この記事でわかること
- 子宮筋腫でお腹が妊婦のように大きくなる理由
- 妊娠中のお腹と子宮筋腫によるお腹の違いをセルフチェックする方法
- 子宮筋腫の種類・原因・症状
- 診断方法と治療の選択肢
- 婦人科を受診すべき目安
子宮筋腫でお腹が妊婦のように大きくなる理由
子宮筋腫が大きくなると、お腹全体が妊娠中のように丸く膨らむことがあります。子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、大きくなると子宮そのものが膨張するためです。
妊娠していないのにお腹が張り出すため、周囲から「妊婦さんですか」と聞かれて戸惑う方も少なくありません。筋腫の大きさが握りこぶし程度を超えると、下腹部を触ったときにコリコリ、ボコボコとした腫瘤として触れることもあります。
私は外来で診察をしていますが、「急にお腹が大きくなった気がする」と不安げに相談される方に出会うことがあります。実際にエコー検査をすると、握りこぶし以上のサイズの子宮筋腫が見つかるケースは珍しくありません。
同じような体験は、SNSでも共有されています。@saki_krkwさんは、出産後に見つかった筋腫が2年で最大13cmまで成長したそうです。「痛みはほぼないけどお腹ポコヨジャちょい重貧血とかあり」と投稿しています(2026年8月2日、いいね49件)。痛みが少なくても、筋腫は静かに大きくなっていくことがわかります。
まれに、他の病気とお腹の張りを混同してしまうこともあります。原因がはっきりしない場合は、自己判断せず婦人科を受診してください。
子宮筋腫とは
子宮筋腫とは、子宮の筋肉組織からできる良性腫瘍のことです。悪性腫瘍(がん)ではなく、4人に1人の女性が経験するといわれるほど頻度の高い病気です。
筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンの影響を受けて大きくなり、閉経すると小さくなっていく性質があります。若い世代から閉経後の女性まで、幅広い年代でみられます。
筋腫が小さいうちは無症状のことが多く、がん検診や妊娠時の検査で偶然見つかるケースも多くあります。定期的な婦人科検診が、早期発見の近道です。
子宮筋腫の種類
子宮筋腫は、できる場所によって3つのタイプに分けられます。漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫の3タイプ。それぞれ症状の出方が異なります。

漿膜下筋腫
漿膜下筋腫は、子宮の外側にできるタイプです。数が増えるまで症状が乏しいのが特徴です。
筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫し、便秘や頻尿といった症状が生じることがあります。茎の部分がねじれると激痛を起こすことがあり(有茎性漿膜下筋腫)、重症例ではショック状態になることもあります。
筋層内筋腫
筋層内筋腫は、子宮筋腫のなかでもっとも多いタイプです。子宮の筋肉の中に発生し、全体の7割近くを占めます。
小さいうちは無症状のことが多い一方、大きくなると子宮が変形します。その結果、不正出血や不妊、流産、早産の原因となる可能性があります。
粘膜下筋腫
粘膜下筋腫は、小さくても症状が出やすいタイプです。他の部位の筋腫に比べ、月経過多や過長月経、月経痛などの症状が出やすく、貧血にもなりやすいとされています。
筋腫が大きくなると子宮内膜が薄く引き伸ばされ、出血しやすくなります。不正出血、月経過多、不妊の原因にもなります。
子宮筋腫の原因
子宮筋腫がなぜできるのか、はっきりとした原因は解明されていません。遺伝子の変異と、卵巣から出る女性ホルモンが筋腫の成長に関係していると考えられています。
早ければ高校生の頃から生じることがあり、30代、40代で急増します。閉経するまで大きくなり続け、数が増えることもあります。
大きさや数の増え方には個人差があります。長期間変化がない方もいれば、短期間で急激に大きくなる方もいます。
なお、子宮内膜症では晩婚化や少産化が関係していると考えられていますが、子宮筋腫との明確な関連は指摘されていません。
「妊婦のようなお腹」以外に現れやすい症状
子宮筋腫では、お腹の張り以外にもさまざまな症状が現れます。主な症状は次のとおりです。小さい筋腫であれば、無症状のまま経過する方もいます。
- 月経過多(生理の経血量が多い)
- 過長月経(生理の期間が長い)
- 月経困難症(生理痛がひどい)
- お腹に腫瘤が触れる
- 貧血、立ちくらみ、めまい
- 頻尿・排尿困難
- 便秘・腰痛
- 不妊・流早産のリスク
貧血は自覚しにくい症状のひとつです。@okkakekinokoさんは、めまいをきっかけに受診したそうです。「子宮筋腫が2つ出来てて鉄欠乏性貧血だった」とX(旧Twitter)で明かしています(2026年8月3日投稿)。鉄剤による治療を受けたことで、症状も検査結果も改善したそうです。
