発達性およびてんかん性脳症5型(Developmental and epileptic encephalopathy 5)

医者

医師から「Developmental and epileptic encephalopathy 5(DEE5)」という診断名を告げられたご家族の皆様へ。

情報を求めてこのページにたどり着いた方も多いことでしょう。

DEE5(発達性およびてんかん性脳症5型)は、SPTAN1遺伝子の変化が原因の非常にまれな遺伝性疾患です。乳児期早期からてんかん発作と発達の遅れが現れます。ほとんどの場合、ご両親からの遺伝ではなく、偶然の新しい遺伝子の変化(新生突然変異)によって起こります。

生まれたばかりの赤ちゃんや生後数ヶ月のお子さんに、聞き慣れない診断名が告げられたばかりのご家族も多いことでしょう。計り知れないショックと不安の中にいらっしゃるかもしれません。

この病気は世界的に見ても報告数がまだ少ない希少疾患の一つです。そのため、日本語で書かれた詳しい情報はインターネット上でもほとんど見当たりません。てんかんや遺伝の専門医でなければ、詳しく知らないことも珍しくない病気です。

この長い診断名を日本語に訳すと、発達性およびてんかん性脳症5型となります。医療現場では頭文字をとって、DEE5(ディー・イー・イー・ファイブ)と呼ばれることが一般的です。

かつては早期乳児てんかん性脳症5型(EIEE5)という名称も使われていました。また、原因遺伝子の名前から、SPTAN1関連脳症やSPTAN1関連てんかんと呼ばれることも増えています。

脳症や5型という言葉に圧倒されてしまうかもしれません。しかし、この数字は発見された順番を区別するための整理番号であり、重症度を表す数字ではありません。

遺伝カウンセリングの現場では「なぜ我が子が」と自分を責めてしまうご家族に、数多くお会いします。原因が遺伝子にあると分かったことは、むしろ一つの手がかりです。お子さんに合った療育やケアのプランを考えるための地図を手に入れたということでもあります。

この記事でわかること

  • DEE5(発達性およびてんかん性脳症5型)とSPTAN1遺伝子の関係
  • てんかん発作・発達の遅れ・脳の構造的な特徴という3つの主症状
  • MRI・脳波・遺伝学的検査による診断の流れ
  • 現在行われている治療とリハビリテーションの選択肢
  • 他の発達性てんかん性脳症との違いと、相談できる窓口

概要:どのような病気か

DEE5は、生まれつきのSPTAN1遺伝子の変化によって、脳の形成や神経細胞の働きに影響が出る疾患です。まず、発達性およびてんかん性脳症という病名グループの意味を理解することが大切です。

発達性とは、生まれ持った遺伝子の変化そのものが、脳の発達や成長に影響を与えていることを意味します。てんかん発作がなくても、発達に課題が生じる体質であることを示しています。

てんかん性とは、頻繁な発作や脳波の激しい乱れが、脳の機能や発達にさらなる影響を与えている状態を指します。脳症とは、脳全体の働きに広範な影響が出ている状態を指す医学用語です。

つまりDEE5は、遺伝子の影響による発達の遅れと、てんかん発作による脳への負担、この2つが合わさって症状が現れる病気です。

この5型は、SPTAN1(スペクトリン・アルファ・エヌ・アール・ワン)という遺伝子の変異によって引き起こされます。2000年代後半以降の研究で明らかになりました。

以前は原因不明の大田原症候群ウエスト症候群(点頭てんかん)と診断されていたお子さんもいます。その中に、この遺伝子変異を持つ方が一定数いることが分かってきています。

この病気の大きな特徴は、てんかん発作だけでなく、脳の形、特に小脳や脳梁といった部分の形成に影響が出やすいという点です。原因遺伝子が脳の構造を作る骨組みに関係しているためです。

同じ発達性てんかん性脳症でも、原因遺伝子によって脳に現れる特徴は異なります。DEE5は特に、小脳や脳梁など脳の「骨組み」に影響が出やすい点が独自の特徴です。鍵となるのは、遺伝子情報にもとづいた正確な理解。他の型との違いは、後半の比較表で詳しく解説します。

主な症状

DEE5の症状は、てんかん発作、発達の遅れ、特徴的な脳や身体の所見という3つに大きく分けられます。お子さんによって症状の重さや出方は異なります。これまでに報告されている代表的な特徴を見ていきましょう。

