出生前診断の種類の違いとは?NIPTや羊水検査など選び方を解説

女医

この記事では、出生前診断の種類とそれぞれの特徴を解説します。NIPTをはじめとする各検査の選び方や、受ける前に知っておきたい注意点もお伝えします。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

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この記事のまとめ

新しい命を授かり、期待とともに赤ちゃんの健康について考え始める方も多いのではないでしょうか。 とくに妊娠初期は、喜びと同時にさまざまな想いが巡る大切な時期です。 出生前診断には多くの種類があり、どの検査が自分にとって最適なのか迷ってしまうかもしれません。 本記事では、出生前診断の代表的な種類とそれぞれの特徴、そしてご自身の状況に合わせた選び方のポイントを解説します。 ご自身と赤ちゃんにとって納得のいく選択をするための参考にしてください。

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出生前診断とは

出生前診断は、お腹の中にいる赤ちゃんの健康状態や、染色体・遺伝子の状態を妊娠中に調べる検査です。
すべての疾患がわかるわけではありませんが、赤ちゃんの状態を事前に把握することで、出産後の育児環境や治療計画を早期に立てられます。

また、不安を抱えたまま妊娠期間を過ごすのではなく、正しい情報を得て心の準備をするための1つの選択肢です。
検査にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があるため、内容を正しく理解し、ご自身やご家族にとって最善の選択をすることが大切です。

出生前診断の種類

出生前診断には、検査の方法や目的によっていくつかの種類があります。
まずは全体像を把握するために、おもな検査を比較してみましょう。

出生前診断は大きく「非確定的検査」「確定的検査」「画像診断補助」の3つに分類されます。

非確定的検査は、赤ちゃんに特定の病気の可能性があるかを調べるスクリーニング検査で、母体への負担が少ないのが特徴です。
確定的検査は、病気の有無を確定させる検査ですが、お腹に針を刺すなどの処置が必要で流産のリスクを伴います。
画像診断補助は、超音波検査などで見つかった異常をより詳しく調べるための検査です。

これらの分類を理解したうえで、ご自身が何を知りたいのか、どこまでの情報を求めるのかを考えることが、検査選びの第一歩となります。

下記の表は、代表的な出生前診断をまとめたものです。

検査名分類検査時期(目安)特徴・対象メリットリスク・注意点
NIPT(新型出生前診断非確定的検査(血液検査)妊娠6週~染色体異数性/性染色体異常微小欠失重複高精度・非侵襲・早期検査が可能陽性時は確定検査が必要(偽陽性・偽陰性の可能性あり)
母体血清マーカー(クアトロテスト)非確定的検査妊娠15~18週ダウン症18トリソミー神経管閉鎖障害のリスク予測全国的に普及/比較的安価精度がNIPTより低く、年齢などで陽性率が変動
超音波検査(胎児ドック)非確定的検査妊娠11週~頸部浮腫(NT)など形態異常/心臓・脳・骨格の評価非侵襲で情報が多い経験により精度に差/染色体異常は直接わからない
羊水検査確定的検査妊娠15~18週染色体・遺伝子の確定診断精度が非常に高い/性別も確定流産率約0.1〜0.3%/侵襲的
絨毛検査確定的検査妊娠10~13週染色体異常の確定診断(早期)羊水検査より早く結果が出る流産リスクはやや高め(約0.3〜1%)/モザイク注意
胎児MRI画像診断補助妊娠20週以降中枢神経や臓器異常の詳細評価脳の詳細画像が得られる専門施設のみ/染色体異常は評価できない

上記の表を踏まえたうえで、各検査の詳細を見ていきましょう。

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■ NIPT(新型出生前診断)

  • 分類:非確定的検査(母体の血液検査)
  • 検査時期:妊娠6週~(※通常は10週以降が標準)
  • 対象:21・18・13トリソミー、性染色体異常(XXY、XOなど)、微小欠失・重複(※プランによる)

NIPT(新型出生前診断)は、お母さんから採血した血液に含まれる胎児由来のDNA断片を分析する検査です。
21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミー13トリソミーといった染色体異数性のリスクを、高い精度で調べられます。

