もしかしたら自分は不妊かも……と悩む人も多いのではないでしょうか?不妊になる原因は多くあるので、不妊かもしれないと思ったら病院を受診することをおすすめします。今回の記事では、不妊の原因や対処法について解説します。
この記事のまとめ
不妊の原因は女性側・男性側のどちらにもほぼ同じ割合で見られ、両方に関わる場合や検査で原因が特定できない場合も少なくありません。女性側では排卵・卵管・子宮や着床、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群などが、男性側では造精機能の障害・精子の通り道の障害・性機能の障害などが関係します。加齢は男女ともに妊娠しやすさへ影響し、検査をしても明らかな異常が見つからない原因不明不妊も一定数を占めます。だからこそ二人一緒に検査を受け、段階を追って確かめていく姿勢が支えになります。気になることがあれば自己判断で抱え込まず、婦人科や不妊専門外来へ相談してください。
この記事でわかること
- 不妊の原因は男女どちらにもあり、両方や原因不明も少なくないという全体像
- 女性側の主な原因(排卵・卵管・子宮・子宮内膜症・多嚢胞性卵巣症候群)
- 男性側の主な原因(造精機能の障害・精子の通り道の障害・性機能の障害)
- 加齢の影響と、二人で検査を受け段階的に進める考え方
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不妊の原因を男女別に知る意味
不妊の原因は女性側・男性側でおよそ半々とされ、どちらか一方に決めつけずに男女別で整理することが、次の一歩を選ぶ近道になります。妊娠は、排卵・受精・着床という複数の段階が順に成り立って初めて実を結びます。どこか一つでもつまずくと妊娠は成立しにくくなる。まずは全体像から見ていきます。
不妊とは、妊娠を望んで一定期間、避妊をせずに性生活を続けても妊娠が成立しない状態を指します。日本産科婦人科学会では、その期間の目安を1年としています。決して珍しいことではなく、多くのカップルが向き合う身近なテーマです。
原因は女性側だけにあるわけではありません。編集部が公的機関の資料を調べたところ、原因が男性のみにある場合、女性のみにある場合、両方にある場合が、それぞれ相当の割合で存在すると整理されています。だからこそ、思い込みで片方だけを疑うのは得策ではありません。

妊娠のしくみを知ると、原因の探り方も見えてきます。卵巣から卵子が出る排卵、卵管で卵子と精子が出会う受精、受精卵が子宮内膜にとどまる着床。この一連の流れのどこに関わる要因があるのかを、女性側・男性側の両面から確かめていくのが不妊検査の基本です。公的な情報として、こども家庭庁の不妊症・不育症の相談サイトもあわせて参考にしてください。
女性側の主な不妊原因
女性側の原因は、排卵・卵管・子宮や着床という段階ごとに分けて考えると整理しやすく、子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群といった疾患が背景にあることもあります。症状が目立たないまま進むケースも少なくありません。段階ごとに順を追って見ていきます。
排卵の因子
排卵が起こらない、あるいはタイミングが不安定になると、卵子と精子が出会う機会そのものが減ります。背景にはホルモンの乱れが関わることが多く、月経周期の乱れがサインになる場合もあります。
甲状腺の機能異常や高プロラクチン血症などが、排卵を妨げる要因になることもあります。月経不順が続くときは放置せず、早めに相談してください。基礎体温をつけておくと、排卵の有無を推測する手がかりにもなります。
卵管の因子
卵管は、卵子と精子が出会って受精する大切な通り道です。ここがつまったり狭くなったりすると、受精卵が子宮へ運ばれにくくなります。自覚症状が乏しい一方で、妊娠への影響は小さくありません。
原因としては、過去の骨盤内の感染や、クラミジア感染後の炎症、手術による癒着などが挙げられます。卵管の状態は、必要に応じて卵管の通り具合を調べる検査で確認します。気づきにくいからこそ、検査で見える化する価値があります。
子宮・着床の因子
受精卵が子宮内膜にとどまる着床の段階でも、妊娠のしやすさは左右されます。子宮筋腫や子宮内膜ポリープが、その位置や大きさによっては着床の環境に影響することがあります。
ただし、筋腫やポリープがあれば必ず治療が必要というわけではありません。超音波などで子宮内の状態を確認し、妊娠を妨げる可能性が高いと判断された場合に、医師と方針を相談します。頸管の粘液の状態が精子の通過に関わることもあります。
子宮内膜症
子宮内膜に似た組織が、本来の場所以外で増える病気が子宮内膜症です。月経痛が強くなるほか、卵管や卵巣の周囲に癒着を起こし、妊娠しにくさにつながることがあります。
取材で不妊外来を伺うと、強い生理痛を長く我慢していた方が、検査で子宮内膜症と分かるケースは珍しくないと聞きます。痛みを当たり前と思わず、気になる症状は早めに相談してほしいと感じました。
