出生前診断には、非侵襲的検査と侵襲的検査があり、それぞれ異なるメリットとリスクがあります。非侵襲的検査には超音波検査や母体血清マーカー検査、NIPTがあり、安全性が高いですが確定診断はできません。一方、侵襲的検査(絨毛検査や羊水検査)は高精度な診断が可能ですが、リスクを伴います。
この記事のまとめ
出生前診断は、お腹の中の赤ちゃんの健康状態や遺伝的な問題を調べるための検査です。妊婦さんにとって、どの検査を選ぶかは重要なポイントであり、それぞれの検査には特徴、メリット、リスクがあります。以下では、出生前診断の種類とその選び方について詳しく説明します。
出生前診断の種類
1. 非侵襲的検査 (母体への負担が少ない)
(1) 超音波検査
- 内容: 胎児の形態や発育状況を確認する。
- 目的: 心臓の形態異常や四肢の発育、その他の形態的な異常を調べる。
- 時期: 妊娠初期から定期的に実施。
- メリット: 安全で母体や胎児へのリスクがない。
- 注意点: 明確な遺伝子異常までは診断できない。
(2) 母体血清マーカー検査
- 内容: 母体の血液を分析し、胎児の染色体異常の可能性を評価。
- 対象異常: 21トリソミー (ダウン症候群)、18トリソミー、神経管閉鎖障害など。
- 時期: 妊娠15~20週頃。
- メリット: 母体血の採取のみで安全。
- 注意点: 確定診断ではなく、スクリーニング検査。
(3) NIPT (新型出生前診断、無侵襲的出生前遺伝子検査)
- 内容: 母体血中の胎児DNAを調べ、染色体異常を高精度で判定。
- 対象異常: 21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー。
- 時期: 妊娠10週以降。
- メリット: 高精度かつ安全。
- 注意点: 費用が高い場合がある。また、対象となる異常が限られる。
2. 侵襲的検査 (母体や胎児にリスクあり)
(1) 絨毛検査
- 内容: 胎盤組織の一部を採取し、染色体異常や遺伝子異常を調べる。
- 時期: 妊娠10~14週頃。
- メリット: 確定診断が可能。
- リスク: 流産の可能性が1~2%程度。
(2) 羊水検査
- 内容: 羊水を採取し、胎児の染色体や遺伝子を調べる。
- 時期: 妊娠15~20週頃。
- メリット: 確定診断が可能。
- リスク: 流産の可能性が0.1~0.3%程度。
出生前診断の選び方
1. 妊婦さんや家族の意向を確認
- 診断を受ける目的は何か(安心を得たいのか、具体的な準備のためか)。
- 診断結果に基づいてどう対応するか(出産準備、さらなる治療、場合によっては出産を控える選択)。
2. 医師と相談
- 自身の年齢や妊娠週数、過去の妊娠歴、家族歴を考慮し、医師と適切な検査を相談。
- リスクとメリットのバランスを理解。
3. 経済的な面も考慮
- 各検査の費用は異なるため、事前に確認。
- 公的補助がある場合もあるので確認する。
4. パートナーと話し合い
- 診断結果が家族に与える影響を考え、夫婦で十分に話し合うことが重要。
まとめ
出生前診断は、胎児の健康状態や異常の可能性を知る重要な手段ですが、検査ごとに特徴やリスク、結果への対応が異なります。まずは医師や専門家に相談し、自分たちの意向や状況に合った検査を選ぶことが大切です。疑問や不安がある場合は、遠慮せずに質問し、納得して検査を進めましょう。