立ちくらみやめまいが続く場合は、貧血のサインかもしれません。体調の変化を見逃さないようにしてください。
妊娠中のお腹と子宮筋腫のお腹の見分け方
「妊娠しているかもしれない」と「子宮筋腫かもしれない」は、お腹の見た目だけでは区別できません。いくつかのチェックポイントを押さえておくと、受診の目安になります。
チェックポイント1:月経の有無
妊娠では月経が止まりますが、子宮筋腫では月経が続き、むしろ経血量が増えることが多くあります。
チェックポイント2:お腹の張り方
妊娠中のお腹は下腹部から全体的に丸くなるのに対し、筋腫では左右非対称にボコボコとした膨らみを触れることがあります。
チェックポイント3:つわりなどの随伴症状
妊娠ではつわりや乳房の張りを伴うことが多い一方、筋腫ではこうした症状は基本的にみられません。
| 項目 | 妊娠 | 子宮筋腫 |
|---|---|---|
| 月経 | 止まる | 続く(増えることも) |
| お腹の形 | 下腹部から全体的に丸い | 左右非対称に膨らむことがある |
| 主な随伴症状 | つわり、乳房の張り | 月経過多、貧血、頻尿など |
| 確認方法 | 妊娠検査薬、婦人科での超音波検査 | 婦人科での内診・超音波検査 |
いつも通りの生理だと思っていたら妊娠していた、という逆のケースもあります。詳しい見分け方は、着床出血と生理の違いを解説した記事でも紹介しています。気になる症状がある方は、自己判断せず婦人科を受診してください。
子宮筋腫の診断方法
子宮筋腫は、内診と超音波検査を組み合わせて診断します。大きな筋腫や手術の必要性がある場合は、必要に応じてMRI検査を行うこともあります。
大きい筋腫では、まれに子宮肉腫であることがあります。内診や超音波検査だけでは子宮筋腫と子宮肉腫の区別がつかないため、MRI検査が重要な役割を果たします。
子宮筋腫の治療法
治療が必要かどうかは、筋腫の大きさと症状の程度で判断します。治療の基本は経過観察と薬物療法、そして手術療法。
筋腫の直径が6センチ以下、あるいは子宮全体が握りこぶし以下で無症状の場合、治療の必要はありません。定期的な検診で経過を見ていきます。子宮筋腫は悪性腫瘍へ変化しないといわれています。
サイズが大きいもの、自覚症状が強く生活に支障が出ている場合は、治療の対象になります。
| 治療法 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 薬物療法(偽閉経療法) | 点鼻薬・注射薬・内服薬で女性ホルモンの分泌を抑える | 半年以上は継続できず、中止すると筋腫は元の大きさに戻る |
| 薬物療法(低用量ピル・黄体ホルモン放出システム) | 子宮内膜の発育を抑える | 月経過多や月経困難症を軽減。筋腫自体は小さくならない |
| 手術療法(筋腫核出術) | 筋腫だけを摘出する | 将来の妊娠を希望する場合に選択されることが多い |
| 手術療法(子宮全摘出術) | 子宮ごと摘出する | 再発の心配がなくなる |
| 子宮動脈塞栓術 | 子宮に繋がる血管を塞ぐ | 手術以外の選択肢のひとつ |
どの治療法を選ぶかは、年齢や妊娠の希望、症状の強さによって異なります。担当医と十分に話し合ったうえで決めることが大切です。
参考:日本婦人科腫瘍学会「子宮筋腫」、MSDマニュアル家庭版「子宮筋腫」
子宮筋腫と妊娠・不妊への影響
子宮筋腫があっても、妊娠・出産に至る方は多くいらっしゃいます。粘膜下筋腫では子宮内膜が変形し、着床障害による不妊症になることがあります。ただし、すべての子宮筋腫が不妊や流産、早産に影響するわけではありません。
不妊治療と子宮筋腫の治療を並行しながら、妊娠に成功した方も多くいらっしゃいます。筋腫の種類や大きさによって影響は異なるため、妊娠を希望する場合は医師に相談してください。
不育症など妊娠・出産に関する不安がある方は、不育症の原因や治療方法を解説した記事もあわせてご覧ください。
まれに、妊娠中に子宮筋腫が大きくなることもあります。妊娠中に子宮筋腫が見つかった場合の詳しい対応は、以下の記事で詳しく解説しています。
妊娠中には、赤ちゃんの染色体異常を調べるNIPT(新型出生前診断)を選択される方も増えています。NIPTで調べられる疾患について知りたい方は、あわせてご確認ください。
日常生活で気を付けたいこと
子宮筋腫は、生活習慣を変えることで予防したり、増大を止めたりできる病気ではありません。多くの病気では生活習慣が関与しますが、子宮筋腫では確立された予防法や進行を止める方法はないとされています。
過度なダイエットやタバコで筋腫が小さくなった、という情報を見かけることがありますが、医学的な根拠は見つかっていません。安易に試さないでください。
紫イペなどの民間療法についても、科学的な効果は確認されていません。体調に不安がある場合は、自己流の対策よりも婦人科への相談を優先してください。
こんな症状があれば婦人科を受診してください
次のような症状がある方は、早めに婦人科を受診してください。
