この記事のまとめ
妊娠糖尿病は、バランスの良い食事・食後の軽い運動・規則正しい生活・適正な体重管理・定期的な血糖チェックという5つの生活習慣で発症リスクを下げられます。
日本産科婦人科学会によると、妊婦さんの7〜9%が妊娠糖尿病と診断されています。
発症には体質的な要因も大きく関わるため、生活習慣だけですべてを防げるわけではありません。
それでも、食事・運動・睡眠を整えることは、母体と赤ちゃんの負担を減らす確かな備えです。
気になる症状や血糖値の数値があるときは、自己判断せず産婦人科医に相談してください。
この記事でわかること
はじめに
「妊娠糖尿病 ならないためには」と検索して、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
妊娠中はホルモンの影響で血糖値が上がりやすく、誰にでも発症の可能性があります。
私たちの外来でも、妊娠中期の健診をきっかけに「今からできることを知りたい」というご相談を数多くいただきます。
現在の医療では、体質や年齢による発症を完全に防ぐ方法はありません。
一方で、食事・運動・睡眠などの生活習慣を整えることで、発症リスクを下げられることがわかっています。
この記事では、妊娠中の糖尿病予防に役立つ5つの生活習慣を、実際の妊婦さんの声も交えて解説します。
妊娠糖尿病とは?なりやすい人の特徴と赤ちゃんへの影響
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて指摘される糖代謝の異常で、日本産科婦人科学会によると妊婦さんの7〜9%が診断されています。
もともとインスリンの働きが弱めの方が妊娠すると、胎盤から出るホルモンの影響でさらに血糖値が上がりやすくなります。
妊娠糖尿病になりやすい人の特徴
妊娠糖尿病は誰にでも起こり得ますが、なりやすさには一定の傾向があります。
気になる項目がある方は、健診で医師に相談してみてください。
- 高齢妊娠
年齢が上がるほどインスリンの働きが低下しやすく、発症リスクが上がります。 - 妊娠前から肥満気味、または妊娠中の体重増加が多い
脂肪組織が増えるとインスリンの効きが悪くなりやすいためです。 - 血縁者に糖尿病の方がいる
体質的にインスリンの分泌量が少ない傾向を受け継ぐことがあります。 - 過去の妊娠で妊娠糖尿病と診断された、または4,000g以上の赤ちゃんを出産した
次の妊娠でも血糖値の変動に注意が必要です。
これらに当てはまるからといって、必ず発症するわけではありません。
該当する項目が多い方ほど、早めの生活習慣の見直しが安心につながります。
妊娠糖尿病が母体と赤ちゃんに与える影響
妊娠糖尿病を放置すると、母体には妊娠高血圧症候群や羊水過多、赤ちゃんには巨大児や出生後の低血糖などのリスクが生じます。
血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんに栄養が届きすぎて大きく育ちすぎることがあり、難産や帝王切開につながるケースもあります。
私たちの外来でも、妊娠糖尿病と診断された方から「これから何に気をつければいいですか」というご相談をよく受けます。
同じように治療よりも予防を重視したいと考える方は多いようです。
不妊治療と妊娠糖尿病をご自身も経験した産婦人科医の@hikari_obgynさんも「病気は、治療よりも予防に力を入れた方がいい」とXで投稿していました。
睡眠・運動・食事という小さな積み重ねを大切にするという指摘は、外来でお伝えしている内容とも重なります。
妊娠中の糖尿病予防に役立つ5つの生活習慣
妊娠糖尿病の予防には、食事・運動・生活リズム・体重管理・血糖チェックという5つの習慣を無理なく続けることが基本です。
ここからは、それぞれの具体的なポイントを見ていきましょう。
1. バランスの取れた食事を心がける
血糖コントロールの基本は、食事の内容とタイミングです。
妊娠中はホルモンの影響で糖の代謝に負担がかかるため、何をどう食べるかを意識するだけで血糖値の急上昇を防ぎやすくなります。
- 主食
白米や精製パンより、玄米や雑穀米、全粒粉パンなどの低GI食品を選びましょう。消化吸収がゆるやかで、血糖値の変動が安定しやすくなります。 - 主菜
鶏胸肉や白身魚、大豆製品、卵など、脂肪分が控えめな高たんぱく食材を中心に。調理法は揚げるより、蒸す・煮る・焼くを選んでください。 - 副菜
野菜は1日350gが目安です。食物繊維が糖の吸収をゆるやかにし、腸内環境の改善にも役立ちます。 - 間食
無糖ヨーグルトやナッツ、ゆで卵は腹持ちがよく糖質量も抑えられます。甘いお菓子やジュースは控えめにしましょう。
食べる順番を「野菜→たんぱく質→炭水化物」にすると、食後血糖の上昇がゆるやかになります。
よく噛んでゆっくり食べる、これも立派な血糖対策のひとつ。
2. 食後を意識した軽い運動を習慣にする
