胎児のなぜ?【医師監修】

胎児のなぜ?

妊娠中おなかの中にいる赤ちゃんはどんなことをしているか、どうやって大きくなっているかと不思議に思うことがあると思います。医学ではまだまだ解明しきれていない胎児の謎も存在しますが、今回は胎児のなぜについて解説していきます。

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はじめに

妊娠中は様々なことが不安になると思いますが、おなかの中にいる赤ちゃんはどんなことをしているか、どうやって大きくなっているか、なぜこんなことが起きているのか、と不思議に思うことがあると思います。今回は胎児の不思議について解説していきます。

胎児の呼吸

おなかの赤ちゃんは、胎盤とへその緒(臍帯:さいたい)を通してお母さんから酸素の補給を行うため、私たちが今行っているような肺からの呼吸はしていません。 しかし妊娠28週ごろから、羊水を飲んで肺の中で貯めて膨らませ、また吐き出すようになります。羊水を飲むことで呼吸の練習になるのです。 赤ちゃんが初めて肺から呼吸をするのは産声を上げる瞬間になります。

羊水の中でどうやって呼吸するの?

お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんは羊水という水の中に浮かんでいます。もし息をしようとすると、羊水を飲んで溺れてしまいます。赤ちゃんはへその緒を通して体に必要な酸素をもらい、いらなくなった二酸化炭素を渡しています。

エラ呼吸をするって本当?

妊娠初期の赤ちゃんは、エラやしっぽがついて魚のような形をしています。エラがついてしっぽがあるのでエラ呼吸をしているかと思いますが、実際には胎児はお母さんの胎内でエラ呼吸はしていません。 やがてエラがとれ、肺ができヒトの形に近づいていきます。

あくびをするのは何のため?

おなかの赤ちゃんが10-15週ぐらいになると、あくびやしゃっくりを始めます。 これは赤ちゃんが生まれた後、呼吸をはじめるための準備です。 生まれた後は、自分で呼吸をずっと続けなければいけなくなりますので、練習は欠かせません。

酸欠にならないのはなぜ?

なぜ呼吸をしてないのに酸欠(酸素欠乏)にならないのか、不思議に思うことがあるかもしれません。赤ちゃんはへその緒を通して酸素や栄養をもらっているため、お母さん側の異常がない限り酸欠にはなりません。しかしながら自分では酸素を取り込めないために外にいるよりも血液の中の酸素が薄く、限られた酸素を効率よく全身に運ぶ能力が備わっています。出産時のトラブルなどで、15分くらい仮死状態が続いた赤ちゃんでも脳細胞には、影響がないことがわかっています。

肺呼吸になるのはいつから?

赤ちゃんが子宮から外へでた瞬間にまず行なうのは、オギャーと産声をあげることです。実はこれが肺呼吸による第一声です。生まれてからの赤ちゃんや私たち大人の呼吸運動とは、空気として酸素を血液の中にとり入れ、二酸化炭素を吐きだすことです。

胎児の呼吸

胎児の運動

お母さんが胎動を感じるのは妊娠15-20週と言われています。しかしおなかの赤ちゃんは妊娠8週くらいから動いたり、身体の向きを変えたりと動いているのです。妊娠10-20週くらいからは、あくびや口をもぐもぐさせるなど、生まれてから生きていくために必要な練習を始めます。

子宮の中でどうやって運動するの?

羊水に浮かんでいる赤ちゃんは活発に動き、泳いだり、足を曲げたり伸ばしたりしています。徐々に指を吸うなどの細かい動きもできるようになります。脳の発達が活発になると運動をコントロールすることができるようになってきます。

逆子になるのはなぜ?

おなかの中の赤ちゃんが頭を上に向けている状態のことを逆子(骨盤位)と言います。妊娠中期ごろまでは子宮内のゆとりがあるため、赤ちゃんは向きを変えながら過ごしています。そのため逆子であると伝えられる時期は、妊娠後期頃になります。なぜ逆子になるのか、多くは特別な原因があるわけではなく、赤ちゃんが逆子になることを予測することは困難ですが、以下のことが逆子のリスクになっていると考えられています。

逆子になるリスク

  • 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
  • 先天的な子宮の形態異常
  • 前置胎盤(ぜんちたいばん)
  • 羊水過少や羊水過多
  • 多胎妊娠(ふたごやみつご以上の妊娠)
  • 子宮内胎児発育遅延
  • 赤ちゃんの形態異常(水頭症や無脳症、仙尾部奇形腫など)
  • 前回妊娠が帝王切開だった

胎児の発達

受精卵として始まった新たな命は、いくつもの段階を経て成長していきます。受精卵は胚盤胞(はいばんほう)、胎芽(たいが)、胎児へと発達していきます。

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脳や目などの器官はどうやってできる?

受精卵という1つの細胞はわずか0.1mmと目には見えない大きさですが、約10ヵ月あまりで、3kgくらいの胎児に驚異的な成長をとげます。4週-10週までは赤ちゃんの器官形成期と呼ばれ、脳、目などの神経、心臓、胃腸、手足などの器官・組織が形成されていきます。

皮膚はいつからできる?

皮膚の組織は妊娠10週目ごろから作られ始めますが、完全に大人と同じような皮膚になるには34週ごろと言われています。妊娠18週ごろには頭に髪の毛も生えはじめ、また胎脂(たいし)と呼ばれる胎児の皮膚を保護する物質が作られます。胎脂の量は胎児により異なりますが、出産までに赤ちゃんの身体全体を覆うようになります。

おしっこはどうしてる?

