出生前診断にリスクはあるの?【医師監修】

NIPT(新型出生前診断)にリスクはあるの? 妊婦 写真

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

この記事のまとめ

NIPT(新型出生前診断)は妊婦さんの採血のみで行うため、母体や胎児への身体的なリスクは低い非確定的検査です。ただし偽陽性・偽陰性という限界があり、確定診断には羊水検査などが必要です。羊水検査絨毛検査には流産などのリスクがおおむね約0.3%前後と報告されています。この記事では、出生前診断の種類ごとのリスクと、非認証(非認可)施設で受ける際の注意点、遺伝カウンセリングの役割までを整理しました。

この記事でわかること

  • 出生前診断には「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があること
  • NIPTでわかること(13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査)
  • NIPT・確定的検査・超音波検査・母体血清マーカー検査それぞれのリスクの違い
  • 非認証施設で受けるときの注意点と、遺伝カウンセリングの役割

出生前診断とは?非確定的検査と確定的検査の2種類

出生前診断は、生まれる前の赤ちゃんの状態を調べる検査の総称で、大きく「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類に分かれます。この違いを知ることが、リスクを正しく理解する第一歩です。

非確定的検査は、赤ちゃんに染色体の変化がある可能性を調べる検査です。採血や超音波で行うため、母体や胎児への身体的な負担が少ないのが特長です。NIPT、超音波検査、母体血清マーカー検査、コンバインド検査がここに含まれます。あくまで可能性を示す検査、つまりスクリーニングという位置づけです。

一方の確定的検査は、診断を確定させるための検査です。羊水検査絨毛検査が代表的で、お腹に針を刺して細胞を採取します。染色体を直接調べるため結果は確定的ですが、流産などのリスクをともないます。

私が妊婦さんの相談を見ていて感じるのは、この2種類の区別があいまいなまま「リスクが怖い」と検査全体を敬遠してしまう方が多いことです。実際には、採血だけの検査と針を刺す検査ではリスクの性質がまったく違います。まずは分類を押さえておくと、自分に必要な検査を落ち着いて選べます。検査の考え方はNIPTとはもあわせてご覧ください。

出生前診断の2つの種類 非確定的検査 可能性を調べるスクリーニング NIPT・超音波検査 母体血清マーカー検査 身体的リスクは低い 確定的検査 診断を確定させる検査 羊水検査絨毛検査 お腹に針を刺す 流産などのリスクがある
出生前診断は身体的リスクの低い非確定的検査と、診断を確定する確定的検査に分かれます

NIPT(新型出生前診断)でわかること

NIPTは、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査で、妊婦さんの採血だけで行えます。可能性を示すスクリーニングであり、確定診断には羊水検査などが必要です。

NIPTは、母体の血液に含まれる、赤ちゃんに由来する細胞外を流れるDNA(cfDNA)を分析する検査です。針を胎児やお腹に直接刺さないため、非侵襲的な検査と呼ばれます。基本の対象は次の3つの染色体の数の変化です。

施設によっては、1番から22番までの常染色体の数の変化や、性染色体の変化、染色体のごく一部が欠けたり増えたりする微小欠失・重複まで調べられます。検査項目が広がるほど得られる情報は増えますが、対象疾患において検出できる範囲や解釈の難しさも変わります。どこまで調べるかは、遺伝カウンセリングで相談しながら決めてください。

ここで押さえておきたいのは、NIPTが「可能性を示す検査」だという性質です。対象疾患において高い検出精度が報告される検査ですが、結果が陽性でも確定ではありません。陽性となった場合は、確定診断のために羊水検査などを検討します。NIPTの受検条件はNIPTの受検条件と年齢制限で確認できます。

NIPTでわかる染色体を示した出生前診断のリスクの図

NIPT(非確定的検査)のリスク|採血のみで身体的リスクは低い

NIPTのリスクは、採血のみで行うため母体・胎児への身体的な負担が低い一方、偽陽性・偽陰性という検査の限界と、結果を待つ間の心理的な負担があります。

身体的なリスクはほとんどない

NIPTで行うのは、腕からの採血だけです。注射針を刺すときに多少の痛みは感じますが、お腹に針を刺す確定的検査のような流産リスクはありません。妊婦健診の採血と同じ感覚で受けられます。

採血だけと聞くと簡単に思えますが、実際には超音波での確認とあわせて丁寧に進む施設が多いと感じます。Xでも@b__nukonekoさんが、NIPTを受けたら血液検査だけかと思っていたらエコー検査もあり、胎盤の位置や子宮頸管長まで測ってもらえて、過去に子宮頸部の円錐切除手術をして早産リスクを気にしていたので有難かった、と書いていました。採血が中心でも、赤ちゃんの状態を一緒に確認できる機会になります。

