妊娠初期の腹痛は多くの場合正常な体の変化によるものですが、流産や子宮外妊娠などの異常も考えられます。腹痛の原因、特徴、対処法、医師に相談すべきサインを解説し、安心して妊娠生活を送るための情報を提供します。
妊娠初期に生理痛のような下腹部の痛みを感じることがあります。多くは子宮が大きくなる過程や着床にともなう生理的なもので心配いりませんが、強い痛みや出血をともなう場合は流産・子宮外妊娠の可能性もあるため受診してください。
| 心配の少ない痛み | 受診が必要な痛み |
|---|---|
| 軽い・一時的な張りや鈍痛 | 強い痛みが続く |
| 安静で治まる | 出血をともなう |
| 出血をともなわない | 片側の激しい痛み |
この記事のまとめ
妊娠初期の腹痛は、その多くが子宮の増大や便秘など生理的な変化によるもので、心配のいらないケースがほとんどです。ただし、我慢できない激痛・多量の出血・発熱・肩の痛みを伴う場合は、切迫流産や子宮外妊娠などのサインかもしれません。本記事では、正常な腹痛と危険な腹痛の見分け方を比較表でわかりやすく整理し、安全なセルフケアと受診の目安を医師の視点でお伝えします。迷ったときは我慢せず受診してください。
この記事でわかること
- 妊娠初期に腹痛が起こる正常な原因とその痛みの特徴
- 受診・救急を要する危険な腹痛のサイン
- 正常な痛みと危険な痛みを一目で見分ける比較表
- 自宅でできる安全なセルフケアと過ごし方
- 妊婦さんが抱きやすい疑問へのQ&A
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妊娠初期の腹痛は「多くが正常」ですが見分けが肝心です
妊娠初期の腹痛の大半は、赤ちゃんを育てるための体の変化によるもので、多くは受診を要しません。とはいえ、痛みの正体が自分では判断しにくいのも事実です。
私たちの外来でも「この痛みは大丈夫でしょうか」というご相談を毎日のように受けます。妊娠5〜8週ごろ、下腹部のチクチク・キリキリした違和感に、はじめて気づく方が多い印象です。
実際、Xでも @tororo0vk さんが「妊娠初期の腹痛、大概は胃腸のせいなんだけど見分けがつかないせいで毎度毎度不安になる」と投稿していました。この「見分けがつかない不安」こそ、妊娠初期に多くの妊婦さんが感じるものです。
だからこそ、まずは正常な痛みの特徴を知り、次に危険なサインとの違いを押さえてください。判断の軸さえ持てれば、不安はぐっと軽くなります。

正常な腹痛の原因とその特徴
妊娠初期に感じる腹痛の多くは、子宮の増大・靭帯の伸展・便秘・ホルモン変化によるもので、生理的な反応です。痛みは一時的で、安静にすると和らぐのが特徴になります。代表的な4つの原因を順にみていきましょう。
1. 子宮の増大と靭帯の伸展
赤ちゃんの成長に合わせて子宮が大きくなると、子宮を支える円靭帯が引っ張られます。左右の下腹部や足の付け根に、チクッとした引きつれを感じるのはこのためです。
痛みは数秒〜数分で治まり、姿勢を変えたり横になったりすると軽くなります。妊娠5〜8週ごろから感じ始める方が多い症状。急に立ち上がったときや、寝返りの瞬間にズキッとくることもあります。
2. ホルモン変化によるチクチク・キリキリ
妊娠が続くと、プロゲステロンやリラキシンといったホルモンが増えます。骨盤まわりの筋肉や関節がゆるみ、鈍い痛みや違和感として感じられることがあります。
断続的にチクチク、ときにキリキリ。多くは数分でおさまり、横になって休むと落ち着きます。この時期特有の一時的な感覚と考えてください。
3. 便秘やガス溜まりによる張り
ホルモンの影響で腸の動きが鈍くなると、便秘やガス溜まりが起こりやすくなります。お腹全体が張って苦しい、下腹部が重い、という痛みの正体はこれであることが少なくありません。
先ほどの @tororo0vk さんの声にあった「大概は胃腸のせい」という実感は、多くの妊婦さんに当てはまります。排便やガスが抜けたあとにスッと軽くなるなら、腸由来の痛みと考えてよいでしょう。水分と食物繊維をしっかり摂ってください。つわりの時期と重なる方は、つわりの症状と対処法もあわせてご覧ください。
4. 着床にともなう軽い痛み
妊娠のごく初期には、受精卵が子宮内膜にもぐり込む着床の際に、下腹部の軽い痛みを感じることがあります。生理予定日の少し前、妊娠4週ごろに起こる一過性の痛み。
ごく少量の着床出血をともなう方もいますが、多くは数日でおさまります。詳しい見分け方は着床のサインと着床出血で解説しています。
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注意が必要な「危険な腹痛」の原因
強い持続痛・多量の出血・発熱・肩の痛みをともなう腹痛は、切迫流産や子宮外妊娠などのサインの可能性があり、早急な受診が必要です。ここでは見逃してはいけない4つのケースを整理します。
1. 切迫流産・流産の可能性
妊娠初期の流産は決してまれではなく、全妊娠の約15%で起こるとされています。その多くは受精卵側の染色体の問題が原因で、お母さんの過ごし方のせいではありません。
生理痛より強い痛みが持続し、だんだん増していく。出血をともなう場合は特に注意が必要です。生理2日目より多い出血や、レバー状のかたまりが出たときは、すぐに受診してください。
2. 子宮外妊娠(異所性妊娠)
受精卵が卵管など子宮の外に着床した状態で、放置すると命にかかわる緊急性の高い病態です。妊娠6〜8週ごろに症状が出ることが多く、早期の発見が肝心になります。
