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NIPT(新型出生前診断)で知的障害がわかる?
NIPT(新型出生前診断)では、21トリソミーおよび微小欠失、部分欠失を確認でき、知的障害の有無がわかります。
21トリソミーとは、知的障害の代表例として分類される『ダウン症』のことです。「平均的なIQは70以下」「特別支援学校または支援学級での教育が必要となる」などの特徴や条件が見られるほどの、知的障害が目立つようになります。
一方、18トリソミーでは知的障害や発育障害のリスクが高くなり、13トリソミーでは重度の知的障害になりやすいとされています。しかしながら、両者の疾患は致死率が高く、知的障害以上に身体的障害がつよいため知的障害を家族が確認することが難しいケースが多いです。
一方染色体の一部が欠損したら重複したりするケースでは致死的なケースは染色体一本がトリソミーになるケースより予後が良いにもかかわらず、高次機能である脳の障害を伴うことが多く、知的障害、発達障害を伴うことが多いです。そのため知的障害を含めた精神疾患を出生前に検査するには部分的な欠失、重複を調べることが必要になります。
NIPT(新型出生前診断)で発達障害がわかる?
NIPT(新型出生前診断)を通じた発達障害のすべての検出することはできません。しかしながら、出生前でも染色体の一部の欠失や重複を調べることにより知的障害、発達障害をともなう疾患を検出することは可能です。
注意欠陥・多動性障害、学習障害をはじめとする発達障害は、根本的な原因がまだ解明されていません。しかし、ダウン症などの染色体異常がある場合には同様の症状がでることが言われています。ダウン症だけでなく、部分的な染色体の欠失や重複でもおこります。
発達障害とは、脳の発達に関わる機能に何らかの偏りや特性があることによって、社会生活や学習、人とのコミュニケーションなどに困難が生じる状態を指します。先天的(生まれつき)の要因が大きいとされています。
主な発達障害の種類
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 特徴: 対人関係の苦手さ、こだわりの強さ、感覚過敏など
- 例: 相手の気持ちが読みづらい、大きな音が苦手など
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 特徴: 不注意(集中できない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思ったことをすぐに行動してしまう)など
- 学習障害(LD)
- 特徴: 知的発達に問題はないが、「読み・書き・計算」など特定の学習分野が極端に苦手
発達障害の原因
- はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的要因や脳の構造・機能の違いが関与していると考えられています。
- 育て方や環境が原因ではないとされています。
NIPT(新型出生前診断)で自閉症がわかる?
自閉症とは発達障害の一つであり、正式には『自閉症スペクトラム』と呼ばれています。高機能自閉症とアスペルガー症候群も自閉症スペクトラムのタイプとして含まれていますが、NIPTではその確認は完全にはできません。しかしながら、自閉症を伴う染色体異常を捉えることによってNIPTでも自閉症の一部の疾患を検出することが可能です。
自閉症(じへいしょう)とは、正式には「自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)」と呼ばれる、発達障害のひとつです。生まれつき脳の発達に特性があり、対人関係・コミュニケーション・行動や興味の偏りなどに特徴が見られます。
主な特徴(3つの柱)
- 社会的コミュニケーションの困難
- 相手の気持ちや表情を読み取るのが難しい
- 会話のやりとりがかみ合わない
- 空気が読みにくい、集団行動が苦手
- 興味や行動のこだわり
- 決まったやり方や順番を変えたくない
- 特定の物事に強い関心を示す(例:電車、地図、数字など)
- 同じ遊びや動きを繰り返す
- 感覚の過敏・鈍感
- 音、光、匂い、肌ざわりなどに過敏(または鈍感)
- 服のタグや音に強い不快感を示すこともある
スペクトラムとは?
