この記事の結論
発達性およびてんかん性脳症99型(DEE99)は、19番染色体上のATP1A3遺伝子の変異によって、乳児期早期からの難治性てんかんと重度の発達遅滞が現れる超希少疾患です。同じATP1A3遺伝子の変異は、交互性片麻痺(AHC)やCAPOS症候群、急性発症ジストニア・パーキンソニズムといった、発作性・進行性の異なる病気の原因にもなります。DEE99はこの遺伝子が引き起こす病気のなかでもっとも重症の部類にあたり、新生児期から乳児期の早い時期に発症する難治性てんかんと、MRIでの脳の形成異常や萎縮が特徴です。ほとんどの症例は突然変異(デノボ変異)で発生し、ご両親の遺伝や生活習慣が原因ではありません。本記事では、症状・原因・診断・治療の全体像と、同じ遺伝子から生まれる疾患スペクトラムとの違いを、GeneReviewsやOMIM、学術論文など公的・学術情報源にもとづいて整理します。
この記事でわかること
- DEE99(ATP1A3関連てんかん性脳症)の症状と発症時期
- ATP1A3遺伝子ひとつが、交互性片麻痺から乳児てんかんまで幅広い病気を引き起こす仕組み
- MRIで見つかる多小脳回や脳萎縮が意味すること
- 診断に必要な検査、治療とケアの選択肢、次のお子様への遺伝リスク
- 妊娠中のNIPTでこの病気がわかるかどうか
医師から「Developmental and epileptic encephalopathy 99」という非常に長く、聞き慣れない診断名を告げられ、情報を求めてこのページにたどり着いたご家族の皆様へ。
まだ小さなお子様に、日本語の定訳もまだ浸透していないような難病の診断が下り、計り知れないショックと不安の中にいらっしゃることと思います。この病気は世界的に見ても報告数がまだ少なく、希少疾患の一つに数えられるため、日本語で書かれた詳しい情報はインターネット上でもほとんど見当たりません。てんかんや遺伝の専門家でなければ詳しく知らないことも珍しくない、新しい疾患概念です。
この長い診断名を日本語に訳すと、「発達性およびてんかん性脳症99型」となります。医療現場では、頭文字をとってDEE99(ディー・イー・イー・キュウジュウキュウ)と呼ばれることが一般的です。原因遺伝子の名前をとって、ATP1A3関連てんかん性脳症と呼ばれることもあります。
「脳症」という言葉や「99型」という数字に圧倒されてしまうかもしれませんが、この数字は発見された順番を区別するための通し番号であり、重症度を表す数字ではありません。原因が遺伝子にあると分かったということは、これから起こりうることへの対策が立てやすくなり、お子さんに合った療育やケアのプランを考えるための地図を手に入れたということでもあります。
1. DEE99とは:概要と特徴
DEE99は、生まれつきのATP1A3遺伝子の変化によって、脳の神経細胞の働きに影響が出る疾患です。まず、この病名グループの意味を整理しておきましょう。
発達性とは、生まれ持った遺伝子の変化そのものが、脳の発達や成長に影響を与えていることを意味します。てんかん発作があるから発達が遅れるだけでなく、発作がなくても発達に課題が生じる体質であることを示す言葉です。
てんかん性とは、頻繁なてんかん発作や脳波の激しい乱れが、脳の機能や発達にさらなる悪影響を与えている状態を指します。脳症とは、脳全体の働きに広範な影響が出ている状態を指す医学用語です。
つまりDEE99は、遺伝子の影響による発達の遅れと、てんかん発作による脳への負担という二つの要素が合わさって症状が現れる病気です。医学データベースOMIMには2022年前後に登録された、比較的新しい疾患単位であり、現在も世界中で症例の蓄積が続いています。
患者数は極めて少なく、正確な頻度はまだ分かっていません。報告されている症例数自体が数十例規模にとどまる、超希少疾患と考えられています。
2. 主な症状:てんかん・発達遅滞・脳画像所見
DEE99の症状は、新生児期から乳児期早期にかけて始まる難治性てんかんと、重度の発達遅滞が中心です。お子さんによって重さや出方は異なりますが、海外の症例をまとめた学術論文をもとに、代表的な特徴を見ていきましょう。
てんかん発作
海外の症例報告(22例)では、約半数にあたる11例で新生児期から発作が始まっており、残る症例でも乳児期・小児期早期に発症しています。10例では、難治性てんかん重積状態(発作が止まらない状態)が発症時の初発症状として報告されました。発作の形は様々です。
| 発作・脳波の特徴 | 報告されている内容 |
|---|---|
| 発症時期 | 新生児期(生後1か月以内)からの発症が多い |
| 難治性てんかん重積状態 | 発作が止まりにくく、発症時の症状となることがある |