1. てんかん発作

多くの患者さんでは、生後数週間から3ヶ月頃までの乳児期早期にてんかん発作が始まります。生まれた直後から発作が見られることもあります。

発作のタイプ

発作の形は様々ですが、以下のようなタイプが報告されています。

  • てんかん性スパズム:両手を広げてお辞儀をするような動作を、数秒おきに繰り返す発作です。シリーズ形成といって、一度始まると何度も繰り返すのが特徴で、ウエスト症候群とも呼ばれます。
  • 強直発作:手足が突っ張って硬くなり、顔色が赤くなったり青くなったりする発作です。
  • 焦点発作:体の一部がピクピク動いたり、視線が偏ったりする発作です。

難治性

DEE5のてんかん発作は、一般的な抗てんかん薬が効きにくい難治性であることが多いです。複数の薬を組み合わせても、発作を完全に止めることが難しい場合があります。発作の頻度を減らし、お子さんの苦痛を和らげることを目標に治療が進められます。

2. 発達と神経の症状

発作と並んで、重度の発達の遅れが見られます。

重度の発達遅滞

首がすわる、目でものを追う、お座りをするといった運動面の発達がゆっくりになります。あやすと笑う、言葉を理解するといった精神面の発達も、一般的なペースよりゆっくりになる傾向があります。

多くの場合、重度の知的障害を伴います。言葉によるコミュニケーションが難しい場合もありますが、声のトーンや表情、全身の動きで快・不快を伝えられるお子さんもいます。

筋緊張の異常

赤ちゃんの頃は、体がふにゃふにゃとして柔らかい筋緊張低下が見られることが多いです。抱っこした時にずっしりと重く感じたり、関節が柔らかすぎたりします。

成長とともに、逆に手足の筋肉が突っ張って硬くなる痙縮(けいしゅく)が見られるようになります。手足の自由が利きにくくなることがあります。

視覚的な反応の乏しさ

目そのものの構造には問題がないことがほとんどです。ただ、脳が映像を処理することが苦手なため、おもちゃを目で追わなかったり視線が合いにくかったりすることがあります。

3. 身体的および脳の構造的な特徴

DEE5のお子さんには、MRI検査などで分かる脳の特徴や、身体的な特徴が見られることがあります。

小頭症

生まれた時の頭の大きさは正常範囲内であることが多いです。成長とともに頭囲の増え方が緩やかになり、相対的に頭が小さくなる小頭症が見られることがあります。脳の成長がゆっくりであることの表れです。

脳の構造異常

これがDEE5の非常に重要な特徴です。MRI検査をすると、小脳や脳幹といった脳の土台部分が小さい所見(低形成や萎縮)がよく見られます。左右の脳をつなぐ脳梁が薄い所見が見られることもあります。

大脳全体のしわが少ない、あるいは髄鞘化(神経の伝達速度を上げる被覆)が遅れているといった所見も見られます。原因遺伝子が脳の骨組み作りに関わっていることを示唆する所見です。

顔つきの特徴

おでこが傾斜している、あごが小さいなどのお顔立ちの特徴が報告されることもあります。これらは個人差が非常に大きく、ご両親に似た可愛らしいお顔をしているお子さんがほとんどです。

その他の症状

おっぱいやミルクを飲む力が弱い哺乳障害や、食べ物を飲み込むのが苦手な嚥下障害が見られることがあります。呼吸が不安定になることもあります。

症状のまとめ

ここまでの内容を、体の部位ごとに整理すると次の表のようになります。一人ひとり現れ方は異なりますが、全体像の把握にお役立てください。

分類主な所見現れやすい時期
てんかん発作てんかん性スパズム、強直発作、焦点発作。難治性が多い生後数週間〜3ヶ月頃
発達・神経症状重度の発達遅滞、筋緊張低下から痙縮への変化、視覚的反応の乏しさ乳児期〜幼児期
脳の構造的特徴小頭症、小脳・脳幹の低形成、脳梁の菲薄化、髄鞘化の遅れMRI検査で経過とともに判明
身体・全身症状哺乳障害、嚥下障害、呼吸の不安定さ乳児期から継続的に観察

原因

DEE5の原因は、第9番染色体(9q34領域)にあるSPTAN1遺伝子の変化です。なぜてんかんが起きたり、脳の構造に変化が出たりするのか、その仕組みは細胞の形を保つ骨組みのトラブルにあります。