- 生理の出血量が急に増えた、または生理期間が長くなった
- 下腹部にしこりのようなものを触れる
- 立ちくらみやめまい、動悸など貧血の症状がある
- お腹の張りが妊娠時のように大きくなってきた
つらい症状があっても、受診を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。@Part0325さんは、そうした体験談をよく見かけると投稿しています。「生理が2週間続くとか、それは大変だったろうしさぞお辛かったろうと思うんだけど、それから受診したのは数年後でした」という声です(2026年8月3日)。つらい症状があっても、受診まで数年かかってしまう方は珍しくないようです。
私自身、診察の場で「もっと早く来ればよかった」という声を聞くことが少なくありません。症状を我慢せず、早めに婦人科を受診してください。
妊娠中の体調変化や出生前診断について気になることがある方は、ヒロクリニックNIPTのLINE相談もご利用いただけます。
よくある質問
子宮筋腫について、よくいただく質問にお答えします。
子宮筋腫は放置しても大丈夫ですか?
筋腫の直径が6センチ以下で無症状であれば、緊急的な処置は必要ありません。ただし自己判断で放置せず、定期的に婦人科で経過観察を受けてください。
お腹が妊婦のように大きくなったら必ず子宮筋腫ですか?
妊娠や卵巣腫瘍など、他の原因の可能性もあります。原因を特定するには、婦人科での内診と超音波検査が必要です。
子宮筋腫があると妊娠できませんか?
子宮筋腫があっても妊娠・出産される方は多くいらっしゃいます。粘膜下筋腫など一部のタイプでは不妊に影響することがあるため、妊娠を希望する場合は医師に相談してください。
子宮筋腫は自然に小さくなりますか?
筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンの影響で大きくなるため、閉経後は小さくなる傾向があります。ただし、閉経前に自然に小さくなることは基本的にありません。
何科を受診すればいいですか?
婦人科を受診してください。お腹の張りや月経の異常など、気になる症状がある場合は早めに受診してください。
子宮筋腫の手術はどのくらいの入院が必要ですか?
手術方法や筋腫の大きさによって異なります。開腹手術か腹腔鏡下手術かによっても入院期間は変わるため、担当医に具体的な日数を確認してください。
まとめ
子宮筋腫は、多くの女性が経験する身近な病気です。お腹が妊婦のように大きくなった場合、子宮筋腫が原因であることは珍しくありません。ただし、妊娠や他の病気の可能性もあるため、自己判断は禁物です。
生理の出血量が増えた、下腹部にしこりを触れる、立ちくらみが続くといった症状がある方は、早めに婦人科を受診してください。定期的な検診も、早期発見につながります。
体の変化に気づいたら、一人で抱え込まず専門医に相談すること。それが、安心への第一歩です。
この記事の監修者
岡 博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長 / Labo Director(ラボディレクター)
岡山県出身。慶應義塾大学医学部卒業後、日本とアメリカの医師国家試験に合格しました。臨床研修後2年で医学博士を取得し、専門職大学の客員教員も務めています。日本に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有し、世界最高峰のNIPT提供を目指しています。ひろゆき氏との対談や著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』の執筆でも知られています。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などを通じて情報発信も行っています。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Guseh SH, Goldberg JD, Sridhar A, et al. Maternal Uterine Leiomyoma: A Potential Cause of False-Positive Cell-Free DNA Screening Results. Obstet Gynecol. 2019 Jun;133(6):1145-1148. doi: 10.1097/AOG.0000000000003268.
- Zhou X, Yang Y, Wang J, et al. Maternal uterine leiomyoma as a potential cause of false-positive non-invasive prenatal testing results. BMC Pregnancy Childbirth. 2020 Nov 10;20(1):683. doi: 10.1186/s12884-020-03373-z.


