出生前診断にリスクはあるの?【医師監修】

NIPT(新型出生前診断)にリスクはあるの? 妊婦 写真

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

妊娠15週目までの方はまだ間に合います
気になるNIPTの費用について

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この記事のまとめ

NIPTで行われるのは妊婦さんの採血のみなので、リスクはほとんどありません。またNIPTのほかにも非確定的検査には超音波検査や母体血清マーカー検査、コンバインド検査もありますがいずれもほとんどリスクなく検査を受けることができます。

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NIPT(新型出生前診断)ってどんな検査?

NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液を採取してその中に含まれる胎児のDNAのかけらを調べる検査です。DNAは遺伝子情報が詰まった設計図のようなもので、染色体という細胞に含まれています。染色体にある遺伝子は、父親と母親の両方から受け継がれるものです。染色体に異常があると、お腹の赤ちゃんが先天異常を持って生まれる可能性があります。

NIPTは、母体からの採血のみで検査ができ、胎児への直接的な侵襲(ダメージ)がないので、「非侵襲性出生前遺伝学的検査」「無侵襲的出生前遺伝学的検査」等ともよばれます。

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NIPT(新型出生前診断)でわかること

先天異常は、妊娠した年齢にかかわらず起こる可能性があり、すべての新生児のうち約3〜5%に何らかの先天異常が見られるといわれています。
その中で、約25%を占めるのが染色体異常による疾患です。

NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液から胎児由来のDNAを分析し、染色体の数や構造に関わる異常の可能性を非侵襲的に調べる検査です。

主に検査対象となるのは、以下のような異常です:


● 基本検査(代表的な3つの染色体異数性)

これらは新生児期に比較的頻度が高く、重度の知的障害や発達障害、身体的異常を伴うことがあるため、NIPTで最も基本的な検査項目となっています。


● 全染色体の異数性(1番〜22番染色体すべて)

施設によっては、1番から22番までのすべての常染色体について、トリソミー(1本多い)やモノソミー(1本少ない)といった異数性を調べることが可能です。
これにより、より広範囲な染色体異常を早期に発見できる可能性があります。


● 性染色体の異常(X・Y染色体)

染色体異常は比較的症状が軽いものも多い一方で、不妊やホルモン異常、学習障害などが成人後に判明することもあるため、出生前に知ることには大きな意義があります。


● 微小欠失・重複症候群

さらに、高度なNIPTでは、**染色体のごく一部が欠けたり余分になったりする「微小欠失・微小重複」**についても検査が可能です。

例:

これらは知的障害や発達障害、心奇形などを引き起こすことがあり、見た目にはわかりにくい異常であることが多いため、NIPTによる早期のリスク把握が重要です。


新型出生前診断で分かること

具体的な3つの先天異常の特徴は以下のようになります。

ダウン症候群(21トリソミー)
症状 成長障害、筋肉の緊張の低下、特徴的な顔貌
≪合併症≫ 心臓の病気、消化器の奇形、そのほか甲状腺や耳鼻科の病気など
予後について 多くの場合、支援クラスや特別支援学校に通う。美術など才能が優れていることもある。
寿命はおよそ50~60歳。
エドワーズ症候群(18トリソミー)
症状 胎児期からの成長障害、呼吸や摂食に障害がみられる
≪合併症≫ 心臓の病気、消化管の奇形、関節の拘縮など
予後について 身体や知能の発達の遅れがみられる。呼吸の補助が必要になることがある。
妊娠中に胎児が死亡するケースが多い。出産後1カ月で亡くなるのが50%、1年でなくなるケースが90%

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パトウ症候群(13トリソミー)
症状 成長障害、呼吸や摂食に障害がみられる
≪合併症≫ 口唇口蓋裂、心臓の病気、目の病気など
予後について 身体や知能の発達の遅れがみられる。呼吸の補助が必要になることがある。
出産後1年以内に亡くなるケースが90%
NIPT(新型出生前診断)からわかる疾患一覧
ヒロクリニックのNIPTは、胎児の常染色体および性染色体の数の異常の他、部分的な欠失・重複疾患、微小欠失症候群といった染色体の部分的な構造異...