SPTAN1遺伝子の役割

SPTAN1遺伝子は、アルファII・スペクトリンというタンパク質を作るための設計図です。米国立医学図書館のClinVarデータベースには、SPTAN1遺伝子のバリアントの登録があります。DEE5との関連を示す症例が複数登録されています。

私たちの細胞の中には、細胞骨格と呼ばれる微細な骨組みがあります。細胞の形を保ったり、細胞の中で物質を運んだり、細胞自体が動いたりするために重要な役割を果たしている構造です。

スペクトリンは、この細胞骨格の主要な成分の一つです。特に脳の神経細胞では、長い突起(軸索)の形を維持する働きがあります。神経細胞同士がつながる場所(シナプス)の構造を安定させる働きもあります。神経細胞が正しい場所に移動するのを助ける役割も担っています。

遺伝子の変化による影響

SPTAN1遺伝子に変異が起きると、スペクトリンタンパク質がうまく作られなかったり、形がおかしくなったりします。すると、神経細胞の中でしっかりとした骨組みが作れなくなります。

家で例えるなら、柱や梁が弱くなってしまった状態です。脳という複雑な建物を作るとき、小脳や脳梁といった構造が十分に大きくならないことがあります。神経細胞同士の配線がうまくいかないこともあります。

スペクトリンは、神経細胞の興奮を調整するイオンチャネルを正しい場所に固定する役割も担っています。骨組みが崩れると調整役が本来の場所に配置されず、神経細胞が過剰に興奮しやすくなります。その結果、激しいてんかん発作が引き起こされると考えられています。

遺伝について

多くのご家族が、親から遺伝したのか、妊娠中の生活に問題があったのかとご自身を責めてしまわれます。しかし、DEE5のほとんどのケースは新生突然変異(de novo変異)によるものです。

これは、ご両親の遺伝子には異常がなく、精子や卵子が作られる過程で偶然に変化が起きたことを意味します。あるいは受精直後の細胞分裂の段階で、偶然にSPTAN1遺伝子に変化が起きたケースもあります。ご両親のどちらかのせいで遺伝したわけではありません。

妊娠中の食事、お薬、ストレス、環境などが原因で起きるものでも決してありません。誰にでも起こりうる、偶然の現象です。

SPTAN1関連脳症は、1つの遺伝子の変化だけで発症する顕性の形式をとります。ただし前述の通り、そのほとんどが新生突然変異です。

多くの新生突然変異と同様に、次のお子さんに同じ変化が再び起こる可能性は一般に低いと考えられています。ごくまれに、ご両親の生殖細胞にのみ変化が存在する場合(生殖細胞モザイク)もあります。正確なリスク評価については、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでの確認が有用です。

医師と相談する家族のイメージ

診断と検査

DEE5の診断は、症状の観察、脳波検査、画像検査、遺伝子検査を組み合わせて行われます。いずれの検査も単独では確定できず、複数の情報を総合して判断されます。

1. 画像検査(MRI)

脳の形や構造を詳しく調べるために、MRI検査が行われます。DEE5を疑う上でMRI検査は非常に大切な手がかりです。

小脳や脳幹の萎縮、脳梁の低形成、大脳の萎縮や髄鞘化の遅れといった所見が見つかると、診断の手がかりになります。てんかん発症早期からこうした脳の構造変化が見られる場合、SPTAN1遺伝子の関与が疑われます。

2. 脳波検査

てんかん発作の診断や、脳の活動状態を調べるために不可欠な検査です。

DEE5のお子さんの脳波では、ヒプスアリスミアと呼ばれる点頭てんかんに特徴的な乱れた波形が見られることがあります。脳波が平坦になる時期と激しい波が出る時期を繰り返す、サプレッション・バーストというパターンが見られることもあります。

3. 遺伝学的検査

確定診断のためには、血液を採取してDNAを調べる検査が必要です。近年普及してきた次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析(WES)が行われることが一般的です。てんかん関連遺伝子パネル検査が行われることもあります。

これは、遺伝子のうちタンパク質を作る重要な部分を網羅的に解読する検査です。DEE5は症状やMRI所見だけでは他の先天性疾患と区別がつかないこともあります。この網羅的な遺伝子検査を行って、初めてSPTAN1遺伝子の変異が見つかり、診断に至るケースがほとんどです。

実際に見つかったバリアントの例は、米国立生物工学情報センター(NCBI)のClinVarデータベースで確認できます。海外の症例報告にも同様の記載があります。

治療と管理

現在の医学では、遺伝子の変化そのものを修復して根本から治す治療法はまだ確立されていません。それぞれの症状に合わせた治療とケアで、生活の質を高めることは十分に可能です。