偽陽性・偽陰性という限界

身体的リスクが低い代わりに、NIPTには結果の限界があります。実際には染色体の変化がないのに陽性と出る偽陽性、変化があるのに陰性と出る偽陰性が起こりえます。だからこそNIPTは確定診断ではなく、陽性のときは羊水検査などで確かめる流れになります。NIPT陰性でも羊水検査が必要かどうかはNIPT陰性でも羊水検査は必要かで詳しく解説しています。

心理的な負担への配慮

もうひとつ見落とされがちなのが、心理的な負担です。結果が出るまでの不安や、陽性だったときにどう受け止めるかは、身体のリスクとは別の課題。だからこそ検査の前後で遺伝カウンセリングを受け、結果の意味を落ち着いて理解しておくことが安心につながります。国の制度としての位置づけは出生前検査認証制度等機構の情報も参考になります。

確定的検査(羊水検査・絨毛検査)のリスク

羊水検査絨毛検査はお腹に針を刺して細胞を採取するため、流産などのリスクがおおむね約0.3%前後と報告されています。診断を確定できる代わりに、身体的な負担をともなう検査です。

羊水検査

羊水検査は、お腹に針を刺して羊水を採取し、その中の赤ちゃん由来の細胞から染色体を調べる検査です。羊水には赤ちゃんが飲んだり排尿したりした細胞が含まれています。細胞を培養して解析するため、結果が出るまで2〜3週間ほどかかります。実施時期は妊娠15〜16週以降が目安です。

気になる流産などのリスクは、おおむね約0.3%前後と報告されています。破水や出血、感染が起こることもまれにあります。検査の内容や費用は羊水検査とはで詳しく確認できます。

絨毛検査

絨毛検査は、胎盤の一部にある絨毛という細胞を採取して調べる検査です。お腹から針を刺す方法と、膣からカテーテルで採取する方法があります。妊娠11〜14週前後と羊水検査より早い時期に受けられるのが利点です。

絨毛検査流産などのリスクがともないます。技術的に難しく、実施している医療機関が限られる点も特徴。どちらの確定的検査を選ぶかは、週数や施設の体制を踏まえて医師と相談してください。確定的検査は陽性のときに必ず受けるものではなく、ご本人とご家族の希望で決めます。

検査種類実施時期の目安身体的リスク
NIPT非確定的検査妊娠10週頃〜採血のみで低い
超音波検査非確定的検査妊娠11〜13週頃ほかほとんどない
母体血清マーカー検査非確定的検査妊娠15〜18週頃採血のみで低い
絨毛検査確定的検査妊娠11〜14週前後流産など約0.3%前後と報告
羊水検査確定的検査妊娠15〜16週以降流産など約0.3%前後と報告
出生前診断の種類ごとの実施時期とリスクの比較
検査方法と身体的リスクの目安 NIPT(採血) 身体的リスクは低い 超音波検査 ほとんどない 母体血清マーカー 採血のみで低い 羊水・絨毛検査 流産など約0.3%前後と報告
採血や超音波の検査は身体的リスクが低く、針を刺す確定的検査は流産リスクをともないます

超音波検査・母体血清マーカー検査のリスク

超音波検査と母体血清マーカー検査はどちらも非確定的検査で、身体的なリスクはほとんどありません。ただし可能性を示す検査のため、結果の受け止め方には注意が必要です。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査は、妊婦健診でもおなじみの検査です。お腹に機器を当てて反響を画像化し、赤ちゃんの成長や発育を確認します。超音波によって非侵襲的に行うため、赤ちゃんへの身体的な負担はありません。お腹にジェルを塗るときに冷たさを感じる程度です。

妊娠中期には、時間をかけて詳しく見る胎児超音波スクリーニング検査を受けることもできます。ここで気になる所見が見つかった場合は、確定診断のために確定的検査を検討します。

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査は、妊婦さんの血液中の成分から、ダウン症候群(21トリソミー)やエドワーズ症候群(18トリソミー)、神経管閉鎖障害などの可能性を調べます。採血のみのため、身体的なリスクは低い検査です。4つの成分を調べるクアトロテスト、3つの成分を調べるトリプルマーカーテストがあります。

母体血清マーカー検査の結果は確率で示されます。数字の解釈が難しく、不安につながりやすい点には配慮が必要です。あくまでスクリーニングであり、診断には確定的検査が要ります。検査の考え方に迷ったときは、日本産科婦人科学会など公的な情報も参考にしてください。日本産科婦人科学会日本産婦人科医会 解説ノートで基本の考え方を確認できます。

非確定的検査と確定的検査の違いを示す採血のイラスト

非認証(非認可)施設で受ける際の注意点

非認証施設は違法ではなく検査項目が広い利点がある一方、結果説明や遺伝カウンセリング、陽性時の羊水検査への連携が施設ごとに異なる点に注意してください。

NIPTを受けられる施設には、学会などの認証を受けた認証施設と、認証外の非認証施設があります。認証施設で調べられるのは主に13・18・21トリソミーですが、非認証施設では性染色体や微小欠失・重複まで幅広く調べられることがあります。同じ内容をより安価に受けられる場合もあります。

