NIPT(新型出生前診断)は他の非確定的検査に比べて結果の信頼性が高い検査ですが、まれに「NIPT(新型出生前診断)は陰性だったのに生まれた子どもは染色体疾患だった」という偽陰性が起こります。検査の精度と偽陰性と偽陽性の意味、ヒロクリニックNIPTで算出している陽性スコアについて解説します。
お母さんと赤ちゃんのために
NIPT検査で安心を
詳しくはこちら
NIPT(新型出生前診断)の検査精度とその意味
検査精度を表すときに「感度」「特異度」「陽性的中率」「陰性的中率」という言葉がよく使われます。
これらの用語の意味について説明します。
感度とは
病気を持っている方が検査で「陽性」となる確率のことを「感度」といいます。感度が高い検査は、病気を⾒逃すことが少なくなります。
よって陰性判定の場合、病気がないと否定しやすいといえます。
一方で、感度の⾼くない検査では陰性判定でも⾒逃しが起こることがあるため、他の検査を併⽤することが必要です。
NIPT(新型出生前診断)の感度は99%とほぼ100%に近い値となっており、病気を見逃す確率は極めて低いです。
他の非確定的検査(コンバインド検査で80%、母体血清マーカー検査で83%)と比べても検査の精度が高いことがわかります。

お母さんと赤ちゃんのために
NIPT検査で安心を
詳しくはこちら
特異度とは
病気を持っていない方が検査で「陰性」となる確率です。
特異度の高い検査では偽陽性がほとんど起こらないため、「陽性」の場合は病気であると診断する材料となります。
NIPT(新型出生前診断)の特異度は99.90%と、ほぼ100%です。
つまり偽陰性が起こる確率は非常に低く、検査で「陰性」と判定されたら病気がある可能性は低いということが言えます。
的中率とは
出生前診断を含め、全ての検査においては結果がどれだけ正しいのかということがとても大切です。検査結果が正しく判定されている確率を「的中率」と呼びます。
検査で陽性となった方のうち、実際に病気である方の確率を「陽性的中率」、逆に検査で陰性となった方のうち、実際に病気を持っていない方の確率を「陰性的中率」といいます。
NIPT(新型出生前診断)を受ける方にとっては、「陽性的中率」が最も重要です。
「陽性的中率」が高いということは、検査結果が間違っており本当は病気でない確率(偽陽性率)が低く、検査で「陽性」と判定されたら病気がある可能性が高いということになります。
偽陽性と偽陰性
病気を持っているのに検査結果が「陰性」となることを偽陰性(ぎいんせい)、反対に病気がないのに検査結果が「陽性」となることを偽陽性(ぎようせい)と呼びます。
偽陰性の原因の多くは、妊娠週数が早すぎて検出対象となる赤ちゃんのDNAが少ないことです。
偽陽性の原因としては、実は双胎妊娠であり片方の赤ちゃんが染色体異常のため早期になくなってしまったこと(Vanishing Twin)、お母さん側に腫瘍や自己免疫疾患などの病気が隠れていたことなど、さまざまな要素があります。
またあってはならないことですが、検査が正しく⾏われなかった場合にも、偽陽性や偽陰性が生じることがあります。
お母さんと赤ちゃんのために
NIPT検査で安心を
詳しくはこちら
NIPT(新型出生前診断)の検査結果は「陰性」「陽性」「判定留保」の3つ
NIPT(新型出生前診断)の検査結果は「陰性」「陽性」「判定留保」の3つに分けられます。
検査結果を正しく理解するためには、それぞれの意味を正しく知る必要があります。
NIPT(新型出生前診断)が「陰性」であるということ
NIPT(新型出生前診断)の検査結果が「陰性」だった場合、赤ちゃんが染色体の異常を持っている確率は極めて低いことを示します。
例えば21トリソミー(ダウン症候群)の場合、99.99%の確率(陰性的中率)で21トリソミー(ダウン症候群)の赤ちゃんを妊娠していないと理解できます。
NIPT(新型出生前診断)の陰性的中率は、極めて高いことが知られています。
一般の妊婦さんを対象にした調査でも99.98%と非常に高く、偽陰性が起こる確率は0.1%以下と非常に低いものでした。
NIPT(新型出生前診断)が「陽性」であるということ
NIPT(新型出生前診断)の検査結果が「陽性」だった場合、赤ちゃんが染色体の異常を持っている可能性が高いことを示します。
したがって「確定的検査」である絨毛検査もしくは羊水検査を受けて診断を確定する必要があります。
ただし絨毛検査や羊水検査は、いずれもわずかながら流産のリスクがあるため、確定的検査を受けるかどうかは夫婦でよく話し合うことが大切です。
2013年9月から2019年3月までにNIPTコンソーシアムで行われた72,526例のうち、「陽性」と判定されたのは1,281例(1.77%)でした。
陽性例で最も多かったのは21トリソミー(ダウン症候群)で776例(1.07%)、次いで18トリソミー(エドワーズ症候群)388例(0.54%)、13トリソミー(パトウ症候群)117例(0.16%)の順でした。
NIPTコンソーシアムは染色体異常のハイリスク妊婦を対象としていたため、一般妊婦の陽性率はさらに低いものとされています。
21トリソミー(ダウン症候群)が「陽性」と判定された場合、赤ちゃんが本当に21トリソミー(ダウン症候群)である確率(陽性的中率)は、お母さんの年齢によって異なります。
年齢が高いほど、実際に病気の赤ちゃんを妊娠している確率(疾患頻度)が上昇するため、陽性的中率も高くなります。
例えば25歳の場合の陽性的中率は49.8%と低いのに比べ、35歳の場合は76.7%、40歳の場合は90.9%と跳ね上がります。
お母さんと赤ちゃんのために
NIPT検査で安心を
詳しくはこちら
13トリソミー(パトウ症候群)と18トリソミー(エドワーズ症候群)は疾患頻度が21トリソミー(ダウン症候群)よりも低いため、陽性的中率も低くなります。
40歳の妊婦さんの陽性的中率は、それぞれ52.5%、30.4%という報告もあります。
判定保留とは?