妊娠10週から検査でき、母体にも赤ちゃんにも直接的な負担がない点が大きなメリットです。
ただし、あくまで可能性を調べる非確定的検査であるため、陽性と判定された場合は、診断を確定させるために羊水検査などの確定的検査が必要です。

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■ 母体血清マーカー(クアトロテスト)

母体血清マーカー(クアトロテスト)は、妊娠15週以降にお母さんから採血し、血液中の4つの成分を測定する非確定的検査です。
測定値と年齢などの情報を組み合わせて、赤ちゃんがダウン症候群や18トリソミー神経管閉鎖障害である確率を算出します。

比較的安価で多くの医療機関で実施されていますが、NIPTと比較すると精度は高くありません。
結果はあくまで確率で示されるため、妊婦さんの年齢などによって結果が変動しやすい点に注意が必要です。


■ 超音波検査(胎児ドック)

  • 分類:非確定的検査(画像診断)
  • 検査時期:妊娠11週以降(NT評価は11~13週が推奨)
  • 対象:胎児の形態異常(脳・心臓・骨格など)

超音波検査(胎児ドック)は、超音波を使ってお腹の中の赤ちゃんの様子を詳しく観察する画像検査です。
妊娠初期には、後頭部のむくみ(NT)などを計測して染色体異常の可能性を探ります。
妊娠中期以降は、心臓や脳、骨格などの形態的な異常がないかを確認できます。

母体への負担がなく、繰り返し行える安全な検査ですが、染色体そのものの異常を診断できません。
また、検査を行う医師の技術や経験によって得られる情報の精度が左右される側面もあります。


■ 羊水検査

  • 分類:確定的検査
  • 検査時期:妊娠15~18週
  • 対象染色体異常、遺伝子異常の確定診断

羊水検査は、お母さんのお腹に細い針を刺して羊水を採取し、そこに含まれる胎児の細胞から染色体や遺伝子を直接調べる確定的検査です。
妊娠15週以降に実施でき、NIPTなどで陽性判定が出た場合の確定診断として用いられます。
検査の精度は高く、ほぼ100%の確度で診断が可能です。

しかし、針を刺すことによる侵襲的な検査であるため、約0.1〜0.3%の確率で流産や死産のリスクを伴います。
実施にあたっては、このリスクを十分に理解する必要があります。

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■ 絨毛検査(CVS)

  • 分類:確定的検査
  • 検査時期:妊娠10~13週
  • 対象染色体異常の早期確定診断

絨毛検査は、将来胎盤になる絨毛組織の一部を採取し、そこに含まれる細胞から染色体を調べる確定的検査です。
妊娠10週から13週という比較的早い時期に確定診断ができるのが最大の特徴です。
羊水検査よりも早期に結果を知りたい場合に選択肢となります。

一方で、羊水検査よりも流産のリスクがやや高い(約1~2%程度)とされています。
また、胎盤と胎児の染色体が異なる「胎盤性モザイク」の場合、正確な診断が難しいケースがある点も注意が必要です。


■ 胎児MRI

  • 分類:画像診断補助
  • 検査時期:妊娠20週以降
  • 対象:中枢神経異常、臓器異常の詳細確認

胎児MRIは、超音波検査で何らかの異常が疑われた場合に、さらに詳しく調べる目的で行われる画像診断です。
とくに、赤ちゃんの脳や中枢神経、その他の臓器の構造をより高解像度で詳細に評価するのに役立ちます。
妊娠20週以降に実施されることが多く、超音波では確認しきれない微細な形態異常の発見につながる場合があります。

ただし、この検査では染色体の異常を直接診断できません。
また、専門的な設備が必要なため、実施できる医療機関は限られています。

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出生前診断を受けるうえでの注意点

出生前診断は、赤ちゃんの情報を事前に知れる一方で、いくつかの大切な注意点が存在します。
検査を受ける前には、その限界や結果がもたらす意味について深く理解し、精神的な準備をしておくことが不可欠です。