| 無呼吸・チアノーゼ | 発作にともない呼吸が止まり、唇や皮膚の色が悪くなることがある |
| 脳波の抑制傾向 | 脳の電気活動が全体的に抑えられるバースト・サプレッションが見られることがある |
DEE99のてんかん発作は、一般的な抗てんかん薬が効きにくい難治性であることが多いです。発作にともなって呼吸が弱くなる無呼吸やチアノーゼがみられる場合は、酸素飽和度モニターの使用や発作時の対応を、あらかじめ主治医と確認しておくと安心です。
発達の遅れと運動症状
発作と並んで、あるいは発作が始まる前から、発達のゆっくりさが目立つようになります。前述の症例報告では、知的障害の程度が確認できた18例のうち、14例が重度から最重度、3例が中等度、1例が軽度と評価されており、重症度には幅があります。
体がふにゃふにゃとして柔らかい強い筋緊張低下が、報告例の多くで見られています。一方で、成長とともに手足が不随意に動くジストニア型の四肢麻痺がみられることもあります。黒目が小刻みに揺れる眼振も、この病気の特徴のひとつとして知られています。
MRIでの脳画像所見
DEE99でとくに注目されているのが、MRIでの脳の形の異常です。前述の症例報告では、10例(45%)で多小脳回という、病的に小さな脳回が多発する所見が見つかりました。左右のこめかみ付近(シルビウス裂周囲)に多いパターンです。多小脳回が見られない症例でも、進行性の脳萎縮が確認されることがあります。
この脳画像所見は、DEE99を後述のATP1A3関連疾患のなかで特徴づける、非常に重要な手がかりです。重症度には幅があり、すべてのお子さんが同じ経過をたどるわけではありません。海外の症例報告では重篤な難治性てんかん重積状態により命に関わったケースも報告されていますが、これは限られた症例数にもとづく報告であり、今後の知見の蓄積によって評価が変わる可能性があります。

3. ATP1A3遺伝子ひとつで起こる複数の病気
ATP1A3遺伝子の変異は、DEE99だけでなく、交互性片麻痺やCAPOS症候群など、症状の重さも現れる年代もまったく異なる複数の病気を引き起こします。この「ひとつの遺伝子から複数の顔を持つ病気が生まれる」という点こそ、DEE99を理解するうえで欠かせない視点です。
米国国立医学図書館のGeneReviewsでは、ATP1A3遺伝子の病的バリアントによる代表的な病型を扱っています。小児交互性片麻痺(AHC)・急性発症ジストニア・パーキンソニズム(RDP)・CAPOS症候群・小脳失調をともなう再発性脳症(RECA)の4つです。ただし、このGeneReviewsの解説対象には、DEE99のような重篤な周産期発症の表現型は含まれていないと明記されています。主な違いを表にまとめました。
| 病気 | 発症時期の目安 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 小児交互性片麻痺(AHC) | 生後18か月まで | 体の片側が繰り返し麻痺する発作性の症状 |
| 急性発症ジストニア・パーキンソニズム(RDP) | 4〜55歳ごろ、突然発症 | 数時間〜数日で急激に進むジストニアと動作緩慢 |
| CAPOS症候群 | 幼児期、発熱を契機に発症することが多い | 小脳失調・深部腱反射消失・凹足・視神経萎縮・難聴 |
| DEE99 | 新生児期〜乳児期早期 | 難治性てんかん・重度発達遅滞・多小脳回や脳萎縮 |
横浜市立大学の研究グループがAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の支援を受けて発表した研究では、多小脳回をともなう患者124例のうち8例(6.5%)からATP1A3遺伝子の変異が見つかりました。この変異は、従来知られていた交互性片麻痺の変異とは異なる場所に集中しており、アルファ・ベータという2つのサブユニットが結合する部分に関わることが示されています。
私自身、遺伝カウンセリングの場で「ATP1A3という同じ遺伝子名で検索すると、交互性片麻痺という比較的知られた病名の情報ばかりが出てきて、うちの子の症状とは全然違う」と戸惑われるご家族の声を伺うことがあります。DEE99は、この遺伝子が引き起こす疾患スペクトラムのなかでも、新生児期・乳児期発症の難治性てんかんと脳の形成異常を併せ持つ、より重症側に位置するタイプだとご理解ください。
小児交互性片麻痺についてはAHC1(ATP1A3遺伝子と症状・治療)のページで詳しく解説しています。AHC2はこちらのページ、CAPOS症候群はこちらのページをご覧ください。あわせて読むと、同じ遺伝子が生み出す病気の幅広さがご理解いただけます。
4. 原因:ナトリウム・カリウムポンプの機能異常