特徴は片側だけの鋭い痛み。卵管が破裂すると、お腹の中に出血が広がり、肩の先が痛む・めまい・立っていられないほどの脱力が現れます。これらは救急を要するサインです。ためらわず救急外来を受診してください。
3. 尿路感染症・膀胱炎
妊娠中は子宮に押されて尿の流れが滞りやすく、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症を起こしやすくなります。下腹部や腰の痛みとして感じることがあります。
排尿時の痛み、頻尿、残尿感、血尿、そして発熱をともなうときは治療が必要なサイン。妊娠中でも使える抗菌薬がありますので、我慢せず主治医に相談してください。
4. 卵巣嚢腫・卵巣捻転
妊娠にともなって大きくなった卵巣嚢腫が、茎の部分でねじれる卵巣捻転を起こすことがあります。頻度は高くないものの、突然の激しい痛みが出るのが特徴です。
片側の下腹部が突然差し込むように痛み、吐き気をともなうことも。超音波検査で診断し、必要に応じて手術を行います。突然の激痛は様子を見ず、すぐに受診してください(参考:日本産科婦人科学会)。

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正常な腹痛と危険な腹痛の見分け方【比較表】
見分けのポイントは「痛みの強さと持続」「出血の量」「発熱や肩の痛みなど他の症状の有無」の3つです。下の表で、正常な痛みと受診が必要な痛みを並べて確認してください。
| 比べる点 | 正常な腹痛(様子見でよい) | 危険な腹痛(受診・救急) |
|---|---|---|
| 痛みの強さ | チクチク・キリキリした軽い痛み | 我慢できない激痛、増していく痛み |
| 持続時間 | 数秒〜数分で自然におさまる | 持続する・だんだん強くなる |
| 出血 | なし、またはごく少量 | 生理2日目より多い、かたまりが出る |
| 痛む場所 | 下腹部全体・左右がぼんやり | 片側だけが鋭く痛む |
| ほかの症状 | 安静・排便で軽くなる | 発熱・肩の痛み・めまい・失神 |
| 目安の対応 | 休んで様子をみる | すぐ電話・受診/救急 |
出血の判断について、Xでも @belta_official さんが「妊娠初期の出血、ぜんぶが危険なサインではない。少量出血は様子見のことも/量が多い・強い腹痛・発熱はすぐ受診。判断は”量と痛み”で」と発信していました。私たち医療者の見立ても同じで、判断の軸は「量」と「痛み」です。少量でも不安が強いときは、電話で相談してかまいません。
すぐに受診・救急を呼ぶべきサイン
次のいずれかがあるときは、時間を問わず医療機関に連絡してください。夜間でも遠慮はいりません。
- 我慢できないほどの激しい腹痛が続く
- 生理2日目より多い出血、かたまりが出る
- 肩の先の痛みやめまい・失神をともなう
- 38度以上の発熱や強い吐き気がある
自宅でできる安全なセルフケア
危険なサインがない軽い腹痛には、安静・保温・水分補給・便秘対策の4つが基本のケアです。薬に頼る前に、まずは体をいたわる工夫から始めてください。
安静にして姿勢を変える
痛みを感じたら、無理をせず横になってください。ラクな姿勢をとるだけで、靭帯の引きつれや張りが和らぐことがよくあります。家事や仕事の途中なら、いったん手を止めて数分休むだけでも違います。
お腹や腰を温める
体を温めると血のめぐりがよくなり、筋肉の緊張がほぐれます。腹巻きやカイロ、ぬるめの湯たんぽを腰やお腹に当ててみてください。ただし低温やけどを避けるため、熱すぎるものは肌に直接当てないようにします。
水分と食物繊維で便秘を防ぐ
便秘やガスによる張りには、こまめな水分補給が助けになります。野菜・果物・海藻・全粒穀物など、食物繊維の多い食事を意識してください。朝一杯の水や、ヨーグルトなどの発酵食品も腸の動きを促します。
深呼吸で気持ちをほぐす
不安が強いと、体もこわばって痛みを感じやすくなります。ゆっくりとした深呼吸や、無理のない範囲での軽いストレッチを取り入れてみてください。「大丈夫」と言葉にするだけでも、肩の力が抜けるものです。お腹の張りが気になる方は、お腹の張りの原因と対処法も参考になります。
なお、市販の鎮痛薬を自己判断で飲むのは避けてください。妊娠中に使える薬は限られます。痛み止めが必要なほどのときは、まず主治医に相談してください。
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医療機関での診断と、不安との向き合い方
受診すると、超音波・血液・尿の検査で腹痛の原因を確認し、状態に応じた対応をとります。何が起きているかがはっきりするだけでも、不安は大きく和らぎます。
診察では、赤ちゃんや子宮の様子を超音波検査で確認し、必要なら血液検査でホルモン値や感染の有無を、尿検査で尿路感染症を調べます。切迫流産なら安静の指示、子宮外妊娠なら手術、感染症なら抗菌薬と、原因ごとに対応が変わります。
不安をひとりで抱え込まないことも、この時期の過ごし方の一つです。パートナーに気持ちを話す、助産師の相談窓口を使う、同じ時期の妊婦さんと交流する。私たちの外来でも、話すだけで表情がやわらぐ方をたくさん見てきました。妊娠初期の体の変化を知りたい方は、妊娠初期症状の一覧と対処法もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
妊娠初期の腹痛について、外来でよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 妊娠初期の腹痛はいつまで続きますか?