「スペクトラム(連続体)」という言葉の通り、症状の現れ方は人によって大きく異なります。
重い知的障害を伴う人もいれば、知的に高く社会的にもある程度自立している人もいます(高機能自閉症・アスペルガー症候群とも呼ばれていた)。
原因
- **主に先天的(生まれつき)**の脳の働きの違いによると考えられています。
- 育て方や愛情の有無が原因ではありません。
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NIPT(新型出生前診断)でわかること・わからないこと
以上の特徴を踏まえると、NIPT(新型出生前診断)で、わかること・わからないことでは次のような分類ができます。
NIPT(新型出生前診断)でわかること
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 13トリソミー(パトウ症候群)
- 22対すべてにおける常染色体(非認証施設で検査可能)
- 1対の性染色体(非認証施設で検査可能)
- 染色体の構造的な異常の有無(非認証施設で検査可能)
- 性別(非認証施設で検査可能)
NIPT(新型出生前診断)でわからないこと
- 染色体の異常を伴わない発達障害
- 染色体の異常を伴わない自閉症
- 染色体の異常を伴わない視覚障害、聴覚障害
- 単一遺伝子疾患(1つの遺伝子によって病気を発症するリスク)
- 他因子遺伝疾患(病気の原因が遺伝性のものか、はっきり確認できない状態)
- 環境、催奇形因子による障害(化学物質、喫煙、薬など、外的要因によって起こる胎児の奇形)
NIPT(新型出生前診断)を受けた人の中絶率は?
NIPTコンソーシアムの調査によると、2013年から2018年のNIPT(新型出生前診断)において、
が報告されました。この統計は、NIPTを受けて陽性が判明し、その後の羊水検査をはじめとする確認で確定検査を受けた後の数字です。
この数字から、21トリソミーでは約87%、18トリソミーでは約60%、13トリソミーでは約68%など、中絶率の高さが見られます。18、13トリソミーにおいて中絶が少ないのは、おそらく流産しているためだと思われます。世界的にみてほぼ90%近い数字で中絶を受けていることが知られています。
NIPT(新型出生前診断)と母たちの実情
NIPT(新型出生前診断)にはさまざまな意見がありますが、出産か中絶かのどちらかを決断するにしても、母親に精神的・肉体的な負担がかかり、ひいては今後の人生が大きく左右されることには変わりません。
そのため、母親には行政や医療機関からの十分なケアが必要になります。
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そのなかの一つが、遺伝カウンセリングです。遺伝カウンセリングでは、遺伝カウンセラーのもとで、NIPTについての知識を深めたり、胎児の状態について相談したりなどのサポートを受けられます。先天性異常で陽性が見られた場合には、出産か中絶かの選択を共に相談でき、出産する場合にはその後の育て方などのアドバイスを得ることも可能です。
「生まれてくる子供が問題なく、健康的に育って欲しい」とは、多くの母親が願うことです。だからこそ、胎児に異常や病気が見られると、孤独で重い責任が伴う決断を迫られてしまいます。そこで、十分な知識で不安を解消できる遺伝カウンセラーのサポートがあることで、母親たちの負担は軽減されていくでしょう。

まとめ
今回の記事では、NIPT(新型出生前診断)の概要や対象となる人、検査によってわかること・わからないこと、実情について解説しました。
NIPTの結果を受けてどのような決断をするかは、胎児について配慮すると決断が難しい側面があります。しかし、出産か中絶かどちらの選択をするにしても、母親の肉体的・精神的な負担と今後の人生にも十分な配慮がなされる必要もあります。
そのような現実を踏まえ、パートナーや検査を行う施設、遺伝カウンセラーなどの外部からの協力が、さらに求められていくでしょう。
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Q&A
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QNIPT(新型出生前診断)で自閉症がわかりますか?NIPTでは自閉症を直接的に検出することはできません。自閉症は遺伝的要因のみならず、環境的要因も関与する複雑な発達障害であり、現在の技術では出生前に診断することは難しいです。
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QNIPT(新型出生前診断)で知的障害がわかることはありますか?NIPTでは、ダウン症候群など一部の知的障害を伴う可能性がある染色体異常を検出することができます。しかし、すべての知的障害やその原因を特定することはできません。
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QNIPT(新型出生前診断)で検出できない障害はありますか?NIPTでは主に染色体異常を検出しますが、環境因子による障害、自閉症を含む発達障害は検出できません。
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QNIPT(新型出生前診断)でどのような障害がわかりますか?ヒロクリニックでは、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの1番~22番の全染色体検査、全常染色体全領域部分欠失疾患、4種類の微小欠失症候群が検出できます。
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Q出生前診断で染色体異常が陽性だった場合、中絶率はどれくらいですか?日本で行われたNIPTの調査では、21トリソミーで約87%、18トリソミーで約60%、13トリソミーで約68%の妊婦さんが中絶を選択しています。