DEE99の原因は、脳の神経細胞にある小さなイオンポンプの設計図が変化してしまうことです。なぜてんかんが起きたり発達が遅れたりするのか、その仕組みを見ていきましょう。
ATP1A3遺伝子の役割
DEE99の原因は、第19番染色体(19q13.2)にあるATP1A3という遺伝子の変異です。この遺伝子は、ナトリウム・カリウムポンプ(Na+/K+-ATPase)というたんぱく質のアルファ3サブユニットを作るための設計図です。
脳の神経細胞は、電気信号を使って情報をやり取りしています。神経細胞が興奮して信号を発したあと、もとの状態にすばやく戻すためには、細胞の中と外でナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度を一定に保つ必要があります。ATP1A3が作るポンプは、エネルギー(ATP)を使ってナトリウムを外へ、カリウムを中へ運び、この濃度差を保つ働きをしています。とくに脳や神経のように電気活動がさかんな組織で重要な役割を担っています。
変異による影響
ATP1A3遺伝子に変異が起きると、このポンプの働きに大きく分けて二つの影響が生じると考えられています。ひとつは、ポンプ自体の機能が低下し、神経細胞のイオン濃度差の調節がうまくいかなくなることです。神経の興奮と抑制のバランスが崩れ、てんかん発作が起きやすくなります。
もうひとつは、前述の横浜市立大学の研究が示すように、ポンプを構成するアルファ・ベータのサブユニットがうまく組み合わさらないことで、胎児期の神経細胞の移動(神経細胞が本来の位置まで移動していく過程)が妨げられることです。これが、多小脳回という脳の構造そのものの異常につながると考えられています。同じ遺伝子でも、変化の起きる場所によって、発作性の症状にとどまるのか、脳の構造にまで影響が及ぶ重い病気になるのか、道が大きく分かれます。
遺伝の形式:ほとんどはデノボ変異
多くのご家族が、親から遺伝したのか、妊娠中の生活に問題があったのかとご自身を責めてしまわれます。ATP1A3遺伝子関連の病気は常染色体顕性遺伝の形式をとりますが、前述の症例報告(22例)では20例が新生突然変異(デノボ変異)によるものでした。
これは、ご両親の遺伝子には異常がなく、精子や卵子が作られる過程、あるいは受精直後の細胞分裂の段階で、偶然にATP1A3遺伝子に変化が起きたことを意味します。ご両親のどちらかのせいで遺伝したわけではなく、妊娠中の食事やお薬、ストレスが原因で起きるものでもありません。同じ報告のなかには、3世代にわたって家族内で変異が受け継がれていた例も2例含まれており、次のお子様への具体的な再発リスクは、遺伝カウンセリングで個別に確認することが大切です。
5. 診断と検査
DEE99の診断は、症状の観察、脳波検査、画像検査、そして遺伝子検査を組み合わせて行われます。それぞれの検査で何を確認するのか、順に見ていきましょう。
脳波検査
てんかん発作の診断や脳の活動状態を調べるために不可欠な検査です。DEE99のお子さんの脳波では、てんかん性の突発波が見られるほか、脳全体の電気活動が抑えられるバースト・サプレッションという所見が見られることがあります。発作のタイプを特定し、薬を選ぶためにも繰り返し行われます。
画像検査(MRI)
脳の形や構造を詳しく調べるためにMRI検査が行われます。DEE99を疑ううえで、多小脳回や進行性の脳萎縮がないかの確認は重要な手がかりです。発症初期には目立たなくても、経過とともに所見がはっきりしてくることもあります。
遺伝学的検査
確定診断のためには、血液を採取してDNAを調べる検査が必要です。近年普及してきた次世代シーケンサーを用いた全エクソーム解析(WES)や、てんかん関連遺伝子パネル検査が一般的です。DEE99とよく似た症状を示すATP1A2遺伝子の変異も報告されているため、両方の遺伝子をあわせて調べる検査が選ばれることがあります。
DEE99は症状だけでは他の発達性てんかん性脳症と区別がつかないことが多いため、この網羅的な遺伝子検査で初めてATP1A3遺伝子の変異が見つかり、診断に至るケースがほとんどです。
6. 治療と管理
現在の医学では、ATP1A3遺伝子の変化そのものを修復する根本治療はまだ確立されていません。それぞれの症状に対する対症療法とサポートを組み合わせることで、お子さんの苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を高めることは十分に可能です。
てんかんの治療
てんかん発作を減らすために、抗てんかん薬による治療を行います。バルプロ酸、レベチラセタム、クロバザム、トピラマートなど、発作のタイプに合わせて様々なお薬が試されますが、難治性であることが多いです。