子宮の増大にともなう軽い痛みは、多くの場合、安定期に入る妊娠12〜16週ごろにかけて落ち着いていきます。それ以降も強い痛みが続くときは、別の原因がないか一度受診してください。
Q2. 軽い出血があっても心配ないですか?
ごく少量の出血は着床や子宮の変化によるもので、様子見でよいこともあります。ただし量が多い・強い腹痛や発熱をともなうときはすぐ受診してください。判断の軸は「量」と「痛み」です。
Q3. チクチクした痛みは赤ちゃんに影響しますか?
数秒から数分で治まるチクチク・キリキリした痛みの多くは、靭帯の伸展やホルモン変化による生理的なもので、赤ちゃんへの影響を心配する必要はありません。持続する痛みや出血があるときだけ受診してください。
Q4. 夜中に腹痛が出たら朝まで待つべきですか?
我慢できない激痛・多量の出血・肩の痛みやめまいがあるときは、朝を待たず夜間でも連絡してください。子宮外妊娠の破裂など、時間を争う病態もあります。軽い痛みで他の症状がなければ、翌朝の受診でかまいません。
Q5. 便秘の腹痛と危険な腹痛はどう見分けますか?
排便やガスが抜けたあとにスッと軽くなるなら、便秘やガス由来の張りと考えてよいでしょう。片側だけが鋭く痛む、出血や発熱をともなう、休んでも増していくといった場合は別の原因を疑い、受診してください。
Q6. 腹痛が心配で赤ちゃんの健康も気になります。何かできますか?
まずは主治医の健診をきちんと受けることが基本です。あわせて、赤ちゃんの染色体の状態を早い時期に知りたい方には、母体の採血だけで受けられるNIPT(新型出生前診断)という選択肢があります。心拍確認後から受けられ、詳しくは次の項目で説明します。
まとめ|迷ったら我慢せず受診してください
妊娠初期の腹痛は、その多くが正常な体の変化ですが、激痛・多量出血・発熱・肩の痛みがあれば受診のサインです。正常な痛みと危険な痛みの違いを知っておけば、必要以上に不安を抱えずにすみます。
大切なのは、過度に怖がることでも、我慢しすぎることでもありません。「いつもと違う」と感じたら、電話一本でかまわないので相談する。その一歩が、あなたと赤ちゃんを守ります。
ヒロクリニックNIPTでは、妊娠中の体調や検査に関するご相談をLINEで無料で受け付けています。赤ちゃんの染色体について早めに知っておきたい方は、心拍確認後から・年齢制限なし・紹介状不要で受けられるNIPTもご検討ください。NIPTは21トリソミー(ダウン症)などで高い検出精度を持つ非確定的検査で、確定診断は羊水検査などで行います。国内の検査機関で最短2〜5日の結果報告、これまでの検査実績は75,000件以上です。
(参考:日本産科婦人科学会 / ヒロクリニックNIPT)
著者・監修:岡 博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業。日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで妊娠・出生前診断の正しい情報を発信しています。
出生前診断(NIPT)について相談したい方は、ヒロクリニックNIPTの無料カウンセリングをご利用ください。国内検査・産婦人科医対応で、妊娠10週ごろから受けられます。
妊娠初期の腹痛は多くの場合正常な体の変化によるものですが、流産や子宮外妊娠などの異常も考えられます。腹痛の原因、特徴、対処法、医師に相談すべきサインを解説し、安心して妊娠生活を送るための情報を提供します。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