NIPT(新型出生前診断)はいつから受けられる?

NIPT(新型出生前診断)は、一般に妊娠10週0日から受検することができます。出生前診断にはいくつか方法がありますが、その中でもヒロクリニックNIPTは妊娠約6週(超音波検査で妊娠が確定した時期)という早い時期から検査ができます。

ヒロクリニックNIPTでは採血から通常2〜6日(一部プランを除く)で結果をお届けしているため、妊娠の早い時期に検査を終えることができます。

新型出生前診断のリスクについて

NIPT(新型出生前診断)を受けるうえで、母子の健康に悪影響を与えないか気になる人は多いでしょう。検査で行われるのは妊婦さんの採血のみなので、リスクはほとんどありません。

腕などに注射針を刺すときに、多少の痛みを感じますが、体にとって大きな影響を与えることはないでしょう。NIPTは、母子ともにリスクを気にせずに安心して受けることができます。

確定的検査はリスクをともなう

かなり低いリスクで行えるNIPT(新型出生前診断)ですが、検査で陽性になったときは、確定診断のために確定的検査を行う必要があります。これは、まれに偽陽性になることもあるためです。
※NIPTの感度は、21番染色体の検査で96.5%といわれています。

確定的検査は、母子に負担がかかるため流産などのリスクをともないます。具体的な検査には以下のものがあります。

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絨毛(じゅうもう)検査

検査方法はお腹に直接針を刺す方法と、膣からカテーテルを使用して検体を採取する方法があります。流産のリスクが1%ほどあり、そのほかにも出血や破水を起こすことがあります。

妊娠早期の胎盤の一部にある絨毛という細胞を採取して調べる検査です。絨毛は妊娠の初期の胎盤の一部に含まれている細胞です。検査は妊娠10〜14週前後に行います。

絨毛検査はエコーで胎児の位置を確認しながら行われますが、技術的に難しく、実施している医療機関が少ないのが特徴です。

羊水検査

妊婦さんのお腹に針を刺して、羊水を採取する検査です。羊水は胎児が飲んだり排尿したりするため、胎児由来の細胞が含まれています。検査では羊水に含まれる細胞を培養した後、遺伝子の解析を行うため、結果が出るまでに3週間ほどかかります。

羊水検査絨毛検査よりもリスクが低い検査ですが、0.2~0.3%の確率で流産や破水が起こすことがあります。実施時期は妊娠16~18週です。

 なお、NIPT(新型出生前診断)の確定検査は、検査で陽性になったときに必ず受けなければいけないものではありません。絨毛検査羊水検査は、親御さんのご希望によって行われます。

確定的検査
絨毛検査 確定診断 腹部等に針を刺すため、流産のリスクがある(1%)。妊娠10~14週前後に実施。
羊水検査 確定診断 腹部に針を刺すため、流産のリスクがある。(0.3%)妊娠16~18週に実施。

他の出生前診断のリスクについて

NIPT(新型出生前診断)の費用面、確定的検査のリスク面が気になり、そのほかの検査方法について知りたいと思う方もいるでしょう。ここではNIPT以外の検査のリスクについてみていきます。

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超音波検査(エコー検査)

超音波検査は妊婦健診でも行われる検査で、エコー検査とも呼ばれています。具体的には、妊婦さんのお腹に超音波の出る機器を当てて、反響を画像化します。検査中は、妊婦さんもモニターを一緒に確認することができます。

超音波検査は、主にお腹の赤ちゃんの成長や発育について確認するために行われます。その一方で、超音波検査によってお腹の赤ちゃんの異常が見つかることもあるため、広い意味で出生前診断のひとつといえます。

また、妊娠中期に胎児超音波スクリーニング検査を行うこともできます。この検査では通常の妊婦検査よりも時間をかけて超音波検査を行うことで、胎児に問題がないかどうかを確認していきます。

