この記事のまとめ
男性が使える育休には「産後パパ育休(出生時育児休業)」と「育児休業」の2つがあり、どちらも2回まで分割して取得でき、育児休業給付と社会保険料免除で休業中の家計を支えられます。産後パパ育休は子の出生後8週間以内に最大28日まで取れる新しい制度で、2022年10月に始まりました。育児休業は原則1歳まで、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延ばせます。育休中は給付率67%→50%の給付に加え、社会保険料の免除と非課税が重なり、手取りベースでは休業前の約8割相当になるケースが多く見られます。男性の取得率は年々上がっていますが、取り方次第で「取るだけ育休」になってしまう課題も残ります。制度や金額は改定されるため、最新の内容は勤務先や公的窓口で確認してください。
この記事でわかること
- 産後パパ育休と育児休業の違い、そして分割取得の仕組み
- 男性の育休取得率の現状と、取りやすさを左右する要因
- 育児休業給付・社会保険料免除で手取りがどう変わるか
- 申請の流れと、「取るだけ育休」にしないための工夫
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男性の育休制度とは?2つの休業と分割取得の仕組み
男性が取れる育休は、子の出生直後に使う「産後パパ育休(出生時育児休業)」と、原則1歳まで取れる「育児休業」の2本立てで、どちらも2回まで分割して取得できます。まずは、この全体像から整理します。
2つの制度は、育児・介護休業法という法律で定められています。産後パパ育休は生まれてすぐの時期、育児休業はその後の時期を支える休みです。父親は、どちらも母親と同じように利用できます。共働きが当たり前になったいま、夫婦それぞれが休みを取り、交代で子育てに向き合う家庭も増えました。
分割取得ができる点も、いまの制度の大きな特徴です。以前は原則1回きりでしたが、2022年10月の法改正で、産後パパ育休は2回、育児休業も2回に分けて取れるようになりました。妻の職場復帰のタイミングに合わせて取り直す、といった柔軟な使い方が可能です。
私が妊婦さんやパートナーの方と話していて感じるのは、「男性の育休は制度が複雑でよく分からない」という声の多さです。名前が似ている休みが並ぶので、無理もありません。まずは2つの休みが時期で分かれていると押さえておくと、後の話が理解しやすくなります。出産前の準備全般はマタニティライフに役立つアイテムもあわせてご覧ください。
産後パパ育休(出生時育児休業)の特徴
産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大28日(4週間)まで、2回に分けて取得できる男性向けの休業制度です。母親の産後の回復を、父親が近くで支えるための仕組みといえます。
この制度は2022年10月に新しく設けられました。通常の育児休業とは別枠で使えるため、産後パパ育休を取ったうえで、あらためて育児休業も取ることができます。申し出は、原則として休業の2週間前までに勤務先へ行います。
もう一つの特徴が、休業中の就業です。労使協定を結んでいる職場では、あらかじめ調整した範囲で一部働くことも認められています。とはいえ制度の細部は職場ごとに運用が分かれます。詳しい枠組みは育児・介護休業法の特設サイト(厚生労働省)で確認してください。
産後は、母親の体が大きく変化する時期。だからこそ、父親がそばにいる意味は小さくありません。産後の生活を思い描くうえで、出産直前の過ごし方もあわせて読んでおくと、休みの取り方の見通しが立てやすくなります。
男性の育休取得率の現状と、取りやすさの差
男性の育児休業取得率は年々上がり、公表値では3割を超える水準まで伸びましたが、女性と比べるとまだ大きな差が残っています。制度が整っても、実際に取れるかどうかは職場の空気にも左右されます。
厚生労働省の調査によれば、男性の取得率は上昇を続けています。国も取得率を引き上げる目標を掲げ、両立支援に力を入れているところ。とはいえ、女性の取得率が8割を超える一方で、男性はまだ差があります。最新の数値は厚生労働省 仕事と育児の両立支援で確認してください。
数字の裏には、職場ごとの事情があります。私が相談の場で耳にするのも、「制度はあるけれど、前例がなくて言い出しにくい」という声。ここは多くの父親がつまずくところだと感じます。Xでも地方公務員として6か月の育休を取得中の@ikukyu_papa1122さんが、自分が職場で初めての男性育休のケースだったと書いていました。過去に希望した職員はいたものの取得には至らなかったそうで、制度があっても職場の雰囲気や前例の有無で利用のしやすさは変わるのかもしれない、という率直な言葉がつづられています。
取りにくさを感じるときは、早めに動くのが得策です。妊娠が分かった段階で上司へ相談を始めれば、職場も引き継ぎの準備を進められます。取得を迷う気持ちの整理には、妊娠中の心構えと不安との向き合い方も参考になります。
育休中のお金|育児休業給付と社会保険料免除
育児休業給付は休業前賃金の67%(180日目まで)、その後50%で、社会保険料の免除と非課税を合わせると手取りベースで約8割相当になります。「育休は無収入になるのでは」という心配は、制度を知れば大きく和らぎます。