1. てんかんの治療

てんかん発作を減らすために、抗てんかん薬による治療を行います。SPTAN1変異に対する特効薬はまだ確立されていませんが、発作のタイプに合わせて様々なお薬が試されます。

バルプロ酸、レベチラセタム、クロバザム、トピラマート、ゾニサミド、フェノバルビタールなどが使われることが多いです。

点頭てんかん(ウエスト症候群)のパターンを示す場合は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)療法が検討されることもあります。ビガバトリンなどの特殊な薬剤が使われることもあります。お薬でのコントロールが難しい場合は、ケトン食療法が選択肢に入ることもあります。

2. 発達支援と療育(リハビリテーション)

早期からの療育が、お子さんの成長と生活の安定にとって欠かせません。

理学療法(PT)

体の柔らかさ(筋緊張低下)や、逆に筋肉の突っ張り(痙縮)にアプローチします。関節が硬くならないようマッサージやストレッチを行い、楽な姿勢が取れるようクッションを調整します。

座位保持装置や車椅子、バギー、足底板など、お子さんの体に合った福祉用具を作る際にも専門的なアドバイスを受けられます。適切な姿勢を保つことは、呼吸や食事をスムーズにするためにも大切です。

作業療法(OT)

手先の感覚を養ったり、光や音の刺激を使った遊びを通じて外界への興味を引き出したりします。入浴や着替えの介助方法など、日常生活をスムーズにする工夫も学びます。

言語聴覚療法(ST)

言葉の理解を促すだけでなく、スイッチやおもちゃを使ったコミュニケーションの方法を探ります。食べる機能(摂食嚥下)の訓練も行い、飲み込みが難しい場合は食事の形態や介助の姿勢について指導を受けます。

3. 栄養と呼吸の管理

摂食・嚥下管理

飲み込む力が弱く、口から十分に栄養が摂れない場合は、鼻からチューブを入れたり、胃ろうを作ったりして栄養を確保します。胃ろうは、誤嚥のリスクを減らし、食事時間のストレスを軽減する有効な手段です。胃食道逆流症がある場合は、お薬や注入方法の工夫で対応します。

呼吸管理

呼吸が弱い場合や、痰が出しにくい場合は、吸引器を使用したり吸入を行ったりします。夜間の呼吸状態を見守るモニターを使用したり、在宅酸素療法が必要になったりする場合もあります。

4. 感染症対策

筋緊張が弱く呼吸の力が弱いお子さんは、風邪をこじらせて肺炎になりやすい傾向があります。手洗いなどの基本的な対策に加え、流行期には人混みを避けることが大切です。

シナジス(RSウイルス予防薬)の適応があれば接種する、インフルエンザなどの予防接種を計画的に受けるといった対策も重要です。

他の発達性てんかん性脳症(DEEシリーズ)との違い

発達性てんかん性脳症は、原因遺伝子ごとに番号が振られています。同じ「脳症」でも、原因タンパク質の働きや脳の特徴は大きく異なります。混同されやすい型との違いを整理します。

DEE5の際立った特徴は、原因タンパク質が神経細胞の「骨組み」を作る細胞骨格タンパク質である点です。そのため小脳や脳梁など、脳の構造そのものに変化が現れやすい傾向があります。

一方、シナプスでの信号の受け渡しに関わる遺伝子が原因の型もあります。この場合、脳の構造よりも神経の伝達機能に影響が出やすいという違いがあります。以下の表で主な型を比較します。

原因遺伝子遺伝子・タンパク質の働き特徴
DEE4STXBP1シナプス小胞の放出を制御するタンパク質乳児期早期発症、脳波の異常が目立つ
DEE5SPTAN1(本記事)神経細胞の骨組み(細胞骨格)を作るタンパク質小脳・脳梁など脳の構造異常を伴いやすい
DEE6BSCN1A(非ドラベ型)神経の興奮を伝えるナトリウムチャネルドラベ症候群と同じ遺伝子だがより重い経過をたどる
DEE31DNM1シナプス小胞を再利用するタンパク質難治性てんかんと重度の発達遅滞