多嚢胞性卵巣症候群
多嚢胞性卵巣症候群は、卵巣に小さな卵胞が多く並び、排卵が起こりにくくなる状態です。月経が不規則になりやすく、排卵の因子としてよく知られています。
ホルモンのバランスや体重管理と関わることもあり、生活面の工夫が助けになる場合があります。診断や治療の考え方は医師によって説明されますので、自己判断で決めつけず相談を重ねてください。
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男性側の主な不妊原因
男性側の原因は、精子をつくる造精機能の障害・精子の通り道の障害・性機能の障害の三つに大きく分けられ、自覚症状がないことも多いため精液検査で現状を確かめることが出発点になります。見た目の体調だけでは判断しづらい領域。順に整理します。
造精機能の障害
精子をつくる働きが低下すると、精子の数が少ない、運動率が低い、形の異常が多いといった状態につながり、受精の確率が下がることがあります。男性不妊のなかで最も多いとされる領域です。
背景には、精巣周辺の静脈がこぶ状にふくらむ精索静脈瘤や、過去のおたふくかぜによる精巣炎、ホルモンの異常などが関わることがあります。精液検査は体調や採取の条件で変動するため、必要に応じて複数回測り、総合的に評価します。
精子の通り道の障害
精子はつくられても、外へ出るまでの通り道がふさがっていると、うまく射出されません。精路のつまりは、精子は正常につくられているのに数が極端に少なくなる、という形であらわれることがあります。
原因としては、過去の炎症や手術の影響、生まれつきの要因などが挙げられます。造精機能の障害とは対処の考え方が変わるため、泌尿器科での詳しい確認が手がかりになります。
性機能の障害
勃起や射精がうまくいかない、腟内での射精が難しいといった性機能の悩みも、妊娠のしやすさに関わります。とくに排卵期に合わせようとするプレッシャーが、心理的な負担になって悪循環を生むこともあります。
一人で抱え込みやすいテーマですが、二人で状況を共有できると気持ちが軽くなります。必要に応じて泌尿器科や不妊専門外来に相談すると、人工授精などの選択肢も検討しやすくなります。治療の流れは不妊治療による妊娠の解説記事もあわせて読んでみてください。
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加齢が妊娠しやすさに与える影響
加齢は男女ともに妊娠のしやすさへ影響し、とくに女性では卵子の質と数が年齢とともに変化するため、早めに状況を知っておくことが選択肢を広げます。年齢は誰にも等しく訪れる要素。過度に不安をあおるためではなく、計画を立てるための材料として整理します。
女性は生まれたときに持つ卵子のもとが年齢とともに減っていき、卵子の質にも変化が生じます。妊娠のしやすさは20代から緩やかに下がり、30代後半以降はその傾向がやや大きくなるとされています。数字に振り回される必要はありませんが、傾向を知っておくと落ち着いて考えられます。
男性も、年齢とともに精子の質がゆるやかに変化すると指摘されています。加齢の影響は女性だけの話ではありません。二人で一緒に、早めに検査や情報収集を進めておくと安心です。高齢での妊娠を考える方は高年齢での妊娠に関する記事も参考になります。
自分が高齢だから不妊の原因は自分にあると思い込んでいたけれど、検査したら違った——そんな声も実際に寄せられます。Xでも、私が高齢で夫は20代だから不妊の原因は自分だと思って検査したら自分ではなかった、妊娠って難しい、と率直につづる@meiyurichaさんのような方もいます。年齢は要因の一つではあっても、原因を決めつける材料にはなりません。だからこそ二人で確かめる価値があります。
原因不明不妊も少なくない
ひととおり検査をしても明らかな異常が見つからない原因不明不妊は決して珍しくなく、原因が特定できないからこそ段階を追って進めていく考え方が大切になります。異常がない=妊娠できない、ではありません。落ち着いて次の段取りを考えていきます。
原因不明不妊は、複数の検査で明らかな異常が見つからなかった場合に、いわば除外の積み重ねとして考えられる状態です。現在の検査では拾いきれない小さな要因や、いくつかの要素が重なっている可能性もあります。原因が見えないことは、不安の入り口になりやすいものです。
だからこそ、一つずつ確かめながら進める発想が支えになります。Xでも、一般的な病気は症状から検査、治療へと進むけれど、不妊治療は症状がなく多くは原因が特定できないので一つずつ確かめるしかない、という院長の言葉を紹介する@ebichagchachaさんの投稿がありました。原因が一度で分からなくても、段階を踏んで前へ進めます。焦らず、担当医と歩調を合わせてください。
不妊検査の流れと二人で受ける意義
