NIPT(新型出生前診断)の現状と母たちの決断【医師監修】

産後うつはいつからいつまで?

NIPT(新型出生前診断)とは、胎児の異常の有無を確認するための新しい検査方法です。検査対象の人や分かる項目、賛成・反対意見と母たちの実情をまとめました。

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NIPT(新型出生前診断)とは

NIPT(新型出生前診断)とは、胎児の発育や状態を調べるための検査です。従来の検査と比べ、

  • 母体への負担を軽減した検査が行える
  • 結果の信頼性と信憑性が従来と比べて高い

という特徴があります。

NIPT(新型出生前診断)とはどういう検査?
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NIPT(新型出生前診断)の対象となる人

NIPT(新型出生前診断)を受けるには、

  • 妊娠10週以降
  • 1人から2人(双子)を妊娠中の人

は、上の2つの条件を満たす必要があります。

反対に、

  • トリソミー患者の人
  • がん患者の人
  • 過去1年間で輸血をした人
  • 幹細胞治療、免疫療法、臓器移植を受けた人
  • 異数性が見られる人

NIPT(新型出生前診断)を受けることができません。

NIPT(新型出生前診断)の現状

NIPT(新型出生前診断)に年齢制限はある?

一般的に、NIPT(新型出生前診断)を受けられる年齢は35歳以上です。「母親の年齢が上がるほど胎児の染色体異常のリスクが高くなる」と考えられていて、35歳を超えてからその傾向が強くなるためです。

しかし、「年齢にかかわらず胎児に染色体異常が発見されることもある」という背景から、年齢制限に関係なくNIPT(新型出生前診断)を受けられる医療機関もあります。

NIPT(新型出生前診断)の認定施設と非認定施設はどう違うの?

NIPT(新型出生前診断)は、産婦人科病院・クリニックなどの医療機関で受けられますが、認定施設か非認定施設かは医療機関によって違いがあり、条件や検査項目が変わります。

認定施設とは

日本医学会と日本産科婦人科学会が出した指針に従い、認定を受けている医療機関のことです。

認定を受けるためには、

  • 診断について専門的な知識を持つ臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが複数名所属している。専門外来を持ち、診療に携わっている
  • 専門外来にて一定の時間(30分以上)のカウンセリングを行う。そのうえで検査説明も行える
  • 検査を受けた後、妊娠や胎児の発育についてフォローアップを行える
  • 絨毛検査や羊水検査などに精通しており、高い安全性を持って検査を進められる
  • 小児科の臨床遺伝専門医と連携を取り、遺伝カウンセリングを行える
  • 臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーは検査についての研修を受けており、検査法に対する十分な知識量があり、結果の説明やカウンセリングに十分に対応できる

以上6つの条件を満たしている必要があります。

検査を受ける人や検査項目に制限があることも、認定施設の特徴です。

  • 出産時の年齢が35歳を超える人
  • 胎児超音波検査と母体血清マーカー検査にて、胎児に染色体数的異常が見られている人
  • 染色体異常が見られる子供を出産、または妊娠した既往歴がある人
  • 母親、父親のどちらかに均衡型ロバートソン転座が見られる場合

などの条件を満たさなければ、認定施設でNIPT(新型出生前診断)は受けられません。

非認定施設とは

日本医学会と日本産科婦人科学会による認定を受けていない施設のことです。違法というカテゴリーには入らないため、問題なくNIPT(新型出生前診断)を受けられます。

非認定施設では年齢制限が設けられていないことから、35歳以上でなくともNIPT(新型出生前診断)を受けることができます。21トリソミー18トリソミー13トリソミーに加え、染色体の数的異常や構造上の異常、性別なども調べられ、医師からの予約や紹介を待つ必要もありません。

ただし、非認定施設では遺伝カウンセリングを行わないところもあり、仮に陽性反応が出てもアフターフォローが得られないケースもあります。

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NIPT(新型出生前診断)で知的障害がわかる?

NIPT(新型出生前診断)では、21トリソミー18トリソミー13トリソミーを確認でき、知的障害の有無がわかります。

21トリソミーとは、知的障害の代表例として分類される『ダウン症』のことです。「平均的なIQは50以下」「特別支援学校または支援学級での教育が必要となる」などの特徴や条件が見られるほどの、知的障害が目立つようになります。

一方、18トリソミーでは知的障害や発育障害のリスクが高くなり、13トリソミーでは重度の知的障害になりやすいとされています。

NIPT(新型出生前診断)で発達障害がわかる?

NIPT(新型出生前診断)を通じた発達障害の確認は、現状では難しいとされています。

注意欠陥・多動性障害、学習障害をはじめとする発達障害は、根本的な原因がまだ解明されていません。そのため、仮にNIPT(新型出生前診断)を受けても発達障害の有無は確認できないと考えられています。

NIPT(新型出生前診断)で自閉症がわかる?