それぞれの型の詳しい症状や治療については、各リンク先の記事で個別に解説しています。お子さんの遺伝子検査の結果と照らし合わせてご確認ください。

相談先とサポート

診断がついた後は、一人で抱え込まず、専門家や支援窓口を頼ることが大切です。実際に外来では、次のお子さんへの影響を心配される保護者の方からのご質問を数多くいただきます。

主治医や臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでは、SPTAN1遺伝子の変化について相談できます。今後の見通しや家族計画への影響も含めて確認できます。難病相談支援センターも、療育や福祉制度に関する情報の窓口になります。

当院(ヒロクリニックNIPT)は産婦人科専門医・小児科専門医・臨床遺伝専門医が連携しています。妊娠中や、次のお子さんの妊娠を考えるご家族への遺伝カウンセリングにも対応可能です。国内の検査機関(東京衛生検査所)と連携した新型出生前診断NIPT)についてご不安な点があれば、あわせてご相談ください。

よくある質問(FAQ)

DEE5について、ご家族からよくいただくご質問をまとめました。

Q1. DEE5(SPTAN1関連脳症)は親から遺伝しますか。次の子どもにも起こりますか。

多くのケースは新生突然変異によるもので、親から受け継いだものではありません。次のお子さんに同じ変化が再び起こる可能性は一般に低いとされていますが、ごくまれに生殖細胞モザイクによる再発もあります。正確なリスクは遺伝カウンセリングでの確認が有用です。

Q2. NIPT(新型出生前診断)でDEE5は分かりますか。

一般的なNIPTは、13・18・21トリソミーなど染色体の数の変化を調べる検査です。DEE5のような単一遺伝子の変化による超希少疾患は、多くの場合、出生後に症状が現れてから全エクソーム解析等で診断されます。

拡張NIPTで対象となる遺伝子は検査会社ごとに異なります。対象項目に含まれるかどうかは、事前に医療機関へご確認ください。

Q3. てんかん発作はいつ頃から始まりますか。

多くの場合、生後数週間から3ヶ月頃までの乳児期早期に始まります。生まれた直後から発作が見られることもあります。発作の始まり方や重さには個人差があります。

Q4. 大田原症候群やウエスト症候群と、DEE5はどう違うのですか。

大田原症候群やウエスト症候群は、発作のタイプや脳波所見にもとづく症候群名です。DEE5はSPTAN1遺伝子の変化という原因にもとづく診断名です。これらの症候群と診断されていたお子さんの中にも、SPTAN1遺伝子の変化を持つ方が含まれていることが分かってきました。

Q5. 根本的な治療法はありますか。

現時点では、遺伝子の変化そのものを修復する治療法は確立されていません。抗てんかん薬による発作のコントロールが基本です。理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの療育を組み合わせ、生活の質を高めることを目指します。

Q6. 診断後、まず何から始めればよいですか。

てんかん発作のコントロールを担当医と進めながら、早期から理学療法・作業療法・言語聴覚療法を開始することが望まれます。あわせて臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングや、難病相談支援センターへの相談も選択肢に入れてください。

まとめ

DEE5(発達性およびてんかん性脳症5型)は、SPTAN1遺伝子の変化が原因の先天性疾患です。細胞骨格タンパク質のスペクトリンに異常が生じ、脳の構造形成や神経の働きに影響が出ます。ここまでのポイントを振り返ります。

主な特徴

乳児期早期からの難治性てんかん、重度の発達遅滞、小頭症、小脳や脳梁などの脳構造異常。これらがDEE5の代表的な特徴です。

てんかん

難治性であることが多いですが、ACTH療法や様々なお薬の調整でコントロールを目指します。

原因

多くは新生突然変異によるもので、親のせいではありません。

ケアの要点

発作のコントロールだけではありません。リハビリ、栄養管理、呼吸管理、感染症予防など、全身のトータルケア。それがDEE5と向き合ううえで大切な視点です。

他の型との違い

DEE4・DEE6B・DEE31など、原因遺伝子が異なれば脳や症状の特徴も異なります。診断名の数字や遺伝子名を確認し、担当医と一緒に正確な情報を確認することが安心につながります。

この記事の監修
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長 岡 博史(おか ひろし)

慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、臨床研修後2年で医学博士を取得しました。日本に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有しています。

産婦人科専門医・小児科専門医・臨床遺伝専門医と連携した遺伝カウンセリング体制の構築にも携わっています。本記事はOMIM・ClinVar等の公的データベースの情報にもとづき、内容を確認しています。

参考文献・情報源

医師監修 監修日:2026年1月16日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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