NIPT(新型出生前診断)を行うと、1%弱の頻度で「判定保留」という結果が出ることがあります。
これはお母さんの血液の中に含まれる赤ちゃん由来のDNAが少ないこと、お母さんの血液中の赤血球が壊れる「溶血」が起こったこと、検査機器の測定要件に適合せず検査エラーが起きたことなどが原因です。
赤ちゃん由来のDNAは妊娠経過とともに増加すると考えられますので、再度採血して検査を行うこともできます。

陽性スコア(重要)
ヒロクリニックNIPT独自の「陽性スコア」とは?
確定的検査(羊水検査など)を受けるべきかどうか判断するうえで、有力な判断材料となるのが、**ヒロクリニックNIPTのみで提供している「陽性スコア」**です。
陽性スコアとは?
「陽性スコア」は、NIPT検査におけるカットオフ値(陽性・陰性の境界)と、実際の検査値がどれだけ離れているかを示す数値です。
- スコアが高い → カットオフ値から検査値が遠く、陽性の可能性が高い
- スコアが低い → カットオフ値に近く、偽陽性や偽陰性の可能性が比較的高まる
66,000件以上の実績に基づく信頼性
これまでヒロクリニックで実施された66,000件を超えるNIPTの分析結果から、陽性スコアが高い方ほど、実際に羊水検査で陽性となる傾向が明らかになっています。
ただし注意点として、スコアが低い=偽陽性というわけではありません。
仮にカットオフ値に近くても、年齢や妊娠週数、検出染色体に応じた陽性的中率が高ければ、やはり注意が必要です。
陽性スコアレポートの内容
ヒロクリニックNIPTでは、21トリソミー(ダウン症候群)や18トリソミー(エドワーズ症候群)が陽性だった方に対して、陽性スコアレポートをお渡ししています。
レポートには次の情報が記載されています:
- 陽性スコアの数値
- 年齢・妊娠週数を考慮した陽性的中率
- 異常が疑われる染色体ごとの個別データ
このレポートを活用することで、**「本当に確定検査を受けるべきかどうか」**を、医師やご家族とより具体的に話し合うことができます。
お母さんと赤ちゃんのために
NIPT検査で安心を
詳しくはこちら
【参考文献】
Q&A
-
QNIPT(新型出生前診断)の精度はどのくらい信頼できますか?NIPTは感度99%以上と高精度で、ダウン症候群(21トリソミー)など特定の染色体異常を検出する確率が非常に高いですが、非確定検査になるので100%の精度を保証するものではありません。
-
Q出生前診断であるNIPTが提供する「陽性スコア」とは何ですか?NIPT(新型出生前診断)の陽性スコアは、陽性結果の信頼度を示す指標であり、スコアが高いほど実際に染色体異常が存在する可能性が高くなります。
-
QNIPT(新型出生前診断)で「判定留保」となるケースはどのような状況ですか?判定留保は、検査結果が不明瞭であることを意味し、再検査が必要になります。これは赤ちゃん由来のDNAが少ない溶血が起こったなどの理由により発生します。
-
QNIPT(新型出生前診断)の偽陽性率はどれくらいですか?NIPTの偽陽性率は非常に低いですが、0ではありません。偽陽性結果を受けた場合、確定診断のための羊水検査などの追加検査を受けることが推奨されます。
-
QNIPT(新型出生前診断)が「陰性」だったのに染色体異常があることはありますか?非常にまれですが、偽陰性の可能性があります。NIPTの感度は99%以上と高いものの、100%の精度を保証するものではありません。
-
QNIPTの陰性結果が偽陰性となる原因は何ですか?主な原因は、妊娠週数が早すぎて胎児由来DNAが十分検出されないこと、または技術的なエラーです。これらが影響して正確な結果が得られない場合があります。
-
QNIPTで偽陰性が起こる確率はどのくらいですか?偽陰性が起こる確率は非常に低く、一般的には0.1%未満とされています。ただし、検査精度は医療機関や妊娠週数によって異なる場合があります。
-
QNIPTの結果が陰性でも、追加検査を受ける必要がありますか?一般的には陰性の場合、追加検査は不要ですが、家族歴や他のリスク要因がある場合、医師と相談して追加検査を検討することが推奨されます。