お薬だけで発作が止まらない場合は、脂肪分を多く糖質を極端に少なくするケトン食療法という特殊な食事療法が検討されることもあります。首の神経を電気で刺激する迷走神経刺激療法(VNS)という緩和的な手術が選択肢になる場合もあります。
発達支援と療育
早期からの療育が、お子さんの成長と生活の安定にとって非常に大切です。理学療法(PT)では、体の柔らかさや筋肉の突っ張りに対し、関節が硬くならないストレッチや姿勢保持の練習を行います。
作業療法(OT)では、手先の感覚を養い、遊びを通じて外界への興味を引き出します。言語聴覚療法(ST)では、言葉の理解を促すとともに、食べる機能(摂食嚥下)の訓練も行い、誤嚥性肺炎を防ぎながら食事ができるようサポートします。座位保持装置や車椅子など、体に合った福祉用具を選ぶ際にも専門的なアドバイスを受けられます。
栄養・呼吸・眼のケア
飲み込む力が弱く口から十分に栄養が摂れない場合は、鼻からチューブを入れたり、お腹に小さな穴を開けて胃に栄養を入れる胃ろうを作ったりして、十分な栄養を確保します。呼吸が弱い場合や痰が出しにくい場合は、吸引器の使用や在宅酸素療法を行うこともあります。
眼振や視覚の問題がある場合は、定期的に眼科を受診してください。見えやすいおもちゃを使ったり、聴覚や触覚を使った遊びを取り入れたりする視覚支援も有効です。
7. 家族のサポートと相談窓口
希少疾患であるDEE99は、身近に同じ経験をした人が見つかりにくく、ご家族が孤立を感じやすい病気です。一人で抱え込まず、複数の窓口を組み合わせて相談してください。
主治医や臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでは、診断の意味や今後の見通し、次のお子様への遺伝リスクについて、ご家族の状況に合わせた説明を受けられます。てんかんや発達支援に関する社会資源については、お住まいの自治体の保健センターや、難病相談支援センターも窓口になります。
実際に相談の場では、「同じ病名の人に会ったことがない」というお声を何度も伺います。私自身、こうしたご家族には、病名の希少さと、お子さんに合ったケアの選択肢の広さは別の話だとお伝えするようにしています。
ATP1A3遺伝子に関する国内の患者会は限られていますが、海外にはAHCF(Alternating Hemiplegia of Childhood Foundation)やCure AHCのように、ATP1A3遺伝子関連疾患全体の研究や家族支援を行う当事者団体があります。日本語の一次情報が少ない病気だからこそ、公的機関の情報と、主治医を通じた専門家ネットワークの両方を頼ってください。
発達性およびてんかん性脳症は、原因となる遺伝子ごとに番号がつけられたシリーズとして報告が続いています。カルシウムチャネルに関わる42型(CACNA1A遺伝子)や、mRNA結合たんぱく質に関わる54型(HNRNPU遺伝子)など、原因遺伝子が異なれば症状の出方や治療の考え方も変わります。気になる方はあわせてご覧ください。
8. 妊娠中の検査・NIPTとの関係
DEE99は、ATP1A3遺伝子1つの変化によって起こる単一遺伝子疾患です。NIPTの基本検査で調べる21・18・13トリソミーなどの染色体数の異常とは、検出のしくみがまったく異なります。
単一遺伝子疾患まで対象範囲を広げた拡大NIPTのプランもあります。プランによっては、ATP1A3遺伝子を含む数百種類の遺伝子を対象とする検査項目が用意されている場合がありますが、対応する疾患の範囲や解析感度は検査施設・プランによって異なります。
ご自身が検討している検査プランがATP1A3関連の異常まで対象に含むかどうかは、検査を受ける施設に直接確認してください。もう一つ知っておいていただきたいのは、NIPTはあくまで非確定的なスクリーニング検査だという点です。陽性所見や気になる結果が出た場合は、羊水検査などの確定検査で診断を固める流れになります。
今回、この病気に関する国内の実体験の投稿をX(旧Twitter)で探しましたが、直近の投稿は見当たりませんでした。ATP1A3という遺伝子名自体を検索すると交互性片麻痺の情報が中心となり、DEE99という新生児期・乳児期発症のタイプに絞った一次情報はさらに限られます。本記事では代わりに、GeneReviews・OMIM・MedGen・学術論文・AMED(日本医療研究開発機構)など国内外の公的・学術情報を根拠としています。
まとめ:ご家族へのメッセージ
発達性およびてんかん性脳症99型(DEE99)についての重要なポイントを振り返ります。
DEE99は、ATP1A3遺伝子の変異により、神経細胞のナトリウム・カリウムポンプに異常が生じ、脳の興奮と抑制のバランスの乱れ、あるいは脳の形成そのものへの影響が組み合わさって起こる先天性の疾患です。同じ遺伝子が、交互性片麻痺やCAPOS症候群といったまったく違う顔を持つ病気の原因にもなる点が、この遺伝子の大きな特徴です。