ここでは、とくに心に留めておきたい3つのポイントを解説します。

  • すべての疾患がわかるわけではない
  • 根本的な治療法が確立されていない
  • “命”の選択を迫られる

これらの点を踏まえ、検査に臨むかどうかを慎重に判断しましょう。

すべての疾患がわかるわけではない

出生前診断で調べられるのは、特定の染色体異常や遺伝子疾患、形態異常などに限られます。
検査で「異常なし」と判定されても、赤ちゃんにほかの病気や障害が全くないことを保証するものではありません。

たとえば、自閉症スペクトラムなどの発達障害は、出生前診断で発見できません。
検査には限界があることを理解し、結果を過信しすぎない姿勢が大切です。
あくまでも、わかる範囲で赤ちゃんの状態を知るための1つの手段と捉えましょう。

根本的な治療法が確立されていない

出生前診断によって染色体異常などがわかった場合でも、その多くには根本的な治療法がありません。
たとえば、ダウン症候群そのものを治す治療はなく、合併症に対する対症療法や療育が中心となります。

事前に病気を知ることで、出産後の医療体制を整えたり、専門家への相談を始めたりといった準備ができるというメリットは大きいです。
しかし、病気自体を治せるわけではないという現実も、同時に受け止める必要があります。

“命”の選択を迫られる

検査結果によっては、妊娠を継続するかどうかという、重い選択を迫られる可能性があります。

母体保護法では、胎児の疾患を理由とした人工妊娠中絶は認められていません。
しかし、実際には「母体の心身の健康を著しく害するおそれがある」と医師が判断した場合に、中絶が選択されることもあります。

検査を受ける前に、どのような結果が出ても受け入れる覚悟があるか、もし陽性だった場合にどうするのか、パートナーと深く話し合っておくことが重要です。

出生前診断を選ぶ際は

数ある出生前診断の中から、ご自身に合ったものをどのように選べばよいのでしょうか。
検査を選ぶ際には、医学的な側面だけでなく、ご自身の価値観や家庭の状況など、さまざまな角度から検討することが大切です。

ここでは、後悔のない選択をするために考慮すべき4つの視点を紹介します。

  • 妊娠週数・母体の状況を考慮する
  • 妊婦さんやご家族の意向を確認する
  • 医師に相談する
  • パートナーに相談する
  • 費用を考慮する

これらを踏まえて、納得できる選択をしましょう。

妊娠週数・母体の状況を考慮する

出生前診断は、検査ごとに受けられる妊娠週数が決まっています。
たとえば、NIPTは妊娠10週以降、絨毛検査は10〜13週、羊水検査は15〜18週が一般的です。
早い段階で方針を固めておけば、万が一陽性で確定検査が必要になった場合でも、無理なく次の段階へ進めます。

つわりや持病、服用中の薬などの状況は、どの検査を選ぶかに影響することがあります。
そのため、初診時から医師に伝えておくと安心です。
予約の混み具合やクリニックまでの距離も考慮し、結果を聞く日程まで含めて計画することで、仕事や家庭の予定とも両立しやすくなります。

1.妊婦さんやご家族の意向を確認する

まず、なぜ出生前診断を受けたいのか、その目的を明確にすることが大切です。
「とにかく不安を解消したい」「もし異常があれば、出産後の準備を万全にしたい」など、動機は人それぞれでしょう。

また、検査結果を知ったうえで、どのような対応を考えているのかも事前に話し合う必要があります。
ご自身の気持ちだけでなく、ご家族、とくにパートナーの意向も尊重し、全員が納得できる結論を出すことが、後悔しないために重要です。

2.医師に相談する

専門家である医師への相談は、適切な検査を選ぶうえで欠かせません。
ご自身の年齢や健康状態、これまでの妊娠歴などを伝え、医学的な観点からどの検査が適しているかアドバイスをもらいましょう。

それぞれの検査のメリットだけでなく、リスクや限界についても詳しく説明を受け、疑問や不安な点はすべて解消しておくことが賢明です。
遺伝カウンセリングなどを利用し、専門のカウンセラーに相談するのもよい選択肢の1つです。