-
QNIPTの陰性結果が正確であるかどうかを確かめる方法はありますか?確定診断として羊水検査や絨毛検査を受けることで、陰性結果の正確性を確認することができます。
-
Q偽陰性を防ぐためにはどうすればよいですか?適切な妊娠週数(10週目以降)にNIPTを受けることが重要です。また、信頼性の高い医療機関で検査を受けることも推奨されます。
-
QNIPTで陰性だったのに、実際に赤ちゃんに染色体異常がある場合の対処法は?出生後の診断により染色体異常が判明した場合、専門医によるフォローアップと治療計画を立てることが重要です。
-
QNIPTで陰性結果が出た場合でも不安が残るのはなぜですか?NIPTは非確定的検査であり、偽陰性の可能性が完全には排除されないため、不安が残ることがあります。
-
QNIPTの陰性結果を信じて安心しても大丈夫ですか?NIPTの陰性的中率は99.98%と非常に高いため、一般的には安心できます。ただし、不安がある場合は医師に相談することをお勧めします。
-
QNIPTで偽陰性が起こりやすい妊婦の特徴はありますか?偽陰性が起こりやすいケースとして、妊娠週数が10週未満の場合や、母体に特定の健康状態がある場合が挙げられます。
-
QNIPTが陰性でも出生後に染色体異常が判明した事例はありますか?はい、非常にまれですが、そのような事例は報告されています。偽陰性の場合、検査で見逃された可能性があります。
-
Q陰性結果を正しく理解するためにはどうすればよいですか?医師の説明をしっかり聞き、必要に応じて遺伝カウンセリングを受けることが重要です。また、検査結果を安易に解釈せず、専門家の意見を求めてください。
-
QNIPTで偽陰性が起こった場合、責任は誰にありますか?偽陰性は検査の特性上起こり得るものです。そのため、医療機関や検査の提供者は結果の限界を説明する責任があります。
-
Q偽陰性のリスクを下げるためにはどのような医療機関を選ぶべきですか?信頼性の高い医療機関で、十分な経験と実績のある施設を選ぶことが重要です。また、事前の遺伝カウンセリングを提供している施設を選ぶとよいでしょう。
-
QNIPTの陰性結果に過信しないためにはどうしたらよいですか?NIPTは非確定的検査であることを理解し、陰性結果が100%安全を保証するわけではないことを認識することが大切です。
-
QNIPTの陰性結果に関する不安を軽減する方法はありますか?検査前後に遺伝カウンセリングを受け、検査の限界や結果の解釈について十分に理解することで、不安を軽減することができます。
NIPT(新型出生前診断)は他の非確定的検査に比べて結果の信頼性が高い検査ですが、まれに「NIPT(新型出生前診断)は陰性だったのに生まれた子どもは染色体疾患だった」という偽陰性が起こります。検査の精度と偽陰性と偽陽性の意味、ヒロクリニックNIPTで算出している陽性スコアについて解説します。
記事の監修者
岡 博史先生
【役職】
NIPT専門クリニック医学博士
ヒロクリニック統括院長
【資格】
平成8年 医師免許 取得
平成14年 慶應義塾大学医学博士号 取得
平成15年 皮膚科専門医 取得
平成29年 産業医 取得
【略歴】
平成8年 慶應義塾大学医学部 卒業
平成8年 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 入局
平成11年 川崎市立川崎病院総合心療内科 勤務
平成12年 川崎市立川崎病院皮膚科 勤務
平成14年 慶応義塾大学病院皮膚科 勤務
平成17年 城本クリニック 勤務
平成20年 ヒロクリニック開院・院長就任
平成21年 医療法人社団福美会 設立・理事長就任
【所属】
医療法人社団福美会
【SNS】
YouTube ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch
TikTok ひろし先生の正しいエビデンス妊娠情報局
中文