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Q中絶率が高い背景にはどのような理由がありますか?胎児の染色体異常が陽性の場合、重篤な障害や短命の可能性があるため、妊婦やその家族が出産後の生活への影響を考慮して中絶を選択するケースが多いとされています。
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Q21トリソミー(ダウン症候群)の陽性診断後、中絶率はどれくらいですか?21トリソミーが陽性と診断された場合、中絶率は約87%に達すると報告されています。
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Q18トリソミー(エドワーズ症候群)や13トリソミー(パトウ症候群)の中絶率が低い理由は何ですか?18トリソミーや13トリソミーは流産率が高く、妊娠中に自然に終結する場合が多いため、中絶率が相対的に低くなる傾向があります。
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Q中絶率は年齢によって異なりますか?年齢が高くなるほど、染色体異常の陽性率が上昇し、それに伴い中絶率も高くなる傾向があります。特に40歳以上では、中絶を選択する割合が高いとされています。
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Q中絶率に地域差や文化的要因は影響しますか?中絶率には地域や文化、宗教的背景が大きく影響します。日本では中絶率が高い傾向にありますが、宗教的信念が強い地域では出産を選択するケースが多いとされています。
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Q出生前診断後の中絶率を低くするためのサポートはありますか?遺伝カウンセリングや心理的支援が中絶率の低下に寄与する可能性があります。専門家と相談することで、家族がより多くの情報を基に判断できるようになります。
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Q中絶を選択する家庭が感じる最大の負担は何ですか?中絶を選択した家庭は、倫理的な葛藤や心理的な負担を抱える場合が多く、精神的なサポートが重要となります。
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Q出生前診断で陽性だった場合、中絶以外の選択肢はありますか?陽性の場合でも出産を選択し、適切な医療やケアを準備する家庭もあります。医療施設と連携し、支援体制を整えることが可能です。
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Q中絶率を減少させるために必要な社会的対応は何ですか?出生前診断の結果について理解を深めるための教育や、障害児育児への経済的支援、地域でのサポート体制の充実が必要です。
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Q中絶率は非認証施設で受けた場合と認証施設で受けた場合で違いがありますか?認証施設と非認証施設の間で中絶率に大きな違いはないとされています。ただし、非認証施設ではより広範な検査が可能なため、判断に影響する場合があります。
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Q出生前診断で陰性と判定された場合、中絶率に影響はありますか?陰性の場合、通常中絶の選択肢は考慮されません。ただし、診断結果が誤っている可能性を考慮するケースもわずかにあります。
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Q出生前診断による中絶率は減少傾向にありますか?日本では中絶率に大きな変化は見られませんが、遺伝カウンセリングの普及や支援体制の強化により、選択肢が広がりつつあります。
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Q中絶を決断するまでの猶予はどのくらいありますか?日本の法律では、中絶は妊娠21週6日まで認められています。そのため、出生前診断の結果を受けた後、早急に検討する必要があります。
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Q出生前診断を受けた後、すぐに中絶を決断する必要がありますか?決断には一定の時間が与えられますが、確定診断(羊水検査など)が必要な場合は、検査や結果の時期を考慮して早めの決断が求められます。
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Q中絶を選択しない家庭が出生前診断を受ける理由は何ですか?中絶を選択しない家庭でも、出生前診断を受けることで胎児の健康状態を把握し、出産や育児に備えるために利用しています。
記事の監修者
岡 博史先生
【役職】
NIPT専門クリニック医学博士
ヒロクリニック統括院長
【資格】
平成8年 医師免許 取得
平成14年 慶應義塾大学医学博士号 取得
平成15年 皮膚科専門医 取得
平成29年 産業医 取得
【略歴】
平成8年 慶應義塾大学医学部 卒業
平成8年 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 入局
平成11年 川崎市立川崎病院総合心療内科 勤務
平成12年 川崎市立川崎病院皮膚科 勤務
平成14年 慶応義塾大学病院皮膚科 勤務
平成17年 城本クリニック 勤務
平成20年 ヒロクリニック開院・院長就任
平成21年 医療法人社団福美会 設立・理事長就任
【所属】
医療法人社団福美会
【SNS】
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