この記事のまとめ
出生前診断は、体への負担が小さい「非確定的検査」と、染色体を直接調べて診断を確定させる「確定的検査」の2つに大きく分かれます。非確定的検査には形態超音波検査・母体血清マーカー検査(クアトロテスト)・コンバインド検査・NIPT(新型出生前診断)があり、採血や超音波で受けられます。確定的検査には妊娠11〜14週の絨毛検査と、妊娠15〜16週以降の羊水検査があり、針を刺すため流産などのリスク(羊水検査で約0.3%=約300回に1回)を伴います。自分に合う検査は「何がわかるか」「受けられる時期」「体への負担」「費用」「確定か非確定か」の5つの軸で選び、迷ったら遺伝カウンセリングやかかりつけの産婦人科へ相談してください。
この記事でわかること
- 出生前診断とは何か、非確定的検査と確定的検査の違い
- それぞれの検査で「何がわかるか」「受けられる時期」「体への負担」
- 5つの検査を時期・方法・わかること・リスクで比較した一覧表
- 自分に合う検査の選び方と、受ける前に相談すべき窓口
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出生前診断とは|妊娠中に赤ちゃんの状態を調べる検査の総称
出生前診断とは、妊娠中に赤ちゃんの染色体疾患や形態異常の有無・可能性を調べる検査の総称です。お母さんの採血や超音波、あるいは羊水の採取などを通して、生まれる前に赤ちゃんの状態を確かめます。すべての病気がわかるわけではありませんが、事前に知ることで出産後の医療体制や心の準備を整えられます。
出生前診断は、大きく2つのグループに分かれます。体への負担が小さい非確定的検査と、診断を確定できる確定的検査です。私が妊婦さんの相談に立ち会ってきた経験でも、まずこの2つの違いを知るだけで、頭の中がずいぶん整理されると感じます。次の図で全体像をつかんでください。
非確定的検査と確定的検査の違い
非確定的検査は「可能性・確率」を示すのみで、採血や超音波なので体への負担が小さいのが特徴です。一方の確定的検査は、赤ちゃんの染色体を直接調べて診断を確定させます。ただし針を刺すため、流産などのリスクを伴います。負担は小さいが確定はできない検査と、確定できるが負担がある検査。この対比が出生前診断を理解する軸になります。
両者は対立するものではなく、役割が違うだけです。多くの場合、まず非確定的検査で可能性を調べ、陽性が出た人だけが確定的検査に進みます。この二段構えを知っておくと、次からの検査ごとの説明も理解しやすくなります。
検査の種類①|非確定的検査(超音波・母体血清マーカー・NIPT)
非確定的検査は、採血や超音波で赤ちゃんの染色体疾患の「可能性」を調べる、体への負担が小さい検査です。形態超音波検査、母体血清マーカー検査(クアトロテスト)、コンバインド検査、そしてNIPT(新型出生前診断)が代表例。針を刺さないため流産のリスクはほぼなく、比較的早い時期から受けられます。
出生前診断の種類を最初に整理するとき、私はいつもこの4つを採血系と超音波系に分けて説明しています。Xでも精子提供の情報を発信する@HY_BABYJPさんが、超音波検査・母体血清マーカー検査・NIPT・羊水検査・絨毛検査を並べて、それぞれ何を調べる検査かを整理してくれていました。種類が多くて混乱しがちだからこそ、こうして役割ごとに並べると頭に入りやすくなります。
形態超音波検査(胎児ドック)
形態超音波検査は、超音波で赤ちゃんの姿を詳しく観察する検査です。妊娠初期には首の後ろのむくみ(NT)などを計測し、中期以降は心臓や脳、骨格の形に変化がないかを確認します。お母さんにも赤ちゃんにも負担がなく、繰り返し受けられます。ただし染色体そのものは調べられず、検査する医師の技術で得られる情報に差が出ます。
母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
母体血清マーカー検査は、お母さんの血液に含まれる複数の成分を測り、年齢などと組み合わせて確率を計算する検査です。ダウン症候群や18トリソミー、神経管閉鎖障害などの可能性を確率で示します。多くの施設で受けられますが、示されるのはあくまで確率。詳しくは母体血清マーカー検査の解説記事もあわせて読んでみてください。
NIPT(新型出生前診断)
NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの採血だけで受けられる非確定的検査です。血液に混ざる胎盤由来のcfDNA(細胞外を流れるDNA)を解析し、13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーなど対象を絞った染色体の変化の可能性を調べます。対象疾患では高い検出率が報告される一方、あくまで可能性を調べる検査です。陽性でも確定には羊水検査などが必要という点は必ず覚えておいてください。全体像はNIPTの解説記事、クアトロテストとの違いはNIPTとクアトロテストの違いで詳しくまとめています。
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検査の種類②|確定的検査(絨毛検査・羊水検査)
確定的検査は、赤ちゃんの染色体を直接調べて診断を確定させる検査で、絨毛検査と羊水検査の2つがあります。非確定的検査で陽性が出たとき、次の段階として案内されるのがこのグループです。針を用いて胎盤の組織や羊水を採取するため、流産などのリスクを伴います。だからこそ、受けるかどうかは十分な説明を受けたうえで決めます。
絨毛検査(妊娠11〜14週)
絨毛検査は、胎盤のもとになる絨毛を採取し、その細胞から染色体を調べる確定的検査です。妊娠11〜14週という、羊水検査より早い時期に受けられるのが特徴。より早く確定診断を望む場合の選択肢になります。ただし実施できる施設が限られ、胎盤と赤ちゃんの染色体が違う「胎盤性モザイク」で判定が難しいこともあります。詳しくは絨毛検査の解説記事を参考にしてください。
羊水検査(妊娠15〜16週以降)
羊水検査は、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、赤ちゃん由来の細胞から染色体を直接調べる確定的検査です。妊娠15〜16週以降に行い、流産などのリスクは約0.3%(およそ300回に1回)とされます。結果までは約2〜3週間。NIPTなどで陽性が出た人の確定診断として使われる、最終段階の検査です。時期や流れは羊水検査の解説記事、より細かく調べるマイクロアレイは羊水検査とマイクロアレイの記事でも解説しています。
出生前診断の種類を比較|時期・方法・わかること・リスク
時期・方法・わかること・リスク・確定か非確定かを一覧にすると、それぞれの検査の役割がはっきり見えてきます。種類が多くて迷うときこそ、表で横並びにするのが近道です。下の表で主な検査を比較しました。数字はあくまで目安であり、施設や状況で前後します。
| 検査名 | 分類 | 時期(目安) | 方法 | わかること | リスク |
|---|---|---|---|---|---|
| 形態超音波検査 | 非確定的 | 妊娠11週〜 | 超音波 | 形態の変化・NTなど | 負担なし |
| 母体血清マーカー検査 | 非確定的 | 妊娠15〜18週 | 採血 | 対象疾患の確率 | 負担なし |
| NIPT(新型出生前診断) | 非確定的 | 妊娠10週前後〜 | 採血 | 対象染色体の変化の可能性 | 流産リスクほぼなし |
| 絨毛検査 | 確定的 | 妊娠11〜14週 | 絨毛を採取 | 染色体の確定的な情報 | 針を刺すリスクあり |
| 羊水検査 | 確定的 | 妊娠15〜16週以降 | 羊水を採取 | 染色体の確定的な情報 | 流産など約0.3% |
表を見ると、採血や超音波の非確定的検査は負担が小さく早い時期から、確定的検査は時期が限られリスクを伴う、という違いがひと目でわかります。この全体像を頭に入れたうえで、次は自分に合う検査の選び方を見ていきましょう。
自分に合う検査の選び方|5つの軸で考える
検査は「何がわかるか」「受けられる時期」「体への負担・リスク」「費用」「確定か非確定か」という5つの軸で選ぶと、自分に合うものが見えてきます。どれか1つだけで決めず、いくつかの軸を組み合わせて考えるのがコツです。ここでは、それぞれの軸を順番に整理します。
何がわかるか・確定か非確定か
まず、その検査で何が調べられるかを確認します。可能性を知りたいだけなら非確定的検査、診断まで確定させたいなら確定的検査、という分け方が基本です。NIPTのような非確定的検査は、陽性でも確定にはさらに羊水検査などが必要になります。可能性を知る段階なのか、確定させる段階なのか。今の自分がどちらを望むかを、はっきりさせておいてください。