育児休業給付は、勤務先が払うお金ではなく、雇用保険から支給される給付です。産後パパ育休の期間には出生時育児休業給付金が、その後の育児休業には育児休業給付金が対応します。いずれも給付率は67%から始まり、育休開始から180日目を境に50%へ下がる仕組み。半年で手取りが変わる前提で家計を組んでおくと安心です。
手取りが「約8割」になるからくりは、税と保険料にあります。育休中は健康保険料と厚生年金保険料が本人負担・会社負担ともに免除され、給付そのものにも所得税・住民税がかかりません。給与のときに引かれていた分がなくなるため、額面の67%以上に手元へ残る感覚になります。私自身、この仕組みを初めて整理したとき、数字のギャップに驚きました。
下の表に、金額のイメージを並べます。あくまで概算で、上限額や下限額の設定もあります。正確な額は勤務先やハローワークで試算してもらってください。
| 期間 | 給付率 | 月給30万円の目安 |
|---|---|---|
| 育休開始〜180日目(約6か月) | 賃金の67% | 約20万円前後 |
| 181日目以降 | 賃金の50% | 約15万円前後 |
| 出生後休業支援給付金の対象期間(最大28日) | 67%+13%上乗せ | 手取り10割相当 |
2025年4月からは、両親がともに育休を取るなど一定の条件を満たすと、最大28日間、給付率に13%が上乗せされる「出生後休業支援給付金」が始まりました。上乗せによって、実質の手取りが休業前の10割相当になる仕組みです。産後パパ育休と組み合わせて夫婦で取れば、収入をあまり減らさずに一緒に過ごせます。新しい給付は条件が細かいため、勤務先やハローワークで対象になるか確かめてください。
ただし、住民税は前年の所得に対して課されるため、育休中でも前年分は納めます。ここは見落としやすいポイント。家計のシミュレーションでは、住民税の支払いも忘れずに組み込んでください。出産前後にかかる費用の見通しは出産前のベビーグッズチェックリストもあわせて確認しておくと立てやすくなります。
男性育休の申請の流れ
育休の申請は、まず勤務先へ休業を申し出て、育児休業給付は勤務先を通じてハローワークへ手続きするのが基本の流れです。本人が窓口へ何度も足を運ぶ必要は、ほとんどありません。
大まかな順番はこうです。まず育休に入る前、勤務先へ休業の申し出をします。産後パパ育休は原則2週間前まで、育児休業は原則1か月前までが目安。その後、勤務先が必要書類をハローワークへ提出し、給付の申請を進めます。以降は原則2か月ごとに追加の申請が続きます。
スムーズに受け取るために、育休に入る前へ次の点を勤務先へ確かめておくと安心です。
- 申請を会社が代行してくれるか:自分で手続きする場合の窓口も聞いておきます。
- 初回の振込がいつ頃になるか:育休開始から2〜3か月ほど先になることがあります。
- 必要な書類は何か:母子健康手帳の写しや振込先口座など、事前準備で提出が早まります。
初回の振込までに時間差がある点は、覚えておいてください。育休に入ってすぐは給付がまだ届かず、家計が一時的に苦しく感じられることがあります。数か月分の生活費を手元に用意しておけば、気持ちに余裕を持って過ごせます。申し出のタイミングを逃さないよう、妊娠中から段取りを進めておくと安心。準備の全体像はマタニティ用品の記事も参考になります。
「取るだけ育休」にしないためのコツ
「取るだけ育休」を避けるには、家事・育児の分担を事前に話し合い、上の子のケアや生活リズムまで含めて役割を具体的に決めておくことが効きます。休みを取ること自体が目的になってしまうと、家庭の負担はかえって増えかねません。
大切なのは、休む前の話し合いです。誰が夜間の対応をするか、上の子の送り迎えはどうするか、食事の用意は誰が担うか。こうした場面を具体的に想像して決めておくと、休みが「戦力」に変わります。私が相談で伝えているのも、抽象的な「手伝う」ではなく、担当を名指しで決めることの効きめです。
実際に取った父親の言葉には、リアルな学びが詰まっています。Xでも育休33日目の感想をまとめた@hinohirablogさんが、上の子が拗ねやすく、そのメンタルケアが意外と難しいこと、お昼ご飯の用意が思いのほか面倒なことを挙げていました。そのうえで「それでも、絶対に育休を取ってよかった」と締めくくっています。大変さと満足が同居する。ここに、事前準備の価値が表れていると感じます。
上の子への配慮は、見落とされがちな要点です。赤ちゃん中心になりやすい時期こそ、上の子と過ごす時間を意識して確保してください。父親が上の子の担当に回れば、母親は赤ちゃんと自分の回復に集中できます。役割を分けるだけで、家庭全体の余裕が生まれます。
なお当院はNIPT(新型出生前診断)の専門クリニックです。NIPTは13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査であり、確定診断には羊水検査などが必要です。育休の準備と並行して出生前検査を考える方は、遺伝カウンセリングを受けたうえで判断してください。妊娠・出産の公的な支援はこども家庭庁 母子保健でも確認できます。妊娠中の不安は、一人で抱えずに相談してほしいと思います。