食後に軽く体を動かすと、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
筋肉を使うことでインスリンの働きが高まり、体重管理やストレス軽減にもつながります。
- ウォーキング
1日20〜30分、会話できる程度の速さで歩くのが目安です。天候が悪い日は室内をゆっくり歩くだけでも構いません。 - マタニティヨガ
呼吸法やストレッチが中心で、腰痛やむくみの軽減にも役立ちます。オンラインや教室で指導を受けると安心です。 - 運動のタイミングと注意点
必ず医師の許可を得たうえで行いましょう。お腹の張りや出血、強い息切れがあれば、すぐに中止して休んでください。
実際に「甘いものも好きで食事の間隔があくから、妊娠糖尿病予防として食後に軽く運動している」と@suzu_life100さんが投稿していました。
ただし30分続けて疲れてしまったという声もあったので、まずは10分程度の散歩から始めてみてください。
3. 規則正しい生活リズムを整える
睡眠不足や生活リズムの乱れは、インスリンの働きを妨げ血糖コントロールを悪化させます。
反対に、規則正しい生活はホルモンバランスを整え、血糖値の変動を安定させやすくします。
- 十分な睡眠の確保
1日7〜8時間を目安に、同じ時間に就寝・起床する習慣をつけましょう。就寝前のスマートフォン使用は控えてください。 - 食事時間の固定
毎日ほぼ同じ時間に食事をとると、体内時計が安定し血糖値の変動が予測しやすくなります。朝食は欠かさず摂りましょう。 - 休息時間の確保
日中に眠気が強いときは、15〜30分程度の短い仮眠が効果的です。長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げるため注意しましょう。
日々の小さな積み重ねこそ、母体と赤ちゃんの健康を守る土台。

4. 体重管理を意識する
妊娠中の急激な体重増加は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスクを高めます。
反対に増加が少なすぎると、赤ちゃんの発育不全につながる恐れがあり、適正な範囲での管理が欠かせません。
| 妊娠前BMI | 体重増加の目安 |
|---|---|
| 18.5未満(やせ型) | 9〜12kg |
| 18.5〜25未満(普通体型) | 7〜12kg |
| 25以上(肥満) | 5〜7kg程度 |
あくまで一般的な目安であり、体質や妊娠経過によって個別の調整が必要です。
朝の排尿後など同じ時間帯に体重を測ると、増減の傾向をつかみやすくなります。
「妊娠糖尿病ではなかった、ホッとした。でも引き続き体重管理をしっかりしよう」と@inupanicさんが投稿していました。
診断結果に関わらず、体重管理を続ける意識を持つ方は少なくありません。
揚げ物や菓子パン、甘い飲み物はエネルギー密度が高いため、量を控えめにしましょう。
5. 定期的な健診と血糖チェックを欠かさない
妊娠糖尿病はほとんど自覚症状がないため、妊婦健診や血糖測定での早期発見が予防と同じくらい大切です。
異常を早く見つけられれば、食事改善や運動療法だけで対応できるケースも多くあります。
- 妊婦健診での基本チェック
毎回、尿糖や尿たんぱくの有無を調べ、血糖値の異常を早期に察知します。 - 中期健診での75gブドウ糖負荷試験(OGTT)
妊娠24〜28週ごろに実施され、空腹時と糖摂取後の血糖値を比較して耐糖能異常を判定します。 - 自宅での血糖自己測定(SMBG)
医師の指示があれば、家庭用の血糖測定器で食前・食後の血糖値を記録します。
私たちの外来でも、血糖自己測定を始めたばかりの方から「数値の見方に慣れるまで不安だった」という声をよく伺います。
実際に2人目の妊娠で妊娠糖尿病と診断された@omuron_0916さんは、「毎食前と食後2時間後に血糖測定を始めて2週間経過。運動すると血糖値が下がるので、家族と散歩に付き合ってもらっている」と投稿しています。
数値の記録と軽い運動の組み合わせ、それが多くの方にとって心強い工夫。
体重管理や食習慣をさらに詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。
妊娠糖尿病の基礎知識は妊娠糖尿病とは?妊婦健診で指摘されたら気をつけること、正しい食習慣はこちらの解説記事で紹介しています。
体重管理の献立例は妊娠中の体重管理に役立つ献立例、運動の具体的なやり方は妊娠中に安全な運動とストレッチ方法で紹介しています。
妊娠糖尿病とNIPT(新型出生前診断)の位置づけ
妊娠糖尿病そのものは、NIPT(新型出生前診断)の直接的な対象疾患ではありません。
NIPTは、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーなど、胎児の染色体異常を調べる非確定的検査です。
