検査結果に「2q31.1重複」と書かれていて、聞き慣れない病名に戸惑われているかもしれません。
結論からお伝えします。2q31.1微小重複症候群は、両目の先天性の眼振(目がゆれる動き)と、薬指と中指の間の皮膚がつながる合指症を特徴とする、報告例のごく少ない疾患です。
同じ2q31.1でも、欠けている場合(欠失)はまったく別の疾患になります。この記事では、両者の違いを含めて整理します。
💡 この記事でわかること
- 2q31.1微小重複症候群がどのような変化なのか
- 特徴となる2つの症状(眼振と合指症)
- 同じ2q31.1の欠失との違い
- NIPTで分かる範囲と、確定診断の流れ
1. どのような変化か
2番染色体長腕31.1(2q31.1)の一部が余分にある状態です。OMIMには「染色体2q31.1重複症候群(#613681)」として登録されています。報告例は限られており、頻度や典型的な経過が確立している段階ではありません。
2. 特徴となる症状
| 症状・特徴 | 内容 |
|---|---|
| 両側の先天性振子様眼振 | 生まれつき両目が規則的にゆれる動きを示します。視力の発達に影響することがあり、眼科での評価が必要です |
| 皮膚性合指症(第3・4指) | 中指と薬指の間の皮膚がつながっている状態です。手の機能に応じて形成外科で評価します |
| その他 | 報告例が少なく、上記以外の所見については確立していません |
OMIMの記載にもとづきます。報告例が限られているため、経過には幅があると考えられます。
3. 同じ2q31.1でも、欠失は別の疾患です
同じ領域でも、増えるか欠けるかで別の疾患になります。当院では2q31.1微小欠失症候群についても解説しています。診断書に「duplication(重複)」「deletion(欠失)」のどちらが書かれているかをご確認ください。
4. NIPTでわかりますか
標準的なNIPTの対象には含まれません。基本のNIPTが対象にするのは21・18・13トリソミーという染色体の「数」の変化です。本記事のような部分的な欠失・重複は、微小欠失や部分欠失・重複まで対象を広げたプランでのみ扱われます。
そのうえで、NIPTは非確定的なスクリーニング検査です。公益社団法人日本産科婦人科学会の指針でも、NIPTの結果はスクリーニングの範囲にとどまるとされています。陽性所見が出た場合は、羊水検査などの確定検査で判断します。対象範囲は検査プランによって異なります。迷われる場合はプラン診断もご利用ください。
5. 確定診断の検査
中心になるのは染色体マイクロアレイ検査(CMA)です。従来の顕微鏡による染色体検査(G分染法)では見つけられない、数百kb〜数Mb単位の微細な過不足を検出でき、どこからどこまでが変化しているのかという範囲まで分かります。
見つかった変化がご両親から受け継いだものか、偶発的に生じたもの(デノボ)かを確かめるため、ご両親の検査を併せて行うことがあります。
よくある質問
Q. 眼振は治りますか。
先天性の眼振そのものを消す治療は確立していませんが、視力の発達を支えるための眼科的な管理が重要です。早めに眼科でご相談ください。
Q. 合指症は手術しますか。
手の機能と成長を見ながら形成外科で判断します。すべての方が手術を要するわけではありません。
Q. 2q31.1の欠失と同じ病気ですか。
別の疾患です。同じ領域でも、増えるか欠けるかで症状が異なります。
監修:岡博史(おか ひろし) / 医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有しています。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、GeneReviews・OMIMほか公的機関・学会情報および査読済みの学術論文を参照して作成しています。記載の頻度・数値は報告例が少なく文献により幅があり、診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