よくある質問
男性の育休制度について、妊婦さんやパートナーからよく寄せられる疑問をまとめました。参考にしてください。
Q. 産後パパ育休と育児休業は何が違いますか?
産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に最大28日まで取れる、生まれてすぐの時期の休みです。育児休業は原則1歳まで、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで取れます。2つは別枠なので、産後パパ育休を取ったうえで育児休業も取れます。どちらも父親が利用できます。
Q. 男性の育休は分割して取れますか?
取れます。2022年10月の法改正で、産後パパ育休は2回、育児休業も2回に分けて取得できるようになりました。妻の職場復帰のタイミングに合わせて取り直す、繁忙期を避けて分ける、といった柔軟な使い方が可能です。分割の申し出方は勤務先で確認してください。
Q. 育休中のお金はいくらで、手取りはどうなりますか?
育児休業給付は育休開始から180日目まで賃金の67%、181日目以降は50%です。社会保険料の免除と非課税を合わせると、手取りベースでは休業前の約8割相当になるケースが多く見られます。2025年4月からは条件を満たすと13%上乗せされる新しい給付もあります。上限額もあるため、正確な金額は勤務先やハローワークで試算してもらってください。
Q. 育休の申請はどうやって、いつまでにしますか?
まず勤務先へ休業を申し出ます。産後パパ育休は原則2週間前まで、育児休業は原則1か月前までが目安です。育児休業給付は、多くの場合は勤務先を通じてハローワークへ手続きし、原則2か月ごとに支給されます。初回の振込は育休開始から2〜3か月先になることがあるため、生活費に余裕を持たせてください。
Q. 男性の育休取得率は上がっていますか?取りにくいときは?
厚生労働省の調査では、男性の育児休業取得率は上昇を続け、公表値では3割を超えました。ただし女性と比べるとまだ差があります。取りにくさを感じるときは、妊娠が分かった段階で早めに上司へ相談してください。前例がなくても、引き継ぎの準備期間を確保すれば取得の道は開けます。最新の数値は公的な調査で確認してください。
Q. 「取るだけ育休」にしないコツはありますか?
休む前に、家事・育児の分担を具体的に決めておいてください。夜間の対応・上の子の送り迎え・食事の用意など、場面ごとに担当を名指しで割り振ると、休みが戦力になります。とくに上の子のケアは見落とされやすいため、意識して時間を確保してください。抽象的な「手伝う」で終わらせないことが分かれ目です。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
Q&A
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Q育休は会社で制度が定められていなくても取得できますか?育児休業は、法律で定められている制度のため、会社の就業規則で定められていなくとも、申し出により取得が可能です。育児休業の取得は、労働者が請求できる権利の一つであるため、就業規則で定められていないからと諦めずに、上司へ取得の申請を依頼しましょう。
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Q契約社員でも育休制度は利用できますか?契約社員でも、申請時点で子どもが1歳6カ月になる日までに、労働契約の期間が満了することが明らかになっていなければ、育児休業制度の取得が可能です。ただし、入社1年未満の場合や申し出の日から1年以内に雇用関係が解消されると明らかになっている場合、1週間の所定労働日数が2日以下の場合などは、対象外となる可能性があるため注意しましょう。
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Q上司に育休の取得を認めてもらえませんでした育児休業は法律によって定められている制度で、労働者には請求の権利があります。そのため、原則企業は取得を拒否したり、制限したりできません。もし、上司から断られたり、渋られたりした場合は、人事労務担当者に相談しましょう。また、企業内で対応してもらえない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部に相談するのも一つの手段です。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

