん性脳症では、飲み込む力が弱く口から十分な栄養が摂れない場合や、呼吸の力が弱い場合があります。必要に応じて経管栄養や胃ろう、在宅酸素療法などが検討されます。筋緊張が弱いお子さんは風邪をこじらせやすい傾向があるため、手洗いや予防接種など基本的な感染対策も欠かせません。
7. 家族のサポートと相談窓口
報告例が数えるほどしかない超希少疾患であるため、身近に同じ経験をした人が見つかりにくく、ご家族が孤立を感じやすい病気です。大切なのは、一人で抱え込まず複数の窓口を組み合わせること。
主治医や臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでは、診断の意味や今後の見通し、次のお子様への遺伝リスクについて、ご家族の状況に合わせた説明を受けられます。てんかんや発達支援に関する社会資源については、発達障害情報・支援センターや、お住まいの自治体の保健センター、難病相談支援センターも窓口になります。障害のあるお子さんへの支援制度は、こども家庭庁の情報も参考にしてください。
私自身、外来のご相談で「同じ病名の人に会ったことがない」という声を何度も伺います。GABRA5という遺伝子名そのものはGABA-A受容体の研究分野では以前から知られていますが、DEE79という病型としての報告はまだ日が浅く、国内の患者会・家族会は限られているのが現状です。日本語の一次情報が少ない病気だからこそ、公的機関の情報と、主治医を通じた専門家ネットワークの両方を頼ってください。
てんかん性脳症には、原因遺伝子の異なる複数のタイプがあります。ナトリウムチャネル遺伝子SCN1Aの変異で起こるドラベ症候群(早期乳児てんかん性脳症6型)のように、同じ「てんかん性脳症」でも原因遺伝子ごとに発作のタイプや合併しやすい症状が異なります。気になる方はあわせてご覧ください。
8. 妊娠中の検査・NIPTとの関係
GABRA5遺伝子の変異による病気は、1つの遺伝子の変化で起こる単一遺伝子疾患です。NIPTの基本検査で調べる21・18・13トリソミーなどの染色体数の異常とは、検出のしくみがまったく異なります。
単一遺伝子疾患まで対象範囲を広げた拡大NIPTのプランもあります。プランによっては、数百種類の単一遺伝子疾患を対象とする検査項目が用意されている場合がありますが、GABRA5遺伝子が含まれるかどうかは検査施設・プランごとに異なります。NIPTの基本的なしくみや出生前診断でわかること・わからないこともあわせてご確認ください。
ご自身が検討している検査プランがGABRA5関連の異常まで対象に含むかどうかは、検査を受ける施設に直接確認してください。もう一つ知っておいていただきたいのは、NIPTはあくまで非確定的なスクリーニング検査だという点です。陽性所見や気になる結果が出た場合は、羊水検査などの確定検査で診断を固める流れになります。
今回、この病気に関する国内の実体験の投稿をX(旧Twitter)で探しましたが、該当する投稿は見当たりませんでした。GABRA5という遺伝子名自体を検索しても、症例数の少なさから一次情報はごくわずかです。本記事では代わりに、米国国立医学図書館が公開する研究データベース、難病情報センター、発達障害情報・支援センター、こども家庭庁などの公的・学術情報を根拠としています。知的障害を伴う遺伝性疾患全般の統計は知的障害と出生前検査に関する記事でも整理していますので、あわせてご参照ください。
まとめ:ご家族へのメッセージ
GABRA5遺伝子の変異により、脳内のブレーキシステム(GABA-A受容体)に不具合が生じ、脳の過剰興奮と発達への影響が組み合わさって起こる先天性の疾患です。医学データベース上ではDEE79(79型)に分類され、名称の似たDEE92(GABRB2遺伝子)やDEE19(GABRA1遺伝子)とは原因遺伝子も症状の出方も異なる、まったく別の病気であることをまず押さえてください。
生後2〜4か月頃から始まる難治性てんかん、重度の発達遅滞、筋緊張低下または痙縮などが主な特徴です。てんかんは難治性であることが多いですが、様々なお薬の調整でコントロールを目指せます。原因の多くは突然変異によるもので、ご両親のせいではありません。
発作のコントロールだけでなく、リハビリ、栄養管理、感染症予防など、全身をトータルでケアする視点が欠かせません。遺伝子診断という「名前」がつくことで、お子さんの特性に合った医療とケアの計画を立てやすくなります。何よりもまず、主治医や遺伝カウンセラーへの相談を。
お電話でのご相談も受け付けています。0120-169-629までお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
GABRA5遺伝子の病気は「92型」ですか、それとも「79型」ですか。
米国の医学データベースOMIMでは、GABRA5遺伝子の変異による病気は発達性およびてんかん性脳症79型(DEE79)として登録されています。92型(DEE92)はGABRB2遺伝子が原因の別の病気ですので、混同しないようご注意ください。
GABRA1遺伝子による病気とは何が違いますか。
どちらもGABA-A受容体の「アルファ」サブユニットに関わる遺伝子ですが、GABRA5(アルファ5)は主に海馬の持続的な抑制を担い発症は生後2〜4か月頃が多いのに対し、GABRA1(アルファ1)はシナプスの瞬間的な抑制を担い発症は生後8〜12か月頃が多いなど、担当する役割と発症時期が異なります。
てんかん発作はいつ頃から始まりますか。
これまでの報告では、生後2か月から4か月頃という乳児期早期に発作が始まっています。ミオクロニー発作や強直発作、全般強直間代発作など複数のタイプが組み合わさって現れることが知られています。
治療法はありますか。根治できますか。
遺伝子の変化そのものを修復する根本治療は、現時点では確立されていません。抗てんかん薬による発作のコントロールと、理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの療育を組み合わせ、生活の質を高めることを目指します。
次の子どもにも同じ病気が起こる可能性はありますか。
これまでに報告されているケースは、いずれもご両親には原因がない新生突然変異(デノボ変異)によるものです。ご両親のどちらのせいでもありません。次のお子様への具体的な再発リスクは、遺伝カウンセリングで個別に確認してください。
発達の見通しはどのくらいですか。
報告された症例では重度の精神運動発達の遅れがみられ、言葉によるコミュニケーションが難しいお子さんもいます。ただし報告数自体が非常に少なく、個人差も大きいため、見通しについては主治医と個別に相談することが大切です。
妊娠中のNIPTでこの病気はわかりますか。
21・18・13トリソミーなどの基本検査の対象ではありません。単一遺伝子疾患まで対象を広げた拡大NIPTのプランでは対象に含まれる場合がありますが、対応範囲は施設によって異なります。陽性所見が出た場合は羊水検査などの確定検査が必要です。
監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会・学術論文の情報を参照して作成しています。記載の数値は限られた症例報告にもとづくものであり、症例数が少ないため今後の知見により変わる可能性があります。診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。
参考情報:Altered inhibitory synapses in de novo GABRA5 and GABRA1 mutations associated with early onset epileptic encephalopathies|PMC(米国国立医学図書館)/同論文|PubMed(米国国立医学図書館)/大田原症候群(指定難病146)|難病情報センター/発達障害情報・支援センター/障害児支援施策|こども家庭庁
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