検査そのものは超音波により非侵襲的に行われるので、お腹の赤ちゃんにリスクを与えることはありません。検査にあたって妊婦さんの腹部にジェルを塗るので、冷たさを感じることがあります。

検査で異常が見つかった場合は、診断を確定するために確定検査を受ける必要があります。

母体血清マーカー検査

血液検査によって胎児の先天異常の可能性の有無を調べます。NIPT(新型出生前診断)と同じように、検査は妊婦さんへの採血のみなので、母子にとってリスクの少ない検査です。

検査では、以下の病気の可能性について知ることができます。

母体血清マーカー検査は妊婦さんの血液中に含まれる成分を調べますが、どの成分を調べるかによって種類があります。具体的な母体血清マーカ―検査には以下のものがあります。

クアトロテスト

妊婦さんの血液に含まれる4つの成分(hCG・AFP・uE3・インヒビンA)について調べる検査です。

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トリプルマーカーテスト

妊婦さんの血液に含まる3つの成分(hCG・AFP・uE3)について調べる検査です。 

クアトロテストとトリプルテストについてですが、2つの検査の精度に大きな差はありません。検査の精度とは陽性の的中率のことをいいます。

ただ血清マーカー検査の結果は確率で表記されるため、検査結果の解釈が難しいといえます。また、検査はあくまでスクリーニング(振り分け)を目的としており、診断のためには確定検査を受ける必要があります。

NIPT(新型出生前診断)の採血

コンバインド検査

母体血清マーカー検査と超音波検査の2つを行う検査です。採血とエコー検査の組み合わせなので、母子にとってほとんどリスクはありません。

採血では、妊婦さんの血液に含まれる2つの胎児由来の成分(hCG・PAPP-A)を調べます。コンバインド検査では、以下の先天異常の可能性について知ることができます。

以上のように、NIPT(新型出生前診断)をはじめ、診断に至らない「非確定的検査」は、ほとんどリスクなく検査を受けられます。一方、非確定的検査で陽性になったときは、リスクのある確定的検査によって診断を得ることができます。

改めて、NIPTをはじめとする非確定的検査をまとめてみます。 

非確定的検査
NIPT(新型出生前診断) ダウン症候群(21トリソミー)
パトウ症候群(13トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
採血のみなのでリスクがほとんどない。妊娠9週以降に実施。
超音波検査 ダウン症候群(21トリソミー)を含む重大な先天異常の有無の評価 妊婦健診でも行われる検査で、リスクがほとんどない。
胎児の先天異常の可能性の評価は、妊娠11~13週頃に実施。妊娠19~20週、28~30週にも成長や発育や、心臓や骨の病気がないかをみる。
母体血清マーカー検査 ダウン症(21トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
神経管閉鎖障害(開放型神経管奇形)
採血のみなのでリスクがほとんどない。妊娠15~18週以降に実施。
コンバインド検査 ダウン症候群(21トリソミー)
18トリソミー
超音波検査と採血を組み合わせた検査で、リスクがほとんどない。妊娠11~13週頃に実施。

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非認証施設で受けるNIPT(新型出生前診断)にリスクはある?

NIPT(新型出生前診断)を受けることができる施設には、認証施設のほかに非認証施設があります。

非認証施設といっても違法性があるわけではなく、認証施設ではできない検査を行うことができるメリットもあります。認証施設のNIPTで調べられるのは、ダウン症候群(21トリソミー)パトウ症候群(13トリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー)の3疾患のみですが、非認証施設では常染色体(1〜22番染色体)や性染色体の数的異常、欠失・重複といった構造的異常についてなど、施設によっては、より詳しい検査項目を調べることも可能です。

また、同じ検査内容でも認証施設より安価に検査を受けられることもあります。

ご自身のニーズに合わせて、受検する施設を選んでみましょう。

遺伝カウンセリングについて

遺伝カウンセリングとは、遺伝に関する病気・悩み・疑問について、科学的根拠に基づいた医学的情報を提供し、理解を深めていただくための対話型支援です。
医学的な説明に加え、心理的・社会的な側面も含めてサポートを行い、ご自身が納得して選択できるように導くことを目的としています。