3.パートナーに相談する

話し合う 夫婦

出生前診断は、妊婦さんの身体で行われる検査ですが、その結果はパートナーや家族全員の未来に直結します。
パートナー間で、疾患や障害をどう受け止めるかについて考え方に違いがある場合も少なくありません。
「もし陽性ならどうするか」という仮定の話は苦痛を伴いますが、検査を受ける前に必ず二人で話し合っておくべきテーマです。

結果が出てから意見が対立すると、時間は限られている中で激しい葛藤が生じ、夫婦関係に亀裂が入ることも。
パートナーが検査の意義やリスクを理解していない場合は、一緒にカウンセリングを受けることをおすすめします。

4.費用を考慮する

出生前診断の多くは、公的医療保険が適用されない自費診療です。
検査費用は医療機関や検査内容によって大きく異なり、数万円から数十万円と幅があります。

NIPTや羊水検査などは、比較的高額になる傾向があります。
ご家庭の経済状況と照らし合わせ、無理のない範囲で受けられる検査はどれか、事前に費用を確認しておくことが肝心です。
医療費控除の対象になる場合もあるため、そうした制度についても調べておくとよいでしょう。

受診する検査に迷う場合は

さまざまな検査の特徴や注意点を理解しても、実際にどれを選べばよいか迷ってしまう方も多いでしょう。
すべての検査にはメリットとデメリットがあり、確定的検査には流産のリスクが伴います。
一方で、非確定的検査はあくまで「可能性」を示すものであり、陽性だった場合はさらなる検査と向き合う必要があります。

このような状況で、「母子ともに負担が少なく、かつ精度の高い情報がほしい」と考える方には、NIPT(新型出生前診断)が適しているでしょう。
NIPTは採血のみで検査が完了するため流産のリスクがなく、ダウン症候群などに対する検査精度は高いのが特徴です。
妊娠の早い段階で検査を受けられるため、その後の時間をかけて心の準備や次のステップを考えられる点も大きなメリットです。

まとめ

出生前診断は、検査内容や結果の意味を十分に理解し、ご家族で納得して選択することが何よりも大切です。

ヒロクリニックNIPTでは、染色体異数性に加え、知的障害につながる微小欠失症候群まで調べられる多彩なプランをご提供しています。
国内検査による迅速な結果報告はもちろん、陽性時の羊水検査費用を最大20万円まで補助する制度も整えています。
産婦人科や小児科の専門医が在籍しており、検査前から検査後まで、皆様の不安に寄り添いサポートしますので、お気軽にお問い合わせください。

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Q&A

  • Q
    出生前診断とは何を調べる検査ですか?
    出生前診断とは、妊娠中にお腹の赤ちゃんの健康状態や染色体異常、遺伝的疾患の可能性などを調べる検査です。妊婦さんが安心して出産を迎えるための一つの手段として、多くの方が検討しています。
  • Q
    出生前診断の種類にはどのようなものがありますか?
    出生前診断には主に2つの種類があります。非侵襲的検査(超音波検査、母体血清マーカー検査、NIPTなど)と、侵襲的検査(羊水検査、絨毛検査)です。それぞれで得られる情報やリスクが異なります。
  • Q
    NIPT検査とはどのような検査ですか?
    NIPT(新型出生前診断)は、母体の血液中に含まれる胎児DNAを解析することで、ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体異常の可能性を高精度で判定する検査です。母体や胎児に負担がなく、妊娠10週から受けられます。
  • Q
    羊水検査や絨毛検査にはどんなリスクがありますか?
    羊水検査は流産のリスクが約0.1~0.3%、絨毛検査は1~2%程度とされています。どちらも確定診断が可能な検査ですが、侵襲を伴うため、医師とよく相談してから検討することが大切です。
  • Q
    出生前診断を選ぶときに気をつけることは何ですか?
    出生前診断を選ぶ際は、妊娠週数・検査の目的・ご家族の意向・経済的な負担などを総合的に考える必要があります。医師や遺伝カウンセラーと相談しながら、自分たちに合った検査方法を選ぶことが重要です。

この記事では、出生前診断の種類とそれぞれの特徴を解説します。NIPTをはじめとする各検査の選び方や、受ける前に知っておきたい注意点もお伝えします。

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