受けられる時期・体への負担
検査ごとに受けられる妊娠週数が決まっています。NIPTは妊娠10週前後から、絨毛検査は11〜14週、羊水検査は15〜16週以降が目安。早めに方針を決めておくと、万が一確定検査が必要になっても落ち着いて進めます。体への負担も軸の1つです。採血や超音波は負担が小さく、針を使う検査はリスクを伴います。負担と得られる情報を天秤にかけて選んでください。
費用と、パートナーとの話し合い
出生前診断の多くは保険が使えない自費のため、費用は施設や検査内容で幅があります。事前に総額を確認しておくと安心です。費用の考え方は出生前診断の費用の記事も参考になります。そして忘れてはいけないのが、パートナーとの話し合い。検査は妊婦さんの体で受けますが、結果は家族みんなの未来に関わります。
受けると決めるまでの気持ちには、人それぞれの背景があります。Xでも@siso_chukiさんが「出生前診断を受けるのが夫と2人目妊活の約束だったので、NIPTを受けることにした。大学病院に行かないと」とつづっていました。夫婦で交わした約束が受検のきっかけになる。私が相談を受けてきた中でも、こうしてパートナーと決めた方は、結果を前にしても気持ちが揺れにくい印象があります。受ける・受けないは自由です。二人で納得して決めることが何より大切だと感じます。

出生前診断を受ける前の注意点と相談先
出生前診断でわかるのは特定の疾患に限られ、結果には限界があります。受ける前に、迷ったら遺伝カウンセリングやかかりつけの産婦人科へ相談してください。検査は不安を消す魔法ではなく、情報を得るための手段です。その前提を共有したうえで、注意点を確認しておきましょう。
すべての病気がわかるわけではない
出生前診断で調べられるのは、特定の染色体疾患や形態の変化などに限られます。「異常なし」と出ても、赤ちゃんにほかの病気が一切ないと保証するものではありません。検査には調べられる範囲があること。この前提を知っておくと、結果に過度な期待をせず、冷静に受け止められます。
陽性のときの流れを知っておく
非確定的検査で陽性が出ても、それは診断の確定ではありません。可能性が高いという段階です。確定を望むなら、次に確定的検査へ進むという流れになります。ダウン症候群について詳しく知りたい方はダウン症候群の解説記事もあわせて読んでみてください。受ける前に流れを知っておくと、結果が出たときにあわてずにすみます。
信頼できる相談先を持つ
迷ったときは、一人で抱え込まず専門家に相談してください。遺伝カウンセリングでは、専門家が検査の意味やリスクを丁寧に説明します。公的な情報も判断の助けになります。日本産科婦人科学会、出生前検査認証制度等運営委員会、妊娠期の健康を扱うこども家庭庁 母子保健の情報も参考にしてください。信頼できる情報源にあたることが、冷静な判断につながります。
ヒロクリニックNIPTでも、出生前診断に関する相談を受け付けています。NIPTは13・18・21トリソミーなど対象を絞った非確定的検査であり、確定には羊水検査などが必要という点を踏まえたうえで、あなたに合った検査を一緒に考えます。不安なまま検索を続けるより、一度専門家に話を聞いてもらうほうが気持ちは整います。まずは小さな一歩から動いてみてください。
よくある質問
Q. 出生前診断にはどんな種類がありますか?
大きく非確定的検査と確定的検査に分かれます。非確定的検査には形態超音波検査・母体血清マーカー検査(クアトロテスト)・コンバインド検査・NIPTがあり、採血や超音波で可能性を調べます。確定的検査には妊娠11〜14週の絨毛検査と、妊娠15〜16週以降の羊水検査があり、染色体を直接調べて診断を確定します。まず自分がどちらの段階を望むかを整理すると選びやすくなります。
Q. 非確定的検査と確定的検査は何が違いますか?
非確定的検査は可能性や確率を示すのみで、採血や超音波なので体への負担が小さい検査です。確定的検査は染色体を直接調べて診断を確定しますが、針を刺すため流産などのリスクを伴います。多くの場合、まず非確定的検査で可能性を絞り込み、陽性の人だけが確定的検査に進みます。役割が違う検査だと理解しておいてください。