妊娠初期の羊水は、赤ちゃんを包む卵膜や赤ちゃんの肌からしみ出した血液の成分が素になります。妊娠中期になって赤ちゃんが大きく育ってくると、消化管や腎臓が機能し始め、赤ちゃん自身が自分のまわりにある羊水を飲みこみ、それをおしっことして外に出すようになります。赤ちゃんの老廃物はへその緒を通してお母さんに渡しているので、おしっこはまったく汚くありません。

しっぽがあるって本当?

妊娠7週までの赤ちゃんは胎芽(たいが)と呼ばれます。このころの赤ちゃんにはしっぽやエラがあって、タツノオトシゴのような形をしています。なぜこれが人間になるのか、不思議に感じることもあるかと思います。

食事をしないのに栄養はどうしてる?

なぜ食事をしない胎児が大きくなるのか、それはへその緒の先の子宮の壁にくっついている胎盤が、お母さんの血液から栄養や酸素を赤ちゃんの血液に送り込んでいるためです。いらないものをお母さんの血液に渡す役割もあります。よって赤ちゃんは呼吸をしたり、ご飯を食べたりする必要がありません。

血液はいつから流れる?

妊娠5週頃になると、臓器のもととなる器官やへその緒などが作られます。心臓も形成され、赤ちゃんの身体の各器官へ血液が送られるようになります。妊娠6週頃には、超音波検査で赤ちゃんの心臓の動きを見ることができるようになります。

染色体の謎

精子と卵子が結合し、それぞれの染色体が合わさって受精卵になります。染色体とは両親から受け継いだ遺伝情報がのっています。人の染色体は46本(23対)あり、44本(22対)の常染色体と2本(1対)の性染色体に分けられます。染色体は治療ができないため、染色体異常の病気が見つかった場合でも、治療することはできません。

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受精卵とは?

精子と卵子が出会って融合したものが受精卵です。精子と卵子は卵管の先で受精卵となり、細胞分裂を繰り返して卵管内を子宮に向かって移動していきます。受精卵は胚盤胞、胎芽、胎児へと発達していきます。

どうして双子になるの?

自然妊娠での双子には2種類あります。

①偶然2つの卵が排卵され2つとも受精し着床した場合

二卵性双生児2つの卵由来ということです。両親の遺伝子を引き継いでいますが二人の間でまったく同じ遺伝子配列ではないです。性別が違うこともありますし、顔もあまり似ていないこともあります。

②1つの受精卵が着床までに2つに分かれてしまいそれぞれが着床した場合

一卵性双生児と呼ばれるものです。1つの卵由来なので遺伝子は全く同じです。なので性別は必ず同じで顔も声も瓜二つの場合が多いです。

自然妊娠と体外受精では体外受精の方が双子になる確率は高くなります。それは体外受精の場合、医師の判断により受精卵を2個戻すことがあるためです。 受精卵が2個とも着床すれば二卵性双生児となります。一卵性双生児は体外受精でも避けることはできず、意図的に一卵性双生児にすることもできません。

双子の謎

どうして流産するの?

妊娠の15-20%の確率で流産となります。流産の約85%は妊娠12週までに起こります。 3人に1人の女性が流産経験者と言われており、多くの女性が経験しています。 妊娠およそ11週頃までに起こった流産のほとんどが赤ちゃん側の原因(遺伝性疾患、先天性異常)によるものです。よって、受精の瞬間で流産かそうでないかが決まることがほとんどです。初期の流産では妊娠に気づかずに飲酒、喫煙、薬の内服、仕事や運動などでは考えにくいと言われています。

染色体異常が起きるのはなぜ?

なぜ染色体の数に異常が発生するのか、その原因についてははっきり分かっていません。

遺伝によるもの、何らかの病気が関わっているもの、偶発的に起こるものなど、さまざまな原因によって染色体異常が発生すると考えられていますが、年齢に伴って染色体異常が発生する確率が上昇するということは知られています。

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染色体の検査はNIPT(新型出生前診断)

NIPT(新型出生前診断)とは非侵襲的出生前遺伝学的検査ともいわれ、母体血液のみで赤ちゃんの染色体異常症による先天性疾患リスクを調べるスクリーニング検査のことです。ダウン症(21トリソミー)・エドワーズ症(18トリソミー)・パトウ症(13トリソミー)などの陽性リスクを99.9%と高精度に検出することが可能とされています。

ヒロクリニックNIPTは、妊娠10週0日より検査をおこなうことができます。お母さんの腕から採血をおこなうだけの検査となり、赤ちゃんへの直接的なダメージはほぼないといえます。

NIPT(新型出生前診断)とはどういう検査?
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新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血...

まとめ

医学ではまだまだ解明しきれていない胎児の謎も多く存在しますが、医療技術の発展により解明されることも多くなりました。4Dエコーなどで赤ちゃんの様子が見えるのも妊婦さんにとっては嬉しいことの一つだと思います。なぜ?と不思議、不安に思うことが多くあるかもしれませんが、心配事を少しでも解決し安心して穏やかなマタニティライフを送りましょう。

【参考文献】

妊娠中おなかの中にいる赤ちゃんはどんなことをしているか、どうやって大きくなっているかと不思議に思うことがあると思います。医学ではまだまだ解明しきれていない胎児の謎も存在しますが、今回は胎児のなぜについて解説していきます。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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