発達障害と同じく、自閉症もNIPT(新型出生前診断)による判断は不可能です。

自閉症とは発達障害の一つであり、正式には『自閉症スペクトラム』と呼ばれています。高機能自閉症とアスペルガー症候群も自閉症スペクトラムのタイプとして含まれていますが、NIPT(新型出生前診断)での確認はできません。

NIPT(新型出生前診断)で分かること・分からないこと

以上の特徴を踏まえると、NIPT(新型出生前診断)で分かることと分からないことでは次のような分類ができます。

NIPT(新型出生前診断)で分かること

NIPT(新型出生前診断)で分からないこと

  • 発達障害
  • 自閉症
  • 視覚障害、聴覚障害
  • 単一遺伝子疾患(1つの遺伝子によって病気を発症するリスク)
  • 他因子遺伝疾患(病気の原因が遺伝性のものか、はっきり確認できない状態)
  • 環境、催奇形因子による障害(化学物質、喫煙、薬など、外的要因によって起こる胎児の奇形)
NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
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NIPT(新型出生前診断)を受けた人の中絶率は?

NIPTコンソーシアムの調査によると、2013年から2018年のNIPT(新型出生前診断)において、

が報告されました。この統計は、NIPTを受けて陽性が判明し、その後の羊水検査をはじめとする確認で確定検査を受けた後の数字です。

この数字から、21トリソミーでは約87%、18トリソミーでは約60%、13トリソミーでは約68%など、中絶率の高さが見られます。

NIPT(新型出生前診断)は命の選別なのか?

上のデータで示したような中絶率と照らし合わせると、「NIPT(新型出生前診断)は命の選別になるのか?」という倫理的な壁と直面せざるを得なくなります。

実際に、NIPT(新型出生前診断)に対しては賛成意見と反対意見があります。

NIPT(新型出生前診断)に賛成意見

 賛成意見には、

  • 胎児に先天性異常が見られるのなら、出産前に知っておくことで対策を始められる
  • 早期治療を始め、その後の発育と成長への悪影響を軽減できる
  • 中絶という結果を招くかもしれないが、胎児の人生と両親の負担を考えると、反対とは言い切れない

という意見が多いです。「仮に胎児や新生児に異常が見られる場合には、両親側にも準備と知識が必要となる」という理由付けが背景となっているようです。

NIPT(新型出生前診断)に反対意見

反対意見には、

  • 仮に異常が見つかった場合、中絶を希望されることがある
  • 両親には配慮されているが、胎児の人権が無視されている
  • 両親の意向と責任感のなさで、胎児の命が奪われる

など、両親よりも胎児への配慮が目立つ意見が多く見られています。異常や疾患を早期発見するための検査であることには理解を示しているものの、結果を受けて中絶を希望する両親を問題視しているように感じられます。

新型出生前診断(NIPT)のメリットとデメリット【医師監修】
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NIPT(新型出生前診断)は、胎児の様子を探るため...

NIPT(新型出生前診断)と母たちの実情

NIPT(新型出生前診断)にはさまざまな意見がありますが、出産か中絶かのどちらかを決断するにしても、母親に精神的・肉体的な負担がかかり、ひいては今後の人生が大きく左右されることには変わりません。

そのため、母親には行政や医療機関からの十分なケアが必要になります。

そのなかの一つが、遺伝カウンセリングです。遺伝カウンセリングでは、遺伝カウンセラーのもとで、NIPT(新型出生前診断)についての知識を深めたり、胎児の状態について相談したりなどのサポートを受けられます。先天性異常で陽性が見られた場合には、出産か中絶かの選択を共に相談でき、出産する場合にはその後の育て方などのアドバイスを得ることも可能です。

「生まれてくる子供が問題なく、健康的に育って欲しい」とは、多くの母親が願うことです。だからこそ、胎児に異常や病気が見られると、孤独で重い責任が伴う決断を迫られてしまいます。そこで、十分な知識で不安を解消できる遺伝カウンセラーのサポートがあることで、母親たちの負担は軽減されていくでしょう。

NIPT(新型出生前診断)と母たちの実情

まとめ

今回の記事では、NIPT(新型出生前診断)の概要や対象となる人、検査によってわかること、実情について解説しました。

NIPT(新型出生前診断)の結果を受けてどのような決断をするかは、胎児について配慮すると決断が難しい側面があります。しかし、出産か中絶かどちらの選択をするにしても、母親の肉体的・精神的な負担と今後の人生にも十分な配慮がなされる必要もあります。

そのような現実を踏まえ、パートナーや検査を行う施設、遺伝カウンセラーなどの外部からの協力が、さらに求められていくでしょう。

NIPT(新型出生前診断)とはどういう検査?
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新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血...

NIPT(新型出生前診断)とは、胎児の異常の有無を確認するための新しい検査方法です。検査対象の人や分かる項目、賛成・反対意見と母たちの実情をまとめました。

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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