気をつけたいのは、検査そのものより、その後の体制です。陽性だったときの説明や、確定診断のための羊水検査への連携が整っているかは施設によって差があります。Xでも@okupanxc4oさんが、産院で遺伝カウンセリングを受けたところ、非認可クリニックでNIPTをすると羊水検査をさせてもらえないらしく、精度が微妙に異なるとも聞いて迷ってしまった、と書いていました。私も、こうした「検査後の道筋」まで確かめてから受ける施設を選ぶと安心だと感じます。

施設を選ぶときは、結果説明を医師が行うか、遺伝カウンセリングを受けられるか、陽性時に羊水検査へつなげられるかを事前に確認してください。制度の考え方は出生前検査認証制度等機構で整理されています。費用の全体像は出生前診断の費用もあわせてご覧ください。

遺伝カウンセリングの役割

遺伝カウンセリングは、検査の意味や結果を医学的な根拠にもとづいて説明し、ご自身が納得して選べるように支える対話型の支援です。検査の前後どちらでも受けられます。

NIPTを受けるかどうか、結果をどう受け止めるかは、価値観や状況によって答えが変わります。だからこそ、正確な情報を得てから考えることが安心につながります。遺伝カウンセリングでは、検査でわかること・わからないこと、確定的検査の必要性、リスクの意味を、専門知識のある担当者が一緒に整理します。

ヒロクリニックでは、遺伝カウンセリングを医師が担当し、検査前の説明から結果後の対応まで一貫して相談できる体制を整えています。産婦人科専門医や小児科専門医も連携しているため、出生後のサポートについても具体的に相談できます。無理に検査を勧めることはありません。迷いがあるときこそ、まず話を聞いてみてください。

よくある質問

出生前診断のリスクについて、妊婦さんからよく寄せられる疑問をまとめました。参考にしてください。

Q. NIPTに身体的なリスクはありますか?

NIPTは妊婦さんの採血のみで行うため、母体や胎児への身体的なリスクは低い検査です。お腹に針を刺さないので、確定的検査のような流産リスクはありません。ただし偽陽性・偽陰性という限界があり、確定診断には羊水検査などが必要です。

Q. 羊水検査や絨毛検査の流産リスクはどのくらいですか?

羊水検査絨毛検査はお腹に針を刺すため、流産などのリスクがおおむね約0.3%前後と報告されています。破水や出血がまれに起こることもあります。受けるかどうかは、週数や体調を踏まえて医師と相談して決めてください。

Q. NIPTで何がわかりますか?

NIPTは、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査です。施設によっては性染色体の変化や微小欠失・重複まで調べられます。可能性を示すスクリーニングのため、陽性のときは羊水検査などで確定診断を検討します。

Q. 非認証施設でNIPTを受けても大丈夫ですか?

非認証施設は違法ではなく、検査項目が広いなどの利点があります。ただし結果説明や遺伝カウンセリング、陽性時の羊水検査への連携が施設ごとに異なります。受ける前に、これらの体制が整っているかを確認してください。

Q. 遺伝カウンセリングは受けたほうがよいですか?

検査でわかることや結果の意味を落ち着いて理解できるため、検査の前後で受けておくと安心です。医学的な根拠にもとづいて情報を整理し、ご自身が納得して選べるよう支えます。迷いがあるときこそ、遠慮なく相談してください。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

Q&A

  • Q
    NIPT(新型出生前診断)はどんな検査ですか?
    NIPTは、妊婦さんの血液に含まれる胎児のDNAの断片を分析することで、染色体異常の有無を高精度で検出する非侵襲的な出生前診断です。採血だけで済み、母子にリスクがないため、安全に早期の検査が可能です。
  • Q
    NIPTはいつから受けられますか?
    一般的には妊娠10週0日以降から受検できます。ヒロクリニックでは妊娠6週ごろから検査の準備が可能で、採血後2~6日で結果が届きます。
  • Q
    NIPTで陽性だった場合はどうすればいいですか?
    NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は羊水検査や絨毛検査といった確定診断が推奨されます。確定検査は流産リスクがあるため、実施はご本人の希望に基づいて行われます。
  • Q
    他の出生前診断とNIPTの違いは何ですか?
    超音波検査や母体血清マーカー検査も非侵襲的ですが、NIPTはそれらよりも精度が高く、より早期に実施可能です。一方、確定診断ではないため、陽性時は追加検査が必要です。検査内容や精度、時期、費用を比較して選ぶことが大切です。

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

羊水検査について詳しく見る

羊水検査について詳しく見る

医師監修 監修日:2020年8月4日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2020年8月4日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2020年8月4日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

関連記事

  1. NEW
  2. NEW
  3. NEW 妊娠週数のカレンダーを見ながらNIPTの受検時期を考える妊婦さんのイラスト