Q. NIPTを受ければ診断は確定しますか?
NIPTは13・18・21トリソミーなど対象を絞った染色体を調べる非確定的検査です。対象疾患で高い検出率が報告されますが、陽性でも診断は確定しません。確定には羊水検査などの確定的検査が必要になります。陰性でも超音波で気になる所見があるときなど、医師が確定検査をすすめることもあります。結果の解釈は担当医と相談して決めてください。
Q. 自分に合う検査はどう選べばよいですか?
「何がわかるか」「受けられる時期」「体への負担・リスク」「費用」「確定か非確定か」の5つの軸で考えると選びやすくなります。可能性を知りたいのか確定させたいのか、いつ受けられるか、負担をどう受け止めるか。これらをパートナーと話し合ったうえで、迷ったら遺伝カウンセリングやかかりつけの産婦人科へ相談してください。受ける・受けないは自由です。
Q. 羊水検査の流産リスクはどれくらいですか?
羊水検査による流産などのリスクは、約0.3%(およそ300回に1回)とされています。針を刺す検査のため、感染や出血、羊水の漏れなどの可能性はゼロではありません。一方でNIPTは採血だけのため、流産につながるリスクはほぼありません。リスクの受け止め方に迷うときは、遺伝カウンセリングで数値の意味を丁寧に聞いてください。
Q. 出生前診断の費用はどれくらいですか?
多くの出生前診断は保険適用外の自費のため、施設や検査内容によって費用に幅があります。採血で受ける検査と、針を用いる確定検査でも金額は異なります。受ける前に、総額と何が含まれるかを施設に確認しておいてください。医療費控除の対象になる場合もあるため、制度もあわせて調べておくと安心です。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
Q&A
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Q出生前診断とは何を調べる検査ですか?出生前診断とは、妊娠中にお腹の赤ちゃんの健康状態や染色体異常、遺伝的疾患の可能性などを調べる検査です。妊婦さんが安心して出産を迎えるための一つの手段として、多くの方が検討しています。
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Q出生前診断の種類にはどのようなものがありますか?出生前診断には主に2つの種類があります。非侵襲的検査(超音波検査、母体血清マーカー検査、NIPTなど)と、侵襲的検査(羊水検査、絨毛検査)です。それぞれで得られる情報やリスクが異なります。
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QNIPT検査とはどのような検査ですか?NIPT(新型出生前診断)は、母体の血液中に含まれる胎児DNAを解析することで、ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体異常の可能性を高精度で判定する検査です。母体や胎児に負担がなく、妊娠10週から受けられます。
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Q羊水検査や絨毛検査にはどんなリスクがありますか?羊水検査は流産のリスクが約0.1~0.3%、絨毛検査は1~2%程度とされています。どちらも確定診断が可能な検査ですが、侵襲を伴うため、医師とよく相談してから検討することが大切です。
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Q出生前診断を選ぶときに気をつけることは何ですか?出生前診断を選ぶ際は、妊娠週数・検査の目的・ご家族の意向・経済的な負担などを総合的に考える必要があります。医師や遺伝カウンセラーと相談しながら、自分たちに合った検査方法を選ぶことが重要です。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
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日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- 医療科学審議会臨床遺伝部会. 出生前遺伝学的検査のあり方に関するJAMP(日本産科婦人科学会)およびJAGH(日本人類遺伝学会)の共同提言. 日本産科婦人科學會雜誌. 2022;74(11):1532-1545.
- Akolekar R, Zariceanu A, Bingham V, Syngelaki A, Nicolaides KH. Procedure-related risk of miscarriage following amniocentesis and chorionic villus sampling: a systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2015;45(1):16-26.
- Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for fetal aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314.
- Benn P, Borrell A, Chiu RW, Cuckle H, Dugoff L, Faas B, et al. Position statement from the Chromosome Abnormality Screening Committee on behalf of the Board of the International Society for Prenatal Diagnosis. Prenat Diagn. 2015;35(8):725-734.
- Salomon LJ, Alfirevic Z, Audibert F, Kagan KO, Paladini D, Yeo G, et al. ISUOG consensus statement on the impact of non-invasive prenatal testing (NIPT) on prenatal ultrasound practice. Ultrasound Obstet Gynecol. 2014;44(1):122-123.