ただし、高齢妊娠や妊娠糖尿病などの合併症があると、母体・胎児ともに健康リスクが通常より高くなります。
妊娠初期にNIPTで胎児の染色体状態を把握しておくことは、出産計画や分娩時の医療体制を整えるうえで有効な選択肢のひとつです。
ヒロクリニックNIPTのNIPT(新型出生前診断)は、母体の腕からの採血のみで検査でき、妊娠6週から受けられます。
東京衛生検査所(国内)で検査するため、最短2〜5日で結果をお伝えできます。
血糖管理とあわせて検討することで、妊娠期をより安心して過ごすための準備が整いやすくなります。
妊娠糖尿病についてよくある質問
妊娠糖尿病について、外来で実際によく寄せられる質問にお答えします。
気になる項目から読んでみてください。
Q. 妊娠糖尿病は生活習慣で必ず防げますか?
いいえ、体質や年齢などが関わるため、生活習慣だけですべてを防げるわけではありません。
それでも食事・運動・睡眠を整えることは、発症リスクを下げる有効な手段です。
Q. 妊娠糖尿病になると赤ちゃんにどんな影響がありますか?
血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんが大きく育ちすぎる巨大児や、出生後の低血糖につながることがあります。
健診での早期発見と血糖管理により、多くの場合はリスクを抑えられます。
Q. 甘いものを我慢すれば妊娠糖尿病を防げますか?
甘いものを控えるだけでは不十分です。
主食の種類や食べる順番、運動、睡眠まで含めた生活全体の見直しが、血糖コントロールにつながります。
Q. 血糖自己測定は痛いですか?自分でもできますか?
指先などから少量の血液を採る方法で、多くの方が自宅で問題なく行っています。
医師や助産師から使い方の説明を受けてから始めるので、初めての方でも安心してください。
Q. 妊娠糖尿病はNIPTでわかりますか?
NIPTは胎児の染色体異常を調べる非確定的検査であり、妊娠糖尿病の診断には使いません。
妊娠糖尿病は妊婦健診の尿検査や、中期のブドウ糖負荷試験(OGTT)で診断します。
Q. 出産後、妊娠糖尿病は治りますか?
多くの場合、出産後に血糖値は正常に戻ります。
ただし将来2型糖尿病を発症しやすい体質でもあるため、産後の健診や生活習慣の見直しを続けてください。
まとめ
妊娠中の糖尿病予防には、バランスの取れた食事・食後の軽い運動・規則正しい生活・体重管理・定期的な健診という5つの習慣が基本です。
これらを無理なく取り入れることで、血糖値の変動が安定し、妊娠糖尿病の発症リスクを下げられます。
予防の取り組みは、母体の健康維持だけでなく、赤ちゃんの健やかな成長にも直結します。
生活習慣の改善は、産後の体調回復や将来の生活習慣病予防にも役立つでしょう。
高齢妊娠や合併症のある方は、NIPT(新型出生前診断)などの検査も選択肢に加えてみてください。
胎児の状態を早期に把握できれば、より安全な出産計画を立てやすくなります。
気になる症状や数値があるときは、自己判断せず、まずは産婦人科医に相談してください。
【参考文献】
- 公益社団法人日本産科婦人科学会 – 妊娠糖尿病
- 一般社団法人日本内分泌学会 – 妊娠糖尿病|一般の皆様へ
- MSDマニュアル家庭版 – 妊娠中の糖尿病
- 糖尿病ネットワーク – 「妊娠糖尿病」は世界的に増加 食事と運動に取り組めば予防・改善できる
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- 日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン―産科編2020. 東京: 日本産科婦人科学会; 2020.
- Zhang C, Tobias DK, Chavarro JE, et al. Adherence to healthy lifestyle prior to pregnancy and risk of gestational diabetes mellitus: cohort study. BMJ. 2014;349:g5450.
- Tobias DK, Zhang C, van Dam RM, Bowers K, Hu FB. Physical activity before and during pregnancy and risk of gestational diabetes mellitus: a meta-analysis. Diabetes Care. 2011;34(1):223-229.
- Schoenaker DA, Mishra GD, Callaway LK, Soedamah-Muthu SS. The association of dietary factors and gestational diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis of observational studies. BMC Med. 2013;11:208.
- American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No. 190: Gestational Diabetes Mellitus. Obstet Gynecol. 2018;131(2):e49-e64.