新生児期からの難治性てんかん、重度の発達遅滞、多小脳回や脳萎縮などが主な特徴です。てんかんは難治性であることが多いですが、様々なお薬の調整でコントロールを目指せます。原因の多くは突然変異によるもので、ご両親のせいではありません。
発作のコントロールだけでなく、リハビリ、栄養管理、呼吸のケアまで、全身をトータルで見る視点が欠かせません。遺伝子診断という「名前」がつくことで、お子さんの特性に合った医療とケアの計画を立てやすくなります。まずは主治医や遺伝カウンセラーへの相談から始めてください。
お電話でのご相談も受け付けています。0120-169-629までお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
DEE99とは、どのような病気ですか。
19番染色体上のATP1A3遺伝子の変異により、新生児期から乳児期早期にかけててんかん発作と重度の発達遅滞が現れる、超希少な神経疾患です。発達性およびてんかん性脳症99型とも呼ばれます。
DEE99の原因遺伝子はATP6V0A1ですか。
いいえ、DEE99の原因遺伝子はATP1A3です。ATP6V0A1遺伝子の変異は、別の疾患である発達性およびてんかん性脳症104型(DEE104)の原因として報告されています。発達性てんかん性脳症は番号ごとに原因遺伝子が異なるため、混同されないようご注意ください。
ATP1A3遺伝子は交互性片麻痺(AHC)の原因遺伝子でもあると聞きました。関係はありますか。
同じATP1A3遺伝子の変異でも、変化の種類や場所によって、交互性片麻痺・CAPOS症候群・急性発症ジストニア・パーキンソニズム・DEE99という異なる病気が起こります。DEE99はこの中でも新生児期・乳児期発症の難治性てんかんと脳の形成異常をともなう、より重い部類のタイプです。
MRIで多小脳回といわれました。これはどういう意味ですか。
多小脳回とは、脳の表面のしわ(脳回)が病的に小さく多発している状態です。DEE99の症例の一部で報告されている所見で、胎児期の神経細胞の移動がうまくいかなかったことを反映していると考えられています。すべてのお子さんにみられるわけではなく、進行性の脳萎縮のみが見られる場合もあります。
てんかん発作はどのような薬で治療しますか。
バルプロ酸、レベチラセタム、クロバザムなどの抗てんかん薬が使われますが、難治性であることが多いです。複数の薬の組み合わせやケトン食療法、迷走神経刺激療法が検討される場合もあります。
次の子どもにも同じ病気が起こる可能性はありますか。
DEE99のほとんどの症例は、ご両親には原因がない新生突然変異(デノボ変異)によるものです。ご両親のどちらのせいでもありません。ただし、まれに家族内で変異が受け継がれた例も報告されているため、次のお子様への具体的な再発リスクは遺伝カウンセリングで個別に確認してください。
妊娠中のNIPTでこの病気はわかりますか。
21・18・13トリソミーなどの基本検査の対象ではありません。単一遺伝子疾患まで対象を広げた拡大NIPTのプランでは対象に含まれる場合がありますが、対応範囲は施設によって異なります。陽性所見が出た場合は羊水検査などの確定検査が必要です。
監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会・学術論文の情報を参照して作成しています。記載の数値は限られた症例数の報告例に基づくものであり、今後の知見により変わる可能性があります。診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。
参考情報:ATP1A3-Related Disorder|GeneReviews(米国国立医学図書館)/Developmental and epileptic encephalopathy 99|MedGen(NCBI)/ATP1A2- and ATP1A3-associated early profound epileptic encephalopathy and polymicrogyria|PubMed/多小脳回の新たな原因遺伝子ATP1A3を同定|国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)/Learn About AHC|AHCF(Alternating Hemiplegia of Childhood Foundation)
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