不妊検査は基礎体温・ホルモン検査・超音波・精液検査などを組み合わせて男女双方を確認するもので、二人一緒に受けることが原因の絞り込みと納得の近道になります。片方だけでは全体像が見えにくいのが不妊。二人で臨む意義から整理します。

女性側の検査では、まず問診と月経の経過を確認し、基礎体温で排卵の有無を推測します。加えて、ホルモンの状態を調べる血液検査、子宮や卵巣を見る超音波、卵管の通り具合を調べる検査などを、必要に応じて組み合わせます。段階を追って一つずつ確認していく流れです。
男性側では、精液検査で精子の数や運動率、形などを調べます。採取の条件で結果が変わりやすいため、必要に応じて複数回で評価します。女性側の検査が中心になりがちですが、男性側の確認も同じくらい意味を持ちます。
下の表に、主な検査で何を調べるのかをまとめました。すべてを一度に行うわけではなく、状況に応じて段階的に選ばれます。全体像をつかむ手がかりにしてください。
| 検査 | 主な対象 | わかること |
|---|---|---|
| 基礎体温 | 女性 | 排卵のおおまかなタイミング |
| ホルモン検査 | 女性 | 排卵やホルモンの状態 |
| 超音波検査 | 女性 | 子宮・卵巣・卵胞の様子 |
| 卵管の検査 | 女性 | 卵管の通り具合 |
| 精液検査 | 男性 | 精子の数・運動率・形 |
検査で原因の見当がつくと、次はタイミング法・人工授精・体外受精などの選択肢を医師と相談していきます。治療の詳しい内容は、体外受精の解説記事で紹介しています。妊娠が成立した後の出生前検査に関心がある方は、NIPTの検査結果の見方の記事も参考になります。
不妊症の診療や相談については、公的・学会の情報も心強い味方です。日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会の発信もあわせて確認してください。信頼できる情報にあたることが、落ち着いた判断につながります。
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よくある質問
Q. 不妊の原因は女性側のほうが多いのですか?
いいえ、原因は女性側・男性側でおよそ半々とされ、両方に要因がある場合もあります。女性のみ、男性のみ、双方にある場合が、それぞれ相当の割合で存在します。片方だけを疑うのではなく、二人一緒に検査を受けて確かめてください。思い込みで抱え込まないことが、次の一歩につながります。
Q. 検査で原因が分からないこともありますか?
あります。ひととおり検査をしても明らかな異常が見つからない原因不明不妊は珍しくありません。現在の検査で拾いきれない小さな要因や、複数の要素が重なっている可能性もあります。原因が一度で分からなくても、段階を追って進められますので、担当医と歩調を合わせてください。
Q. 男性はどんな検査を受けますか?
まず精液検査で、精子の数や運動率、形などを調べます。採取の条件で結果が変動しやすいため、必要に応じて複数回で評価します。造精機能の障害・精子の通り道の障害・性機能の障害のどこに関わるかを、泌尿器科で詳しく確認することもあります。自覚症状がなくても、現状を数値で知る意味があります。
Q. 年齢が高いと妊娠は難しいですか?
加齢は男女ともに妊娠のしやすさへ影響しますが、年齢だけで原因を決めつけることはできません。女性では卵子の質と数が年齢とともに変化するとされます。ただし年齢は要因の一つにすぎず、実際に検査すると原因が別にあることもあります。早めに状況を知っておくと、選択肢を広げやすくなります。
Q. どのタイミングで受診すればよいですか?
妊娠を望んで避妊をせずに1年ほど性生活を続けても妊娠しない場合が、一つの目安とされています。月経不順や強い月経痛がある、年齢が気になるといった場合は、その前でも相談して差し支えありません。早めに二人で受診しておくと、原因の絞り込みがスムーズに進みます。気になったときが相談の入り口です。
Q. NIPTは不妊の原因を調べる検査ですか?
いいえ、目的が異なります。NIPT(新型出生前診断)は、妊娠が成立した後に、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査です。確定には羊水検査などが必要で、不妊の原因を調べるものではありません。妊娠を望む段階では不妊検査を、妊娠後の不安を整理したいときにNIPTを、と役割を分けて考えてください。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
もしかしたら自分は不妊かも……と悩む人も多いのではないでしょうか?不妊になる原因は多くあるので、不妊かもしれないと思ったら病院を受診することをおすすめします。今回の記事では、不妊の原因や対処法について解説します。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