出生前診断、特にNIPT(新型出生前診断)を受けるかどうかは、個々の価値観や状況によって判断が難しい場合もあります。
そうしたときに、遺伝カウンセリングが正しい情報と安心をもたらす「判断の助け」となることが少なくありません


ヒロクリニックの遺伝カウンセリングの特長

ヒロクリニックでは、すべての遺伝カウンセリングを医師が担当しています。
医療知識や遺伝に関する専門性を有する医師が、検査の内容やリスク、意義を丁寧にご説明し、ご本人とご家族の不安や疑問にしっかりと向き合います。

また、当院には産婦人科専門医や小児科専門医も在籍しており、検査前だけでなく、
「検査結果が出た後の対応」や「出生後のお子さまのサポート」についても、医学的な見地から具体的にご相談いただけます。


NIPTを迷われている方へ

NIPTを受けるかどうかを悩まれている方は、まずは遺伝カウンセリングを通じて、正確な情報を得ることが大切です。
ヒロクリニックでは、無理に検査を勧めることはありません。ご本人の気持ちや状況を尊重し、一人ひとりに合った選択をサポートします。

不安や迷いがあるときは、どうぞお気軽にご相談ください。経験豊富な医師が親身に対応いたします。

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まとめ

NIPT(新型出生前診断)は妊娠の早い時期に、母子に負担をかけずに行える検査です。ヒロクリニックNIPTでは、指定の染色体異常のほかにも、幅広い先天異常の可能性についても知ることができます。

また、安心するためにNIPTを受けようと思う方が多いと思いますが、陰性ではなく陽性の結果を受け取る可能性もあります。ヒロクリニックNIPTでは、陽性であった場合のアフターフォローとして、検査後のカウンセリング、診察を行っております。

NIPTを検討している方は、お気軽にご相談ください。

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Q&A

  • Q
    NIPT(新型出生前診断)はどんな検査ですか?
    NIPTは、妊婦さんの血液に含まれる胎児のDNAの断片を分析することで、染色体異常の有無を高精度で検出する非侵襲的な出生前診断です。採血だけで済み、母子にリスクがないため、安全に早期の検査が可能です。
  • Q
    NIPTはいつから受けられますか?
    一般的には妊娠10週0日以降から受検できます。ヒロクリニックでは妊娠6週ごろから検査の準備が可能で、採血後2~6日で結果が届きます。
  • Q
    NIPTで陽性だった場合はどうすればいいですか?
    NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は羊水検査や絨毛検査といった確定診断が推奨されます。確定検査は流産リスクがあるため、実施はご本人の希望に基づいて行われます。
  • Q
    他の出生前診断とNIPTの違いは何ですか?
    超音波検査や母体血清マーカー検査も非侵襲的ですが、NIPTはそれらよりも精度が高く、より早期に実施可能です。一方、確定診断ではないため、陽性時は追加検査が必要です。検査内容や精度、時期、費用を比較して選ぶことが大切です。

近年、受検している人が増えているNIPT(新型出生前診断)。この記事では、NIPTの特徴やリスクについて解説します。

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

【役職】

NIPT専門クリニック医学博士
ヒロクリニック統括院長

【資格】

平成8年 医師免許 取得 
平成14年 慶應義塾大学医学博士号 取得
平成15年 皮膚科専門医 取得
平成29年 産業医 取得

【略歴】

平成8年 慶應義塾大学医学部 卒業
平成8年 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 入局
平成11年 川崎市立川崎病院総合心療内科 勤務
平成12年 川崎市立川崎病院皮膚科 勤務
平成14年 慶応義塾大学病院皮膚科 勤務
平成17年 城本クリニック 勤務
平成20年 ヒロクリニック開院・院長就任
平成21年 医療法人社団福美会 設立・理事長就任

【所属】

医療法人社団福美会

【SNS】

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